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気候学/附録

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

気候学の用語集[編集]

  • アルベド:地表面が太陽光を反射する能力。反射率が高いほどアルベドが大きく、温度に影響を与える。
  • 温室効果ガス(GHGs):大気中に存在し、地球の熱を閉じ込めるガス。水蒸気、二酸化炭素、メタン、フロンなどが含まれる。
  • 気候モデル:気候の変動をシミュレーションするための数学的なモデル。大気、海洋、陸地、生物圏の相互作用を考慮する。
  • エルニーニョ現象:太平洋赤道域の海面温度が異常に高くなる現象で、全球の気候に大きな影響を与える。
  • ラニーニャ現象:エルニーニョ現象の反対で、太平洋赤道域の海面温度が異常に低くなる現象。
  • 熱帯収束帯(ITCZ):赤道付近で北半球と南半球の貿易風が収束する帯状の地域。降水量に大きな影響を与える。
  • ヒートアイランド現象:都市部の気温が周囲の農村部よりも高くなる現象。建物や舗装面が熱を吸収し、夜間に放出することが原因。

気候データ[編集]

気候データは、気温、降水量、風速、湿度、気圧などの観測値から成り立ちます。これらのデータは、以下のような方法で収集されます:

  • 気象観測所:地上に設置された観測機器で、気温、降水量、風速などを測定します。
  • 衛星観測:地球観測衛星を用いて、広範囲の気候データを収集します。雲の動きや海面温度などが観測対象です。
  • 海洋ブイ:海洋に設置されたブイが、海水温、塩分濃度、海流などを測定します。
  • 航空機観測:飛行機に搭載された観測機器で、上空の気象データを収集します。

気候モデル[編集]

気候モデルは、地球の気候システムを数値的に再現するためのシミュレーションツールです。主な気候モデルには以下のようなものがあります:

  • 全球気候モデル(GCM):地球全体の気候をシミュレーションするモデル。大気、海洋、陸地、氷床の相互作用を考慮します。
  • 地域気候モデル(RCM):特定の地域に焦点を当てた気候モデル。詳細な地形や土地利用の影響を再現します。
  • 単純気候モデル:気候システムの特定の側面をシンプルに再現するモデル。迅速な計算が可能です。

各気候区分の特徴[編集]

  • A(熱帯気候)
    • Af(熱帯雨林気候):年間を通じて高温多湿で、降水量が非常に多い。
    • Am(熱帯モンスーン気候):高温多湿だが、乾季が存在する。
    • Aw(熱帯サバナ気候):高温多湿な雨季と乾燥した乾季が明瞭に分かれる。
  • B(乾燥気候)
    • BW(砂漠気候):降水量が非常に少なく、蒸発量が多い。
    • BS(ステップ気候):降水量が少なく、短い雨季がある。
  • C(温帯気候)
    • Cfa(温暖湿潤気候):夏季に高温多湿、冬季に穏やかな気候。降水量が年間を通じて均等。
    • Cfb(西岸海洋性気候):夏季に涼しく、冬季に穏やかな気候。年間を通じて降水量が多い。
    • Csa(地中海性気候):夏季に乾燥し高温、冬季に温暖で降水が多い。
  • D(冷帯気候)
    • Dfa(温暖夏季湿潤気候):夏季に高温、冬季に寒冷。年間を通じて降水量が多い。
    • Dfb(温暖夏季海洋性気候):夏季に温暖、冬季に寒冷。年間を通じて降水量が多い。
    • Dfc(亜寒帯湿潤気候):夏季に短く温暖、冬季に長く非常に寒冷。
  • E(寒帯気候)
    • ET(ツンドラ気候):一年を通じて低温、短い夏季に植物が成長する。
    • EF(氷雪気候):一年を通じて非常に低温で、永久凍土が広がる。

世界の気候区分の分布図[編集]

Updated Köppen–Geiger climate map

世界の気候区分の分布図は、ケッペンの気候区分を基に作成されます。これは、各地域の気候特性を視覚的に示すものであり、気候学の研究や教育において重要な役割を果たします。以下に一般的な分布図の概要を示します:

  • 熱帯気候(A):赤道付近の地域に広く分布。アマゾン川流域、中央アフリカ、東南アジアなど。
  • 乾燥気候(B):砂漠地帯に広く分布。サハラ砂漠、アラビア半島、中央アジアなど。
  • 温帯気候(C):中緯度地域に広く分布。地中海沿岸、東アジア、アメリカ東部など。
  • 冷帯気候(D):高緯度内陸地域に広く分布。北アメリカの北部、ヨーロッパ内陸部、シベリアなど。
  • 寒帯気候(E):極地に広く分布。北極圏、グリーンランド、南極大陸など。

これらの分布図は、地理的な気候パターンを理解するための有用なツールとなります。また、気候変動の影響を視覚的に把握するためにも役立ちます。