就職活動ガイド

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就職活動(しゅうしょくかつどう)とは、職業に就くための活動の総称。省略して、「就活」(しゅうかつ)とも呼ばれる。 本稿では、日本の民間企業における就職活動のガイドを行う。

就職活動とは[編集]

通常、学生・失業者など職に就いていない者が、企業や官公庁などに雇用されるための活動などを指す。 特に新卒の学生同士の会話や、彼らをターゲットにしたビジネスにおいて用いられることが多い。 転職のための活動や、自営業を始めるための活動は就活とは言わないことが多い。

一般的に大切だと言われることは、自己理解に基づいて、しっかり「自分のやりたいこと」や「その業界に就職したい目的」を明らかにした上でやりたい仕事、自分に適う仕事をキチンと捜し出すことだとされる。 自身の思考が漠然とし、やりたい仕事や自分に適う仕事がわからないまま就職活動に突入すると、あまり良い結果につながりにくいとされる。

大学生の就職活動[編集]

大学生の就職活動は規模が大きく、学生の就職活動の代表例として大学生の就職活動がメディアなどで扱われる事が多い。 高専生、短大生、大学院生、専門学校生、各種学校生の就職活動も、大学生の就職活動とほぼ同様である。

就職協定の廃止で、一人の学生が好きなだけ企業を受けることが可能になり、メガバンクや大手メーカー、総合商社、航空会社など大手企業への採用希望者は採用枠の数百倍に及び、就職活動は大変な競争になっている。

就職活動の試験内容[編集]

どこの企業でも、ほぼ必ず面接は行われる。大企業、中小企業、公務員を問わず、面接は就職活動で行われるのが一般である。 大企業の採用選別方法の多くでは、一次試験で「SPI」試験などとして中学・高校レベル(主に中学レベル)の基礎的な学力検査を課し、二次試験以降で面接を行うのが一般的である。

学力検査[編集]

先程も述べたように、大企業では学力検査として、中学レベル・高校レベルの数学などの学力検査を一次試験で「SPI」試験などとして課す場合がある。注意すべきことは、大学レベルの専門的な問題はこれらのSPIなどの学力検査には、一般に出題されないことである。 たとえ就職先志望が専門知識を要する業界でも、SPIには専門知識は出題されない。文科系の事務職志望だけでなく、理科系の技術職志望ですら就職試験では専門知識は一般に出題されないのが一般である。 例えば工業系などの技術職を志望しても、就職活動の学力検査では、大学レベルの数学や物理などの問題なんて、まず出ない。大学入試レベルの数学や理科の問題ですら、就職活動時の筆記試験ではまず出ない。

外部サイトの中には、あたかもSPIで大学受験~大学講義レベルの学力が測定できるかのように説明しているサイトもあるが( ※たとえばyahooの質問サイト) 、デタラメなので決して真に受けてはいけない。


SPIのような就活産業の作った試験問題には、こういった問題点があり、つまり出題内容が会社の必要とする専門知識とはズレているという問題点があるので、中小企業などでは就活産業の作った試験を行わない場合がある。また、中小企業で独自の試験問題を作って、専門分野に近い職業高校レベルの知識などを検査する場合もある。

企業によっては、学力検査で英語の試験を行う場合がある。主に大企業に、英語読解問題のマークシート式の筆記試験をする企業が、いくつかある。英語の試験の難度は、大企業の行う英語試験の場合なら大学入試レベルを越えたレベルの場合が多く、大企業では、日本で最難関の大学とされる東京大学や京都大学などの学部の入試の過去問よりも難しい英文の出る場合も多く(TOEICハイスコアやTOEFLハイスコアなどのような大学受験参考書の範囲を大幅に越えた単語が、企業の英語試験に出ることも多いので)、なので試験対策としてTOEICやTOEFLのハイスコア対策の教材などを普段から練習していないと解けないような英文問題が出題される事も多い。

とはいえ企業は、必ずしもこの英語試験を英語が得意な学生だけを採用する手段として試験しているとは限らず、就職志望者の出身大学の偏差値がその企業に採用基準に満たないものを落とすための口実として、英語試験を行っている場合もある。

たとえば、偏差値の高い大学の学生が、ほとんど英語試験の問題を解けなくても、試験を突破扱いになる事もあるというハナシも聞く。学生の学部によっては、理系の学部のように英語の勉強にあまり時間を割けない場合もあるので、そのような場合は、英語試験ではなく肩書きで試験を突破をするようにしよう。

早い話が就活での学力検査の対策では、専門分野の勉強をするよりも、いっそのこと英語の試験勉強をしたほうが良く、さらに英語の勉強をするよりも大学院に進学するなどして学歴を上げるほうが、はるかに大企業の学力選考を通りやすくなり、就職しやすくなるのが日本の企業の現状である。

面接[編集]

どこの企業でも、ほぼ必ず面接は行われる。大企業、中小企業、公務員を問わず、面接は就職活動で行われるのが一般である。大企業の面接は複数回行われ、最終面接では役員が出席することも多い。 大企業の面接の回数は、合計でおおむね5回ほど行われることになる場合が多い。

中小企業などでも、そこそこ規模の大きい企業では2回以上の面接があり、2次面接または2次以降から役員が出席する場合がある。社長や役員は仕事が忙しいので、そんなに多くの学生と面接は出来ないのである。 零細企業や小企業や無名な企業では、最初から役員や経営者などが面接に出席している場合もある。大企業の採用活動では面接に加え、面接以外の選考方法も多く行われる。

以下によくある質問例を挙げてみたので、参考にしてほしい。

卒業研究についての質問[編集]

理系学生で技術職を志望の場合、大企業の複数回ある面接では、そのうち1回「卒業研究テーマについて説明してください」というのもある場合が多い。なので、卒業研究のテーマについて説明できるようにしておこう。ここで重要な事は、研究テーマ以外の学業の知識についてはまったく聞かれないことである。

このような事から分かるように、この質問の目的は、けっして学力検査が目的ではない。おそらく、専門分野についてのプレゼンテーション能力などの検査が目的であろう。大企業の面接ですら学生のその学科ならば、どこの大学でも習うような全国共通の知識ですら面接官が聞いてこない。

また、学生が編入学や転学科などで学科を変わったような場合[1]や、出身高校が普通科高校ではなく工業高校のような場合で、高校時代の学科が大学での学科と違うような場合ですら[2]、工業高校やら前の学科での学力を確認するような質問はしてこないのが通常である。

説明中、面接官から研究内容について質問をされるが、しかし技術的にあまり深い内容の質問はされず、せいぜい、その分野の科学雑誌などに出てくるような常識的な用語などを確認してくる程度である[3]。なので、自分の研究分野をあつかった入門書などを読んで、そのような質問に対して答えを説明できるようにしよう。 そもそも分野によっては、まだ技術が成熟しておらず、しかもあまり細かい技術知識を質問しても、価値が低い場合もある。 定型的に用語さえ説明できてしまえば、この面接はほぼ突破できてしまう。逆に、学生側が数式の計算練習など、言葉では説明しづらいような事をいくら練習して準備してきても、数式は「用語」ではないので、まったく評価されないのが、日本の大手製造業などの技術職志望の面接である。

質問「趣味は何ですか?」[編集]

日本企業の多くにとって、英語や数学の勉強は、「趣味」とはみなされない事が多いようである。例えば質問で、面接官からの質問で「学業以外で打ち込んだことは、なんですか?」という質問に対して、「数学」と答えると、「答えになってません」とか「そういう事を質問してるのではありません」などと返答される場合もある。 たとえ自分の学科が数学科以外で、学校の授業以外に数学書を読んでいて、たくさん数学の問題集などを解いていても、このように、面接官から批判をされる事も多い。

どうやら、大学入試・大学院入試には出てこない科目を、勉強してもらいたいようです。いわゆる「5教科[4]」以外についての趣味を聞いているようです。なので、趣味は「スポーツ」とか「音楽の楽器演奏」とか、その中から、自分の実際の趣味を言うしかありません。 どうやら、日本企業の面接官の脳内には、体育学部や美術学部・音楽学部などのような、スポーツや芸術を学業としている学校の存在はないようです。

大学の学部学科によっては、理系の大学などのように、時間的な都合により、大学時代にスポーツや美術音楽の表現活動などをするのが難しい場合もあるので、そういう場合は、「高校時代の趣味は ◯◯(音楽演奏、美術表現、スポーツなど) でしたが、しかし大学時代では時間がなくて、この趣味をできませんでした。」などと言うようにしましょう。

また、聞かれた「自分の趣味」として「パソコン」などと言うと、プログラミング能力の有無などを聞いてくる場合があります。あるwikibooks編集者は、就活時の面接官からの趣味についての質問で「LINUXについて趣味で勉強しています」と答えたら、「サーバーを構築できますか?」などと質問されました。

その他の選考方法[編集]

近年は、従来の選考方法に加え、適性診断やグループディスカッション、グループワークなどなど独自の方式で学生の可否を見極めようとする企業も増えている。

スケジュール[編集]

比較的多くの学生が、3年次の秋や初冬には就職セミナーを受けるなどして、就職活動の準備に入る。 11月になると経団連に属さない企業が面接などの採用試験を開始する。 2、3月には経団連の紳士協定に沿う多くの大手企業も会社説明会を開始し、6月1日から一斉に採用試験が開始される。 ゴールデンウィーク前後には、最初の内定者がほぼ出揃う。

5月以降は地方、中小企業や、大手企業の二次募集が行われる。 9月には留学生向けや公務員試験不合格組や内定辞退者の補充を目的とした採用が行われ、10月1日に多くの企業で内定式が行われ、学生の就職活動はほぼ終わる。

求人状況[編集]

なお2008年のリーマンショックを境に景気が悪化し、就職状況が悪化し、企業の求人数は大幅に下がった。 2011年3月卒業予定の大卒求人倍率は、リクルートワークス研究所の調査によると、求人倍率は09年卒の2.14倍、10年卒の1.62倍から2年連続して減少し、1.28倍へと低下、全国の民間企業の求人総数は、前年の72.5万人から58.5万人ーの19.8%のマイナスとなった。

なお、学生の民間企業就職希望者数は、前年の44.7万人から45.6万人への1.9%のプラスとなった。

時期はいつごろ始めるのか[編集]

1990年代半ば以降は、通年採用を行う企業が増え、その結果として就職活動は長期化する傾向にある。 近年は就職活動開始時期は早期化の傾向にある。

事務職・営業などの就職を志望する大学生では、遅くとも3年生の秋ごろから就職活動をスタートし、最低でも半年から1年程度行うのが通常である。 この間、大学の講義や卒業研究を抜けて活動を行わなければならない。 このようなことから、「企業側は採用活動の時期を考えるべきである」とする意見もあがっている。近年では、理工系の技術職でも学生の就職活動の期間も早期化・長期化の傾向が見られる。

この傾向に対して、旧帝国大学と東京工業大学の工学系研究科長が組織する8大学工学部長会議は経団連に対して、「企業の行き過ぎた採用活動や就職前研修が是正され、大学院における教育研究が正常に推進される環境を取り戻せるよう強く要望いたします。」との主旨の要望書を出し、就職活動の早期化、長期化及び入社前研修による学生の拘束の是正を要求している。 経団連は加盟企業に対して採用試験や面接は、6月1日以降に行うことを紳士協定として呼びかけている。

企業側の採用活動[編集]

会社説明会[編集]

企業が、自社のことを志望者により知ってもらうために開催する説明会のことで、セミナーとも呼ばれることが多い。自社ビルで行われることが多いが、外部の会議場などを借りて行われることもある。会場のキャパシティの問題もあって、基本的に先着順で受付を行い、満員になったら締め切られる。志望する学生や求職者を集めて、会社概要や募集要項などを説明するのが一般的である。

しかし、単純に会社の説明のみを行う企業もあれば、その日に面接、あるいは選考試験に移行する企業も少なくない。エントリーシート記入や、筆記試験がセットになって行われることが非常に多い。この場合、エントリーシートは「アンケート」や「受付票」、筆記試験は「適性検査」などと称される。 よって、「たかが会社説明会」と高を括るのではく、万全な態勢で臨む姿勢が求められる。 以降の選考には、説明会参加が必須となっている企業も多いため、意中の企業への説明会予約は早めに行うべきである。

最近では、Web上で予約を受け付ける企業がほとんどである。 いずれにせよ、資料請求に次ぎ、企業と直接コンタクトが取れるのがこの会社説明会である。その日に直接、あるいは個人宛のメールなどでその後の日程を告知される場合が多いので、スケジュール管理も徹底しておくことが望ましい。

OB訪問[編集]

OB訪問(オービーほうもん)とは、主に大学生が就職活動を行うときに情報収集の一環として行う行為。訪問相手が女性(OG)ならOG訪問という。すでに企業で活躍されている先輩方を訪ねて、会社のリアルな情報を収集する行為のことである。 就職情報誌などの情報は、客観的な内容に陥りやすいため、OB訪問は就職活動において必要不可欠なものとなっている。

自分の大学のOBを訪問することからそう呼ばれる。大学4年に行うことが多い。 OB・OGの連絡先を調べ、直接連絡を取り、面会依頼をするという方法もあるし、希望の企業の人事担当者に連絡し、OB・OGを紹介してもらうという方法もある。 面会のアポイントが取れたら、実際に会って話を聞く。資料を見ればわかるようなことは、聞かない方が良いとされる。

類似する語句として、「OB懇談会」というものがある。 OB訪問が学生側からOBにはたらきかけるものであるなら、OB懇談会はその逆で、就職部主催で企業で勤務している先輩方を呼び、懇談の場を設けるという企業側からのはたらきかけに近いものがある。

どちらにしても、会社の雰囲気を知るため、企業研究や職業選択のため、そして採用に向けての第一段階として必須なことである。 企業によっては実質的な第一次面接を兼ねているところもある。 面会をしてもらったら後日、礼状を出すのがマナーである。

個人情報保護法の施行に伴い、OB・OGの連絡先を教えない企業も増えている。 個人情報に該当するか否かにかかわらず、OB・OG本人の同意が得られた場合にのみ、連絡先を開示してもらうことが望ましい。

エントリーシート[編集]

エントリーシートとは、就職活動において大企業や一部の中堅企業が独自に作成した応募用紙である。「ES」と略される事もある。ESは主に一次選考として応募者の絞込みに使われる。有名企業では応募者の大部分がESで不合格となる場合が多い。

ESの内容は、氏名と連絡先、出身高校名と大学名(中途採用の場合はこれに加えて職歴)を記載する欄の他、各企業が独自に作成した何問かの設問がある。 これらの設問の内容は志望動機や自己PRに関連した内容が対多数で、記入欄が広く取られ、論作文試験と同じような形式になっている事が特徴である。 また、TOEICや英検などの資格や特技などを申告させるスペースもある。履歴書と違い、捺印はしないので記述にある程度誇張や潤色があったとしても、経歴詐称には問われないし企業側も想定している。 ただし面接でその件について質問されても明確に答えられるようにしておかなければ、苦しい状況に追い込まれることになる。これにより、同時に応募者の文章力も分かるため、論作文試験を課さない企業もある。

そして、ES選考や筆記試験に通ると、次は面接がある。ここでは、ESの内容が話題になる場合がある。 この時、ESの内容と面接での発言が矛盾していると、面接官の評価が悪くなる。

面接試験[編集]

面接試験では、学校や企業が受験者に直接会って質問する試験方法の1つである。質問に対する答えの内容、受け答えの仕方や態度について評価をする。 形式は、個人面接や集団面接ないしグループディスカッションがある。幾つもの方法があるのは、より多くの情報を面接を受ける側から引き出すためである。

就職の場では、民間企業の正社員採用のほか、公務員試験や教員採用試験においても、殆ど全てにおいて面接が行われる(ただし非正規雇用で雇われる場合は電話先着順や書類選考だけということもある)。 大企業では複数回面接し、最初の段階で採用担当者(人事部)が、最終面接では役員が面接に当たることが多い。 中小企業は直接雇用者が一度だけ面接をして決めることもある。 特に国家公務員の採用試験では筆記試験合格後官庁訪問をして省庁ごとの数次の面接を受ける必要がある。

面接担当者によっては、応募者・受験者に対して故意に高圧的な態度を取ったり、受験者の嫌がる内容を質問するいわゆる「圧迫面接」を行う場合もある。 この手法はプレッシャーや予測できない事態への反応、不条理・理不尽な状況に対してどう対応するか見たい場合に行われる。 こうした手法の中には侮辱や名誉毀損などに相当するものも多数見受けられる。 絶対的に弱い立場の受験者を愚弄するかのような面接手法には批判もあるが、業務に求められる資質を見出す上で必要だという理由付けから行われる。 ただしこれは受験者の受け取り方次第でもある。

何人かの受験者と共にグループディスカッションを行い、時事問題等をテーマに話し合い、その発言や議論の進め方などを見て評価する手法もある。 他者との関係をどう構築するかや、テーマへの参加に対する積極性、あるいは他者の意見を汲み取る理解力などが観察される。 テーマは採用される業務に関係しない場合もあるが、その多くでは新聞などで情報収集が可能な範疇である。 採用活動において「コミュニケーション能力」の重視を標榜する企業や官公庁も多く、就職試験の際に筆記試験より面接が重視されるのはもはや常識である。 1990年代後半以降、大学やハローワークが就職率向上という名目で「面接対策セミナー」、「コミュニケーション能力養成講座」等を学生等に対し行うことも増加した。

グループディスカッション[編集]

グループディスカッションとは、集団討論のことである。あるテーマについて複数で議論し合い、学生の発言内容や態度を採用担当官が審査していくという形式で行われる。 一般的にグループディスカッションでは、4~10人程度の学生を集めて実施される。

近年では多くの企業が、このグループディスカッションを採用選考の過程に取り入れるようになっている。 ただし、その目的や実施段階は、それぞれの企業によって異なるようである。 最終選考の手前あたりで優秀な学生を選び出すために行われることもあれば、一次面接と二次面接の間あたりで「足切り」的に行われることもある。 通常、グループディスカッション試験をクリアできる学生は、5割以内となっており、言い換えれば半数以上の学生がこのグループディスカッションで不採用となる。

一般的に誤解されがちであるが、与えられたテーマに対して自分の意見を明確に話したとしても、グループディスカッションとの合格には直結しないといえる。 独断的な言動や、逆に全く目立たないことは選考上不利になるとされる。 グループディスカッション試験を突破するためには、まずグループディスカッションのルールと目的、意義を理解することが重要とされる。

高校生の就職活動[編集]

高校生は、現在も大学生と並んで新規就業者の多くを占める。 就職を希望する高校生は9月16日の就職選考解禁日から、一斉に会社を訪問して入社試験を受け、筆記、面接など数週間の選考の後に内定を得る。 後述の大学生の就職活動と異なり、中学生や高校生の 新卒求人については、職業安定法に基づきすべて公共職業安定所(ハローワーク)を通して学校に掲示することが義務付けられている[5]

10月末までは1人1社が基本だが、11月からは同時に複数の企業を受けられる。 したがって、実際の応募については 学校を経由して企業とコンタクトを取ることになる。

また、大企業などへの就職試験を受けるためには、学校での書類選考を受けなければならず、しかも、抽選で受験者を決定する。 不採用になったら再び別な企業に挑戦し、学校での書類選考を受けることになる。 高校生の就職内定率は通常、年度末には90数%となる。 2010年度も「前年度より4ポイントほど低くはなるが、最終的には92%程度までにはなるのではないか」と予測されている。 ただ、2008年以降の雇用の冷え込みによる求人数の減少から、未内定のまま卒業してしまう生徒が多数出てくるだろうとの見方が強い。

中学生の就職活動[編集]

日本では、法律により「満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで、これを使用してはならない」とされており、小学校と中学校の進級制度が年齢主義に基づく例が多いので、その期日と中学校の最終学年終了日が同じ日である例が多い。このため、就職を希望する中学生は1月1日の就職選考解禁日から就職活動の最初の機会となる。

18歳未満の労働者は法律により年少者として扱われるため、年少者を証明する書類を事業所に備え付けなければならない上に深夜労働や時間外労働ができなかったり危険有害作業が制限されたりするなどの制約がある。 就職先は極めて限定的で学歴よりも個人の技量に依存される職種である職人(特に伝統工芸や料理人、伝統芸能など)や作業が単調で高い学力をあまり必要としないブルーカラー(特に建設業や製造業など)や一部のサービス業(特に飲食業など)と呼ばれる職に限られる。

高校進学率が97%強を占める昨今では中学生の就職率は1%にも満たない。企業(特に地方)によっては資格や自動車運転などの免許を必要とするところもあるため、年齢の下限で国家資格や免許の取得が制限される中学生にとっては就職活動は厳しい状況にある。 企業は学校とは異なり、勉強を教える場所ではないことを理解する必要がある。中学を卒業しただけでは高校で学ぶべき教育を教わっていないため、定時制高校や通信制高校に通いながら働いたり企業内学校のある企業へ就職希望する人もいる。

就職活動の共通事項[編集]

ここまで、所属別に就職活動の進め方を紹介してきたが、共通して言えることを紹介する。

自動車免許[編集]

多くの企業では採用活動時、志望者の将来的な保有資格として、自動車の運転免許を企業は気にする。大学生の場合は、学業の兼ね合いもあるのでたとえ免許を持っていなくても、多くの企業は許すが[6]、なるべく夏休みなどに自動車教習所に通うなどして、「将来的には自動車免許を取得する意思がある。」ことを企業側に見せたほうが良い。企業の実務では、移動や運搬などのために自動車を運転することが多いからである。高校生の場合は、18歳になったらなるべく早めに取得の検討を行ったほうが良い。 なお、普通自動車の免許の種類には、MT(マニュアル車)とAT(オートマ限定)がある。なるべくMT免許を取るのが無難であり、AT限定では通勤以外しか使い道がない。自動車を購入しに行く予定までは必要ない。一般の会社には社有車がある。

自動車の免許を取得するのは、最低でも3ヶ月程度はかかる。企業もそういった事情を知っているので、あまりすぐには免許を取るように要求しない。ただし、就職してから教習所に通うのは時間的に難しいので、一般的には就職前に教習所に通っておくのが慣習である。たとえ免許を取れなくても、なるべく運転の練習をしておくのが望ましいだろう。

ブラック企業の注意[編集]

企業の中には、労働基準法などに違反しており、従業員に低賃金で重労働をさせている企業もあり、そのような企業を ブラック企業 と言う。また、違法行為などを行って利益を上げている企業のことも、ブラック企業と言う。 たとえ成長産業や成長企業であっても、ブラック企業である場合がある。従業員を低賃金で重労働させることによって、利益を上げているから、会社が成長できるというわけである。 ついつい「知名度の高い大企業なら、安全」と考えがちだが、そうとではない。知名度の高い企業であってもブラック企業の場合がある。なぜなら従業員に重労働をさせてるので会社の利益率が高く、したがって広告費に金を掛けることができるからです。

ブラック企業には、就職しないほうが安全である。ブラック企業の多い業界は、業界自体を敬遠したほうが安全だろう。

ブラック企業の傾向[編集]

(※ 例である。)

  • 末端従業員の犠牲と大量消費を前提とした経営
    • 一時的に大量採用したり、社員を全員名ばかり管理職にするなど、従業員の過剰な負担や、短期の雇用による使い捨てを前提としたビジネスモデルが構築されている。
    • 雇われ店長、名ばかり管理職などの一部の現場の責任者がまともな権限や待遇を与えられず責任だけを負わされる。不祥事や事故が起きても末端社員に刑事責任・社会的責任や国家資格の剥奪などのペナルティを全て負わせ、経営陣には一切の責任が及ばないシステムが巧妙に構築されている。
  • イメージの偽装
    • 「明るい雰囲気」→「明るいという感想を強制される雰囲気」。体育会系的な体質の企業(根性論中心の営業職、精神論中心の社風、経営者や上司、先輩社員による理不尽な暴力や暴言が日常茶飯事)
    • 求人誌での好々爺風の初老の男性や綺麗目な女性の写真や、社長と社員が笑顔で語らう写真など無害そうなイメージを前面に出す企業→印象操作によりブラック会社であることを逆に隠そうとしていることを疑わせる。
    • 求人広告や会社の求人用パンフレットでの「働きやすい」「実力を発揮できる」「私(僕)の人生を変えた」などの体験談→上層部や求人誌の制作会社による「やらせ」。
    • 求人サイトにおける「学生に人気のある企業ランキング」の投票でアルバイトを雇ったり社員を動員させたりして「組織票」を入れさせ、あたかも大学生に人気があるかのように擬装する。
    • 「明るい明日」、「明るい未来」、など曖昧かつポジティブな将来像を強調する。→現状はその正反対であるということ。
  • 業種・職種の偽装
    • 不人気な業種・職種で募集する際、カタカナ語や専門用語、あるいは独自の造語などを用い、誤認を導く曖昧な表現が多用されている。
      • 例えば、不人気な職種である飛び込みの訪問販売や営業を「販売」(小売業のような店舗内での販売と誤認されやすい)「○○アドバイザー」「○○エージェント」「○○プランナー」と言い替えたり、「お客様サポート」が修理[クレーム対応の電話係を兼任させるなど。
      • パチンコ・パチスロ店の場合、業種を単に「遊技場」

[パーラー」としか記載せず、店員を「アミューズメント・スタッフ」「ホールスタッフ」のように表現する。[7]

    • 高給の職種を強調する求人誌の中には、職種が単に「営業」「販売」(悪徳商法・詐欺的な訪問販売や勧誘の可能性あり)「接客」(違法風俗の業種・職種の可能性あり)「データ入力」(迷惑メール業者や出会い系サイトのサクラ役などパソコンやインターネットを使った犯罪を生業とする会社の可能性)などとしか書かれていない企業もあり、業種や職種を明確に記していないのもある。
    • 「講師募集」→悪徳教材会社の訪問販売。また、実際の「教室」である場合でも、異業種の会社が手掛けるサイドビジネスであることも珍しいものではなく、全く門外漢の上司に振り回されたり、講師業とはかけ離れた会社の本業を手伝わされることも多い。
    • 内勤事務の求人にもかかわらず「要運転免許」→物品の調達や別の事務所での打ち合わせ、顧客の送迎などで社用車を運転する必要性もあるが、入社後に「人手不足」「適性が欠如している」などの口実がつけられ、営業職へ強制的に職種転換させるケースもある。
    • 業務請負会社・人材派遣会社の「営業」や「コーディネーター」→請負社員・派遣社員の募集。「現場研修」の名目で、取引先(請負先・派遣先)企業に単なる請負労働者・派遣労働者として請負・派遣する。
    • 募集職種が「幹部候補生」→小売業や飲食業など、接客業に多い。実際はただの店長募集。正社員募集とセットになっていることが多く、店長が「名ばかり管理職」扱いをされる可能性も。
  • 経営者の責任感の欠如
    • 経営者・上層部の負うべき責任を(広告、ウェブサイトなどで)明示していない。
    • 経営者・上層部に「社内で強大な権限を持つ代わりに重い責任も負っている」という根本的な責任の自覚がない。(実際は責任は末端に押し付けており、経営者は権限だけ大きい。)
    • 独裁的経営、恐怖政治的経営、ワンマン経営、同族経営、社会的成功による増長などが要因となり、成り行き任せの経営、法制度に対する軽視が蔓延している。
    • 部下に対する暴力制裁の横行。確信犯的にパワーハラスメントを繰り返し、それを指摘されると言いがかりであると主張する。実際に暴力を自覚していない事も多い。
    • セクシャル・ハラスメント(いわゆる「逆セクハラ」も含む)、暴言や暴力などのパワーハラスメント、職場いじめが起こっても「言われたことができないから」とか「これぐらい耐えて当然」などと黙認、正当化する。または上司や幹部が職場いじめに加担している。問題化した際には激励・叱責・教育などと主張したり、「そんなことしたつもりはない」「指導の一環である」と管理責任の全否定に走る。
  • 周辺人物や交友関係が原因の労働環境の悪化
    • 経営者・上層部に暴力団などの反社会的勢力やフロント企業との関係がある。あるいは、それらの構成員や関連の深い人物が内密ないし公然と経営に関与・干渉している。
    • 経営者・上層部にカルト、宗教団体、新興宗教との繋がりがあり、会社組織やその上下関係が教勢拡大に利用されている。
    • 会社経営の知識が一切なく、経営的責任を負う立場でもない社外の人物(元官僚や県市町村職員の天下り、経営者の親族や時には愛人など)や、経営者や会社と特定の利害関係を持つ人物が会社組織に入り込んで我が物顔で跋扈したり、会社や資産を私物化している。現場の実情や現実性を無視した素人経営や、反社会的勢力による組織や経営への介入・干渉が引き起こされるなど、労働環境悪化の原因となる。
  • 会社の宗教化
    • 経営者を神格化し、個人崇拝を強制する。職場に経営者の写真が飾られており朝礼や出社時に礼をする、経営者の偉業を湛えることを趣旨とした社内行事があるなど、
    • 経営者の個人歴や言語録の暗記、経営者の著書の購入、感想文の執筆などが通常の業務の一環として義務付けられおり、経営者への信仰心が仕事の評価に繋がる仕組みになっている。
    • サービス残業など劣悪な労働環境が美徳とされており、それらを自主的に行わざるを得ない雰囲気が作られている。外部で問題化した際は「従業員が自主的にやっている」と主張したり、信仰心の強い社員の言動を盾に「これを問題化することは従業員に対する侮辱だ」と主張する。

ブラック企業の面接[編集]

  • 面接が一切ないか、形骸化している。大量に離職するか離職されてもすぐに代替の人材を確保できるため、よほどのことがない限り採用される。
  • 面接時に履歴書や職務経歴書を提出しても、内容を精読せず質問する。そもそも履歴書も要らないところも多い。
  • 質問の際、好都合な待遇(給与・休日など)に関する質問をすると、曖昧な返答しかせず、言葉を濁そうとする。
  • 面接の担当者が応募者より年上である場合、または応募者の職業経験が浅い(転職が多い)場合、横柄な態度で質問してくる。
  • 「学歴不問」「人物本位の選考」→退職者が多いことと、すぐに代替の人材が確保できることから、入社するなら誰でもよいことの一例。
  • 派遣先企業での事前面接→顔合わせ・打ち合わせ・面談・職場見学などの名目で行われる。交通費や拘束時間分の賃金は支給されない。違法行為。正社員への転換を前提とする紹介予定派遣を除き人物を特定する事前面接行為は違法である。常用型(専門職)派遣で無期契約であっても違法行為。
  • 休業日、あるいは業務とは無関係な場所で面接や説明会・選考試験を行う。「今の時間はたいして忙しくないから」「個人情報を扱っているので」などとの口実を付け、不都合なものを見せないようにするため職場の見学を拒否する。
  • 不採用になった場合、応募者の履歴書・職務経歴書などの応募書類を返却してこない。または応募者に送料を負担させる(返信用の封筒と切手を添付するよう要求する)。

ブラック企業の採用方法[編集]

  • 採用通知を書面で通達しない。採用通知の電話連絡や雇用契約の締結後に、雇用条件を口頭のみで次々と変える。職種の変更などもある。これらは録音しない限り証拠が残らない。
  • 個人事業者として採用する。社員でない場合、労災の責任や社会保険の会社負担がない。正社員で採用されたと思っていても、労働契約書の記載が違う場合がある。あるいは正社員で採用したかのように誤認させる。
  • 採用後に雇用契約書を書かせない(労働者に不利な雇用契約を締結させるため)。または契約書のコピーを控えさせない。
  • 採用後に従業員の給与振込み用の口座を尋ねないか、または従業員に給与のシステム(タイムカード制か歩合制かなど)を一切伝えない。働きが悪ければ、給与未払いまたは減給や解雇しようと目論んでいるため。
  • 法人ならば加入義務がある社会保険の制度がない、あるいは入社後一定期間を経なければ加入できない。
  • 従順な人間だけを絞り込もうとしている。試用期間中に新人教育と称して暴力行為・しごきを行ったり、過重なノルマを与えたりして絞り込もうとしている。
  • 試用期間が長すぎる。解雇されやすく、給与が低く抑えられる。
  • 内定通知を出しておきながら、年度が替わる前に研修などを行い、働きがよくなければそこで内定を取り消す。

商工会議所会員のブラック企業[編集]

また、小企業や零細企業の場合、地元の商工会議所などの会員企業であっても、ブラック企業の場合がある。 商工会の会員企業というと、なんとなく会員になるための審査が厳しそうだが、たんに地元の会社であって、ある程度の資本金とかがあって、あとは年会費を払えばイイわけであるのでブラック企業でも入会できる。 むしろ、ブラック企業だからこそ社長は本業がヒマだし、マスコミなどへの技術アピールもろくにできない技術力なので、自治会活動などでの宣伝には余念を欠かさないわけである。

一方有能な企業ほど、他地域の企業などとの取り引きが忙しく、ごく一部の地元の下請け取引先との付き合いを除けば、あまり地元の企業との付き合いが無いという場合すらありうる。

製造業や農業の違法企業[編集]

「ブラック企業」と聞くと、ついつい営業販売活動や転売屋や小売業・外食産業などを想像してしまいがちであり、製造業や土木工事などの技能職などの現業や農業ではブラック企業はありえないと考えがちだが、そうとは限らない。 賃金が安くてボッタクリだから、ろくな技術が無くても、安値で製品を売る事ができるので、利益を上げられてしまうのである。

中小の製造業や土木工事業や農業などでも、労働基準法の最低賃金を下回る賃金だったり、外国人研修生や不法滞在・残留外国人などを働かせている企業も、ときどき発覚している。不法滞在者などを残留させてる違法企業は、入国管理局などに査察されてバレたり、場合によっては警察沙汰になって経営者が刑法的に処分・逮捕される。 製造業や土木工事のブラック企業では、経営者にろくに専門技能も業界人脈も無い場合もある。叩き上げの職人あがりのビジネスマンを装い、無知な若者を雇って、低賃金で働かせている企業もある。

また、たとえ親子代々続く地元の中小企業でも、たとえ先代や先々代の社長が人格者で熟練した職人あがりで誠実だからって、跡取り息子の現・社長が人格者とは限らない。そのようなブラック企業の社長的な息子でも、親の情で跡取りにさせた場合もありうるだろうから。

脚注[編集]

  1. ^ たとえば数学科から物理学科に転学科した等
  2. ^ 例えば高校は電気科だったが、大学では機械工学科に進学のような場合
  3. ^ マイナーな研究テーマだと、あまり細かい事は、面接官の側が知らない場合もある
  4. ^ 国語・数学・理科・社会・英語
  5. ^ 中学生や高校生は未成年であり、無秩序な就職活動で学業が混乱するのを抑制する観点からの規定
  6. ^ ただし運送業界などは別だろう。
  7. ^ ゲームセンターのスタッフも「アミューズメントスタッフ」と呼ばれることがあるため、混同しやすい。風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)に基づく「遊技場」には、パチンコ店や性風俗の他にも、ゲームセンターや雀荘なども含まれるため、適用範囲が広くなっている。

関連サイト(参考文献)[編集]

Wikipedia
Wikipedia
ウィキペディア就職活動の記事があります。