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測度論的確率論/準備/集合/集合

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

集合

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集合とは,「数学的に明確に定義された対象の集まり」をいう. 「数学的に明確に定義された」ということは,一つの対象を持ってきたときに,その集合に属しているか,それとも属していないかが明確に示されることをいう. 例えば「実数空間上に定義された滑らかな関数全体」は集合でない. なぜなら,どのような関数を「滑らか」というかがはっきりしていないからである. しかし「実数空間上に定義された各点で微分可能な関数全体」は集合である. 集合を構成する対象を要素またはという.

以下 等の記号は集合を表すものとする.

定義1. が集合 に属する元であることを と記す.

定義2. が集合 に属する元でないことを と記す.

定義3. 集合 が集合 含まれるとは

に属する任意の元が に属すること

をいい, または と記す.

定義4. 集合 と集合 一致するとは

かつ なること

をいい, と記す.

定義5. 集合 と集合 和集合 とは

または に属する元全体の集合

をいう.

定義6. 集合 と集合 共通集合 とは

の両方に属する元全体の集合

をいう.

定義7. 同様に集合列 に対して,どれかの に属する元全体の集合を と表す.

定義8. 集合列 に対して,すべての に属する元全体の集合を と表す.

定義9. また「元を持たない集合」を空集合 といい で表す. 任意の集合 について である.

定理1. を集合とするとき

(1)

(2)

証明

(1) に属する任意の元とする. かつ . すなわち または  かつ . これは または となり, すなわち .…①

逆に より . ( かつ ならば だから) .…②

①②より

(2)(1)に対して定理3を先取りして適用する. .(証明終)


定理2. を集合とするとき

(1)

(2)

証明

(1)の証明. とすると, かつ , したがって,ある(少なくとも一つの) について かつ . すなわち であり, これにより .…①

逆に任意の について であるから となり ( ならば と同じ理由で,) [1]…②

①②より(1)は証明された.

(2)の証明.(1) に定理3を先取りではあるが適用する。

(1)より . (証明終)

定義9. ある集合 の部分集合全体をなす集合を と記す.したがって を意味している. 特に である.

定義10. また 1 点 だけからなる の部分集合を ,あるいは簡単のため とも書く.

定義11. に対して

補集合という.明らかに である.

定義12. に対して

を集合 と集合 ,また

を集合 と集合 対称差という.

演習1. とするとき, を図示せよ.

(解答) 略

定理3. とするとき,次の命題が成り立つ.

(1)

(2)

証明

(1)を証明する. とすると すなわち かつ である. ゆえに したがって が示された.

逆に であれば かつ したがって となり が示された.

(2)を証明する. (1)に を適用する. (1) より すなわち だから をあらためて と書き直せば .(証明終)


定理3 はつぎのように一般化される.


定理4. とするとき,次の命題が成り立つ.

(1)

(2)

証明

(1)

(2)

(証明終)



  1. ^ さらにパラフレーズする.
    任意の について
    すなわち,
    …①
    …②
    …③

    各式の左辺の変化している部分に着目する.それは であり,今,左辺の和集合を考えると であるが,
    ①②③…,により はある集合 に対して だといっている.
    同様に だといっている. したがって といえることになるであろう.