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情報処理技術者試験の概要

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

はじめに[編集]

IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が開催する「情報処理技術者試験」に合格すると、「情報処理技術者」になれます。

「私も情報処理技術者になろう!」と思い立った方には、(ITパスポート試験から高度情報処理技術者の各区分まで)どの試験区分をお考えの方にも、まずは冊子『情報処理技術者試験 出題範囲』をダウンロード・印刷して頂く事をお勧めします。

  • 『情報処理技術者試験 出題範囲』入手先[1]
    情報処理技術者試験センター(以下、試験センター)がPDFで公開するこの冊子には、各試験区分の「試験の対象者像」「試験の出題形式と試験時間」「出題範囲」が書かれており、試験に関する情報源として最も信頼できるものとも言えます。

試験の対象者像[編集]

このページには、各試験区分(計12区分)がそれぞれ想定する「対象者像」「役割と業務」「期待する技術水準」が記されており、自身がどの試験区分を受験すべきかを決める際のガイドラインとして使えます。各試験区分が想定する対象者像(情報システムを利用する側の人か、プログラミングする側の人か、その人たちを管理する立場か、など)と、ご自身が今おられる立場(または、なりたい立場)とを照らし合わせ、しっくり来る試験区分を選び出します。

出願期間は例年、春期試験(4月の第3日曜)は1月中旬から2月中旬、秋期試験(10月の第3日曜)は7月中旬から8月中旬となっており、各試験区分とも受験手数料は5,100円です(2014年1月現在)。そして試験は通常、日曜の朝から行われるため、公共交通機関の日曜ダイヤも念のため確認しておきましょう。

試験の出題形式と試験時間[編集]

一部の例外を除き、試験は朝9時30分から開始されます。

午前の試験[編集]

多肢選択式(四者択一)[編集]

朝9時30分から開始される、四者択一のマークシートによる試験です。あなたが出願した試験区分に沿った範囲の知識問題が出題されますが、過去問題からの再出題や、他の試験区分と共通して出題される問題が多くを占めます。試験時間を問題数で割ると、1問あたりおよそ1分50秒ですが、前述のように過去問題を熟知していると解答時間の短縮につながります。ア~エの記号からの択一ですが、慣例として各選択肢は五十音順に並べてあるため、過去問題と同一の出題がなされれば、正解の記号も同じとなります。

この午前の試験では、いわゆる「足切り」が行われ、ここで受験者の上位およそ30~50%が絞り込まれます。なお、受験者の間では「午前の試験」と「四択マークシート」が同義として用いられる事もあります。出題範囲は後述します。

午後の試験[編集]

情報セキュリティマネジメント試験の場合[編集]

12時30分から14時00分まで行われる、多肢選択式のマークシートによる試験です。基本情報技術者のようなプログラム言語の問題がなく、応用情報技術者などのような記述式の問題もないため、ほかの区分よりはだいぶ楽だと思います。

基本情報技術者試験の場合[編集]

13時00分から15時30分まで行われる、多肢選択式のマークシートによる試験です。プログラム言語に関する出題では、どの言語を選択して解答するかのマークも必要となります。

セキュリティアルゴリズム、プログラム言語は必須問題であり配点も高いです。特にアルゴリズムとプログラム言語は難易度も高いため、合格を目指される方は重点的に対策する必要があります。

ちなみにプログラム言語に関しては、初心者はCASL(アセンブラ)か表計算がオススメです。

応用情報技術者試験の場合[編集]

13時00分から15時30分まで行われる、記述式による試験です。全部で11問出題され、うち1問(セキュリティ)が必須問題、残りの10問中から4問をそれぞれ選択して解答します。

上記以外の試験区分(10区分)の場合[編集]

12時30分から16時30分にかけて行われ、「午後I(ごごいち)」と「午後II(ごごに)」に分かれており、合格するには共に合格点を満たす必要があります。共に問題文および設問を読み取った上で、手書きで答案用紙を埋めていく形式です。共に応用能力や実務能力を測る目的がありますが、「記述式」では主に知識や計算力などを問わせ、「論述式(事例解析)」では主に業務知識の深さと読解力を測る傾向があります。また「論述式(小論文)」では、業務経験および題意に則した小論文を、通例3つの設問で計2,400字以上(4,000字以内)を手書きする必要があります。

なお、四肢に障碍がある場合など事前申請によりワープロ使用などの措置が講じられるケースもありますが、健常者のワープロ使用はまず認められないため、いずれの試験区分においても手書き(正しく伝わるい日本語の用法も含む)に慣れておく必要があると言えます。

出題範囲〔午前の試験〕(p.12-16)[編集]

各試験区分における「午前の試験」の試験範囲と難易度を表すページ、試験センターがPDFで公開する別冊子『情報処理技術者スキル標準(IT共通知識体系)』に基づいた一覧表です。

なお「午前の試験」はこの冊子(以下、『スキル標準(IT共通)』)の知識を問う試験、と言っても過言でないため、この冊子もダウンロード・印刷して頂く事をお勧めします。

直近の「午前の試験」各試験区分、分野別の出題一覧(2007年2月現在)[編集]

「午前の試験」の出題分野は、上記の8分野(「コンピュータ科学基礎」「コンピュータシステム」「システムの開発と運用」「ネットワーク技術」「データベース技術」「セキュリティと標準化」「情報化と経営」「監査」)と、一部の試験においては「プレゼンテーション技法」が加わります。あなたが受験される試験区分に沿った内容の問題がピックアップされ、出題されます。 なお、全試験区分で共通に出題される分野(例「システムの開発と運用」)であっても、出題内容は試験区分ごとに味付けがなされる傾向があります(例:同じ「システムの開発と運用」分野の出題でも、初級シスアド試験ではプログラム言語の出題は控えられ、代りにシステム運用の出題が増える、など)。

「午前の試験の出題範囲」と「スキル標準」の関係について[編集]

一部に、「『情報処理技術者試験 出題範囲』p.12の一覧表は、あてにならない(例:「システムアナリスト試験では『ネットワーク技術』は範囲外なのに、平成18年度秋期の問7や問11ではネットワーク分野の出題があった」など)」といった意見が見られますが、それは誤解です。この誤解は、「午前の試験」の出題順が『スキル標準(IT共通)』の記載順である(ことが案外知られていない)事から起こる現象です(それほどまでに『スキル標準(IT基礎)』は、出題と密接な関係を持つ冊子です)。
例として、平成18年度秋期システムアナリスト試験の問番号と『スキル標準(IT共通)』を見比べると、問1~12が「コンピュータシステム」、問13~30が「システムの開発と運用(◎)」、問31~38が「セキュリティと標準化」、問39~55が「情報化と経営(◎)」に対応すると考えられます。これらを踏まえ、以下の事が言えます。

  • 「午前の試験」は『スキル標準(IT共通)』に書かれた順に出題される
  • 「出題範囲のうちの重点分野」を示す◎印は、出題数という形で反映される

前述の誤解も、問7・問11共に「コンピュータシステム」分野からの出題であって、「ネットワーク技術」分野からの出題ではない事から起こったものと言えます。具体的には、問7は「コンピュータシステム(3 システムの構成と方式(3.2 システムの性能))」から、問11は「コンピュータシステム(4 システム応用(4.1 ネットワークの応用))」からの出題であったと考えられます。

出題範囲〔午後の試験〕(p.17-23)[編集]

各試験区分の、午後試験で出題される範囲が挙げられています。

合否判定について[編集]

「午前の試験」と「午後の試験」(「午後Iの試験」と「午後IIの試験」)すべて同時に合格点を満たした場合に、合格と判定されます。部分合格制度は無いため、一つでも合格点を満たさない場合は不合格となります(部分合格制度や、(TOEICのような)得点制の採用については、試験を運営する側では検討課題として上がっている模様(2007年2月現在))。

点数(スコア)は200~800点で採点され、600点以上で合格とされます。かつてこの値は「偏差値を10倍した値」と言われていましたが、嬉しいことに直近の試験(平成18年度秋期試験)では緩和の傾向があり、午前の試験では受験者の上位30~50%が600点以上と判定され、午後の試験へと採点が進んでいます(例:平成18年度秋期ソフトウェア開発技術者試験では、午前の試験の上位49%が午後Iの採点に進み、その上位70%が午後IIの採点に進み、その上位52%が合格しています)。

また、午後IIの試験として「論述式(小論文)」を用いる試験区分では、主に業務知識の深さや考察力を問わせる定性的な採点となるため、スコアに代わってAからDの「評価ランク」が用いられます。評価ランクAのみが最終的に合格と判定され、平成18年度秋期システムアナリスト試験では、午後IIの採点に進んだ者の上位34%がこの判定を受けています。

なお試験センター公表の資料によると、受験番号や、選択問題の番号記入漏れによって「受験したとみなされない」ケースが全体の約1.5%あると算出されており、その際の救済措置は採られていない模様です。

合格発表について[編集]

合否およびスコアは、試験センターのWebページから確認できます。

合格者には経済産業大臣の名が入った合格証書が簡易書留で届けられ、受験番号が官報に公示されます。通例では、ITパスポート試験、基本情報技術者試験、情報セキュリティマネジメント試験では試験日の約1ヶ月後に、その他の試験区分では約2ヶ月後に合格証書が発送されます。

特典[編集]

情報処理技術者試験の合格者は以下の特典を受けることができる場合があります。

任用資格等[編集]

  • 公務員採用試験(警察官など)で優遇される場合があります。特にIT関連職種では情報処理技術者試験の合格者しか採用しないケースが少なくありません。また、採用後も階級評価の対象となる場合があります。
  • 一部の区分は自衛隊の技術曹および予備自衛官補の任用資格です。例えば基本情報技術者試験では階級は3等陸曹、3等海曹、3等空曹となっています。ちなみにもっと上位の試験に合格すると階級が上がります(応用情報技術者試験は2等、高度情報処理技術者試験は1等)。

他試験の科目免除等[編集]

  • 情報処理技術者試験の合格者を入学試験(推薦、AO)での優遇や、入学後の単位認定の対象とする大学、短期大学があります。
    • 対象となる試験区分は大学、短期大学によって異なります。
  • 応用情報技術者試験および高度情報処理技術者試験の合格者は弁理士試験の一部科目の受験が免除されます。
  • 応用情報技術者試験など一部の区分の合格者は中小企業診断士試験の一部科目の受験が免除されます。