統計力学I はじめに

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はじめに[編集]

きわめて多くの物体が関わる現象では既存の力学などは表わすことが出来ない 現象が見えて来ることがある。 統計力学ではこのような多くの物体が関わる現象を扱う。


ただし、流体のように動きのある物体は扱わず、 主に定常状態、ある状態が実現されてから十分に時間が経ったとしても 依然として系がその状態にとどまっている、という状態で 物体系がどのような状態になろうとするかを扱う。

例えば、ある速度で動きまわっている気体g1と、別の速度で動いている気体 g2を取りだして、それらを互いに混ぜ合わせたとする。これらは混ぜ合わせてから 十分に時間が経ったとき、(外界との相互作用を無視すれば)ある一定のg1とg2が 最初に持っていた速度の中間あたりの何らかの速度を持っている状態に なると考えられる。この最後の状態を定常状態と呼び、 その状態にいたるまでに通過する状態のことを非定常状態と呼ぶ。

本項では、特にこのような定常状態 で実現される状態について扱う。