料理本/お好み焼き

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混ぜ焼きに類する調理法[編集]

「お好み焼き」とは生地に具材を混ぜ込んで焼く料理であるが、すべての具材を混ぜ込む方法と、キャベツのみを混ぜる方法がある。 この料理の発祥地である東京では、戦前より伝わる完全混ぜ焼きが伝統であり、また関西を含む全国各地においても、古くから営業している老舗店などではこのスタイルが採用されている。

現在もっとも一般的で、「関西風お好み焼き」として知られる調理法は、キャベツのみを生地に混ぜ、具材やトッピングは別に載せる方法である。 これは戦後の関西地方において、戦前に一般的であった洋食焼きとの融合によって誕生したと考えられる。

東京[編集]

東京発祥のお好み焼き(原型)の作り方を以下に示す。

  1. 小麦粉を水またはだしで溶いて生地を作る。
  2. 具材を準備する。みじん切りのキャベツ、小口切りの白ねぎ、肉や魚介類、鶏卵、紅しょうが、切りいか、揚げ玉、桜えび、角切りの餅など。
  3. 小型の椀またはカップに生地と上記の具材すべてを入れ、スプーンなどでよくかき混ぜる。
  4. 油を引き、よく熱した鉄板の上に流し入れる。
  5. 片面が焼けてきたらひっくり返し、反対側の面を焼く。
  6. 焼きあがったら皿に取り、箸を使って食べる。

大阪[編集]

関西風お好み焼き
辛みそやお好み焼きソースやかつおぶし

大阪など関西地方で一般的な作り方を以下に示す。

  1. 生地を作る。小麦粉を水またはカツオ・昆布出汁でダマにならないように溶く。水の分量は粉と同じ重量をおおむねの目安とする。
  2. 鶏卵と山芋をすり下ろしたものを生地に適量加える。鶏卵か山芋のいずれか、あるいは両方とも入れない場合もある。
  3. キャベツのみじん切りを、生地の中に少し溢れる程度に入れさっくりとかき混ぜる。
  4. 油を引き、よく熱した鉄板の上に円盤状に広げる。上面に豚肉の薄切りを並べるように多めにのせる。
  5. こんがりと焼けてきたら、ひっくり返して反対側の面を焼く。両面が焼ければ火を弱め、再度ひっくり返す。
  6. 肉を載せた側の面にたっぷりとソースを塗り、鰹節・青海苔を全面にふりかける。近年はマヨネーズを使用することも多い。
  7. 起こし金(関西では「コテ」又は「テコ」とも呼ばれる)で、鉄板の上で好みのサイズに自分で切って食べる。

関西では一般に空気を多く含んだふっくらと厚みのある焼き上がりが好まれるため、お好み焼きを焼く際にテコで押さえつけることは禁忌である。 専門店では、粉と水をなじませ粘りを持たせるために生地を数時間寝かせる。 また市販のお好み焼き粉にも山芋の粉やベーキングパウダーなどが加えられている。

のせ焼きに類する調理法[編集]

のせ焼き、あるいは重ね焼きと呼ばれる作り方は、戦前に「洋食」「肉天」「どんどん焼き」などと呼ばれた料理のもので、本来の「お好み焼き」とは異なる調理法である。しかしながら広島ではこの焼き方を「お好み焼き」と呼んでおり、また混ぜ焼きとのせ焼きの混在する神戸などにおいても特に両者を区別せず、どちらも「お好み焼き」と呼んでいる。

神戸[編集]

神戸その他の地域にみられる、戦前の洋食焼きに準じた作り方を示す。

  1. 生地を作る。粘度は混ぜ焼きの場合よりも低く、水と粉は2:1程度の重量比が標準的。山芋や鶏卵は加えない。
  2. 油を引き、よく熱した鉄板の上に丸く流す。
  3. キャベツのせん切り(みじん切りではない)をのせる。厳密には混ぜ焼きになるが、キャベツを生地に混ぜてから流す店もある。
  4. 魚粉、天かす、紅しょうがなどのトッピングを散らす。
  5. 隣で軽く炒めて火を通した肉や魚介類をのせる。
  6. 少量の生地を回しかけ、ひっくり返す。卵を追加する場合は別に焼いて重ねる。
  7. 混ぜ焼きの場合とは異なり、生地に具材が馴染むよう起し金で上からよく押さえつける。
  8. 両面が焼ければ完成。屋台などでは二つ折りにして提供することが多い。
  9. ソースを塗って青のりなどをかける。マヨネーズは基本的に用いない。

なお、便宜上見出しを「神戸」としたが、この種の洋食焼きに類する調理法は、京都、名古屋、近畿地方南部、山陰、中国、四国、九州など、西日本の広範囲にわたって継承されている。

広島[編集]

広島風お好み焼き
広島風お好み焼き

広島地方で一般的な作り方を以下に示す。

広島風お好み焼きは、その成立の過程で作り方が変化していった。よって、地区によって、さらには店毎に作り方は異なる。下記は代表的な作り方の一例である。

  1. 小麦粉に適量の水を入れ、3時間以上冷蔵庫で寝かせ生地を作る。寝かせるのはグルテンの安定をよくするためで、山芋は入れない。関西風の感覚で山芋を入れてしまうと生地が破れやすくなる。
  2. 具は生地に混ぜ合わせず、生地をまず低めの温度の鉄板にお玉杓子(平らな部分が少ない半球形のレードルではうまくいかない)で中心から円を描きながら押し広げるように同心円状にゆっくりクレープ状に薄くのばす。広島風は「返し」が難しいとよく言われるが、実はこの生地のばしの段階で半分以上決まるといってもよい。生地がしっかりしていないと最終工程の返しが難しくなるため、鉄板の上に広げた生地が沸騰したり、厚くなりすぎたり硬くなりすぎた場合は鉄板の温度、生地の濃度、のばし方を調整し、もう一度最初からやり直す。
  3. 表面が少し乾いてきたら削り節少々を輪状に振る。
  4. 基本の具キャベツの千切りを多めに盛り上げ、モヤシをのせ、塩、胡椒を振る。この時キャベツから生地に水分が補給されるので、キャベツを載せる前に生地表面がある程度乾き、丈夫さと柔軟性を兼ねた状態になっていることが望ましい。また、以降の手順をあわてて行う必要もない。
  5. 生地の上に好みの具(豚肉かイカ天 (注・その他 生イカ、かき、もちなどは近年始まったものである))を載せ、天カスとネギと魚粉を少々振り、つなぎの生地を少しかける。また、油分の多い豚肉のスライスは一番上に乗せる。こうすることでひっくり返す時に具の押さえとなり、またひっくり返した後一番下に来ることで、材料が焦げ付くことを防ぎつつ、具全体に油が回り香ばしさが増す。
  6. ひっくり返すことによって具を生地で覆い、火を少し強め蒸し焼きにする。この「返し」には、多少のコツが必要。持ち上げてからなだれ込むように返すのではなく、持ち上げる途中、最高点に達する直前に上方向の運動量を持ったまま、その場からわずかばかり手前にかけて回転させるように返すと、具の散乱を抑えられる。馴れると持ち上げた場所と返した場所はほぼ同じ場所となる。キャベツに火が通り、蒸されるまで押さえつけないで、8分程度じっくり蒸し焼きにするのが重要ポイント。焼きそば等麺類を使う場合は、横で好みによりソース炒めにする。
  7. 上から大きなへらか道具で軽く成形し、野菜の水分を飛ばす。麺を加える場合は、程よく焼きあがったあたりで、全体を広げておいた麺の上に乗せる(ただし、麺類をどこに挟むかについては議論がある)。
  8. 横で鶏卵(一枚に対し1〜3個好みで)を目玉焼きのように焼く。この時黄身をヘラの角でつぶし、生地と同程度(ヘラで掬える位に)に広げる。鶏卵が焼きあがらない生のうちに、卵の上にお好み焼きを乗せる。こうすることで表面が鶏卵でとじられる。卵に火が通ったらひっくり返し、卵の面にソースを塗り(出来ればハケが好ましい)、好みでその上に青海苔、削り節粉、いか粉を振る。紅しょうがは通常使わない。

関連情報[編集]