民法第725条
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(親族 から転送)
条文
[編集](親族の範囲)
解説
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- 「親族」の範囲を法定する規定である。戦後の民法改正においても明治民法の規定がそのまま受け継がれている。
- この親族の範囲は、血族については出生により定まり、配偶者及び姻族については婚姻、また、養子においては養子縁組により定まる。
- 血族関係は、出生による連続の他、養子縁組(法定血族)により形成される。姻族は婚姻により配偶者の血族(法定血族含む、以下同様)は姻族となり、自身の血族が婚姻することで、その配偶者は姻族となる。姻族の配偶者・血族は親族ではない。
- Aの配偶者BにAの実子でない子(例えば、いわゆる連れ子)Cがある場合
- CはBの一親等の血族であるので、Aの一親等の姻族となる。
- CがDと結婚した場合、DはBの一親等の姻族となるが、Aと親族関係にはない。
- Cの子Eは、Bの二親等の血族であるので、Aの二親等の姻族となる。
- CのBではない実親Fは、Cの一親等の血族であるが、当然、ABともに親族関係はない(かすがい現象は起こらない)。
- Aの配偶者BにAの実子でない子(例えば、いわゆる連れ子)Cがある場合
- 親族の解消について出生によって形成された者に関しては、特別養子縁組により養子が実方と親族関係が解消される(第817条の9)例を除くと、この関係を消滅させる手段はない。推定相続人の被相続人に対する虐待などを原因とした推定相続人からの排除(第892条)などは、社会的には義絶の類ではあるが、この行為によっても血族関係が消滅するものではない。
- 一方、配偶者及び姻族に関しては、離婚によって解消される。配偶者の血族との姻族関係は配偶者が死亡した後も当然に継続するが、生存配偶者が意思表示をすることにより姻族関係を終了させることができる(第728条)。
「親族」であることの効果
[編集]- 民法のみならず、たとえば刑法の親族相盗例、訴訟の裁判官の除斥理由(民事訴訟法第23条第1項第2号「裁判官が当事者の四親等内の血族、三親等内の姻族若しくは同居の親族であるとき、又はあったとき。」、刑事訴訟法第20条第1項第2号「裁判官が被告人又は被害者の親族であるとき、又はあつたとき。」)など法律上の効果を有する。
- しかしながら、本条で定められる「親族」の範囲は、親子・兄弟関係を前提とする財産関係で最も重要視される相続の範囲と一致しているものではない。「親族」の範囲は非常に広く、5親等、6親等ともなると直系はその存在自体怪しいものであるし、傍系は「またいとこ」など通常生活では認識されない関係者であろう。また、既述のように親族関係の解消は非常に困難な者である。そのような関係の者に、家族生活等に関して強く関係させるのが適当であるかはかなり疑問である。したがって、民法他法の適用にあたって強い効果を生じさせるものに関しては、条文上限定をつける場合が多い。
- 限定がつくもの
- 限定がつかないもの - 親族関係の審判を家庭裁判所に求める契機となる程度のもの。
- 不適法な婚姻の取消しの請求(第744条)
- 養子縁組の取消しの請求(第805条、第806条、第807条)
- 未成年の養子の離縁における代理人選任の請求(第811条)
- 親権者の指定・変更の請求(第819条)
- 第三者が無償で子に与えた財産管理者選任の請求(第830条)
- 親権喪失・停止及びその取消しの審判請求(第834条、第834条の2、第835条、第836条)
- 後見人・後見監督人・保佐人・保佐監督人・補助人・補助監督人の選任・解任・事務の監督の請求(第840条、第843条、第846条、第849条、第852条、第863条、第876条の2、第876条の3、第876条の7、第876条の8)
- 推定相続人の廃除に関する審判確定前の遺産管理の請求(第895条)
関連条文
[編集]参考
[編集]旧民法同条も同旨
- 左ニ掲ケタル者ハ之ヲ親族トス
- 六親等内ノ血族
- 配偶者
- 三親等内ノ姻族
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