小学校社会/6学年/政治・国際編

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このページでは、日本の政治と日本の世界への関わりについて学びましょう。「政治と(わたし)たちの()らし」(このページの上半分)→「日本の歴史」(この項目(こうもく)のページはこちらです)→「世界の中の日本」(このページの下半分)の順に学びましょう。

政治と(わたし)たちの()らし[編集]

日本国憲法[編集]

第二次大戦終戦直後の文部省の社会科教科書『あたらしい憲法のはなし』での日本国憲法の三原則を表したさし絵。
第二次大戦終戦直後の社会科教科書『あたらしい憲法のはなし』での平和主義(戦争放棄(ほうき))の原則を表したさし絵。
  • 憲法

憲法(けんぽう)とは、法律(ほうりつ)をつくったり改正したりする際の規則を定めた法律(ほうりつ)です。そのため、通常の法律とくらべて、憲法は上位の法律であるとされています。現在日本で使われている憲法を 日本国憲法(にほんこくけんぽう)といいます。

日本国憲法の大まかな内容[編集]

日本国憲法には、つぎの3つの原則があります。

  • 国民主権(こくみんしゅけん)
  • 基本的人権(きほんてきじんけん)尊重(そんちょう)
  • 平和主義(へいわしゅぎ)
三原則[編集]
  • 国民主権(こくみんしゅけん)

日本国憲法では、主権者は日本国民であるとされています。太平洋戦争終戦まで、大日本帝国(ていこく} }憲法で 主権者とされてきた天皇(てんのう)は、日本国憲法では日本国の象徴(しょうちょう)であるとされています。


  • 基本的人権(きほんてきじんけん)尊重(そんちょう)

どのような人間にも、生まれながら持っている権利である 基本的人権 を定め、この基本的人権を日本国憲法では保障(ほしょう)し尊重しています。

基本的人権には、以下のようなものがあります。 自由権・平等権・社会権・参政(さんせい)権・請求(せいきゅう)権・裁判を受ける権利 などです。

  • 自由権

人はみんな生まれながらにして自由です。誰も生き方や考え方について他の人から命令されることはありませんし、あなたがだれかにそうすることも許されません。

  • 平等権

人種、信条、性別、社会的身分などの差によって、法律では差別されないようにさだめた権利です。

目の不自由な人を案内する盲導犬(もうどうけん)。 ※外国での写真です。
日本の盲導犬
目の不自由な人のための、歩道の点字ブロック
点字の案内板

たとえば、目が見えない人、耳が聞こえない人、歩行することが困難(こんなん)な人など、身体が不自由で(しょう)がいのある人でも、役所などの公共機関で必要なサービスが受けられるように、案内板などでの点字(てんじ)などの導入や、車椅子(くるまいす)のためのスロープなどが導入されていたり、盲導犬(もうどうけん)などの立ち入りができるようになっていたりします。

  • 平和主義(へいわしゅぎ)

戦争をしないで、平和主義をまもろうとしています。これは、たがいに自分の言い分だけを通そうとして太平洋戦争をした末に、日本がほろびる手前まで行った反省によるものです。なお、憲法では、日本は戦力や武力を持たないとしており、軍隊を持たないとしています。

日本国憲法 第9条(部分)「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを(みと)めない。」

とあります。

非核三原則

日本政府は核兵器(かくへいき)について、「核兵器をもたない、つくらない、もちこませない」という方針(ほうしん)をとっており、実際に核兵器を日本は持っていません。この「核兵器をもたない、つくらない、もちこませない」という方針のことを、非核三原則(ひかくさんげんそく)といいます。


天皇について

大日本帝国(ていこく)憲法では主権者(しゅけんしゃ)で、日本で一番権力(けんりょく)を持ち、軍隊にも命令できた天皇(てんのう)は、日本国憲法では日本国と国民のまとまりの象徴(しょうちょう)となりました(日本国憲法の第1条に、天皇は「象徴」だと書いてある)。

政治に関しては、天皇は、実際の政策の決定は行わず、また政策(せいさく)の決定をする権限(けんげん)も天皇は持っていません。天皇は、儀式(ぎしき)的な国の仕事である国事行為(こくじこうい)を行うとされています。また、その国事行為は、内閣(ないかく)の助言と承認(しょうにん)にもとづくとされています。


天皇の国事行為には(※ 日本国憲法では、主に第6条、第7条で、天皇の国事行為について書いてあります)。

  •  国会を招集(しょうしゅう)したり、衆議院(しゅうぎいん)を解散したりします。ただし、国会で天皇は政策(せいさく)を決定することはできません。このように、天皇は政治の儀式(ぎしき)的な仕事のみを行っています。
  •  国会で決まった法律や政令や、内閣の決めた条約(じょうやく)を公布(発表)することも、天皇の仕事です。天皇には法律そのものを決定する権限(けんげん)はありません。立法の権限を持っているのは国会議員のみであり、天皇に立法の権限は、ありません。
  •  勲章(くんしょう)などの栄典(えいてん)授与(じゅよ)
  •  外国の大使(たいし)公使(こうし)接待(せったい)
  •  内閣総理大臣(ないかくそうりだいじん)を任命します(実際に内閣総理大臣を選ぶのは国会です)。

などがあります。


国会

国会議事堂(こっかいぎじどう)
法律ができるまで
国会での議論。

国会(こっかい)は、法律(ほうりつ)を作ったり、法律を改めたり、不要になった法律を廃止(はいし)するために、多数決で決める場所です。

国会では、国会議員 の多数決で、法律が作られたり、法律が改められたりします。

法律を作ったり、法律を改めたり、法律を廃止するような、法律を決めることを 立法(りっぽう) と言います。

国会以外の場所では、法律を決めることはできません。 たとえ裁判所(さいばんしょ)でも、法律を決めることはできません。日本では、法律を決められるのは、国会だけです。

さらに国会では、衆議院(しゅうぎいん)参議院(さんぎいん)という2つの議院にわかれて、それぞれ別にその法律について話しあうことで、慎重(しんちょう)に法律を決めるようにしています。


日本では国会だけが法律を決められることから、国会は国の唯一(ゆいいつ)立法(りっぽう)機関であると日本国憲法で定められています。

国会議員は国民からの選挙で選ばれます。投票できる選挙(けん)をもつのは18才以上の国民です。

国民みんなで直接法律(ほうりつ)について議論(ぎろん)することは(むずか)しいので、かわりに国会議員が代表者として国会で議論して、国会議員たちの多数決で法律を作っていきます。


{)+ 衆議院と参議院のちがい ! 衆議院ありません。作成中です。 

アメリカ同時多発テロ[編集]
ハイジャックされた航空機の衝突(しょうとつ)炎上(えんじょう)する世界貿易センタービル


テロとは、殺人などの暴力をつかってでも政治上などの要求をおし通そうとすることをいいます。

2001年、アメリカのニューヨークで、何者かによる航空旅客機のハイジャックによるテロ事件が起こり、多くの乗客が()くなりました。その後すぐに、このハイジャック犯の正体は、アルカイダというイスラム(けい)過激派(かげきは)組織の一味だということが分かりました。 このアメリカでの2001年のテロ事件を アメリカ同時多発テロ などと言います。

アメリカは、このアルカイダをかくまっていたアフガニスタンのタリバン政権(せいけん)攻撃(こうげき)し、戦争になりました。

さまざまな国際団体や国際活動[編集]

  • 政府開発援助(えんじょ)(ODA )

アメリカやイギリス・フランス・ドイツなどの先進国は、アフリカなどの発展(はってん)のおくれた国に資金援助(えんじょ)や技術援助などの援助をおこなっています。

日本も、同じように、アフリカなどに資金援助や、農業技術や医療(いりょう)技術などの指導の技術援助などを、アフリカやアジアの発展のおくれた国に援助しています。

先進国の政府や政府機関による、発展のおくれた発展途上国に対して行う政府援助を政府開発援助(えんじょ)(ODA )といいます。 政府のほかに、民間にもボランティア活動をしている人たちはいる。外国での活動にかぎらず、国内活動でも国外活動でも、民間のボランティア活動をしている組織や団体を 非政府組織(NGO) といいます。 日本では国外でのボランティア活動をしている組織や団体に対してNGOという場合が多いです。

NGOの中には、国連などと共同作業している国際的な団体もあるが、かならずしも全てのNGO団体が、国連と関係が深いわけではありません。

日本が派遣(はけん)している青年海外協力隊もODAのひとつであり、アフリカなどで技術支援をしています。20~39歳の青年の男女の日本人が志願できます。

40才〜69才の年長者は、シニア海外ボランティアに志願できます。

ODAは政府活動です。

持続可能な社会の開発[編集]

数々の環境問題を受け、持続可能な社会の開発がさわがれています。

持続可能な社会を目指す[編集]

国連で、2015年、2016年から2030年までの持続可能な開発目標として SDGs(エスディージーズ) が定められました。

SDGsの内容
  1. 貧困(ひんこん)をなくそう
  2. 飢餓(きが)をゼロに
  3. すべての人に健康と福祉(ふくし)
  4. 質の高い教育をみんなに
  5. ジェンダー(性別による区別)平等を実現しよう
  6. 安全な水とトイレを世界(じゅう)
  7. エネルギーをみんなに そしてクリーンに
  8. 働きがいも 経済(けいざい)成長も
  9. 産業と技術革新(かくしん)基盤(きばん)をつくろう
  10. 人や国の不平等をなくそう
  11. 住み続けられるまちづくりを
  12. つくる責任 つかう責任(ごみの削減(さくげん))
  13. 気候変動に具体的な対策(たいさく)
  14. 海の豊かさを守ろう
  15. 陸の豊かさも守ろう
  16. 平和と公正をすべての人に
  17. パートナーシップで目標を達成しよう


スポーツを通した国際交流[編集]
オリンピックのマーク。
  • オリンピック

各国の代表者のスポーツ選手が、オリンピックで競技を競います。また、オリンピックとは別に、(しょう)がい者のためのスポーツの祭典として、パラリンピックなどの国際的なスポーツ大会の祭典もあります。

2021年には東京オリンピック・パラリンピックが開催(かいさい)される予定となり、注目されています。

オリンピックはもともと西洋の競技を中心としていましたが、現在では日本の柔道(じゅうどう)などもオリンピックの種目になっています。

オリンピックの表彰式(ひょうしょうしき)では、優勝(ゆうしょう)した選手の国の国旗が(かか)げられ、また、国歌が演奏(えんそう)されます。

日本の国旗と国歌[編集]
()(まる)」。日本の国旗。
日の丸を(かか)げる江戸幕府(えどばくふ)軍艦(ぐんかん)咸臨丸(かんりんまる)

日本の国旗は「()(まる)」です。日章旗(にっしょうき)ともいいます。国歌は『(きみ)()』です。 日本にかぎらず、世界の国は国旗や国家を持っています。 オリンピックなどの国際的なイベントでは、代表者によって国旗がかかげられます。

日本の国旗を尊重(そんちょう)すると同時にに、外国の国旗も尊重することも大切です。 国旗は、その国の象徴(しょうちょう)でもあります。 外国の国旗を、乱暴(らんぼう)にあつかうことは、相手の国のことを乱暴にあつかうことと同じような意味があるので、どの国の国旗も、決して乱暴にあつかってはいけません。

なお、日本では法律(ほうりつ)で、国旗を日の丸とし、国歌を君が代とすることが決まっています。

国際協力と世界平和[編集]

(わたし)たちは、他国への偏見(へんけん)や差別をなくし、自国の文化や生活様式なども大切にしつつ、世界の国々の文化や生活様式を大切にすることが、世界平和への第一歩なのでしょう。