学習方法/高校日本史

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

センター日本史は暗記問題[編集]

センター試験では、年代順を問う問題や、正誤判定を行う問題が、出題されやすい。年代はおおむね20年〜50年単位の近い時代のできごとが、3つか4つか選択肢に並んでおり、その出来事について、その順序を4択問題などで問う。このため年号を、結局、覚えなければならない(ただし、10年単位で良い)。高校教師などのいう「センター試験は良問」というのは、こと日本史に限れば、ウソである。

よく、「私大の入試は悪問! センターの入試は良問!」などとホザく人がネット掲示板などに表れるが、ウソなので、鵜呑みにしないように注意。「センター日本史は悪問! 難関大学の日本史のマニアックな出題は、更なる悪問!」というのが真相だろう。

正誤判定も同様に、やたらと細かいことを問われる場合もある。過去問などで、入試に問われやすいことを重点的に、勉強しよう。すべてを覚えるのは時間的に無理なので(すべて覚えようとすれば、数十年は掛かるだろう。一生、無理かも。)、過去問を活用しよう。

「理屈と膏薬は、なんにでも着く」と言うコトワザがあるように、どんなセンター日本史の難問でも、参考書などで「このように理屈を考えれば、暗記しなくても分かる!」みたいな解説が付けられてしまう。しかし、実際には、いろいろと覚えないと解けないので、鵜呑みにしないように。

偉人伝とかは出題されない[編集]

小学生むけの歴史書とかで、源頼朝とか織田信長とかの偉人伝の本が書店などにはありますが、一般にそれらの内容は大学入試には出ません。つまり、織田信長の家臣の名前と業績とか知らなくても、名門大学の文学部とかに合格できます。

前田利家とか、たぶん出ません。織田信忠とか、まず入試に出ません。織田の家臣ですら、入試に出ないんですから、まして徳川や上杉や武田の家臣なんて、さらに出ず、北条や毛利の家臣はもっと出ず、姉小路なんて家臣どころか大名の名前すら知られてないかもしれません。

忍者で有名な服部半蔵は徳川の家臣、とか知らなくても、名門大学の文学部に合格できます。合格したその人が、そのまま大学を卒業して、うまく官公庁や大企業などの大組織に就職して出世すれば、そういう人が、その大組織で権力を持ちます。

戦国時代だけに関わらず、近現代史の太平洋戦争でも山本五十六とか知らなくても、大学入試に合格できそうですし。戦艦大和とか知らなくても、入試に合格できそうだし。

まあ、世界史でも、三国志とかが似たような状況ですし。劉備は出ても、関羽も張飛も出てこないわけですし。国語科目だって、里見八犬伝を知らなくても源氏物語とかを知ってればいいわけですし、漢文も孫子の兵法を知らなくても老子を知ってればいんだし。

つまり、大学入試の「日本史」科目では、日本史の通史ばっかりが問われます。世界史の通史は問われません。中学で習った範囲での世界史の知識ですら、「日本史」大学入試では、ろくに問われません。そして、中学の日本史では習わない用語の知識などが、大学入試では出ます。

・通史やその用語の知識を入試で問う ← まあ分かる
・伝記や偉人伝の知識がまったく問われない ← はあ?

というわけです。


史料問題は出題されづらい[編集]

市販の参考書では、古文書などを現代仮名づかいで表記した、史料集が市販されています。また、検定教科書にも、ところどころ、そのような史料の一文が紹介されています。

しかし、史料の具体的な文章は、じつは入試には、出題されづらい傾向があります。実際にセンター試験の日本史の過去問を見ても、史料問題は、数が少ないのです。

また、たとえ入試に出題されても、細かく語句の意味を問うことは、ありません。

せいぜい、「この史料は、何について記述しているかを、次の選択肢の中から選べ」的な問題が出るくらいです。

さらに、史料集では紹介されてない古文が、センター入試などに出題される場合もあります。


このような出題になる理由は、そもそも古文書の読解には、多数の解釈があり、センター試験のような全国一律の試験問題としては、細かい読解を問うのは不適切だという可能性が考えられます。

また、学問は日々進歩していきますが、古文書は進歩しませんので、教材としては古文書や史料集は検定教科書よりも価値が劣ります。

そもそも学問や教育とは、そういうものです。古典を直接読みあさるのが基礎学力の養成には非効率だから、かわりに要点を記述した教科書が作られていくのです。

また、古文書のなかには、その古文書の著者の主観が入っていたり、勘違いなどで間違っていたりする物も多く、教材としての価値は教科書よりも劣ります。古文書の読解能力の有無は、歴史学の勉強の結果にすぎず、けっして勉強の手段ではないのです。

当然ですが、最新の学問の知見は、(史料集ではなく)検定教科書のほうに反映されます。

なので、もし他教科の学習などのために日本史の学習時間が足りない場合などは、史料集の読み込み勉強の時間は、省略できるでしょう。史料集を読むにしても、けっして細かく一字一句の意味を覚える必要は、ないのです。史料集は、一通りの通読をするぐらいで充分でしょう。

なお、市販の高校生向けの日本史史料集には、日本語の文書しかありませんが、実際の日本史研究では、英語などで書かれた外交文書や日記なども読めるようにする必要があります。近年の中学高校の検定教科書でも、近代史の分野では、御雇い外国人のドイツ人ベルツの日記や、幕末のペリー提督によるアメリカ政府への報告書など、米英の新聞記事など、欧米人の書いた文書の存在も教科書で紹介されています。欧米系の日本史の史料については、入試には出ませんが、研究には必要ですので、読者高校生は古文漢文だけでなく英語もバランスよく勉強しましょう。スペイン語やオランダ語やドイツ語やフランス語などを学ぶ際にも、まず英語が基礎として必要です。

教科書の傾向と対策[編集]

検定教科書の傾向[編集]

じつは、1600年「関ヶ原の戦い」より以降の話題が、検定教科書では、教科書全体の半分(もしくは半分以上)である。つまり江戸時代を含んで江戸以降が、教科書では半分以上である。

けっして、均等に西暦1年〜1000年が教科書の半分ではない。

日本史にかぎらず世界史でも、やや近世や近現代史が教科書では割合多いのだが、特に日本史では、近世・近代史重視の傾向がさらに強い。

なお、ことわりなく「近世」(きんせい)という用語を使ったが、日本史では江戸時代のことを(または安土桃山時代を加えて)「近世」という。
一般に、明治維新から第二次世界大戦あたりまでが「近代」である。第二次世界大戦以降が「現代」史である(しかし「現代」といいつつ、高校教育では、ほぼ戦後昭和史であるが)。近代史と現代史をあわせて「近現代」史という事も多い。
奈良飛鳥時代までが一般に「古代」である。平安時代から室町後期・安土桃山時代あたりまでが「中世」である。

どうやら高校日本史の検定教科書でも、この「古代」・「中世」・「近世」・「近現代」の4区分に対応して、それぞれ4分の1ずつを基本としてページ数を割いているものと思われる。

さらに「古代」「中世」でも、じつは古代史よりも中世史のほうが、やや量が多い。

(おそらく、古代史については、中世と比べて史料が少ない事もあり、高校レベルでは深入りするのが難しいなどの、理由があるのだろう。だとすると将来的にも、今後の高校教育でも、日本史では近世・近現代重視の教育をする傾向が、今後も続くだろうと思われる。)

教科書を読む順序[編集]

案1 : 古代から順に読む[編集]

検定教科書の読み片のひとつとして、古代から順番に読むというのも、ひとつの方法である。

当然ながら、なるべく古代から順番に読んだほうが、読者が深い理解をしやすいように、通史の検定教科書は作られている。

もし「戦国時代が好き!」とかの特に強いコダワリがなければ、古代から順番に読むのも良いだろう。

もし、教科書を読んでて古代から順に読む方法が「自分には合わない」と感じるなら、例えば、次のような順番で読む方法がある。

案2 : 興味ある時代から読む[編集]

おそらく多くの読者の興味は、ドラマなどになりやすい戦国時代、もしくは、服装などが現代に近い明治時代以降に興味があるだろう(明治以降は制度が現代に近いし)。

興味を持続したまま勉強したほうが、記憶に残りやすいのも事実であろう。

また、日本史の検定教科書はある程度、途中から読み始めても内容が理解できるように、時代区分ごとにモジュール化されて、書かれている。(そもそも、そのようにモジュール化されて整理されてないと、公教育としての教育的意義が無い。)

  • 古代史から順番どおりの読み方は、長所として深い理解には必要だが、短所として興味を持続しづらい場合がある。興味が弱ければ、記憶にも残らないので、学習効率は下がってしまう。
  • 興味ある分野からの読み方は、長所として興味を持続しやすいし他科目にも応用しやすいが、短所として深い理解には到達しづらい。理解が深まらないと、興味を広げづらい。

興味と理解とのバランスが重要である。

このような興味重視の順番での学習では、その時代が他科目の入試に出るかどうかよりも、まずその時代に興味のあることが重要なので、もし戦国時代に強い興味があれば、戦国時代の前後あたりから読み始めればいい。あるいは、もし源平合戦に強い興味があれば、その前後あたりから読み始めればいい。

案3 : 明治時代から読む[編集]

明治以降を先にやる読み方は、世界史に知識を応用しやすいという利点がある。第二次大戦後の戦後史まで勉強すれば「政治経済」科目にも応用しやすい利点がある。

そのため、日本史を入試で使わない可能性が高い場合などは、ひとまず明治時代から読むと、効率的かもしれない。

そして、教科書で近現代史をひとまず通読しおえたら、そのあと、古代史から順に、教科書を先頭から順に読み進めると、比較的に興味を持ちながら勉強しやすいだろう。

つまり、古代史と近現代史との「挟み撃ち」(はさみうち)で読むのもイイかもしれない。


一般的な説明[編集]

日本史の科目には、数学などの他の教科とはちがい、日本史にはつぎのような特徴がある。

  1. 日本史の学習では、各語句についてまとめるのが、一つの有用な方法となる。
    人物・事件・事物などでは、関連する固有名詞の数が多い。数学・物理と比べると、高度な論理的理解の必要性は、日本史では、それほど重視されない。少なくとも学校教科書の内容理解や、受験問題の解答のレベルでは、あまり要求されない。日本史の理解を進めるものの一つは、各固有名詞に、言葉として見慣れる、それらの内容を知る、ことなどである。覚えるべき語句を言葉として見慣れることは、その内容を理解する上で、それだけでも十分に意義のあることである。各固有名詞の内容を知り、それらの日本史上での存在時代を知ることで、日本史の全体的な流れを思いうかべやすくなる。したがって、日本史学習では、各語句についてまとめるのが、一つの有用な方法となる。
  1. 数学には、個別の問題を考える上で有用な公式というものがある。日本史科目には、計算式がない。ただ、個々の日本史上の事柄について、まとめて考えることを可能にする判断基準は、ある程度まとめうる。それを見出してくことが、日本史学習法の一つとして挙げられる。


小中学で習った用語の暗記には、深入りしない[編集]

大学入試では、小学校と中学校で習った用語も平気で出題されますが、しかし、それら小中レベルの用語の復習・暗記ばかりに学習時間を使ってしまうと、高校で習う新規の話題の学習時間が不足します。

たとえば、「源頼朝」(みなもとのよりとも)も「義経」(よしつね)も、大学入試には出題されますが、しかし高校生の勉強では、源義仲(よしなか)などの、高校で新しく習う人物を中心に勉強したほうが良い、と思います。

なので、小中で習った用語を、あまり覚えていなくても、どんどんと高校レベルの内容の学習をしましょう。

このため、東京書籍などの うすめの教科書よりも、山川出版や実教出版などの 厚めの教科書を読んだほうが、復習に振り返る時間が減るので、効率的だと思います。


国語の古文も読む[編集]

本屋に行って、参考書コーナーの国語の参考書の場所に、『平家物語』など古典の和訳本が売っています。値段も安いので、シリーズひととおり買って来て、読みましょう。

国語科目の成績もアップするし、日本史の記憶力もアップするので、一石二鳥です。

『国語総合』科目だけでなく、『古典B』で出てくるような古典も、いっしょに日本語訳を読んでしまいましょう。

しかも、入試の日本史で問われやすい古典作品は、「国語」教科でも紹介されやすい作品の場合が多いので、一石二鳥です。

文芸の歴史の勉強については、江戸時代までの作品なら、国語の参考書で原作の日本語訳を読んでしまったほうが、てっとり早いです。

ただし、入試の日本史には、古典文学の文章は出ませんので、その事には注意してください。

山川出版だけを読まない[編集]

山川出版の『詳説 日本史』は、語句の多いことで有名なので受験対策として評判が高いのですが、しかし、じつは掲載語句を多く紹介するために、ひとつひとつの話題の掘り下げが、やや浅くなっています。

また、日本の大学受験では、山川出版の教科書が受験日本史の定番となってることを意識してか、受験競争の暗記競走を激化させないためにか、山川の教科書では、あえて説明を省いている話題もあります。

なので、実教出版あたりの教科書で、詳細な補足説明を補いましょう。実教出版が、厚めの教科書を出しており、説明も、ややマニアックなことまで、説明していたりします。ただし、マニアックなことまで実教出版の教科書には書いてあるので、それは覚える必要がありません。山川と実教の両方に書いてある話題を中心に勉強しておけば、とりあえず、問題は無いと思います。

基本的に「大は小をかねる」ですので、分厚い山川出版や実教出版の教科書をつかっておけば、他社のうすめの教科書は使わずに済むかもしれません。


語句のまとめ[編集]

まとめの手順[編集]

 まとめの手順は、教科書の索引で、書く語句の登場するページを知る。そのページおいて、その語句の登場する文章を確認する。あわせて用語集も引く。その書き抜いた文章のなかの、他の固有名詞についても、索引をつかって調べ、また用語集も引く、というものである。

 このようにして調べた説明を、ノートや教科書の余白に書き加える。それにより、別々のページに書かれている事柄を、つなげてとらえることもできる。

まとめの注意点[編集]

 まとめの注意点は、教科書の文章を、内容を省いて写さない。しかし、文章は短い方が記憶しやすいため、同じ内容でも、少ない字数でまとめられるように工夫するとよい。

工夫としては、たとえば

  1. 修飾フレーズを頭にのせる。

 たとえば、青木昆陽(あおき こんよう)の説明を覚えるときには、けっして「蘭学・オランダ語習得をし、その習得は幕府書物方において行った」とはせず、つぎのように「幕府書物方で蘭学・オランダ語習得をした」としたほうが短いので覚えやすいだろう。けっして、その習得は~、と後からつけくわえるのではなく、修飾フレーズを頭にのせた文を覚える。このようにすると、文章の密度が高まり、記憶の負担が減る。

  1. 漢字表現の使用。

 たとえば、「漢訳洋書の輸入制限を緩和した徳川吉宗」ではなく、「漢訳洋書 輸入制限 緩和をした徳川吉宗」と、熟語の間にある「の」「を」を、可能ならば省略し、できるだけ漢字を連ねた表現にする。

  1. 他の出版社の教科書の使用

 より詳細に勉強するには、同じ教科書の索引でしらべるだけでなく、他の出版社の教科書の索引も使う。たとえば、山川出版の『詳説日本史』を学校で使っているなら、実教出版の『日本史B』も買う。そして『日本史B』の索引でもしらべる。他の出版社の教科書の購入方法については、 検定教科書の購入方法 または 学習全般 を参照。