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教唆犯

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

法学刑事法刑法刑法総論修正された構成要件:共犯(その2)教唆犯

条文

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第61条

  1. 人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。
  2. 教唆者を教唆した者についても、前項と同様とする。

要件

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故意

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教唆の故意につき、通説では、自己の教唆行為により、被教唆者が特定の犯罪を犯すことを決意し、かつその実行に出ることを表象・認容することとされる。

「未遂の教唆」の設例

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  1. 甲は乙に、金庫の中が無一物であることを知りながら、現金が入っていると偽り窃盗を教唆した。
  2. 現実に現金が入っていたが、甲は乙の着手後、直ちにその犯行を阻止する意図であった。
    1. 主観的危険犯抽象的危険犯の立場からは未遂犯が成立。しかしながら、教唆者によって形成された意思の形成時点において、そもそも危険はなかったのだから、不能犯となり不可罰。したがって、甲の行為は(窃盗において)可罰性がない。
    2. 具体的な危険が発生している。
      (教唆犯成立)この場合の「結果」とは、正犯に未遂行為を行わせることにより結果発生の具体的危険を生ぜしめたことであり、このことについては教唆者も認識しており、主観的要件に欠くところはない。従って、教唆犯が成立する。
      (教唆犯不成立)教唆者は、「結果」を認識しているが、同時に「結果阻止」を企図しているので「結果不発生」をも認識している。正犯による結果発生につき、未必の故意すらなければ、教唆犯として罪を問い得ない。(cf.「アジャン・プロヴォカトゥール」)

教唆行為

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方法は問わない。
明示的、暗示的、命令、指示etc

被教唆者の実行行為

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被教唆者が犯罪の実行に着手しなければ、教唆者は処罰されない。共犯従属性説の帰結である。

因果関係

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教唆行為と被教唆者の実行行為との間には因果関係が必要とされる。

教唆犯の従属性

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実行従属性

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法文上「犯罪を実行させた」とあることから、正犯が犯罪の実行に着手するまで教唆犯は成立しない。

要素従属性

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教唆者が処罰されるためには、正犯の行為が犯罪の処罰要件をどれだけ備えている必要があるか、という問題である。
かつては極端従属性説が通説および判例であったが、判例が制限従属性説を採用したことにより学説上も制限従属性説が支配的となっている。

罪名従属性

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教唆犯に成立する罪名は正犯のそれと一致するのが原則であるが、共犯の錯誤身分犯においては例外が認められている。

共犯と実行の着手時期

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