独学ガイド/理工学一般/微分積分を学び始めたあと

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微分積分を学び始めたあと[編集]

微分積分が身についてきたら、新たに線形代数などを学びつつ、物理学や化学や生物学なども勉強してください。

微分積分・線形代数の後の数学の学習[編集]

たとえば工学部での数学のカリキュラムでは、1年生で微分積分と線形代数を学び、2年生で微分方程式および複素解析学というのを学び、3年の終わりまでにフーリエ解析やベクトル解析というのを学ぶのが、典型的なパターンです。

結局、高度な学問をやろうとすれば、理由は分からんが、なぜだか微分積分・微分方程式・複素解析のような解析学は避けて通れません。なので理系なら、解析学を学んだ上で、グラフ理論とか代数学とか、統計やトポロジーを学びましょう。

さて、解析学を学ぶなら、微分方程式→複素解析学の順序で学ぶと良いでしょう。

「理工系の解析学」などのようなタイトルで、これらの分野を一通り解説した教科書があるので、それを買うと良いでしょう。「理工系」のように「工」の字が入ってるかどうかがポイントです。単なる「解析学」という場合、数学科専用の、証明の厳密な解析学である場合があって、大多数の数学科以外の理工系の学習者には向きません。

なお、「理工系の解析学」の一通り解説の概論書を買うのに加えて、さらに、理工系の「微分方程式」の教科書、理工系の「複素解析学」の教科書も、必要です。

なぜなら、概論書だけを買っても、証明などの説明が不足し、結局、あとで「微分方程式」「複素解析学」専用の教科書を買い足すハメになるからです。

フーリエ解析は、これら「微分方程式」「複素解析学」を学んだ結果、フーリエ解析に用いている数学が分かるようになるような学問であり、あまり数学力の養成そのものにはフーリエ解析は向きません。当面は、フーリエ解析よりも「微分方程式」「複素解析学」を優先したほうが学力の養成には良いでしょう。

これらの科目の他にも数学の分野は多くあるので、あなたの勉強したい専門分野に合わせて、なにか数学の概論的な入門書を買っておくと良いでしょう。

近代数学は、このほかにも多くの分野がありますが、すべては短期間では学びきれません。確率や論理や集合や幾何学や整数論など、近代数学だけでも、いろいろな分野があります。さらに現代数学の初歩も含めると、もっと多くの分野になります。

しかし、初学者には時間が足りず、近代数学の全分野を学びきれません。なので、自分の専門の必要に応じて、必要な数学の分野を、あとから学び足していく必要があります。

数学全般の概論書を買うにしても、概論書が分厚い本になってしまいます。理想的には色んな分野を勉強したいでしょうが、その時間がありません。


近年では「情報系の数学」「情報系のための離散数学」(「離散数学」は「りさんすうがく」と読む)などのようなタイトルで、昔ながらの線形代数や微分積分 ~ フーリエ解析などの授業では扱いきれないような、論理学や整数論などの初歩的な話題がまとめられた本も出版されてるので、必要ならばそういうのを買うのもよいでしょう。

物理学と力学[編集]

機械工学・電気工学など応用科学よりも、まずは物理学を優先してください。物理学と化学・生物学なら、当面は、物理学を優先してください。さらに物理学のなかでも、まず力学を優先してください。大学の学科によっては、力学をあまり学ばないところもありますが(たとえば電気系の学科など)、独学では力学を優先してください。

大学の力学を知らずに、電気物理や化学などの他の科目などを勉強しても、効率が悪いのです。力学の勉強では、計算練習も必要です。よって、教科書を買う必要があります。「力学」専用の本を買ってください。物理学の概論書ではなく、理工系の「力学」専用の本を買う必要があります。

大学の力学では、剛体の回転運動を扱います。角運動量や慣性モーメントという量を新たに習います。また、高校で習った微分積分やベクトルなどの数学を、大学の物理では活用します。

力学には計算練習が必要なので、計算問題もある書籍を買ってください。また、買う際には、目次を確認して、角運動量・慣性モーメントなどを紹介してる書籍であるかを確認するべきです。「理工系の力学」みたいなタイトルの本を買えば、だいたい計算問題があります。

物理学専用の書籍の場合、計算問題が少ない書籍もあったりするので、初心者はなるべく手を出さないほうが安全でしょう。


なお、間違えて「材料力学」「工業力学」「構造力学」などの機械工学や土木工学用の専門の力学の本を買わないようにしてください。

ともかく「力学」の本の購入では、「理工系」に合わせた本を買うのが安全でしょう。「工業系」ではなく「理工系」と銘打ってる本を買うと安全でしょう。たとえ生物学科の学生や機械工学科の学生など、物理以外の他分野の学生でも、時間があれば物理学用の力学の本の前半部分くらいは理解できるようには、力学の教科書が噛み砕かれて書かれてあるはずだと思います。

物理学は、他にもいろんな分野があります。なので、概論書などで、概要を知るのも良いかもしれません。しかし、力学の教科書だけは、概論書だけではなく「力学」専用の教科書を買っておいたほうが良いでしょう。

概論を知りたいなら、「理工系の物理」みたいなタイトルの本を買うと、計算練習なども充実していたりして、便利かもしれません。

  • 理工系向けに力学をあつかった出版社
サイエンス社
裳華房
共立出版
岩波書店

などです。(微分積分の出版社とほぼ同じです)

裳華房・共立出版・岩波書店は、理工系に対応してない物理学書もあり、計算問題が少ない場合もあるかもしれません。

電気磁気学[編集]

電気というのは便利ですが、目に見えません。 また、高電圧などは、使い方を誤ると感電など死亡事故の原因になります。

このことを念頭に、大学レベルの電磁気学を勉強する必要があります。


電気というのは目に見えないので、よく勘違いをしやすい分野です。なので初心者は、計算問題を通じて、死なないために確実に理解する必要があるのです。 計算練習はそのためにあります。けっして、大学院受験のための問題ではないのです。


なので、まずは「理工系」対応をうたってる電磁気の教科書で、一通り勉強する必要があるのです。もちろん、高校の教科書レベルの電磁気の計算はできることが前提です。

つまり、いたずらに「多くの公式を暗記しよう」とかするのではなく「多くの問題の解法を暗記しよう」とするのではなく、また「高度なことを早く理解しよう」とするのではなく、当面は、まず基本的なこと重点に、確実に電磁気を理解をすることを目指すべきです。


困った事に、電気系の国家資格に電磁気学が組み込まれていたり、大学院入試に出やすいので、しばしば大学でも、資格試験対策や院受験対策のような勉強法が、(大学でも)目立ちます。

とにかく、確実に基礎・基本を理解することを、当面は目指すべきです。


そのために、まず、

高校物理の電磁気はほぼ完全に計算練習をした上で、もちろん高校数学3も習得し、
そのうえで、大学教養課程レベルで物理学者の書いた「理工系」の入門的な「電磁気学」を勉強する必要があります。
計算に時間が掛かってもいいので、なるべく確実に解けるように目指す。

上述したように、物理学者の書いた電磁気の本が必要です。

とにかく、きちんと基本的な計算問題が解けるレベルで理解する必要があるので、まず1回は物理学者の書いた電磁気の本を買って読んで、計算練習してください。

高度なことは書かれてなくてもよく、大学物理の基本的なレベルの電磁気学で、かまいません。


また、物理の応用的な理由からも、理工系に向けた「電気磁気学」の教科書を買って勉強するのが良いでしょう。電気を使う工業製品は多いし、化学反応にも電気は関わりますから、化学や生物学でも電気の知識は使います。大学の化学科や生物学科の多くで、電気磁気学が必修科目的な扱いをされてると思います。とりあえず理工系用の電気磁気学の標準的な本を買っておけば、解説も充実してるし、当面は問題がありません。


いっぽう、理工系ではなく、電気工学用の電磁気学の本は、初学者は買わないほうが良いと思います。後述する理由により、工学者の書いた電磁気の本は、理工系の初学者・独学者には仕えません。

また、もし電気工学用の電磁気学の本を買うにしても、書籍の種類が多く、工業高校レベルの本から大学専門課程レベルの本までと幅広く、初めて電磁気を学ぶ人の独学用には、電気工学用の電磁気学は書籍選びが大変で不向きでしょう。

また、工学書によくあるパターンとして、証明的な解説が、ところどころ不足しています。(そのぶん、応用の話題が多いですが。)

独学をする際、証明を追っていく必要があるので、理工系の電磁気学の本を読んだほうが、初学者には安全です。

なお、間違って、物理学科専用の高度な電磁気学の本を買わないでください。電磁気学は内容が大量な分野なので、物理学科専用の電磁気学では、理工系のほかの学科では習わないようなことも習います。ですが、そのような物理学科専用の電磁気学は、内容が高度すぎるので初学者には不適切です。

ともかく、理工系に合わせた電磁気学の本が必要です。

そして、電磁気学の勉強では、計算練習が必要です。少なくとも、理工系入門用の教科書の練習問題くらいは、一通り解けるように練習してください。

「電気回路」という書籍ではなく、「電気磁気学」「電磁気学」という書籍を優先して勉強してください。高校の物理で、クーロンの法則など、静電気力を習ったと思います。ローレンツ力の計算など、電磁誘導の計算を習ったと思います。コンデンサの内部の電位や電場の計算などを習ったと思います。

そういう分野が、電気磁気学の分野です。 いっぽう電気回路とは、オームの法則とか、キルヒホッフの法則とかの分野です。

製造業などへの応用では電気回路も重要です。しかし、電気磁気学の適切な入門書を見れば、電気回路の初歩的な説明や計算問題なども書いてあります。なので、初学者は、当面は電気回路を買い足す必要はありません。いっぽう、電気回路の本を読んでも、あまり電気磁気学のことまでは書いていません。

どっちみち、電気回路の知識だけでは、流行の半導体産業やデジタル家電や集積回路などのエレクトロニクスなどは、まったく理解できません。エレクトロニクスには、さらに「電子回路」などの知識が必要になります。


  • 理工系向けに電気磁気学をあつかった出版社
裳華房
共立出版
サイエンス社
培風館
岩波書店


これらの出版社は、入門者向けの他にも、大学上級学年向けの本も出してるので、買う際には、きちんと「理工系の1〜2年生向け」であるかどうかを確認してください。

電気磁気学は、著者によって、個性が強いので、複数の出版社の書籍を購入して、つまり、出版社の別々の2冊以上は持って置いたほうが、安全でしょう。

電磁波が目に見えないこともあって、人によって、説明の仕方が工夫されてて、個性があります。

このほかの出版社にも、丸善出版や朝倉書店などが、電気磁気学などの物理学書を出していますが、これらは、けっして初学者が電気磁気学書の1冊目に読む本ではありません。丸善や朝倉の教科書は、読者がすでに裳華房や共立出版などの初心者向けの電気磁気学の本を読んだ事を前提にしてる書籍の場合が多いので、ここウィキブックスでは詳細は紹介しません。

また、丸善出版の物理学書は、物理学科志向の本が多いです。そのため、理工系の初心者にとっては、余計な話題が多かったり、計算問題が不足してたりして向いてません。

ただし、2冊目以降に読む場合なら、丸善などの物理の書籍は、なかなか使えます。なぜなら、他社の本で説明が省略されて内容が書いてあるからです。

もちろん、丸善出版でなくても、2冊目以降に使えそうな本はいろいろな出版社が出しています。裳華房や共立出版などが入門者以外に出している、やや詳しめの書籍を買うのも良いと思います。


  • 工学系の出版社

工学系の出版社が電気磁気学の本を出していますが、初学者は、わざわざ工学限定の本を読む必要はありません。 なお、

コロナ社
オーム社
電気学会大学講座

などが、工学系の出版社として、電気磁気学の本を出しています。

なお、電気主任技術者試験3種(通称:電験3種)などの資格試験などに出る電気磁気学の勉強をする際には、それらの資格試験での電磁気学の試験範囲が、これらの書籍の工学系の話題と重なってたりするので、それらを読む必要があるかもしれません。

一方、とくにそれらの資格試験を目指してないのに、わざわざ工学系の電気磁気学の本を読んでも、工学系の電気磁気学の書籍では、ろくに測定機器の構造・原理などの説明が書いてなくって公式ばかりだったり、力学などの関連がロクに書かれてなくて力学をどう活用すればいいか分からなかったり、座標変換の考察がないためポインティング・ベクトルの解説が分かりづらかったりと、あまり、物理学の理解を深めるのに、役立ちません。


なお、コロナ社は、工業高校の電気科の教科書も出しています。

また、電気学会大学講座からは、『電気学会大学講座 電気磁気学』という、かなり工学用の細かい電磁気学の公式が多い専門的な電気工学用の電磁気学の本が出ています(一般の物理学科の本には書かれてない公式が電気学会の電磁気学の本にはいくつも書かれてある)。もし大学の国公立や早慶マーチなどの電気工学科に進学するならば、この電気学会の電気磁気学の教科書の計算問題は、短時間で大量に解くように練習させられたりしますので、進学するつもりのある人は読むとよいでしょう。どういう事かというと、電気工学科の単位が、国家試験「電気主任技術者試験」の、一次試験かなんかの免除などの条件になっているのです。

生物と化学[編集]

化学・生物学はまず概論書を[編集]

一般に、大学の理科教育を評して、「大学では、生物は化学になり、化学は物理になり、物理は数学になる」などと言われます。

ということは、もし、大学レベルの生物学を勉強し続けるなら、そのうち化学の勉強もするべきなのです。

化学・生物学の初学者は、概論書をそれぞれ一つずつ、買っておくのが良いでしょう。理工系の大学の機械工学科や電気工学科などでも、生物学と化学を教養課程でそれぞれ教育します。だいたい1年か2年の教養課程あたりを想定して、生物学および化学をそれぞれ教育しています。

大学の化学や生物の授業でも、教科書として、大学生用の概論書を与えられると思います。それらの授業に用いられる教科書を前のほうから読み進めれば、特に問題は無いでしょう。けっして啓蒙書ではなく、大学生用の教科書として書かれた概論書を読んでください。

初学者は、化学・生物学よりも、数学と物理学を優先してください。

生物[編集]

高校生物や大学教養の生物でも、理工系的な考え方の入門を扱っていますので、たとえアナタが工学志望だとしても、一応は高校生物を読んでおいてください。

さて、最近の「理工系 生物学」みたいなタイトルの大学教科書を読むと、高校で扱った話題の復習も多いので、すでに高校で生物II(専門生物)を参考書レベルで勉強してきた人は、あまり深入りしなくていいです。

なぜ、復習がメインの授業かというと、現役で理工学部に大学入学した多くの理系大学生は、機械工学科・電気工学科・土木工学科などの入試の理科では物理受験や化学受験で受験してるので、生物IIを受験してないからです。

また、高校理科の生物カリキュラムの改訂により、近年(この段落は2016年に記述)、高校生物の教育範囲がかなり内容が広がっていて、それまでは高校生物の範囲外だった分子生物学などの入門が、近年では高校生物でも分子生物学などを教えるようになったので、それまで大学の教養課程で教えてた分子生物学の基本的な内容が、高校理科と重なってしまいました。

なので、大学理科の生物の教養課程の教科書を読んでも、あまり新たな情報が無いので、しばらくは学習は後回しでいいです。

また、市販のほとんどの教養レベルの「理工系 生物学」が、内容のほとんどが高校の復習も兼ねた内容になっているので、すでに高校生物のチャート式生物などを持ってる人は、わざわざ教養レベルの「理工系 生物学」的な本を買う必要がありません。

かといって、タイトルに「理工系」のついてない「教養 生物学」などを買うと、文系学生向けだったりして、さらに高校の復習が多い本だったりするので、独学者は買わないでいいでしょう。


どうしても、大学レベルのより高度な生物学を全般的に知りたければ、羊土社(ようどしゃ)から出版されてる教科書で、東京大学の生物系の教員たち(東京大学生命科学教科書編集委員会/編 )が著作した『理系総合のための生命科学』という(けっこう分厚い)教科書があるので、それを読むのがいいでしょう。

この『理系総合のための生命科学』は、ほとんど高校の復習をしていないので、さっさと大学レベルの生物の学習に入れます。もちろん、まだ高校生物II(高校3年の専門生物)を読んでない人が読んでも、チンプンカンプンで無駄です。もしアナタがまだ、高校の生物IIを学んでなければ、先に生物IIを高校参考書で勉強しましょう。

むしろ「理工系 生物学」的なタイトルの教科書は、ハンドブックまたは副読本的に使うのがイイでしょう。高校生物だと、最低限の説明しか書いてないので、高校生物では補足的な説明が読めませんし、また、高校生物では化学式や数式なども、かなり省略されていますので。


あと、日本人が書いた本を買うべきです。初学者は、教養課程用の生物学の教科書を買う際、日本人の生物学者の著作した本を買うべきです。アメリカ人の生物学者が書いた本の翻訳本は、日本の大学生物の初学者には不便です。

なぜなら、アメリカの大学低学年の理科のほとんどは、日本でいう高校レベルです。洋書の分厚い生物学入門書では、日本でいう「高校レベル」の話題から、日本でいう「大学レベル」の話題も含んでいるので、アメリカ生物教科書は教科書が分厚い割には、あまり高度な事は書いてません。しかも、値段が高い。

洋書の分厚い入門レベルの生物学入門書は、学生が読むよりも、むしろ、中学高校の生物学の教材を作成する仕事をしている人などが、教材に書こうとしている内容の真偽確認のために、必要に応じて読むのが良いのでしょう。

あと、間違って「生理学」という本を買わないようにしてください。生理学は、医学・看護学用の、主に人体の生物機能を、生物学的にあつかった分野です。

理工系を目指している初学者が、生理学の本を読んでも、当面はほぼ無駄です。(いちおう、看護学校向けの書籍などとして大学1年程度のレベルで読める生理学の入門書などもあるだろうが、その本の選び方が、初学者・独学者には難しい。そもそも医学・看護学向けの本の選び方がすごく難しい。独学者は、そんな医療分野の学習には、当面は関わらなくてよい。べつに「生理学を勉強するな」ではなく、まだ初学者のアナタは生理学を理解できる段階ではない、という意味。)


このほか、「分子生物学」という教科書は、入門レベルを大きく超えてるので、初心者には不適切です。

分からなくても、とりあえず読み進める[編集]

大学レベルの生物学の教科書を読んでるときに分からない語句があっても、とりあえず、教科書を最後まで読み進めてください。

なぜなら、まだ習ってない語句でも、読者にとくに断りなく、文中でいきなり出てきたりするのは大学レベルの教科書ではよくあることだからです。

高校の教科書とは違って、いちいち、のちの章で習う未習の語句に「○○ページ参照」とか、大学レベルの教科書では書いてくれないのです。(書いてくれる教科書もなかにはあるが、あまり期待しないほうがよい。)


科目によっては、専門用語の数がとても多く、いちいち、どの語句がどのページで重点的に解説されるかを、いちいち細かく記載してられないのです。(いちおう巻末索引はあるが、ただの索引である。)

生物系の科目は、特に専門用語も多いので、参照ページを紹介しきれない場合もあるのです。

なので、大学教養レベルの生物を学んでいて、わからない語句は、とりあえずその語句の1つくらい前の節あたりから解説を読みなおしてみて、それでも分からなければ、さっさと次の文章を読み進めるほうが良いでしょう。

生物学にかぎらず、大学の科目では、数学でも化学でも、専門科目に近づいていくと、だんだん、いちいちその教科書で後述する語句の参照ページを紹介しない教科書が増えてきます。

なお、数学や物理の場合は、さすがに分からないまま無視して進みすぎるのも問題でしょうが、しかし数学や物理ですら、分からない箇所よりも1章か2章ぶんくらいなら、先に進んでも、べつに問題ありません。ただし、これは(数学や物理の)専門科目の場合です。教養科目では、やや念入りに、分からない箇所の直前の解説を読み返してください。

その他の教養生物学[編集]

大学の教養課程の生物学では、高校レベルの知識があれば分かるけど、高校では時間不足のために高校範囲外だった補足的な話題も、いくつか教えます。

具体的に単元を言うと、脳や脳波(アルファー波など)の話題、ガン(癌)の話題、遺伝病(ダウン症やクラインフェルター症候群、ターナー症候群など)の話題、生命倫理(尊厳死など)の話題、性分化の解剖学的(ミュラー管やウォルフ管など)な話題や性ホルモン(オキシトシンやテストステロンなど)の話題、老化や寿命に関する生物学、脳死や臓器移植などの話題、・・・などです。

ただし、これらの教養生物学の分野を学ぶのは、理工系の学習に慣れてからでいいです。なぜなら、これらの話題を重点的に扱った教科書を探すのが、けっこう大変だからです。


大学教養生物の教科書を見ても、これらの話題(脳、ガン、遺伝病、生命倫理、・・・)すべてを1冊で扱ってはいないのが通常です。また、大学の教養課程では、そこまでの授業時間もありません。たいてい、高校の復習に加えて、上記の話題のいくつかを紹介する教科書が、何種類か売られてるだけです。

なので、独学者にとっては、適した教科書を探したり、そろえたりするのが、大変かもしれません。なので、慣れてからでいいので、高校生物の復習のついでと思って、例えば「教養の生物学」とかのタイトルの本を、何冊か買っておいて、読んでおいてください。

もしかしたら、「理工系の生物学」というタイトルの本で教科書を探すよりも、「教養の生物学」のようなタイトルで探したほうが、このような話題(脳、ガン、遺伝病、生命倫理、・・・)を多く扱った生物教科書を探しやすいかもしれません。

なお、もし、運悪く、どうしても、これらの大学教養生物の話題(脳、ガン、遺伝病、生命倫理、・・・)の教科書が見つからない場合や、あるいはインターネットでの教科書出版社のウェブ情報では上記の話題を扱ってるかどうか分からない場合、あるいは、これらの話題を重点的に扱っていた書籍が絶版になってしまった場合など、さっさと教養生物の学習を飛ばして、それよりも化学の学習に移ってください。


これら教養生物の話題は幅広いので、すべてを学ぶのは、初学者に無理です。理系の大学ですら、生物系・医療系の学科以外では(たとえば工学部の機械工学科や電気工学科などでは)、これらの話題すべては学んでいないと思われます。少なくとも、機械工学科や電気工学科などの工学部では、これらの話題すべてを学んでいないのが通常です。

なので、これらの話題を解説した大学教科書を何冊か読んだら、生物よりも化学などの学習に移ってください。

もちろん、化学に移る前提として、数学の偏微分・重積分の教科書の計算練習をしてあり、物理の力学(ベクトルと常微分を用いた力学)などの計算練習もしている、という前提の上で、生物から化学の勉強に移れ、ということです。


なお、教養生物でよくある単元のうち、ダウン症候群やクラインフェルター症候群など遺伝病に関する話題などは、市販の教科書では記述されない場合がありますが、しかし昔の大学の教養生物の授業中に配布プリントなどで大学教師が教えたりする場合がありました。

どうしても遺伝病の教科書が見つからない場合、看護学やコメディカル(放射線技師のような、医者以外の医療関係職)などに向けた「病理学」の本を読むと、遺伝病の話題も書いてあります。

アルファー波などの教科書も、看護学やコメディカルなどに向けた「生理学」(せいりがく)の本に書いてあります。心理学の教科書にも脳波について書いてあったりしますが、書いてなかったりする場合もあります。脳波の記載について確実を期すなら生理学の教科書を読むのが確実です。

医学書にも書いてありますが、分厚すぎるし、専門用語が多すぎるし、医学部の3年生以上の上級生むけに書いてあったりするので、私たち初学者が読むのは看護学やコメディカルなどの教科書にしておくのが無難です。

化学[編集]

大学レベルの化学の教科書の出版社は、東京化学同人や化学同人、培風館、共立出版、裳華房などです。(化学同人と東京化学同人は名前は似ているが別の出版社です。)

(勉強法は、数学教科書や物理教科書の出版社と、ほぼ同じです。大学化学の教科書出版社には、東京化学同人および化学同人が、さらに加わってる。)

さて、大学レベルの「理工系 一般化学」みたいな教科書を、2冊ほど別々の出版社から買っておいて、読んでおいてください。

なぜ出版社を別々にして2冊買うのかというと、大学の一般化学は、高校化学よりも物理学内容が高度になっているので難解であり、出版社によって、あなたへの 向き・不向きがあるからです。たとえば、量子力学的な式に深入りして化学に活用する説明が向いている学生もいれば、あまり量子力学に深入りしない説明が向いている学生もいます。


初学者が、大学の化学の教科書を読んでも、物理の知識が不足してるのでどうせ理解しきれません。なので、概論書を一通り何回か読んだら、以降は物理の力学や電磁気学などの学習に取り掛かってください。

化学の概論書を読んでいて、もし自分の物理の知識が不足していて「物理の勉強が必要だ」と感じたら、その物理分野を学んでください。物質に電気を加えることで化学反応が起きたり、熱を加えることで化学反応が起きることもありますから、化学には、物理の熱力学や電気磁気学も必要になります(なお、これらの物理理論を活用する化学の分野を、物理化学という。物理化学の専門書は難解なので初学者は読まなくてよい。物理化学を読むよりも、物理学そのものの教科書を読んだほうが初学者にはよい)。


さて、「理工系 一般化学」の3冊目や4冊目を買うよりも、むしろ、時間があるなら「大学 無機化学」「大学 有機化学」など専門課程の教科書を両方とも買ってしまうのもいいでしょう。 タイトルだけでは、「大学 無機化学」「大学 有機化学」からは専門課程であることが分かりませんが、普通、これらのタイトルの本の内容は、専門課程の有機化学または無機化学です。

念のため、出版社のホームページなどで、専門課程向けであるかどうか、確認しましょう。

大学では、化学の専門科目は、化学科と材料工学科を除くと、あまり教えないので、「理工系 有機化学」みたいなタイトルの本は少ないのです。


「大学 有機化学」「大学 無機化学」などでは、大学レベルの「理工系 一般化学」などでは省略されてる話題が、無機化学や有機化学では書いてあります。「大学 無機化学」「大学 有機化学」を買う場合、「一般化学」では説明不足のことを調べるための専門書として使うのが目的なので、やや分厚め、やや詳しめの教科書を買うとお得でしょう(例えるなら、高校の歴史科目の参考書でいう山川出版『詳説研究 世界史』とかの分厚い参考書を買うみたいなノリ)。


「有機化学」「無機化学」は教養課程には無いのが普通なので、「教養 有機化学」みたいな本はありません。あったとしても、理工系志望者は買う必要は無いでしょう。

もしかしたら「理工系 有機化学」みたいなタイトルの本はあるかもしれません。


さて、大学レベルの有機化学の本のいいところは、理解しておけば高校化学の暗記の負担がやや減るところです。


なお、「量子化学」「物理化学」「分析化学」などにはまだ深入りしなくていいでしょう。また、「理工系 一般化学」の教科書にも、「物理化学」「量子化学」など、化学の各分野の基礎が一通り書かれていますので、わざわざ「物理化学」「量子化学」を買い揃えなくてもいいです。

たとえ、あなたの購入した「理工系 一般化学」の教科書には「物理化学」「量子化学」の話題がほとんど書いてなくても、「大学 無機化学」「大学 有機化学」を買えば、そちらに「物理化学」「量子化学」などのような各分野の話題も少しは書いていますので、あまり全分野の書籍を揃える必要はありません。

それに、たとえ「理工系 一般化学」「大学 無機化学」「大学 有機化学」などの入門的な科目の教科書にすら書かれてない「量子化学」「物理化学」の内容を読んでも、物理学の知識がまだ不十分なので、どうせ理解できません。

さて、購入について。「大学 無機化学」「大学 有機化学」のどんな本を買うべきかは、できれば日本人の化学者が書いた本を買うのが無難ですが、しかし大学化学の専門科目となると、あまり日本人学者の書いた分厚い本が出版市場になく、欧米人が書いた本を買わざるを得ないかもしれません(出版社にもよるが、日本人の化学者が著作した「大学 無機化学」「大学 有機化学」の本は、150ページ〜200ページほどの、薄い本が多い)。


さて、一般化学からの物理学習の際、力学・電磁気学のそれぞれの教科書と、物理全体の概論書が手元にあれば、けっこう多くの分野に対応できると思います。

同様に生物学を学ぶ際、必要に応じて、化学や物理や数学などを勉強してください。


地学・天文学には深入りできない[編集]

時間を掛けて勉強する際、地学や天文学においては、大学レベルの初学者にとって手頃な教科書があまりありません。それどころか、大学によってはこれらの科目の授業が無い場合もあります。

もし本格的に大学レベルの天文学を学ぶとなると、相対性理論やら宇宙論なども併せて勉強しなくてはならず、とても難解になってしまいます。地球科学も同様で、気象学・流体力学などを習得する必要があり、初学者に適した教科書がほとんど無いのです。

概論的に地学・天文学を解説した、初学者向けの平易な教科書も出版されていますが、ほとんどの場合は計算問題などが十分な量は書かれておらず、なので学力の養成にはあまり役立たないため、当面の学習ではさほど地学・天文学に深入りすべきではありません。

もし時間と金銭に余裕があるのなら、自然科学の理解が深まるので地学や天文学の本も無論読んだ方が良いです。

洋書の和訳本は当面は不要[編集]

ただし、「有機化学」「無機化学」やら「分子生物学」などのような科目名の専門課程の本では、洋書の和訳本でも、日本人に使える本もあります。

例えば、どうしても洋書をつかって「化学」を学習したいなら、洋書で「一般化学」などと銘打った分厚い入門書を買うよりも、いきなり「有機化学」「無機化学」などの専門分野の書籍を買ってしまうほうが、日本人にとっては無駄が少なく安全です。

生物学では、どうしても洋書をつかって「生物学」を学習したい場合、あきらめてください。生物学では、日本人の初心者には、適する洋書が、ないです。

初心者レベルではければ、洋書でも「分子生物学」の専門分野の分厚い洋書が、他の入門書を読んでて気になることを深入りしたい際に洋書「分子生物学」教科書を事典のように活用することで、分からないことを調べる際に役立つのですが、しかし初心者には、洋書の「分子生物学」は細かすぎて、とうてい手に負えません。


さて、化学の洋書では、上巻・下巻の2冊に分かれていたりする場合も多く、じっさいに上下巻の洋書を読んでみると、調べたいことを探すのに不便だったりします。

なので、特に理由がないかぎり、日本では、あまり洋書を買う必要がありません。

わざわざ洋書の「有機化学」「無機化学」を買うよりも、日本人の書いた「一般化学」「有機化学」「無機化学」を買い揃えたほうが、簡潔に大学レベルの内容が各科目ごとに1冊にまとまっていて(上巻・下巻に分かれていないので)調べやすく読みやすいので、なるべく日本人の書籍を買うほうが得です。

上下巻に分かれている洋書の化学本を読む対象者は、けっして(理工系の)初学者ではなくて、プロレベルの研究者などが、基礎理論を確認・検証する場合などに、事典的に確認して読むものでしょう。


さて、生物学では、洋書の大学1年向けの生物学入門書を読んでみると、日本の高校レベルどころか、中学レベルの話題(たとえば、草食動物と肉食動物の視野のちがい、などの話題)も扱っていたりして、ハッキリいって、日本人が読んでも、なかなか(日本でいう)「大学レベル」の話題にたどりつけず、日本人にとっては不便です。

もし、中学校用の教材をつくる教科書作成者などにとっては、日本の中学校で習うような話題についても、あえて深入りした、分厚い文献も必要でしょう。しかし、日本の一般の理系学習者にとっては、そのような中学レベルの話題にも深入りした分厚い文献は、不要です。


さて、物理学の洋書では、「ファインマン物理学」シリーズは有名ですし、あまり分厚くないので読みやすいのですが、しかし冊数が5分冊と多すぎるし、練習問題が不足しています。しかも、著者ファインマンは1980年代に死没してしまったので、現代では内容が古いまま、更新されていません。このため、現代の日本人にとっては、「ファインマン物理学」シリーズは、けっして、いきなり読む本ではなく、まずは他の物理学書を読んで、わからないことがあったときに、もし図書館に「ファインマン物理学」シリーズがあれば、借りるのが良いでしょう。

補記[編集]

微分積分を学び始めたあとは、岩波書店の「理工系の数学入門コース 新装版」「物理入門コース 新装版」からはじめてみましょう。入手はAmazonからでも可能です。30年以上経ってますが、今でも大学で使われています。