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検定教科書

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

検定教科書とは、小学校・中学校・高等学校で使用される教科書を指します。

この項目では、検定教科書の役割・閲覧入手方法・教科書番号について解説します。

はじめに

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検定済教科書の表示が書かれた教科書
教科書(番号)のイメージ ※内容は架空のもの

小学校・中学校・高等学校で使用されている教科書は、文部科学大臣の検定を受けた上で出版されています。この検定を受けて正式に教科書として利用できる教科書のことを、文部科学省検定済教科書(以下、「検定教科書」あるいは単に「教科書」)といいます。なお、特別支援学校の教科書の一部や高等学校の専門科目の一部は文部科学省が著作しており、文部科学省著作教科書と呼ばれます。検定教科書は4年のサイクルで検定・採択が行われます。検定教科書は4~5年ごとに改訂されます[1]。公立学校では市区町村ごとに、国立・私立学校では学校ごとに採択教科書を決定します。 各教科書には、教科書番号が付与されています。この教科書番号で、特定の教科書を把握したり、市販のワークブックを購入したりする際の参考となります。

検定教科書の閲覧入手方法

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小中高校で教育を受ける場合は、入手できる手段が確保出来ています[2]。研究目的の編集者の場合は、検定教科書は一般の書店では売っていないので、もし小学生・中学生・高校生の家族がいるなら、使い終わった検定教科書を捨てさせずに、譲ってもらうという方法もあります(古い場合があるので注意しましょう)。 以下、検定教科書の購入方法および検定教科書を閲覧する方法を紹介します。

検定教科書購入方法

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この節では、上記の入手法とは別に、自分で検定教科書を購入する場合について述べます(このような購入も法的に出来ます)。小中学校で児童・生徒に配布される教科書は、税金を通して無償で賄われていますが、しかし一般販売の教科書を購入する場合は有償となります。教科書の定価については、教科書番号の項目を参照して下さい。

  • 各学校の教科書取次店や教科書取扱店で注文出来るのが普通です。全ての都道府県にその都道府県の学校の教科書(場合によってはほかの教科書も)を取り扱っている教科書取次店や教科書取扱店があります。
  • ただし、一般の書店では原則として検定教科書は取り扱っていないので注意しましょう。

例えば東京圏であれば、神保町三省堂書店や、または第一教科書[3]などで購入や注文が行えます。

教科書の購入時期

教科書は、普通3月~4月上旬、あるいは8月~9月上旬に学校に配布される。当然児童・生徒への配布が最優先であるため、一般向けへの販売はやや遅れる。規定により、小中学校の1冊で構成されている教科書や2冊制の教科書の上巻(前期通年用)は4月16日から、2冊制の教科書の下巻(後期用)は9月16日より販売となる。ただし、高等学校の教科書のみ、4月1日から購入できる制度的には都道府県もあります。

ただし、上記の話はあくまで法的な制度による最低限の制約に過ぎません。実際には、店舗側の負担の都合などにより、もう少し販売開始が遅れます。たとえば、高校によっては学校で教材を配布する場合もあるので、新年度から半月~1か月ていどの遅れで検定教科書の一般購入ができるようになる事があります。このため、高校でも小中と同じように4月16日以降でないと購入しづらい店舗もあるかもしれません。

また、多くの各地の教科書取次店では、地元の高校生のその店舗での教科書購入の時期を3月に設定しています。この期間とその前後、店舗の一部スペースが高校生用の検定教科書の在庫に占有されるなどするので、一般購入客には購入できません。一般購入客は、決して新課程や改訂版の教科書だけが4月からしか買えないのでなく、旧課程や改定前などの教科書についても1~3月などは取次店の負荷の都合などにより、一般購入客では購入できない事があるのが実際です。

一部の教科で9月の教科書配布もありますが、しかし多くの教科では4月も入学に合わせて教科書配布をしますので、1~4月は一般購入客には検定教科書の購入が困難なのが実際です。そのため一般購入客は5~12月あたりに購入することになる場合が多いのが実情でしょう。

なお、高校では、高校によっては学校で教材が配布される場合もありますが、公立高校であっても有償です。学校から教材を受け取る場合、代金と同額の金額を学費などを通じて払うことになります。

検定教科書の閲覧方法

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教科書を購入せずに閲覧したい場合、あるいは過去に出版された教科書を閲覧したい場合の方法を紹介します。

まず、市区町村の図書館を利用しましょう。小中学校向けの教科書などは、市区町村の図書館から見れる場合もあります。また、市区町村の図書館の対応によりますが、小中学校向けの教科書を借りられる場合もあります。もし、気になるなら市区町村の図書館に行きましょう。

また、国立国会図書館国際子ども図書館)を利用する方法があります。国立国会図書館に行けば、全ての教科書に目を通せます。必要な教科書がなければ、利用してみてもいいかもしれません。

さらに、教科書採択年度の6月12日から7月31日までの約14日間、各都道府県で教科書展示会が開かれます[4]。そこでは、新年度の検定教科書や旧課程の検定教科書がおかれています。読んだ後、アンケート用紙に検定教科書の意見を述べるようになっています。出来れば、検定教科書を見た後に自分の意見をアンケート用紙に書き留めておきましょう。

各教科書会社のホームページに行けば、教員向けの 「年間指導計画」 を確認出来ます。「年間指導計画」 は、ほとんどの場合、教師にならなくても確認出来ます。「年間指導計画」 から大まかな内容をつかめます。

特殊な教材

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小・中学の副読本

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ほとんどの場合、小学校教諭や中学校教諭以外は小学校や中学校で児童に配られる問題集などの副教材を購入できません[5]。副読本を出版・配布する会社は、教科書取扱店への販売すら控えており、副読本は基本的に学校専売品となっています[6][7]。そのため、大人が教科書取扱店で注文しても、小学校・中学校の教員による許可がないと中間業者が注文を受け付けてもらえません。

見た目は検定教科書に見える教材もあります。しかし、そうとは限りません。例えば、教科書会社発行の副読本には、学校から配布される体育実技の冊子などがあります。これらの本にはルールや様々なスポーツのやり方の絵や図面が載っています。保健体育の検定教科書は、保健分野と体育理論のみとなります[8]

教科書会社発行の副読本とは別に、小学校社会科の地域学習などで使う、市町村など地域発行の副読本があります(w:地域副読本)。地域副読本は学校専売品である場合が多いでしょうから、よって一般人の購入は困難だと思われます。

地域副読本は、地元の学校教員が著作・編集をしているという、特に小規模な著作陣による教材です[9]。全国配布の検定教科書のようには購入できないでしょう。

高等学校の副読本

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高等学校の副読本は、小・中学の副読本と異なり、副読本を購入出来る場合がほとんどです。

ただし、大修館書店は副読本を一切購入出来ません。

また、購入しても解答・てびき・教師用付属物(CD・DVDなど)・付属テストはほとんどの会社で付きません。

中高一貫校での教科書

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中高一貫校(おもに中学部)などでは検定教科書を配布のみ行い使用せず、「中高一貫校専用の教科書」を用いる場合がある(検定教科書ではない)。代表的なものに、「体系数学」「NEW TRESURE」「PROGRESS IN ENGLISH」などがある。このようなものは、やや規模の大きな書店などで購入できる(実際に学校で使用されているものと比較するとデザインがわずかに異なる場合がある。また、学校独自の教科書である場合もあるので注意すること)。なお、学校独自の教科書を用いている場合もあり、それに関してはほとんど購入不可能である。

教科書番号

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教科書番号とは、文部科学省が小中学校・高等学校の検定教科書に割り振っている番号のことです。

小学校と高校生の教科書は、出版社名(略称)と発行者の番号[10]・教科/科目名と3ケタの数字で構成されています。ただし、中学生の教科書は、令和7年度供給本より新しい付け方に変わっております。

各検定教科書と各検定教科書の価格は以下を参照してください。

2024年度発行者リスト

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(現在、新課程版に改定作業中です。改訂作業をお手伝いいただける方はご協力ください。) 以下、出版社名にあるリンクは、その出版社の公式ホームページ(の教科書ページ)のものです。連絡先やなどは、当該ぺージを参考にしてください。

発行者
番号[10]
発行者
略称
出版社名 発行教科書(小学校) 発行教科書(中学校) 発行教科書(高等学校)
2 東書 東京書籍 国語・書写・社会・地図・算数・理科・生活・家庭・保健体育・英語・道徳 国語・書写・社会(地理・歴史・公民)・地図・数学・理科・保健体育・技術・家庭・英語・道徳 国語・地歴(世界史・日本史・地理)・地図・公民(政治経済・倫理・公共)・地図・数学・理科・芸術(書道)・英語(コミュニケーション・表現・会話)・家庭(一般教科)・情報(社会・科学)
4 大日本 大日本図書 算数・理科・生活・保健体育 数学・理科・保健体育 (なし)
6 教図 教育図書 (なし) 技術・家庭 芸術(書道)・家庭(一般教科)・家庭(専門教科)・公民(公共)
7 実教 実教出版 (なし) (なし) 地歴(世界史・日本史)・公民(公共・政治経済・倫理)・数学・理科・家庭(一般教科)・情報(社会・科学)・農業・工業・商業・水産・家庭(専門教科)・福祉
9 開隆堂 開隆堂 図画工作・家庭・英語 美術・技術・家庭・英語 英語・家庭(一般教科)・情報(社会)
11 学図 学校図書 算数・理科・生活 国語・書写・数学・理科・英語・道徳 (なし)
15 三省堂 三省堂 英語 国語・書写・英語 国語・英語(コミュニケーション・表現・会話)
17 教出 教育出版 国語・書写・社会・算数・理科・生活・音楽・英語・道徳 国語・書写・社会(地理・歴史・公民)・数学・理科・英語・音楽(音楽・器楽)・道徳 芸術(音楽・書道)
26 信教 信州教育出版社 理科・生活 (なし) (なし)
27 教芸 教育芸術社 音楽 音楽(音楽・器楽) 音楽
35 清水 清水書院 (なし) (なし)[11] 歴史(日本史探究・歴史総合)・公民(公共・政治・倫理)
38 光村 光村図書 国語・書写・生活・英語・道徳 国語・書写・美術・英語・道徳 芸術(書道・美術)
46 帝国 帝国書院 地図 社会(地理・歴史・公民)・地図 地歴(地理総合・地理探究・歴史総合・世界史探究)・公民(公共)・地図
50 大修館 大修館書店 (なし) 保健体育 国語・保健体育・英語(コミュニケーション・表現)・家庭
61 啓林館 啓林館 算数・理科・生活・英語 数学・理科・英語 数学・理科・英語(コミュニケーション・表現・会話)
81 山川 山川出版社 (なし) 社会(歴史) 地歴(歴史総合・世界史探究・日本史探究)
89 友社 音楽之友社 (なし) (なし) 芸術(音楽)
104 数研 数研出版 (なし) 数学 国語・公民(公共・倫理・政治・経済)・数学・理科・英語(コミュニケーション・表現)・情報(社会・科学)
109 文英堂 文英堂 (なし) (なし) 国語・英語(コミュニケーション・表現・会話)
116 日文 日本文教出版 社会・算数・生活・図画工作・道徳 社会(地理・歴史・公民)・数学・美術・道徳 芸術(美術・工芸)・情報(社会・科学)
117 明治 明治書院 (なし) (なし) 国語
130 二宮 二宮書店 (なし) (なし) 地理・地図
143 筑摩 筑摩書房 (なし) (なし) 国語
144 暁出版 (なし) (なし) 商業
154 オーム オーム社 (なし) (なし) 工業
174 コロナ コロナ社 (なし) (なし) 工業
177 増進堂 増進堂(受験研究社) (なし) (なし) 英語(コミュニケーション・表現)
178 農文協 農山漁村文化協会 (なし) (なし) 農業
179 電機大 東京電機大学 (なし) (なし) 農業・水産・工業
183 第一 第一学習社 (なし) (なし) 国語・地歴(歴史総合・探究・地理総合)・公民・数学・理科・英語・家庭(一般教科)・保健体育・情報(社会・科学)
190 東法 東京法令出版 (なし) (なし) 商業・公民(公共)
201 海文堂 海文堂出版 (なし) (なし) 農業・水産
205 三友 三友社出版 (なし) (なし) 英語(コミュニケーション・表現)
207 文教 文教社 保健体育 (なし) (なし)
208 光書 光文書院 保健体育・道徳 (なし) (なし)
212 桐原 桐原書店 (なし) (なし) 国語・英語(コミュニケーション・表現)
218 京書 京都書房 (なし) (なし) 国語
221 明成 明成社 (なし) (なし) 地歴(日本史)
224 学研 学研教育みらい 保健体育・道徳 保健体育・道徳 (なし)
225 自由社 自由社 (なし) 社会(歴史・公民) (なし)
226 チアーズ CHEERS (なし) (なし) 英語(コミュニケーション・表現・会話)
227 育鵬社 育鵬社 (なし) 社会(歴史・公民) (なし)
229 学び舎 学び舎 (なし) 社会(歴史) (なし)
230 ネット ネットスクール (なし) (なし) 商業
231 いいずな いいずな書店 (なし) (なし) 英語(表現・英語コミュニケーション)
232 廣あかつき 廣済堂あかつき 道徳 道徳 (なし)
233 日科 日本教科書 (なし) 道徳 (なし)
234 TAC TAC出版 (なし) (なし) 商業
235 CUP ケンブリッジ大学出版局 (なし) (なし) 英語(英語コニュニケーション)

脚注

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  1. ^ 改訂とは関係なく、毎年、誤字の修正・情報の更新などを行うことがあります。
  2. ^ 小中学校の検定教科書は、税金を利用して無償で賄われています。
  3. ^ JR中央線大久保駅南口にある。東京都新宿区百人町1丁目22-20
  4. ^ 実施機関や教科書の種類などは都道府県によって異なるので、各都道府県のホームページなどを参考にしてください。
  5. ^ 書店に並んでいるワークブック類は、学校配布ワークブックとは別のワークブックの場合が多い。
  6. ^ 光文書院『図書教材/教具/副読本等の購入・販売について』
  7. ^ 教育出版『副読本のご案内 - 教育出版』
  8. ^ 規定により、体育実技は取り上げてはいけないことになっているため。
  9. ^ 平井聡一郎 著『これならできる!学校DXハンドブック 小中高特別支援学校のデジタル化を推進する「授業以外のIT活用事例」』、翔泳社、2022年 3月16日 初版 第1刷発行、P189
  10. ^ 10.0 10.1 ISBNの出版社記号とは別物である。また、1番から233番のすべてに対応している教科書会社があるが、「すでに教科書事業から撤退したもの(廃業したもの)」、「現在採択されていないもの」、「旧課程版」については記載していない。
  11. ^ 中学生の教科書は2021年で出版を終了した。

参考・関連項目

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