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刑法総論

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

法学刑事法刑法刑法総論

刑法総論の教科書。刑法総論は序論、犯罪論刑罰論で構成され、犯罪論内部では構成要件論、違法性論、責任論、罪数論で構成される。ここでは犯罪論を中心に解説する。

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ウィキバーシティ刑法総論の学習教材があります。

犯罪論体系の意味

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罪刑法定主義:刑法の自由保障機能

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ウィキペディア罪刑法定主義の記事があります。

法律主義

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遡及処罰の禁止

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罪刑法定主義の原則によれば、行為後に成立した法規を遡って適用することは許されない。日本国憲法第39条は、遡及処罰の禁止の原則を掲げている。(「何人も、実行のときに適法であった行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。」)この原則を、事後法の禁止ともいう。刑罰法規は、それが施行された時以後の犯罪に対してのみ適用される。

限時法

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類推解釈の禁止

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類推解釈を認めるか否かについては、激しい対立がある。拡張解釈と類推解釈とは、どのように区別されるのだろうか。拡張解釈とは、法規によって示された概念を可能な限り拡張して解釈する方法をいう。それに対して、類推解釈とは、法規の意味するところを超えて解釈することをいう。拡張解釈は許されるが、類推解釈は許されないと解されている。なぜなら類推解釈は、罪刑法定主義の原則に反することになるからである。

実体的デュープロセス

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明確性の理論

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ウィキペディア明確性の理論の記事があります。

不作為犯とは、ある一定の行為をしないことによって犯罪となるものをいう。例えば、不退去罪(刑法130条後段)、保護責任者遺棄罪(同218条後段)などである。これらの犯罪を、真正不作為犯という。これらの犯罪に対して、構成要件が作為の形式で規定されている場合にある一定の不作為が実行行為となる犯罪のことを不真正不作為犯という。例えば、嬰児の母親が殺害の意図をもって授乳しないことにより嬰児を餓死させた場合などである。通説・判例によれば不真正不作為犯は認められるが、これが実行行為として認められるためには、不作為があくまでも法律上の義務に違反するものでなければならない。

違法性論

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ウィキペディア違法性の記事があります。

行為無価値論·結果無価値論

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概要

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数ある刑法学の論点の中でも、現在最も激しく、極めて多くの論点に関係してくるものである。すなわち、刑法における違法性は法益を侵害したという結果の無価値(及びその危険性)によるもの(結果無価値論)か、それとも行為の反規範性に求める(行為無価値論)のか、である。ただし、日本においては純粋な行為無価値一元論はほとんど主張されておらず、結果無価値一元論と、結果無価値に加えて行為無価値も併せて考慮する結果無価値・行為無価値二元論の対立となっている。

議論の歴史

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本来はドイツで成立した議論である。ヴェルツェルにより従前の刑法体系を結果無価値論と名付けてこれを批判し、自らの立場を行為無価値論として社会的価値観を基礎に刑法を解釈すべしと主張された。 その後戦後の新憲法を背景に、平野博士によって団藤博士を始めとする従前の刑法体系を価値の押し付け的な行為無価値論であるとして批判し、刑法の違法性はあくまで結果無価値によるべきとする論が展開された。

行為無価値論の代表とされた団藤博士や大塚博士らがそれぞれ主に主観主義刑法、目的的行為論等との論議に目を向け、積極的に結果無価値論に対する反論をしてこなかったために結果無価値論は隆盛し学会において多数説化する。とりわけ東京大学においては、早世した藤木博士の後任に結果無価値論者の内藤が招かれたことによって、実務は未だいわゆる行為無価値論(正確には結果無価値・行為無価値二元論)を採るにもかかわらず、刑法講座は全て結果無価値論者で占められる事態となり理論と実務の乖離が進んでしまう。

その後大谷教授前田教授らによる対立の止揚が試みられる一方で、山口教授による平野説を基本とした結果無価値の徹底的な純化も図られた。

戦後隆盛した結果無価値論が一応の到達点を見たこと、ロースクールの開講によって学者といえども実務の実態を無視できなくなったことなどから、今後議論の方向性が変化するとも考えられる。

代表的立場

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単に結果無価値論、行為無価値論と呼ぶことが多いが、完全な二項対立ではないことに注意すべきである。

  • 関西結果無価値一元論
    中山山中松宮等。関西系の学者は条文の国語的解釈をより重視する傾向にあると言われることがあり、関東系とは若干基本とする立場が異なる場合がある。基本的には瀧川博士の法系。
  • 二元的結果無価値論
    前田、木村等。前田教授は結果無価値論の代表的論者と言われる事が多いが、行為無価値論に立つ藤木博士の実質的犯罪論の立場を受け継ぎつつも行為無価値的な判例を結果無価値的に読み替えようとする立場であるため結果無価値論の中でも異端であり、典型的な結果無価値論とは異なる。
  • 二元的行為無価値論
    団藤、大塚、福田、川端、佐久間平川井田高橋野村、大谷等。一般に行為無価値論という場合には、こちらを指す。行為無価値を基本に結果無価値をも合わせて考慮しようという立場。いわゆる通説である。
  • 一元的行為無価値論
    藤木、板倉伊東等。「国民にわかりやすい刑法」をスローガンに処罰の必要性を重視した刑法体系(実質的犯罪論)を構築し実務へも影響を与えたが、行為無価値の過度な重視として学者からはイデオロギー的な反発を受けたが、実務においては少なからず受け入れられた。

議論の構造

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違法性阻却事由

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  • 正当行為
  • 正当防衛
  • 緊急避難
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過剰防衛·過剰避難

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  • 過剰防衛
  • 過剰避難

違法性阻却事由の錯誤

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誤想防衛·誤想避難
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  • 誤想防衛
  • 誤想避難
誤想過剰防衛等
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  • 誤想過剰防衛

責任

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道義的責任と社会的責任

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  • 道義的責任
  • 社会的責任

行為責任と人格責任

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  • 犯罪体系上の故意の位置づけ
  • 構成要件的故意
  • 構成要件的事実の錯誤
  • 違法性の意識の要否と位置づけ
  • 違法性の錯誤
  • 幻覚犯
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