解析学基礎/連続関数

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

ここでは、有界閉区間上で連続な関数が持つ性質について学ぶ。

連続関数の和差積商、合成[編集]

定理 f(x)、g(x)を閉区間I=[a,b]上で連続な関数とすると、その和および差f(x)±g(x)、積f(x)g(x)、商f(x)/g(x) (ただしg(x)≠0)も区間I上で連続である。

これは、極限の性質より明らかである。

有界性定理[編集]

定理 f(x)が閉区間I=[a,b]上で連続ならば、f(x)の値域f(I)={f(x)|x∈I}は有界である。

証明
f(x)が有界でないと仮定すると、自然数nに対して、f(xn)>nとなるxnがとれ、数列{xn}は有界なので、収束部分列{xnk}がとれる。区間Iが閉なのでその極限値αは区間Iに含まれている。f(x)の連続性より。アルキメデスの原理よりf(α)より大きい自然数Nが存在し、nk>Nならば、f(xnk)>nk>N>f(α)より、矛盾が発生する。よって、f(x)は有界である。

最大値・最小値の定理[編集]

定理 f(x)が閉区間I=[a,b]上で連続ならば、f(x)はその区間で最大値、および最小値をとる。

証明
最大値を持つことを示す(最小値についても同様である)。有界性定理から、f(x)の値域には上限Mが存在する。f(x)=M、a≤x≤bを満たすxが存在しないと仮定すると、F(x)=M-f(x)はI上で0をとらない。よって、はI上で連続である。また、上限の定義から、任意のε>0に対して、f(c)=M-εを満たすc∈Iが存在する。このとき、であるから、1/F(x)は有界ではない。これは、有界性定理に反する。

例題 f(x)=x4-4x2+1は区間[-2,1]上で最大値、および最小値を持つか、また、その値を求めよ。

解 (最大値)=1、(最小値)=-3

中間値の定理[編集]

定理 f(x)が閉区間I=[a,b]上で連続ならば、任意のf(a)とf(b)の間の実数cに対して、f(d)=c、a≤d≤bを満たす実数dが少なくとも一つ存在する。

証明

例題 x3-3x2+5x-2+2sin(πx)=0は区間[0,2]で解をもつか。

解 (左辺)=f(x)とおくと、f(x)は連続である。f(0)=-2かつf(2)=4より、中間値の定理から、f(x)=0を満たすxが[0,2]に少なくとも一つ存在する。
※実際には解は3つ存在する。