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定義13.
二つの集合
が与えられているとする.任意の
に対して,
ある
が対応するとき
を
から
への写像といい,
と表す.
定義14.
に対し,

を
の(
による)像といい,特に
のときに
を全射という.
定義15.
全射であるとは
- 任意の
に対して
で
となるものが存在する.
定義14は定義15といってもよい.また
が1対1,すなわち
定義16.
で
であれば 
の成り立つときに
は単射という.
さらに
定義17.
が全射でありかつ単射のときに全単射という.
定義18.
に対して

のとき,
は
の(
による)逆像という[1].
定義19.
特に
が
から
への全単射であれば
に対して
となる
が一意的に定まるから
によって逆写像
を定義する.
このとき
も全単射であり,集合
による逆像は,
の逆写像
に一致する.
演習2.
とするとき
を求めよ.
(解答例)
.
定理5.
について次の命題が成り立つ.
であれば
証明
とすると
が単射でない場合
である
が存在することは必要であるが,同時に
となる
が存在する可能性がある.よって
.
(証明終)
定理6.
について次の命題が成り立つ.
であれば
かつ
.
証明
定義より任意の
に対して,ある
で
となるものが存在する.
このとき
または
であるから
または
.
すなわち,
ならば
または
.よって
.…①
逆は,明らかに
だから
[2].…②
①②より
さらに
であるから
[3][4].
(証明終)
定理7.
について次の命題が成り立つ.
であれば
.
証明
定義より任意の
について
すなわち
または
となる.
したがって
または
であり,ゆえに
.
逆はあきらかに
であるから
[5].
(証明終)
定理8.
について次の命題が成り立つ.
であれば
.
証明
のとき[6]
かつ
.
ゆえに
かつ
.
ゆえに
.
ゆえに
.
すなわち
ならば
だから
.
逆については,
かつ
,よって
より
[7].
(証明終)
定理9.
について次の命題が成り立つ.
であれば
.
証明
(証明終)
- ^
逆像
は写像ではない.さらにこの定義を「
は,
かつ
を満たす」と解釈する.
- ^
かつ
ならば
.
- ^
かつ
,従って
かつ
.
これに 「
かつ
ならば
」を適用すれば,
が誘導される.
- ^
一方「
」とはいえない.例えば
が単射でなく、
で
かつ同じ
で
の場合、
より
.それと同時に
より
でもある.すなわち、
. つまり
が単射でないので、
であっても
である限り
.
一つの
に対して
は必ず一つの値に定まるが、逆に一つの
を決めるとその
に対して
を満たす
が複数存在する可能性があるという、そもそもの写像の定義に、この式が等号ではないことの理由の本質があり、これは定理5も同様である.実際 演習2の
にて
のとき、
.
- ^
- ^
さて,いきなり冒頭からこう書き下してしまってよいのだろうか?そもそも定理6 の後半部分は等号ではなかったというのに、
である保証はあるのだろうか?これは「逆像
は実は写像ではない」という点に注意して以下のように説明できる.
定義18 の註の定義を仮定すると,
および
は以下の4式をすべて満たす,すなわち
…①,
…②,
…③,
…④.
特に②④より,
…②’,
…④’.
今,
であるとき
,したがって ②’が真となるためには
が成立する必要がある.また同様に
より ④’が真となるためには
が成立する必要がある.
以上より
ならば
.→すごくおかしい…検討が必要、ここでストップ
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