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聖書ヘブライ語入門/名詞文・主述統合・冠詞・名詞の型/名詞文/文法的一致

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

4.3.1 文法的一致


聖書ヘブライ語には,日本語に無い文法範疇として, 当面の問題に関しては,性および数という範疇があり, すべての名詞は,数については単数・複数・双数のいずれか, 性については男性・女性のいずれかに属する. 文1 の טוֹב と הַדָּבָר とは,いずれも男性・単数である. このように,一つの文を構成する二つの名詞句は, 性・数において一致(=呼応)しなければならない. テクストを読む側からすれば,性・数の一致があるから, これらの名詞はバラバラではなくて一つの文へと統合 されていることが,分かるのである. 実際問題としては,聖書ヘブライ語のように死語化した言語の テクストにおいて文を認定するということは, テクストの理解のためのその他の様々な作業とともに,必ずしも 容易なことではない. ここでは原則(として我々が仮設したこと)を述べているのである. 文1 と同様な性・数の一致は,残りの四つの文においても見られる. 文4 の אֱלהִׁים は,後述のように,形の上では複数であるが, 指示対象が個体の場合には,文法的に単数扱いされる.