病理学/泌尿器

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腎臓[編集]

腎炎は大別して、糸球体腎炎と腎盂腎炎との2つに分類される。

尿の異常[編集]

血尿とは、医学的には、尿中に赤血球の混入する症状である。

血尿は、腎臓から尿道にいたる経路になんらかの疾患があるため生じる。

※ このため医学書では、血尿は『腎臓』の単元に分類される。


血尿に限らずタンパク尿も、腎臓の疾患である可能性が通常は考えられる[1][2]

さて、血尿については、健常人でも尿沈渣で一視野あたり2~3個の赤血球は尿中に検出される。

※ 「査」でなく「渣」であることに注意。なお「尿沈渣」とは、尿を遠心分離し、その沈殿を顕微鏡で観察すること[3]

同様に、タンパク尿についても、健常人でも1日あたり数十mg[4][5]のタンパクは尿から検出される。

病的なタンパク尿で見られるタンパク質の種類は、その原因にもよるが、糸球体に病変のある場合には、アルブミンなど低分子のタンパク質が主体として尿に見られる。

※ 頻尿、乏尿などの説明は、『スタンダード病理学』にしか見られない。


ネフローゼ症候群[編集]

ネフローゼ症候群では、1日あたり3.5g/dL以上のタンパク尿を生じる。

高タンパク尿、
低アルブミン血症、
全身の[6]浮腫、
高脂血症[7][8][9]

の4症状が見られる。

この4症状の因果関係としては、 おおむね、本来なら血液中にあるべきタンパク質(特にアルブミン)が、病変により血液中に漏れ、その結果として、まず、高タンパク尿および低アルブミン血症が起きていると考えられている。

そして、血漿中の膠質浸透圧が低下することにより、浮腫が全身で起きていると考えられる。

ネフローゼ症候群では、なぜか高ステロール血症を合併する事が多いことが、知られている。

ネフローゼ症候群は、さらに分類され、

  • 微小変化群、
  • 単状糸球体硬化症
  • 膜性増殖性糸球体腎炎

などに分類される。

微小変化群[編集]

小児のネフローゼ症候群のほとんど(約80%)を占める。

ステロイドが効くが、再発を繰り返すので、ステロイド依存性[10][11]になる。

※ スタンダードでは「依存症」という言い方。シンプルでは「依存性」。

原因は不明の病気だが、ステロイド治療で回復すること等から免疫系の異常である可能性が考えられている[12]

顕微鏡での観察でも、免疫複合体-補体の沈着は見られない[13][14]

単状糸球体硬化症[編集]

糸球体全体ではなく、糸球体の一部の分節に病変が見られる。

病因[15][16]は不明である。

※ なぜか医学書では、ここだけ「病因」という言い方。

膜性増殖性糸球体腎炎[編集]

30~50歳代の中年に多い。男性に多い。

二次性の腎炎[編集]

ループス腎炎[編集]

全身疾患の全身性エリトマトーデスにともない、腎糸球体の腎炎が合併症として見られ、これをループス腎炎という。ループス腎炎では、糸球体に免疫複合体だが沈着する。

IgA腎炎[編集]

1963年にフランスのBergerによって報告されたのでBerger病ともいう。糸球体メザンギウム細胞を中心とした、糸球体の炎症と硬化である。原因不明。

患者の50%[17]は血清中に(免疫グロブリンである[18])IgA抗体濃度が上昇している。 尿検査で気づかれることが多く、血尿やタンパク尿で気づかれることが多い[19][20]

ヘノッホ・シェーンライン紫斑病腎炎[編集]

IgA腎炎と似た症状に加えて、全身の皮膚にヘノッホ・シェーンライン紫斑を生じる腎炎があり、この腎炎でも糸地体にIgAの沈着をみとめ、血中IgAが高い値になる[21][22]

※ 『標準病理学』には記載なし。
※ ヘノッホ・シェーンライン紫斑について詳しくは皮膚の単元(未作成)を参照せよ。

糖尿病性腎症[編集]

糖尿病にともない、タンパク尿が見られる。ネフローゼ症候群が出る場合がある。

メザンギウムに結節性の病変がある。(キンメルスチール・ウィルソン結節)

※ 「結節」という用語で説明されるが、その定義が医学書に無いので、読者は詳しくはキンメルスチール・ウィルソン結節の写真を医学書で確認のこと。

腎アミロイドーシス[編集]

糸球体にアミロイドが沈着する。なお、アミロイドはコンゴー赤で陽性に染まりオレンジ色を呈する。

患者はタンパク尿、およびネフローゼ症候群を併発する。

アルポート症候群[編集]

遺伝性疾患。腎障害のほか、難聴、視力障害をともなう[23][24]


悪性腫瘍[編集]

腎細胞癌[編集]

古典的には、

血尿,
腹部腫瘤の触知、
腹部の疼痛

の3特徴が腎細胞癌の典型的な症状である[25][26][27]

しかし最近では、医療機器の進歩により、超音波検査やCT,[28] MRI[29]などで発見される事も多い[30][31][32]

検診[33]、他疾患の精査[34]のための超音波検査やCT,MRI検査、あるいは人間ドック[35]などで偶然に発見される事例も多い。

好発年齢は、50~60歳代である[36][37]

※ 血液の異常も見られるようっだが、『標準病理学』と『スタンダード病理学』で説明が食い違っているので、詳細が必要なら読者は、さらに詳しい専門書を確認のこと。

「グラヴィツ腫瘍」というのも、腎細胞癌の一種[38][39]

※ 『標準病理学』および『シンプル病理学』ではグラヴィツ腫瘍を扱わず。

いくつかの種類があるが、肉眼で黄白色の境界明瞭な腫瘍が形成される場合がある[40][41]

腎盂癌[編集]

血尿の原因として腎盂癌が見つかることが多い[42][43]

組織学的には、ほとんどが尿路上皮癌である[44][45][46]

尿管や膀胱にも癌を併発している事が多い[47][48]

ウィルムス腫瘍[編集]

ウィルムス腫瘍は「腎芽腫」[49]ともいう。1~3歳の小児に多い[50][51]。男女差は見られない[52][53]

自覚症状は無症状だが、腹部腫瘍が見られる[54][55]。腹部腫瘍を、触知で発見しやすい[56]

発生の原因として、11番染色体のWT遺伝子の異常の関与が疑われている[57][58][59]

※ 『スタンダード病理学』は、11番染色体のWT遺伝子の異常が証明済みという立場。一方、『標準病理学』は慎重論。

良性腫瘍[編集]

血管筋脂肪腫[編集]

血管・平滑筋・脂肪組織などからなる腫瘍[60][61][62]

結節性硬化症を合併しやすい[63][64]

尿路・膀胱など[編集]

尿路結石[編集]

腎盂や腎杯などに結石が形成される場合がある。

結石の主成分は、シュウ酸カルシウム結石またはリン酸カルシウム結石など、カルシウム塩である場合が多いが、 尿酸結石が形成される場合もある。その他、シスチン結石の場合もある。

特にシュウ酸カルシウム結石の場合が多い[65]と言われている。シスチン結石の場合は少ない[66]。 通風の場合、尿酸濃度が高いので、尿酸結石が出来る場合がある[67]。白血病の治療中でも尿酸濃度が高い場合があり、尿酸結石が出来る場合ばある[68]

カルシウム塩の結石があるなら尿のカルシウム濃度は高いが、しかし血中カルシウム濃度とは必ずしも比例せず、カルシウム血症がなくても尿路結石が形成される場合もある[69]

結石の大きさは、1mm程度のものから、腎盂・腎杯を充満するような大きさのものまである。

※ 発展的な話題:
腎杯を充満するような大きさを結石を「サンゴ状結石」という[70]

結石はX線不透化であるので、腹部のX線写真で発見できる[71][72]。 なお、腹部超音波検査でも結石を確認する事は可能である[73]


血尿を引きおこし[74]、肉眼的あるいは顕微鏡的に血尿を確認できる>[75]

尿の成分では、結石の成分に応じてリン酸、シュウ酸または尿酸などの濃度が上昇する。また、尿のpHは酸性尿になる[76]

膀胱炎[編集]

尿道炎とは異なる病気である[77]

※ ワンポイントシリーズ病理学にしか、尿道炎は書いてない。『標準病理学』も『スタンダード病理学』も『シンプル病理学』も、尿道炎を扱っていない。

急性膀胱炎[編集]

急性膀胱炎は細菌感染による。原因菌は主に大腸菌である。女性に起こりやすい。

特に妊娠時に、膀胱炎になりやすい。

女性は尿道が短いことが、膀胱炎のなりやすさに影響している[78]と考えられている。

急性膀胱炎では、粘膜の浮腫や びらん などが見られる。

急性・慢性の共通の事項[編集]

膀胱炎は急性・慢性とも、排尿痛や排尿困難を訴える場合がある。

発熱は通常は認めない[79]

腫瘍[編集]

尿路上皮癌[編集]

50歳代以上[80]の高齢者に多く、男性に多い[81][82]。血尿を引きおこす。

芳香性アミン(歴史的には βナフチラミン[83])を仕事などで取り扱っている人に患者が多いことが過去にあった事から、芳香性アミンがこの病気を引きおこす事が分かっている[84]。実験的にも、βナフチラミンの投与で膀胱癌が引きおこされる事が確認されている[85]

扁平上皮癌[編集]

※ 資料不足のため未記述. 『標準病理学』と『スタンダード病理学』とで、記述の共通点が乏しい。

腺癌[編集]

※ 資料不足のため未記述. 『標準病理学』と『スタンダード病理学』とで、記述の共通点が乏しい。

脚注[編集]

  1. ^ 『スタンダード病理学』
  2. ^ 『図解ワンポイントシリーズ3 病理学』
  3. ^ 『スタンダード病理学』
  4. ^ 『標準病理学』
  5. ^ 『シンプル病理学』
  6. ^ 『シンプル病理学』
  7. ^ 『スタンダード病理学』
  8. ^ 『シンプル病理学』
  9. ^ 『図解ワンポイントシリーズ3 病理学』
  10. ^ 『スタンダード病理学』
  11. ^ 『シンプル病理学』
  12. ^ 『スタンダード病理学』
  13. ^ 『標準病理学』
  14. ^ 『シンプル病理学』
  15. ^ 『スタンダード病理学』
  16. ^ 『標準病理学』
  17. ^ 『標準病理学』
  18. ^ 『標準病理学』
  19. ^ 『スタンダード病理学』
  20. ^ 『シンプル病理学』
  21. ^ 『スタンダード病理学』
  22. ^ 『シンプル病理学』
  23. ^ 『標準病理学』
  24. ^ 『図解ワンポイントシリーズ3 病理学』
  25. ^ 『スタンダード病理学』
  26. ^ 『標準病理学』
  27. ^ 『シンプル病理学』
  28. ^ 『標準病理学』
  29. ^ 『標準病理学』
  30. ^ 『スタンダード病理学』
  31. ^ 『標準病理学』
  32. ^ 『シンプル病理学』
  33. ^ 『スタンダード病理学』
  34. ^ 『標準病理学』
  35. ^ 『シンプル病理学』
  36. ^ 『スタンダード病理学』
  37. ^ 『標準病理学』
  38. ^ 『スタンダード病理学』
  39. ^ 『図解ワンポイントシリーズ3 病理学』
  40. ^ 『標準病理学』、P577の図16-36 『淡明細胞型腎細胞癌』の写真とその脚注
  41. ^ 『図解ワンポイントシリーズ3 病理学』
  42. ^ 『スタンダード病理学』
  43. ^ 『標準病理学』
  44. ^ 『スタンダード病理学』
  45. ^ 『標準病理学』
  46. ^ 『図解ワンポイントシリーズ3 病理学』
  47. ^ 『スタンダード病理学』
  48. ^ 『標準病理学』
  49. ^ 『スタンダード病理学』
  50. ^ 『スタンダード病理学』
  51. ^ 『標準病理学』
  52. ^ 『シンプル病理学』
  53. ^ 『標準病理学』
  54. ^ 『シンプル病理学』
  55. ^ 『標準病理学』
  56. ^ 『標準病理学』
  57. ^ 『スタンダード病理学』
  58. ^ 『標準病理学』
  59. ^ 『シンプル病理学』
  60. ^ 『スタンダード病理学』
  61. ^ 『シンプル病理学』
  62. ^ 『標準病理学』
  63. ^ 『シンプル病理学』
  64. ^ 『標準病理学』
  65. ^ 『スタンダード病理学』
  66. ^ 『スタンダード病理学』
  67. ^ 『標準病理学』
  68. ^ 『標準病理学』
  69. ^ 『スタンダード病理学』
  70. ^ 『標準病理学』
  71. ^ 『標準病理学』
  72. ^ 『スタンダード病理学』
  73. ^ 『スタンダード病理学』
  74. ^ 『シンプル病理学』
  75. ^ 『スタンダード病理学』
  76. ^ 『標準病理学』
  77. ^ 『図解ワンポイントシリーズ3 病理学』
  78. ^ 『スタンダード病理学』
  79. ^ 『シンプル病理学』
  80. ^ 『スタンダード病理学』
  81. ^ 『スタンダード病理学』
  82. ^ 『標準病理学』
  83. ^ 『スタンダード病理学』
  84. ^ 『標準病理学』
  85. ^ 『スタンダード病理学』