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簿記/全章通覧

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

総論

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総説

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単式簿記


複式簿記の意義

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さて、会計の分野では、たとえば、3億円の資金をもっている中小工場の会社がたとえば1億円の生産機械を購入すると、その企業の保有資金から普通は1億円が減ります。(話を単純化するため、分割払いを考えず、一括払いしたとする。)

さて、1億円が差し引かれたからといって、けっしてその企業の価値が1億円へったわけではなく、単に1億円が生産機械に形を変えただけです。


その機械で生産して商売をすれば、もしかしたら将来的に1億円以上の大きな売り上げ(たとえば10億円や100億円の売上)を出せるかもしれません。

なので、企業の価値を見る場合は、単にお金だけでなく、設備などの資産額の合計も見る必要があります。

このような見方のできる方式の簿記が、複式簿記(ふくしき ぼき)です。

先進国の大企業で採用されている簿記の手法は通常、複式簿記です。

いっぽう、単に資金の金額だけに注目する方式の簿記が、単式簿記です。日本政府などが政府の財政などとして発表する帳簿は、単式簿記です。


簿記の意義

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簿記とは、事業の所有する財産や資本に生じた変動を、漏れなく記録計算整理して、その結果を明らかにする方法である。

およそ事業を経営するには、若干の資本が必要である。しかし、この資本はただそのままでは決して成果を生み出すものではなくて、これを種々運用しなければならない。資本の運用とは、資本のとる形態を色々変えることであって、それは結局次のことを意味する。即ち、企業に投下せられた資本の最も原始的な形態は貨幣であるが、この貨幣は企業の目的とする経済性昂揚のために、例えば商品の買入に充てられる。買入れられた商品は更に転売されて、また元の貨幣となる。このように貨幣から始まって貨幣に帰ることを資本の運動という。それゆえ、運動の結果は種々の形態を経て、結局は再び貨幣なる元の姿に復帰する。ところで、この現象は第一運動が終わらないうちに、第二の運動が始まり、さらに第三第四の運動が連続して繰り返されるのであって、企業の成果は実にこの運動中に生ずる。かかる運動は一般に資本の循環と称せられ、次のような簡単な式で表される。

G-W-G1-W1-G2-W2-G3……Gn

簿記は、如何にせば、かかる資本の循環を計算的に正しく把握し、その成果を明らかにすることができるかを研究するものである。けだし複雑化した今日の事業経営に対しては、一定の法則と形式とを備える把握方法によらなければ、その会計を完全に整理することができないのであって、簿記は即ちこの記帳法則とその適用とを研究するものである。

簿記の目的

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簿記の主目的は、財産及び資本の変動を秩序正しく記録計算すること。もって経営活動の成果と財政の現状を正しく知ることができる。

簿記の目的は、これを大別して2つとすることができる。

(1) 主目的
簿記は各期間の正しい業績を確かめ、かつ一定時点における事業の財政状態を明らかにするため、財産及び資本の変動を秩序正しく記録計算することを主なる目的とする。経営活動の結果いかなる成果を収め得たか、また財政の現状はいかがなったかを正しく知ることが、経営者にとり必要なことは言をまたぬところであって、彼はこれをもって過去の経過を回顧する手段となすと同時に、将来採るべき方針を定める基礎とすることができるのである。いかに小規模単純なる事業でも、全然見聞や記憶だけによって経営を進めることは困難である。いわんや現今のように高度に発達した経済社会においては、経営活動は複雑を極め、これを見聞ないし記憶のごとき推算を基礎として管理するごときはほとんど不可能で、経営者は簿記の助を藉って(借りて)始めて経営活動を認識し、その成果を知り、もって合理的な経営生活を営み得るのである。従来事業経営に従事する者の簿記知識の欠乏が、事業失敗の原因となったことは決して少なくない。
(2) 副目的
簿記の副目的には種々ある。第一に、簿記は企業の他の計算制度に対して重要なる資料を提供する。即ち原価計算のためには原価要素の収集分類をなし、統計のためにはその数字材料を提供する。第二に、企業の債権者または将来債権者たらんとする者に対して、信用程度を判断する材料を供し、投資者には彼の投資の安否判断の手段を与える。一般にかかる企業の利害関係者は、企業の経営記録ないしその結果に接し得て、始めて合理的な判断をなし得ること、経営者におけると変わりがない。第三に、簿記は保険事故の発生した時その当事者に対して賠償額または賠償請求額の算定基礎を提供し、訴訟事件の場合にはその正当なることを証明する手段として役立つ。第四、国家その他公共団体に対して簿記は課税の基礎を提供し、各種統制のための手がかりを供する。経済統制の強化に伴い、この目的は次第にその重要性を増大する。

簿記の種類

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簿記は記録計算法の目的と方法との相違から、単式簿記と複式簿記とに分かたれる。

(1) 単式簿記
単式簿記 Single Entry Book-keeping, einfache Buchhaltungは、財産の変動のみを記録するもので、特別の記帳原理を有せず、もっぱら常識的に記録計算を行う簿記法である。それゆえ、これが習得は容易であるという長所を有つも、一方資本に関する記録計算を欠くゆえ、一期間の純損益は確かめ得るも、その由来を知り得ない。しかもその財産計算といえども不完全であって、多くは財産の一部即ち他人との貸借および金銭の収支等を記録するにとどまる。かくて単式簿記は財産や資本の正確な記録計算をなすよりは、むしろ記帳技術の簡易を望む小規模単純な企業の会計整理に用いられる簿記である。
(2) 複式簿記
これに反して複式簿記 Double Entry Book-keeping, doppelte Buchhaltung は、財産および資本の双方の変動を明らかにする目的で、一定の法則によって記録計算する簿記法である。その財産計算は、単式簿記のように、もっぱら貸借関係のみにとどまらず、財産および資本のすべての構成部分に関する計算を網羅し、その結果たる営業成果についての記録計算をも併せ行うから、営業成果のよって来るところを明らかにすることができる。ゆえに企業の会計は、複式簿記の適用によって始めて完全に整理せられる。これ今日各種事業に広く適用せられ、単に簿記というときは複式簿記が意味せられる所以である。ただその記帳原則を会得するには、幾分困難を伴うかもしれないが、しかし一旦これを理解するときは極めて明瞭である。かくて簿記の研究は、複式簿記を目標に進まなければならぬ。

次に簿記は応用せられる事業の種類によって、商業簿記・工業簿記・農業簿記・銀行簿記・保険簿記・運送簿記・倉庫簿記など種々に分かたれる。これらはすべて単式または複式どれかの方法によって記帳せられるのであるが、業種の性質上その方法には幾分の相違を有する。しかしその根本原理に至っては、毫も異なるものではないから、これら諸簿記中の一種を会得すれば、他はその事業に特有な記帳形式を特別に研究することによって、容易に理解し得られる。しかして上記諸簿記の中で、商業簿記は単式および複式の記帳法を会得し、他の簿記を研究する基礎として最も適当しており、この意味でそれは一般簿記とも称すべきものである。けだし商業はその取引が単純でかつ最も典型的であり、しかも他の事業も大抵商業的活動の一面を有するからである。

簿記学

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簿記学は、事業経営上生起する諸種の事象を、計数的に記録計算整理する方法を研究する学問である。簿記が学問であるかまたは技術であるかは縷々論ぜられるところであるが、簿記はそのいずれをも有し得る。換言すれば、簿記は二つの方面を有し、簿記理論は簿記学を形成し、簿記法は簿記技術を構成する。学問としての簿記は業績の確定を目的として、財産や資本の変動を計算整理する方法の理論的研究であり、簿記技術は抽象的な簿記理論の研究ではなくて、実際的立場から簿記遂行に関する諸知識を与えるものである。もちろんこれら両者は、相依り相たすけて相互の完全を期し得るのであって、前者は後者の助を藉って(借りて)完全な研究をなし得べく、また後者は前者の研究成果を得て始めてその完璧を期することができる。本書はかかる見地から、簿記理論を簡明に説き、主として簿記技術を説明することを目的とする。

簿記学というとき、それと会計学 Accounting とは同一学問に対する別の呼称にほかならない。簿記学も会計学もともに経営経済事象の計算的研究で、その目的もともに業績の確定にある。それゆえ学問として両者間には区別がない。これを沿革に徴するも、両者を区別すべきなんらの根拠をも見出し得ない。次に経営学も経営経済事象の研究を目的とするものであるが、これは現象そのものの研究であって、それは簿記のように必ずしも計算によって捕捉するを要せないし、また一定の形式に依拠する要もない。両者の関係は例えば、俳優と撮影技師のごときで、俳優は独自の立場から演出についての研究を行うべく、撮影技師もまたそれをいかにせば正しく撮影し得るかを研究し得るはずである。経営学は経営現象そのものの研究であり、簿記学は経営現象表示方法の研究である。

基礎概念

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財産及び資本

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およそ事業に投下せられた資本は、瞬時たりとも静止することなく不断の運動を続けている。しかし、資本そのものは一種の抽象的価値であって、それ自らでは存在することができないで、具体的な存在形態を必要とする。その最も単純なものは貨幣である。経営とは実に資本を運動過程に置くことで、これを資本の存在形態の側から見れば、それを種々に変化せしめることを意味し、即ち貨幣を土地建物・機械器具・原料・労力・商品となし、更にそれらが売掛金・受取手形・預け金などを経て、再び貨幣に復帰することにほかならぬ。資本がその循環中に採るところの存在形態たる具体的財貨のことを財産 Property, Vermogen (oの上に線)と称し、簿記上これを資産 Assets, Aktiva とも称する。

資産は、それが従来採り来たった形態を捨てて、他の新形態に転化するに要する時間の長短によって、固定資産と流動資産とに分けられる。

このように財産は、資本が一時的に採るところの存在形態である。そしてかかる存在形態の中に含まれている価値、即ちそれらの貨幣価値額の合計を資本 Capital, Kapital という。かくて資本は自らの形態なく、なんらかの財貨に体現していなければならぬ。ただし、その体現形態が何であるかは問わない。それゆえ、資本はその形態よりもむしろ発生原因を基礎として区別せられる。即ち循環過程の外部で成立して、新たに循環過程に入り来たったものか(流入資本・増資)またはその内部で循環過程中に成立したものか(損失・利益)の区別がこれである。

負債

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債権(社債)。負債は負の財産(自分の借金)か他人資本(他人からの投資金額)か?負債の定義で資本は変わる。前者負債財産説では財産と負債の差の正味身代のみが資本であり、後者負債資本説では負債と自己資本の和すなわち手元にある財産全ての価値総額が資本である。

事業には資産のほかに、将来他人に一定額を支払うべき債務も存在するのが常であって、これを負債 Liabilities, Schulden という。負債が財産の一種であるか、または資本の一種で資産即ち財産と対立させられる概念であるかについては、大いに議論のあるところである。これは結局負債の性質に対する観点の相違に帰する。

(1) 負債の財産性
従来簿記の通説は、負債を資産とともに財産視して、両者を同一概念中に含める。この立場からは、財産とはその存在形態について直接価値を決定し得るものであり、資本とはかかる財産の計算の結果始めてその価値が定まるところの、抽象的計算的概念である。ところで負債は、支払手形や売掛金などのように、その存在形態につき直接にその価値を評定し得るから、資本ではなくて財産である。しかしてそれは法律上の所謂債務で、将来同額の適当な財貨を、資産の中から分離引渡すべきものである。それゆえ負債はマイナスの性質をもつ財産である。よってこれを消極財産と称し、これに対して資産を積極財産と呼ぶ。ゆえにこの見解にもとづけば負債は財産であって、資本は負債が存在する限り、これを資産から差し引いたものである。この意味で資本のことを純財産または正味身代ともいう。これを数学的方程式をもって示すならば A - P = K である。ただし、Aは資産を、Pは負債を、Kは資本を表す。
(2) 資本の負債性
次に負債を資本視する説によれば、財産とは事業に存在する具体的財貨のことで、資本はこの財貨に含まれる価値の総額である。即ち財産と資本とは事業所属の諸財貨を二つの異なる方面から見た観念で、財産は財貨の具体的方面であり、資本はその抽象的方面である。前者は経済的観念であるが、後者は多分に法律的色彩を有し、財貨の権利がなんびとに帰属するかという所有関係を表す。かくてこの説に従えば、負債は他人資本と呼ばれ、自己資本とともに資本観念に含められ、財産即ち資産と対立させられる。さればこの説では A = P + K である。

負債が果たして財産であるかまたは資本であるかは、簿記の学問的地位を経済学の一文科とするか、または経済学とは全く別個のものとするかによって異なる。前の立場をとる限り、その概念規定は経済学と同一でなければならないが、後の立場をとるならば、簿記独自の見地から、その概念を規定して差し支えない訳である。従来簿記では負債を財産化したが、簿記理論を経営経済学的に基礎づけようとの試みが盛んとなるにしたがい、これを資本視する傾向になった。けだし、

  • イ、純財産すなわちいわゆる資本の中には、元入資本のように負債と同じ意味の直接に価値を算定し得るものがある。
  • ロ、負債をマイナス量とすることは、単なる数学的な考え方に過ぎないで、現実にはマイナスの財産なるものは存在しない。
  • ハ、負債もそれ自体では存在しえず、必ず存在形態としての資産を必要とすること、資本と変わりがない。

されば理論上は負債資本説に加担すべき点が多いのであるが、初学者にとっては負債財産説の方が了解しやすい。それゆえ本書では後の立場をとって説明するであろう。

負債は支払期限の長短によって、長期負債と短期負債とに分かたれる。前者はそれが発生後二営業期間以上支払期限の到来しない負債であり、短期負債は一営業期間内にその支払期限の到来する負債である。社債や長期借入金は前者に属し、買掛金や支払手形などは後者に属する。

資本の負債性

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一般に簿記では経営組織のいかんを問わず、事業そのものとその所有主とを、立場の相対立する別個の人格者とみなし、事業の会計は事業が主体であって、資産はすべて事業が所有し、負債はすべて事業が負担するものと見る。かかる観点よりすれば、資本は事業がその所有主に対して負担する一種の債務であって、それは第三者からの借入金と同じく負債の概念に含められる。もちろんこの場合、事業対所有主の関係は、事業対第三者の関係とは異なり、まったく内部の関係にすぎないから、資本と負債とは全然同一のものではなく、後者の対外負債に対し前者を対内負債と呼んで、負債に準ずるものとされる。けれども事業とその所有主とを分離し、会計を事業の会計とするのは正しいが、資本を所有主に対する事業の債務とするのは誤りである。

資本はその発生原因によって、狭義の資本と損益とに分かたれ、更に前者は会社経営の場合には、最初事業に投下せられた元入資本と利益の留保によって生ぜる積立資本とに分かたれる。

損益

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市場。原価100円の商品を120円で売れば20円の利益が生じる。

資本の循環は、単なる形態の変化のみにとどまらないで、循環過程中において、新たなる価値を増殖するものである。かく資本の循環過程中に生ずる新たなる価値を利益 Profit, Gewjnn と称する。反対にかかる過程中に価値の滅失を生ずることもあって、これを損失 Loss, Verlust と呼ぶ。例えば原価100円の商品を120円で売れば20円の利益が生じ、また貸金に対し30円の利息を受け取れば、それだけの利益が生じる。これに反して、例えば原価100円の商品を90円で販売すれば10円の損失を生じ、また借金に対して20円の利息を支払えば、それだけの損失を生ずる。かくて利益も損失もともに資本そのものである。それゆえ資本が財産をその存在形態となすように、損益もまたその存在形態たる財産の増減をその発生に伴うものである。即ち

資産の増加
利益の発生 ─ 資本の増加
負債の減少
資産の減少
損失の発生 ─ 資本の減少
負債の増加

損益は現実に循環している資本の増減であるから、それは事業の外部から新たに事業に投下せられ、または循環過程から引き上げられた資本の増減とは異なる。このゆえに所有主の出資による資本の増加や減資による資本の減少は、損益でない。

損失には混同すべからざる二つの種類がある。ひとつは商品が盗難にかかったり、また建物・機械等が火災のために焼失毀損されたりするように、永久的の資本減少となるものであり、他は広告費や給料等の支払いのように、収益をあげるため一時的の犠牲に供せられるものである。前者を純粋の損失と称し、後者を特に経費と呼ぶ。経費 Expenses, Aufwand は、他日収益 Income, Leistung によって償われるを普通とし、その償われない部分は、結果から見て純粋の損失と同じになる。

取引

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財産や資本に変動を引き起こす事件を取引 Transaction, Geschäftsfallという。ここに変動とは、事業の内部で、もしくは事業と外部との関係において、生ずる財産または資本の価値的増減を意味する。通俗に言う取引は、自己の意思に基づいて他人との間に引き起こせられる関係を意味するも、簿記上の取引はより広く解せられて、自己の意志に基づかない事件であっても、その結果において財産や資本に変動を引き起こす限り、これを取引と称する。ゆえに例えば家屋や商品等の焼失・毀損、金銭・物品等の盗難・紛失および貸金の貸倒し等もすべて一種の取引である。これに反して通俗には取引と言われるものでも、それが財産または資本に変動を生じない限り、簿記上では取引とは言わない。例えば家屋や土地等の賃貸借は、占有の移転は生じても所有権の移転を生じないから、財産資本に変動をきたすことなく、従って簿記上の取引ではない。ただし、その結果生ずる賃貸借料の授受は明らかに取引である。

既に述べたように、簿記は財産又は資本の変動を記録し計算するものであるから、取引は簿記記録の対象である。即ち取引が発生すれば、できるだけ迅速にこれが記帳計算をしなければならない。ただし事業内部で起こる財産や資本の変動は、それが発生した時直ちに記帳されないで、定期に特殊の方法でその変動を捕捉した上で記帳をなすことが少なくない。

取引は、それが正味身代に及ぼす関係を標準として、損益取引と交替取引とに分かたれる。前者は損益発生の原因となり、資本に増減を引き起こす取引であって、例えば広告料を支払い、貸金に対し利息を受け取るごときである。これに反して、後者は損益の発生に無関係な取引で、商品を現金で買い入れ、借金を現金で返済するごときである。

勘定

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およそ取引が発生すれば、財産または資本に変動を生じ、その結果を明らかにするため、簿記はこれを記録計算せねばならぬ。しかるにこの計算は、財産全体または資本全体として行うよりは、それを構成する要素たる、個々の財産部分または資本部分について行なう方が、より合理的である。例えば現金または商品なる資産の項目が、取引によってどれほど増加し、どれほど減少し、したがってその残高がどれほどであるかを計算するごときである。それゆえ、簿記では財産や資本の構成部分について、これを種類性質に応じて分類し、それらが取引によって受けた影響を個別的に記録計算する。このように簿記で同種類同性質の財産や資本の構成部分について行う個別的記録計算方法を勘定 Account, Konto といい、特別の形式を用いて行う。勘定が狭義に解せられるときには、まったく形式的意味に限られて勘定形式のことを指す。勘定は相互に区別するため名称が付与せられ、この名称を勘定科目 Title of Account といい、各勘定に対して帳簿に設けられた場所のことを勘定口座という。勘定を用いて記録計算を行うことは、簿記の一大特色である。

勘定口座の形式に二つある。一つは標準式、他は残高式と称せられる。標準式の口座は次掲のように中央から全く同一形式の左右二つの側に分かたれ、一般に左側を借方 Debit, Soll 右側を貸方 Credit, Haben と呼ぶ。

××勘定
(借方)(貸方)
日付摘要丁数金額日付摘要丁数金額
  1. 日付欄は取引が記録せられる月日を記入するためのもので、それは大体において取引発生の日である。
  2. 摘要欄は取引の要領を簡単に記入するためのもので、普通には取引が分解された反対側の勘定科目を記入する。
  3. 丁数欄は、原始記録の丁数即ち該記入がいかなる帳簿の何ページから来たかを示すためのものである。
  4. 金額欄は取引の金額を記入するためのものである。

この形式の勘定口座では、取引の結果現在高がいくらになったかは、左右両側の合計金額を比べて見なければ知ることができない。

次に残高式の勘定口座は、標準式のごとき同一形式の左右両側を有する代わりに一つの側のみを有し、ただ金額欄だけ左右両欄を備え、ほかに残高欄が併設される。かくて勘定口座の表す財産または資本の増減とともに、その残高が併記せられ、これによっていつでも現在高を知ることができる。

××勘定
日付摘要丁数借方貸方借又貸残高

帳簿

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取引を記録するために紙葉を集めたものを帳簿 Books, Bücher という。簿記は取引を帳簿に記録して、具体的な計算をなすことを要件とするから、帳簿は簿記実行の技術的な要件である。いかなる事業でも、その会計を整理するためには、いくつかの帳簿を用いる必要がある。ただし、その数・名称・様式等に至っては業種・規模・取引の性質・その多寡等によって同じでない。帳簿はその体裁上綴込式・カード式・ルーズリーフ式等種々に分かたれ、最近ではカーデックス式・バインデックス式等も用いられる。

複式簿記の組織

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複式簿記の基礎

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勘定理論

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既に第一篇で述べたように、複式簿記には一定の原理からなる記帳法則がある。この原理は財産と資本との性質ならびに簿記の用語たる借方・貸方の何であるかを明らかにするもので、貸借の原理とも称せられ、勘定記入の法則とともに通常勘定理論と呼ばれている。勘定理論は実に複式簿記の基礎をなすものであって、簿記理論の最も重要な部分である。勘定理論についての諸学者の見解を勘定学説 Kontentheorien または簿記学説 Buchhaltungstheorien という。勘定学説をいかに分類するかについての定説はないが、普通にはこれを人的説または擬人説 Personification theory, personalistische Theorien と等式説 Equation theory または物的説 Materialistische Theorien ならびにその他の学説とに分類する。前者は記帳を全然形式的に行うか、または人格者間の貸借によって説明せんとするものであり、後者は財産および資本の増減を人格者間の貸借視せず、経済現象そのままのものとして説明する。さらに後者はその説明方法として簡単なる方程式を用いるところから、これを等式説または数学説とも呼ぶ。その他の学説としては現実学説や循環学説等を挙げ得る。これらのうち現在簿記学者の多数説は物的説であり、財産・資本なる二つの本質的に相異なる職能と作用とをもつ勘定系統を認めるいわゆる二勘定系統説である。しかもそのうち、次の方程式を基礎とするものである。 即ち

A - P = K

この方程式は普通に資本方程式と呼ばれ、したがってこの説を資本学説ともいう。以下この立場から説明を進める。ただし勘定理論のうち、財産と資本とがそれぞれいかなる性質を持つかについては、既に述べたから(第一篇第二章)、本章ではこれには触れない。

勘定口座の記入法

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最初勘定は次のようにして行われた。

(甲)
現金
日付摘要金額
41手許在高1,00000
2商品代支払-50000
50000
5商品代受取+30000
80000
7売掛金回収+25000
105000
10買掛金支払-70000
35000

(例)

4/1
本日現金手許在高¥1,000.00也。
4/2
商品ヲ買入レ、此代金¥500.00ヲ現金ニテ支払フ。
4/5
商品ヲ売渡シ、此代金¥300.00ヲ現金ニテ受取ル。
4/7
売掛金¥250.00ヲ現金ニテ受取ル。
4/10
買掛金¥700.00ヲ現金ニテ支払フ。

この形式を楷段式計算 Staffelrechnung または残高計算 Saidorechnung という。楷段式計算による表示形式は、各計算項目の現在高をいつでもただちに知り得るの長所を有する。しかし反面それでは価値変動の総額、即ち上例では現金の受入総額と支払総額とがいくらあったかを知ることができない。のみならず取引数が多いときには間違いを生じやすい。それゆえ以上の形式は次のように改められた。

(乙1)
現金
日付摘要収入支出
41手許在高1,00000
2商品代支払50000
5商品代受取30000
7売掛金回収25000
10買掛金支払70000

この形式によると、収入と支出とが区別して計算せられるから、その総額を知り得るとともに、両者の差引計算によって、容易に残高を求めることができ、そのうえ計算が単純になって間違いを起こすことも少ないのである。そしてこの形式の勘定で常に残高を示そうとすれば、残高欄を付設して次掲のようにする。

(乙2)
現金
日付摘要収入支出残高
41手許在高1,000001,00000
2商品代支払5000050000
5商品代受取3000080000
7売掛金回収250001,05000
10買掛金支払7000035000

これを残高式の勘定と呼ぶことは前篇第二章で既に述べた。しかしこの形式では収支の金額欄が密接しているから、誤記を生じやすい。よって乙1の形式を次掲丙1のようになし、さらにこれを整理して紙面の不経済を避けるようにすると、丙2の形式になる。これを標準式と呼ぶことも既に述べたところである。

(丙1)
現金
(借方)(貸方)
日付摘要収入日付摘要支出
41手許在高1,00000
42商品代支払50000
5商品代受取30000
7売掛金回収25000
10買掛金支払70000


(丙2)
現金
(借方)(貸方)
日付摘要収入日付摘要支出
41手許在高1,0000042商品代50000
5商品代3000010買掛金70000
7売掛金25000

現在複式簿記で記録計算のために用いられる勘定形式は、乙2および丙2の両型である。かくて一般的に次のように言うことができる。即ち、勘定は二面的計算であるから、各側には同じ種類の価値系列が示され、したがって上側では現金の収入と支出とが別々に示され、その合計額は加算によって容易に見出される。しかも両側の数字系列は増減なる反対の意味を有し、したがってそれは互いに差引関係にある。このように勘定では差引計算を全然行わないで、差し引くべき数字は、すべてこれを反対側に記入することが、その一大特色である。

貸借の意義

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勘定口座の左方と右方とを表すために、簿記では借方・貸方なる語を用いる。この用語は簿記が発達せる当初、人名勘定即ち事業が他人との間に貸借関係を生じたとき、これら債権債務を記帳するため相手の人名を科目とした勘定に、この両語を用いたことに由来する。この際貸借は事業を主としないで、相手方即ち口座を主とするもので、借方は口座主が借主または債務者たることを意味し、彼が事業に債務を負った時に記入せられる側であり、貸方は口座主が貸主または債権者であるとの意味で、彼が事業に対して債権を得たときに記入せられる側である。このように人名勘定では、この両語は文字通りに解釈せられる。しかるに複式簿記が進展し、しかもこれら両語をそのまま受け継いでからは、その適用範囲は拡大されて、人名勘定以外の各種財産および資本構成部分の諸勘定に対しても用いられるようになったのであるが、ここに至ると、人名勘定では文字通りの意味を有したこれら両語も、他の勘定については本来の辞義通り解釈することがもはや不可能となり、単に口座の左右両側を示す符牒にすぎないものと解せられるに至った。されば、単なる符牒という点よりするならば、それは貸借の代わりに+-・増減・出入等とするも差し支えないわけである。

勘定記入法則

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前に述べたように、すべて勘定では差引計算を行わないで、差し引くべき金額は反対側に加える。そして増加側の合計と減少側の合計とを比較して、残高を求める。ゆえに各勘定へは一方に増加が他方に減少が記入されるのである。その際資産Aに属する諸勘定では、計算統制上増加を左方即ち借方に、減少を右方即ち貸方に記入する。したがって反対の性質を有する負債と、負債類似の資本に属する諸勘定では、記入関係が反対になり、増加を右方または貸方に、減少を左方または借方に記入する。損益は既に述べたように、資本そのものであるから、資本Kと同一勘定としても差し支えないが、Kの記録を単純にし、業績を明らかにし、かつこれが管理を容易にするため、普通に別勘定として取り扱う。その際、利益は新たに増殖された資本にほかならないから、Kとまったく同一に増減を記入し、また損費は失われた資本であるから、Kとは反対に、したがって形式上Aと同様に増減を記入する。かくて、各勘定への記入関係は次のようになる。

(借) 資産勘定 (貸)
増加 減少
(借) 負債勘定 (貸)
減少 増加
(借) 損費勘定 (貸)
増加 減少
(借) 資本勘定 (貸)
減少 増加
(借) 利益勘定 (貸)
減少 増加

取引の二重性

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すべて取引は次に示すように、財産や資本の価値に増加および減少なる同額の二面的変動を与えるもので、これを取引の二重性と称する。例えば

  • 1. 商品ヲ買入レ、此代価¥1,000.00ヲ現金ニテ支払フ。

なる取引は、一方に「商品」なる資産を¥1,000.00増加せしめ、他方に「現金」なる他の資産を同額すなわち¥1,000.00減少せしめる。すなわち

資産(商品)の増加 1,000.00 資産(現金)の減少 1,000.00

もし、この際代金のうち¥500.00は小切手を振出して支払い、残額は掛借にしたとすれば、この取引は一方に「商品」なる資産を¥1,000.00増加せしめ、他方に「銀行預金」なる他の資産を¥500.00減少せしめ、なお「買掛金」なる負債を同額増加せしめる。すなわち

┌資産(銀行預金)の減少 500.00
資産(商品)の増加 1,000.00
└負債(買掛金)の増加 500.00
  • 2. 買掛金¥500.00ヲ現金ニテ支払フ。

この取引は、一方に「買掛金」なる負債を¥500.00減じ、他方に「現金」なる資産を同額減少せしめる。

負債(買掛金)の減少 500.00 資産(現金)の減少 500.00

もし、この際現金の支払に代えて、約束手形を振出したとすれば、一方に負債を減少し、他方に「手形債務」なる他の負債を同額増加する。すなわち

負債(買掛金)の減少 500.00 負債(手形債務)の増加 500.00
  • 3. 積立金¥10,000.00ヲ資本金ニ繰入ル。

この取引は、一方に「積立金」なる資本を¥10,000.00減じ、他方に「資本金」なる他の資本を同額増加する。すなわち

資本(積立金)の減少 10,000.00 資本(資本金)の増加 10,000.00
  • 4. 貸金ノ利息 50.00 ヲ現金ニテ受取ル。

この取引は、一方に「現金」なる資産を¥50.00増加し、他方に「利息」なる利益¥50.00を増加し、したがって同額の資本増加を生ずる。すなわち

資産(現金)の増加 50.00 利益 (資本増加)の増加 50.00
(利息)
  • 5. 手数料¥100.00ヲ現金ニテ支払フ。

この取引は、一方に「手数料」なる損失を¥100.00増加し、したがって同額の資本減少を生じ、他方に「現金」なる資産に同額の減少を引き起こす。すなわち

損失 (資本減少)の増加 50.00 資産(現金)の減少 50.00
(手数料)
  • 6. 現金¥1,000.00ヲ以テ増資ヲナス。

この取引は、一方に「現金」なる資産を¥1,000.00増加せしめ、他方に「資本金」なる資本に同額の増加を引き起こす。すなわち

資産(現金)の増加 1,000.00 資本(資本金)の増加 1,000.00

もし、この際受け入れた現金で直ちに借金を返済したとすれば、資産の増加の代わりに「借金」なる負債の減少が起こる。すなわち

負債(借金)の減少 1,000.00 資本(資本金)の増加 1,000.00
  • 7. 店主私用ノタメニ現金¥200.00ヲ払渡ス。

この取引は、一方に「資本金」なる資本を¥200.00減少せしめ、他方に「現金」なる資産に同額の減少を引き起こす。すなわち

資本(資本金)の減少 200.00 資産(現金)の減少 200.00

もし、この際現金がなく、借金して渡したとすれば、資産が減少する代わりに「借金」なる負債が増加する。すなわち

資本(資本金)の減少 200.00 負債(借金)の増加 200.00

もちろん、以上の場合のあるいくつかが結合してなる複雑な取引もある。たとえば、商品を原価以上の代価で売却した場合のごときである。しかし、これらは結局上記のような単純な取引に分解しうべく、上例の場合には、商品を現金で売却し、販売利益をも現金で受け取ったとみなすのである。

かくて一般に次のように言うことができる。すなわち取引の結果、資産に増加または減少が起これば、負債・資本にもまた同額の増加または減少を生じ、反対に負債・資本に増加または減少があれば、資産にもまた同額の増加または減少をきたす。ただ資産を構成する項目または負債・資本を構成する諸項目間に、増加と減少とが起こって相殺されたときには、その変動は資産または負債・資本のいずれか一方の内部だけに留まって、他方への影響はない。けれども、この場合でも取引が性質の相反する二面的変動を引き起こすことに変わりはない。

この事実から、すべての取引は相反する二つの事項に分解されることを知り得るが、以上挙げた結合関係を総括整理すると次の関係が得られる。

(資産の増、負債の減、資本の減、損失の増)*(資産の減、負債の増、資本の増、利益の増)

これを取引の八要素と称し、すべての取引は、これら八要素中の相対立する二つまたは二つ以上が結合して成立する。ただし、取引要素の数は、財産と資本とを分類する程度の精粗に応じて増減せしめ得るから、必ずしも八要素に限るものではない。

仕訳

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上述のように取引は必ず相対立する左方要素と右方要素とから成り立っているから、これを借方と貸方とに分解することができる。それゆえ、取引を記録するにあたっては、これがいかがなる勘定の借方と、また他のいかがなる勘定の貸方とに、各いくらの金額をもって記入さるべきかを決定しなければならない。かく、取引を借方要素と貸方要素とに分解して、それが記入せらるべき勘定と、その金額とを決定することを仕訳 Journalizing といい、次のように行う。

)商品¥1,000.00ヲ買入レ代金ハ現金ニテ支払フ。

(借)商品 1,000.00 (貸)現金 1,000.00

しかして、これは商品勘定の借方へ¥1,000.00記入し、また現金勘定の貸方へ¥1,000.00記入するの意味であるから、上記の仕訳から、元帳関係口座へは次のように移記される。仕訳から勘定口座へ移記することを、転記 Posting と名付ける。

(借) 商品 (貸)
現金 1,000
(借) 現金 (貸)
商品 1,000


このように取引が単純である場合には、これを仕分することは必ずしも困難でない。しかし取引が複雑で、多数の勘定に記入されるものなるときには、これをいかなる勘定の借方と貸方とに記入すべきかを決定することは容易でない。しかも複式簿記で、取引が最初に帳簿へ記入せられるのは仕訳であり、仕訳の誤りは最後まで影響するから、仕訳は慎重に行わねばならぬ。これがためには、次の法則を記憶するのが便利である。

  1. 資産勘定は、増加のとき借方に、減少のとき貸方。
  2. 負債勘定は、増加のとき貸方に、減少のとき借方。
  3. 資本金勘定は、増加のとき貸方に、減少のとき借方。
  4. 利益勘定は、発生のとき貸方に、減少のとき借方。
  5. 損失勘定は、発生のとき借方に、減少のとき貸方。

仕訳および転記の例示

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以下数個の取引例を仮設して、その仕訳および各関係勘定口座への記入例を示そう。

  • 1. 現金¥3,000.00ヲ元入シテ営業ヲ始ム。
(借) 現金 3,000.00 (貸) 資本金 3,000.00
(資産の増) (資本の増)
  • 2. 店用器具一式ヲ買入レ、此代金¥750.00ヲ現金ニテ支払フ。
(借) 什器 750.00 (貸) 現金 750.00
(資産の増) (資産の減)
  • 3. 商品¥3,000.00ヲ買入レ、代金ノ内半額ハ現金ニテ支払ヒ、半額ハ拝借トス。
現金 1,500.00
(借) 商品 3,000.00 (貸) (資産の減)
(資産の増) 買掛金 1,500.00
(負債の増)
  • 4. 原価¥1,000.00ノ商品ヲ¥1,180.00ニ売渡シ、代金現金ニテ受取ル。
商品 1,000.00
(借) 現金 1,180.00 (貸) (資産の減)
(資産の増) 商品売買益 180.00
(利益の増)
  • 5. 原価¥1,000.00ノ商品ヲ¥1,200.00ニ売渡シ、代金ノ内¥400.00ハ現金ニテ受取リ、残額ハ掛貸トス。
現金 400.00 商品 1,000.00
(借) (資産の増) (貸) (資産の減)
売掛金 800.00 商品売買益 200.00
(資産の増) (利益の増)
  • 6. 買掛金ノ内¥1,000.00ヲ現金ニテ支払フ。
(借) 買掛金 1,000.00 (貸) 現金 1,000.00
(負債の減) (資産の減)
  • 7. 営業諸入費ヲ次ノ通リ現金ニテ支払フ。
家賃 ¥100.00 雑費 ¥50.00
家賃 100.00
(借) (損失の増) (貸) 現金 150.00
雑費 50.00 (資産の減)
(損失の増)
  • 8. 店主私用ノタメ現金¥100.00ヲ引出ス。
(借) 資本金 100.00 (貸) 現金 100.00
(資本の減) (資産の減)
現金
1. 資本金 3,000 2. 什器 750
4. 諸口 1,180 3. 商品 1,500
5. 〃 400 6. 買掛金 1,000
7. 諸口 150
8. 資本金 100
什器
2. 現金 750
買掛金
6. 現金 1,000 3. 商品 1,500


売掛金
5. 商品 800
資本金
8. 現金 100 1. 現金 3,000


商品
3. 諸口 3,000 4. 現金 1,000
5. 諸口 1,000
商品売買益
4. 現金 180
5. 諸口 200


家賃
7. 現金 100
雑費
7. 現金 50


貸借平均の理

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このように、取引が貸借双方ともに一勘定から成立している場合(1, 2, 6, 8)はもちろん、貸借いずれか一方(3, 4, 7)または双方(5)が二勘定からなる場合でも、貸借双方の各合計金額は相等しい。それゆえ、全勘定口座について観察すれば、いかに多数の取引が記入せられても、貸借双方の合計金額は必ず相平均する(釣り合う)道理であって、これを貸借平均の理という。この原理によって、複式簿記では記帳計算の正しい限り、全勘定口座の借方側金額の和と貸方側金額の和とは平均し(釣り合い)、もしこの平均にして破れんか、記帳計算のどこかに誤記脱漏の存することが立証せられる。このように、自らその記帳計算の成否を検証し得る手段を有することを、複式簿記の自己管理といい、この自検作用こそ複式簿記の一特徴をなすのである。

復習問題

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  1. 下記諸取引はいかなる記帳要素から成り立つか。
    1. 現金¥2,000.00ヲ元入レス。
    2. 店用器具一式¥700.00ヲ現金ニテ買入ル。
    3. 商品¥1,000.00ヲ買入レ代金ハ掛借トス。
    4. 上記商品全部ヲ¥1,200.00ニテ売渡シ、代金ハ掛貸トス。
    5. 銀行ヨリ¥1,000.00ヲ借入レ、此利息¥10.00ヲ差引カレ、手取金ヲ現金ニテ受取ル。
    6. 買掛金¥1,000.00ヲ現金ニテ支払フ。
    7. 商品¥3,000.00ヲ買入レ、代金ノ内¥1,000.00ハ現金ニテ支払ヒ、残額ハ掛トス。
    8. 売掛金¥1,200.00ヲ現金ニテ受取ル。
    9. 営業諸入費¥60.00ヲ現金ニテ支払フ。
    10. 銀行ヘ借入金¥1,000.00ヲ現金ニテ支払フ。
  2. 問題1の諸取引を仕訳し、略式の勘定口座を設けて転記せよ。

回答

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画面上における回答の閲覧は、以下の空間を範囲選択して文字を反転することによって得られる。

    1. 資産の増と資本の増
    2. 資産の増と資産の減
    3. 資産の増と負債の増
    4. 資産の増と資産の減・利益の増
    5. 資産の増と負債の増・資産の減
    6. 負債の減と資産の減
    7. 資産の増と資産の減・負債の増
    8. 資産の増と資産の減
    9. 損失の増と資産の減
    10. 負債の減と資産の増
  1. 次の通り。
現金
1. 資本金 3,000 2. 什器 750
4. 諸口 1,180 3. 商品 1,500
5. 〃 400 6. 買掛金 1,000
7. 諸口 150
8. 資本金 100
什器
2. 現金 750
買掛金
6. 現金 1,000 3. 商品 1,500

売掛金
5. 商品 800
資本金
8. 現金 100 1. 現金 3,000

商品
3. 諸口 3,000 4. 現金 1,000
5. 諸口 1,000
商品売買益
4. 現金 180
5. 諸口 200

家賃
7. 現金 100
雑費
7. 現金 50

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本書は、吉田(1942年)をもとにして作成したものである。