線型代数学 > 基底と次元
をK上のベクトル空間とする。
が次の2つをみたすとき、
は
の基底であるという。
1)
は線型独立。
2)任意の
の元は
の線型結合で表わされる。
つまり一言でいえば、任意の
の元は
の線型結合によって一意的に表わされる、ということである。
を考えてみよう。
このとき、
は
の基底となっている。また、
などとしても
の基底となっている。
このように、基底となるベクトルの組み合わせは無数に存在する。しかし、ベクトルの個数には変化がない。
このことは、次の項目「次元」と関係している。
次の定理は次元の概念を与えてくれる。
をK上のベクトル空間とする。
、
がどちらも
の基底であるとする。
このとき、
である。
(証明)まず、次の補題を示す。
補題
が次の2式をみたすとする。
![{\displaystyle \ AB=I_{m},\ BA=I_{n}}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/f309a8090d2c2bde1a9e1a066777d5dd4b98ec2c)
このとき、
であり、
は正則。
この定理から、基底をなすベクトルの個数は基底によらず不変であることがわかった。
そこで、次元を次のように定義する。
をK上の線型空間とする。
の基底をなすベクトルの数
を
の次元といい、
![{\displaystyle \ dimV=n}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/061c3ca49fdf501be67448936771a411238e9045)
と書く。(dimは dimensionの略)
また、有限個のベクトルで基底がつくられるとき、有限次元であるという。(そうでない場合は無限次元)