聖書ヘブライ語入門/音節構造・アクセント・シェワー/シェワー

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 語末以外の子音が母音を伴わぬ場合には,その子音を表す文字のしたにシェワー (שְׁוַא šəwa ← שׇׁוְא šāw 《無》)という符号ְを付ける.例: אֶבְיוֹן 'eḇyōn, מִגְדָּל migdāl,

語末では,二つの子音が連続する場合(例: קׇטַלְתְּ qāṭalt אַתְּ 'att )と,k の場合にだけ,シェワーを付ける.(例: מֶלֶךְ melek ).後者は ך と ן をはっきり区別するためである.シェワーは中舌母音[ə](舌を休息の状態にして発音された[e]と[o]の中間の母音)を表すためにも用いられる.このように母音として発音されるシェワーを有音シェワー( שְׁוָא נָע šəwā nāˤ 《動くシェワー》)と呼び,上に述べた無母音のシェワーを無音シェワー( שְׁוָא נׇח šəwā naḥ 《休むシェワー》)と呼ぶ. 有音シェワーは,語源的には,同一音節内での 2 子音の連続を避けるために入った場合(例: דְּבַשׁ dəḇaš ← dḇaš)と,他の母音が弱まった場合(例: דְּבָרִים dəḇārīm ← dabarīm)とがある.前者は例えば,英語の strike[straik] が日本語では [sutoraiki] になる現象,後者は英語の potato[pətéitou] の最初の o の発音に見られる現象と類似している. いずれにせよ,積極的に発音された母音ではないから,アクセントを取ることはない.有音シェワーは上の例で示したように ə で転写し,無音シェワーは積極的には転写しない.


3.3.1 シェワーの判別

3.3.2 カーメツの判別