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有機化学/アルケン

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

有機化学>アルケン

アルケンの定義と命名法

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アルケンの定義

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炭素間にπ結合を1つだけ含む脂肪族炭化水素をアルケン (alkene) という。 アルケンは一般式CnH2nで表される。 定義より、炭素原子が1つのアルケンは存在しない。

命名法

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アルカンの語尾aneをeneに変える。 エテン (ethen)、プロペン (propene)、ブテン (buthene)、ペンテン (pentene)・・・

但し、エテンは正式な名称(体系名)より、慣用名エチレン(ethylene)の方が良く使われる。 プロペンも慣用名プロピレン(propylene)が体系名と同程度使われる。

ブテン以上の長さのアルケンには、二重結合の位置による構造異性体が存在する。 この場合と、二重結合が主鎖のどこにあるかを出来るだけ小さい番号によって表す。

CH2=CHCH2CH3「1-ブテン」

CH3CH=CHCH3「2-ブテン」

ちなみにブテンの異性体にはCH2=C(CH3)2(2-メチルプロペン)も存在する。

シス・トランス異性体

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二重結合を持つ2つの炭素原子とそれに結合する4つの原子は同一平面上にあり、二重結合を軸にひねるように回転させることはできない。このため、二重結合を持つ両方の炭素原子にそれぞれ違う原子(団)が接続しているとき、2つの立体異性体が存在する。これをシス・トランス異性体という。

例えば2-ブテンはCH3H>C=C<HCH3CH3H>C=C<HCH3の2つが存在する。このとき、主鎖(炭素数最多の鎖)となる炭素骨格が二重結合の同じ側にある方をシス (cis) 型、反対側にある方をトランス (trans) 型というので、前者は「シス-2-ブテン」、後者は「トランス-2-ブテン」である。よってブテンには構造異性体の1-ブテン, 2-メチルプロペンを含め、4種の立体異性体が存在する。注意すべきは、同種の原子団が同じ側にあるか反対側にあるかによってcis/transを区別するのではなく、あくまで主鎖が同じ側にあるか反対側にあるかによって区別する点である。例えば、CH3H>C=C<C2H5CH3CH3H>C=C<C2H5CH3では、前者がtrans、後者がcisである。

アルケンの性質

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付加反応

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二重結合のうち片方はσ結合と呼ばれる堅い結合。もう片方はπ結合と呼ばれる弱い結合で、水素やハロゲンなどが近づくとπ結合が切れ反応する。これを付加反応という。

  • CH2=CH2 + H2 → CH3-CH3
  • CH2=CH2 + Br2 → CH2Br-CH2Br
    • アルケンは1molにつき1molの臭素水を脱色する。アルカンは臭素水を脱色しないし、アルキンは1molにつき2molの臭素水を脱色するので区別できる。
  • CH2=CH2 + H2O → CH3-CH2OH
    • 一般にアルケンに水が付加するとアルコールになる。
  • CH2=CH-CH3 + HCl → CH3-CHCl-CH3
    • HClやH2O等、HX型の化合物が付加するとき、H原子はC原子に直接結合するH原子の多い方に結合する。これをマルコフニコフ則という。
    • ただし、ボラン類(BH3, BHR2など)の付加においては、H原子がC原子に直接結合するH原子の少ない方に結合する、逆マルコフニコフ則が適用される。

付加重合

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アルケン同士が付加反応を起こすと、多数のアルケンがつながった大きな分子が出来る。この反応を付加重合という。

付加重合はビニル基を持つものが起こす。一般的に書くと

  • n CH2=CHX → (-CH2-CHX-)n

となる。

還元性

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二重結合は酸化されやすく、酸化剤を与えると二重結合が開裂し、ケトンやアルデヒド、カルボン酸などになる。

  • CH3CH2CH=CHCH3 + 4(O) → (CH3CH2CHO +CH3CHO + 2(O)) → CH3CH2COOH + CH3COOH

過マンガン酸塩や四酸化オスミウムによる酸化では、2価アルコール(1,2-ジオール)を生じる。

  • CH2=CH2 + (O) + H2O → CH2OH-CH2OH

過酸-OOHによる酸化では、-C-O-C-で構成される三員環化合物、エポキシドを生じる。