経済学/経済とは何か/企業の目的

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

企業は、労働者を雇用して機械などの資本設備を用い生産活動を行う経済主体である。

市場では数多くの企業が競争しているが、その最大の目的はいうまでもなく利潤の追求、つまり儲けをより大きくすることである。

こういい切ると、「いや、企業の目的は従業員にいっぱい給料を払って幸せにすることじゃないか」とか「企業の目的は株主の利益確保だ」という意見が出る。 また「企業は社会的責任を果たすからこそ存在意義がある」という人もいるだろう。 確かにこれらの意見も間違いではない。これらもすべて企業の目的ということができる。

企業の目的は長期的に利益を出すこと[編集]

しかし結局は、企業の目的は長期的な利潤の追求といって間違いはないだろう。 なぜなら、利潤が獲得できるからこそ従業員の経済的な要求に対応でき、社会的な貢献も可能になり、株主の配当にも応えていくことができるからである。

企業の社会的貢献も、採算を度外視して行われるわけではない。社会的な貢献をすることでその企業に対する消費者のイメージがよくなれば、有利な立場で製品を販売できるし、また労働雇用においても優秀な人材を確保しやすくなる。 従って企業の社会的な貢献は長期的な利潤の追求と矛盾しないのである。

こう考えていくと、その他の目的、たとえば長期的なシェアの拡大なども、長期的な利潤追求の一つの手段であると解釈できる。 そこで、ここから先は単純にして明快な目的である「利潤の追求」という基準で企業の行動原理を説明してゆく。