聖書ヘブライ語入門/名詞文・主述統合・冠詞・名詞の型/名詞文/文法的一致
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4.3.1 文法的一致
聖書ヘブライ語には,日本語に無い文法範疇として,
当面の問題に関しては,性および数という範疇があり,
すべての名詞は,数については単数・複数・双数のいずれか,
性については男性・女性のいずれかに属する.
文1 の
טוֹב
と
הַדָּבָר
とは,いずれも男性・単数である.
このように,一つの文を構成する二つの名詞句は,
性・数において一致(=呼応)しなければならない.
テクストを読む側からすれば,性・数の一致があるから,
これらの名詞はバラバラではなくて一つの文へと統合
されていることが,分かるのである.
実際問題としては,聖書ヘブライ語のように死語化した言語の
テクストにおいて文を認定するということは,
テクストの理解のためのその他の様々な作業とともに,必ずしも
容易なことではない.
ここでは原則(として我々が仮設したこと)を述べているのである.
文1 と同様な性・数の一致は,残りの四つの文においても見られる.
文4 の
אֱלהִׁים
は,後述のように,形の上では複数であるが,
指示対象が個体の場合には,文法的に単数扱いされる.