マクスウェルの方程式は、19世紀の物理学者ジェームズ・クラーク・マクスウェルによって確立されました。これらの方程式は、電場と磁場の関係を記述し、電磁気学の基礎を成しています。マクスウェルの業績により、電磁波の存在が予言され、後にヘルツによって実証されました。マクスウェルの方程式は、現代の通信技術や電力技術、電子工学など、多岐にわたる分野で応用されています。
マクスウェルの方程式の基本形[編集]
ガウスの法則(電場)[編集]
ガウスの法則は、電場が電荷によって生成されることを示します。この法則は、以下の式で表されます:
![{\displaystyle \nabla \cdot \mathbf {E} ={\frac {\rho }{\epsilon _{0}}}}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/236aa8aa43020f96f249f765c8b983c3b02dfe2a)
ここで、
は電場、
は電荷密度、
は真空の誘電率です。この式は、電場の発生源としての電荷の存在を示しています。
ガウスの法則(磁場)[編集]
ガウスの法則の磁場バージョンは、磁場が閉じたループを形成し、磁荷が存在しないことを示します。この法則は、以下の式で表されます:
![{\displaystyle \nabla \cdot \mathbf {B} =0}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/16ee950683349dacdd9e9c262ff6133812747edd)
ここで、
は磁場です。この式は、磁場の発生源としての磁荷の不存在を示しています。
ファラデーの法則[編集]
ファラデーの法則は、時間的に変化する磁場が電場を生成することを示します。この法則は、以下の式で表されます:
![{\displaystyle \nabla \times \mathbf {E} =-{\frac {\partial \mathbf {B} }{\partial t}}}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/2eb118e22c941e34f5537dbbdcaa3d7ba23603e0)
この式は、変化する磁場が誘導電場を生じることを示しており、電磁誘導の基礎を成しています。
アンペールの法則(マクスウェルの修正)[編集]
アンペールの法則は、電流が磁場を生成することを示します。マクスウェルの修正により、変位電流が導入され、この法則は次のように表されます:
![{\displaystyle \nabla \times \mathbf {B} =\mu _{0}\mathbf {J} +\mu _{0}\epsilon _{0}{\frac {\partial \mathbf {E} }{\partial t}}}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/57134e48b06ebc527fd19cd5e96f3f5d12ccddde)
ここで、
は電流密度、
は真空の透磁率です。この修正により、電磁波の存在が理論的に確立されました。
マクスウェルの方程式の微分形と積分形[編集]
微分形の導出と解説[編集]
マクスウェルの方程式は、微分形として表現されることが多く、これは局所的な場の変化を記述しています。ガウスの法則(電場)やファラデーの法則など、前述の方程式はすべて微分形です。
積分形の導出と解説[編集]
積分形は、よりグローバルな視点で場を記述します。ガウスの法則(電場)の積分形は以下の通りです:
![{\displaystyle \oint _{\partial V}\mathbf {E} \cdot d\mathbf {A} ={\frac {Q_{\text{enc}}}{\epsilon _{0}}}}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/46e264eaf4b7ff6ac497e8a6ed84e31b7f7365c2)
ここで、
は閉曲面積分、
は閉曲面内に存在する総電荷です。積分形は、特定の対称性を持つ問題に対して特に有効です。
境界条件と物質の影響[編集]
電場と磁場の境界条件[編集]
境界条件は、異なる媒質間での電場と磁場の振る舞いを決定します。電場の場合、境界条件は以下のようになります:
![{\displaystyle \mathbf {E} _{1,\parallel }=\mathbf {E} _{2,\parallel }}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/d8b56ec2be14778fbab844b3f0a3a653fed6231b)
![{\displaystyle \epsilon _{1}\mathbf {E} _{1,\perp }=\epsilon _{2}\mathbf {E} _{2,\perp }}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/685d4f931e381b85fabec96d888784f4224b8ef5)
ここで、
は境界面に平行な成分、
は垂直な成分、
は誘電率です。磁場についても類似の条件が適用されます。
物質中のマクスウェルの方程式[編集]
物質中では、マクスウェルの方程式は以下のように修正されます:
![{\displaystyle \nabla \cdot \mathbf {D} =\rho _{f}}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/556841060462dafa6265eb2815d7cb4b52891c6f)
![{\displaystyle \nabla \cdot \mathbf {B} =0}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/16ee950683349dacdd9e9c262ff6133812747edd)
![{\displaystyle \nabla \times \mathbf {H} =\mathbf {J} _{f}+{\frac {\partial \mathbf {D} }{\partial t}}}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/3259c98becc34ab9b054509d03271e60dbace602)
![{\displaystyle \nabla \times \mathbf {E} =-{\frac {\partial \mathbf {B} }{\partial t}}}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/2eb118e22c941e34f5537dbbdcaa3d7ba23603e0)
ここで、
は電束密度、
は磁場強度、
と
は自由電荷密度と自由電流密度です。
マクスウェルの方程式の応用[編集]
電磁波の導出[編集]
マクスウェルの方程式から電磁波方程式を導出することができます。真空中の電磁波方程式は以下の通りです:
![{\displaystyle \nabla ^{2}\mathbf {E} -\mu _{0}\epsilon _{0}{\frac {\partial ^{2}\mathbf {E} }{\partial t^{2}}}=0}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/cc56b0754ecc0b4b660b1be2233c1013a51c8002)
この方程式は、光速
で伝搬する波動を示しています。
電磁波の伝搬とエネルギー[編集]
電磁波のエネルギーの流れは、ポインティングベクトルによって表されます:
![{\displaystyle \mathbf {S} =\mathbf {E} \times \mathbf {H} }](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/d2f5d48a9306bbfffcca2f0171abe578b0bfd708)
ポインティングベクトルは、電磁波のエネルギー密度の時間変化を示しています。電磁波の反射、屈折、干渉、回折などの現象もここで扱います。
電磁波の実際の応用[編集]
電磁波は、現代社会においてさまざまな技術に応用され、私たちの生活を支えています。ここでは、通信技術、医療技術、工業技術における電磁波の具体的な応用例について解説します。
通信技術[編集]
無線通信[編集]
無線通信は、電磁波を利用して情報を伝達する技術です。ラジオ、テレビ、携帯電話、Wi-Fiなど、無線通信はさまざまな形で私たちの生活に浸透しています。無線通信では、送信機が情報を電磁波に変換して送信し、受信機がそれを受信して元の情報に戻します。周波数帯や変調方式により、異なる種類の無線通信が実現されます。
- ラジオ: 長波、中波、短波などの周波数帯を利用して音声を伝送。
- テレビ: VHF、UHF帯を利用して映像と音声を伝送。
- 携帯電話: GSM、CDMA、LTEなどの技術を利用して音声とデータを伝送。
- Wi-Fi: 2.4GHz、5GHz帯を利用して高速データ通信を提供。
光ファイバー通信[編集]
光ファイバー通信は、光波を利用して情報を伝送する技術です。ガラスやプラスチックでできた細い繊維を通じて光を伝送することで、長距離かつ高速のデータ通信が可能となります。光ファイバーは、インターネットのバックボーンとして広く利用されており、大容量データの伝送に適しています。
- シングルモードファイバー: 長距離通信に適しており、レーザー光源を使用。
- マルチモードファイバー: 短距離通信に適しており、LED光源を使用。
光ファイバー通信は、信号の減衰が少なく、電磁干渉を受けないため、非常に安定した通信を提供します。
医療技術[編集]
MRI(磁気共鳴画像)[編集]
MRIは、強力な磁場とラジオ波を利用して体内の断面画像を取得する技術です。MRI装置は、強力な磁場を生成し、体内の水素原子核を整列させます。その後、ラジオ波パルスを送信し、これにより水素原子核がエネルギーを吸収して特定の方向に揺れ動きます。ラジオ波パルスが停止すると、水素原子核は元の状態に戻り、その過程で信号を放出します。これらの信号を検出し、コンピュータで解析することで、高解像度の体内画像が得られます。
MRIは、脳、脊髄、関節、内臓など、さまざまな部位の診断に利用されます。放射線を使用しないため、被曝のリスクがないのも大きな利点です。
工業技術[編集]
レーダー[編集]
レーダーは、電磁波を利用して物体の位置や速度を測定する技術です。送信機から発射された電磁波が物体に反射し、その反射波を受信機で検出して解析することで、物体の位置、速度、形状などを特定します。レーダーは、航空管制、気象観測、交通管理、軍事用途など、さまざまな分野で利用されています。
- 航空レーダー: 航空機の位置と高度を監視。
- 気象レーダー: 降水の強度や風の動きを観測。
- 交通レーダー: 車両の速度を測定し、交通違反を検出。
- 軍事レーダー: 敵の航空機やミサイルを検出し、追跡。
LiDAR(Light Detection and Ranging)[編集]
LiDARは、レーザー光を利用して物体の距離を測定する技術です。送信機から発射されたレーザー光が物体に反射し、その反射光を受信機で検出することで、物体までの距離を高精度に測定します。LiDARは、自動運転車、地形測量、環境モニタリングなど、さまざまな分野で利用されています。
- 自動運転車: 周囲の環境をリアルタイムでスキャンし、障害物の検出や経路計画を支援。
- 地形測量: 地形の高精度な3Dマッピングを実現し、都市計画や災害対策に利用。
- 環境モニタリング: 森林の密度や海岸線の変化を監視し、環境保護に貢献。
LiDARは、従来のレーダーやカメラに比べて高い解像度と精度を提供し、複雑な環境でも信頼性の高いデータを取得できます。
マイクロ波加熱[編集]
マイクロ波加熱は、マイクロ波を利用して物質を加熱する技術です。家庭用の電子レンジや産業用の加熱装置で広く利用されています。マイクロ波が物質中の水分子に吸収されると、水分子が振動して熱を発生します。これにより、物質が内部から加熱されます。
- 電子レンジ: 食品を短時間で均一に加熱。
- 産業用マイクロ波加熱装置: 材料の乾燥、焼成、滅菌などに利用。
マイクロ波加熱は、加熱効率が高く、精密な温度制御が可能なため、さまざまな分野で利用されています。
以上のように、電磁波は通信技術、医療技術、工業技術など多岐にわたる分野で応用され、私たちの生活を豊かにしています。マクスウェルの方程式がもたらした電磁波の理解は、これらの技術の基盤となっています。
数学的補遺[編集]
ベクトル解析の基礎[編集]
マクスウェルの方程式を理解し、応用するためには、ベクトル解析の知識が不可欠です。ここでは、電磁場の挙動を解析する際に重要となる基本概念と定理について復習します。
発散(ダイバージェンス)は、ベクトル場の源や吸収の度合いを示します。ベクトル場
の発散は次のように定義されます:
![{\displaystyle \nabla \cdot \mathbf {A} ={\frac {\partial A_{x}}{\partial x}}+{\frac {\partial A_{y}}{\partial y}}+{\frac {\partial A_{z}}{\partial z}}}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/646c6d10d3b3f23ac54e8777d6a83142c281c398)
発散が正の場合、ベクトル場はその点から外に向かって流れ出していることを意味し、負の場合はその点に向かって流れ込んでいることを意味します。ガウスの法則は、電場の発散が電荷密度に比例することを示しています。
回転(カール)は、ベクトル場の周りに回転する度合いを示します。ベクトル場
の回転は次のように定義されます:
![{\displaystyle \nabla \times \mathbf {A} =\left({\frac {\partial A_{z}}{\partial y}}-{\frac {\partial A_{y}}{\partial z}}\right)\mathbf {i} +\left({\frac {\partial A_{x}}{\partial z}}-{\frac {\partial A_{z}}{\partial x}}\right)\mathbf {j} +\left({\frac {\partial A_{y}}{\partial x}}-{\frac {\partial A_{x}}{\partial y}}\right)\mathbf {k} }](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/20939c9bd6d33fbfbfc442200b2ee3c64f3e6702)
回転がゼロでない場合、そのベクトル場には循環的な成分が含まれています。ファラデーの法則やアンペールの法則は、電場や磁場の回転が他の場の時間変化や電流に関連することを示しています。
スカラー場
の勾配(グラディエント)は、そのスカラー場の最大変化率の方向を示すベクトル場です。勾配は次のように定義されます:
![{\displaystyle \nabla \phi =\left({\frac {\partial \phi }{\partial x}},{\frac {\partial \phi }{\partial y}},{\frac {\partial \phi }{\partial z}}\right)}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/ae57b44af773f5cdbc1a87ceb96e47cbe4fd5f2e)
電位
の勾配は電場
に関連し、次の関係があります:
![{\displaystyle \mathbf {E} =-\nabla \phi }](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/445aa1015e4126f56243a9fcb035ba696a337294)
ガウスの定理[編集]
ガウスの定理(発散定理)は、閉曲面を通過するベクトル場のフラックスが、その閉曲面内の発散の体積積分に等しいことを示します。これは次のように表されます:
![{\displaystyle \oint _{\partial V}\mathbf {A} \cdot d\mathbf {A} =\int _{V}(\nabla \cdot \mathbf {A} )\,dV}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/fd70521c5f78af139c5b22f2c80058d63b68235f)
ここで、
は体積
の境界面を表します。この定理は、ガウスの法則(電場)やガウスの法則(磁場)を積分形で表現する際に用いられます。
ストークスの定理[編集]
ストークスの定理は、閉曲線を通るベクトル場の線積分が、その曲線により囲まれた面積の回転の面積積分に等しいことを示します。これは次のように表されます:
![{\displaystyle \oint _{\partial S}\mathbf {A} \cdot d\mathbf {l} =\int _{S}(\nabla \times \mathbf {A} )\cdot d\mathbf {A} }](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/dd9a1a10670b8656d29d4679aa4937f117041426)
ここで、
は面
の境界線を表します。この定理は、ファラデーの法則やアンペールの法則を積分形で表現する際に用いられます。
線形代数の基礎[編集]
マクスウェルの方程式を解析し、解を求める際には、線形代数の知識も重要です。ここでは、電磁気学に必要な線形代数の基礎について解説します。
行列とベクトルの基本[編集]
行列とベクトルは、物理量を系統的に扱うために便利な数学的ツールです。行列は数値や関数を格子状に並べたもので、ベクトルは行や列の形で配置された数値や関数の集合です。
行列
とベクトル
の積は次のように定義されます:
![{\displaystyle \mathbf {A} \mathbf {x} ={\begin{pmatrix}a_{11}&a_{12}&\cdots &a_{1n}\\a_{21}&a_{22}&\cdots &a_{2n}\\\vdots &\vdots &\ddots &\vdots \\a_{m1}&a_{m2}&\cdots &a_{mn}\end{pmatrix}}{\begin{pmatrix}x_{1}\\x_{2}\\\vdots \\x_{n}\end{pmatrix}}={\begin{pmatrix}a_{11}x_{1}+a_{12}x_{2}+\cdots +a_{1n}x_{n}\\a_{21}x_{1}+a_{22}x_{2}+\cdots +a_{2n}x_{n}\\\vdots \\a_{m1}x_{1}+a_{m2}x_{2}+\cdots +a_{mn}x_{n}\end{pmatrix}}}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/a0e5e1600f261c79cc4744ba3fa2147380a0f627)
行列積を用いることで、線形方程式系を効率的に表現し、解くことができます。
固有値問題の解法[編集]
固有値問題は、行列
の固有値
と固有ベクトル
を求める問題です。これは次の固有値方程式で定義されます:
![{\displaystyle \mathbf {A} \mathbf {v} =\lambda \mathbf {v} }](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/eb4bca75ce898b48e51ff4f79b0a8cc3c53afdee)
固有値を求めるには、次の特性方程式を解きます:
![{\displaystyle \det(\mathbf {A} -\lambda \mathbf {I} )=0}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/db26751cdb58e8be592236406c6f5f750e4a54c6)
ここで、
は単位行列です。固有値
が求まると、対応する固有ベクトル
を次のように求めます:
![{\displaystyle (\mathbf {A} -\lambda \mathbf {I} )\mathbf {v} =\mathbf {0} }](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/fd1c011956e95dc55153dc3f5db6924970495414)
固有値問題は、電磁波のモード解析や共振周波数の計算など、電磁気学のさまざまな問題で重要な役割を果たします。
これらのベクトル解析と線形代数の基礎を理解することで、マクスウェルの方程式の解釈と応用がより明確になります。物理現象を数学的に記述し、解析するための強力なツールとして、これらの知識を活用してください。
演習問題と解答[編集]
基本問題[編集]
マクスウェルの方程式の基本的な理解を深めるための問題を提供します。
- 問題 1: 発散とガウスの法則
- 空間内に一様に分布した電荷密度
が与えられている場合、電場
の発散
を求めよ。また、その結果をガウスの法則として解釈せよ。
- 問題 2: 回転とファラデーの法則
- 時間変化する磁場
が与えられている場合、磁場の回転
を求めよ。その結果をファラデーの法則として解釈せよ。
- 問題 3: 電場とポテンシャル
- 静電場において、電場
のポテンシャル
が与えられている場合、その関係式を示せ。また、ポアソン方程式として表現せよ。
応用問題[編集]
実際の物理現象に基づいた応用問題を通じて、マクスウェルの方程式の実際の応用力を養います。
- 問題 1: 平行平板コンデンサのキャパシタンス
- 空間に平行な無限広の導体板があり、間に真空が充填されているとする。導体板間の距離
と面積
の条件で、このコンデンサのキャパシタンス
を求めよ。
- 問題 2: 磁場中の導体のモーター
- 半径
の円形の導体が、中心から距離
で一様な磁場
の中に置かれている。導体を周囲に対して速度
で動かしたときに誘起される起電力
を求めよ。
総合問題[編集]
総合的な理解を試す問題を提供し、読者が各章の内容を統合的に理解できているかを確認します。
- 問題 1: 電磁波の伝搬
- 自由空間を伝搬する電磁波の速度
は、電場
と磁場
の関係によって決まることを示せ。その速度が光速
m/s に等しい理由を説明せよ。
- 問題 2: 電磁波のエネルギー密度
- 電場
と磁場
のエネルギー密度
と
を求め、その和が電磁波のエネルギー密度
と等しいことを示せ。
- 問題 3: 偏波
- 線形偏波と円偏波の特徴を説明し、それぞれがどのようにしてマクスウェルの方程式によって記述されるかを述べよ。
基本問題[編集]
- 問題 1: 発散とガウスの法則
- 電場
の発散は、電荷密度
によって決まります。
![{\displaystyle \nabla \cdot \mathbf {E} (\mathbf {r} )={\frac {\rho (\mathbf {r} )}{\epsilon _{0}}}}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/acc300c82cdd860c6f76124823e40b8c7ed911c9)
- ここで、
は真空の誘電率です。ガウスの法則によれば、閉曲面
を通じての電場のフラックスは、その内部の総電荷量に比例します。
- 問題 2: 回転とファラデーの法則
- 磁場
の回転は、電場の時間変化によって決まります。
![{\displaystyle \nabla \times \mathbf {B} (\mathbf {r} ,t)=\mu _{0}\mathbf {J} (\mathbf {r} ,t)+\mu _{0}\epsilon _{0}{\frac {\partial \mathbf {E} (\mathbf {r} ,t)}{\partial t}}}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/cc0cd74b9a4aae55bb4833a15036480157bb60d3)
- ここで、
は真空の透磁率、
は電流密度です。ファラデーの法則によれば、閉曲線
を取り巻く磁場の線積分は、その内部の時間変化する電場に比例します。
- 問題 3: 電場とポテンシャル
- 静電場において、電場
はポテンシャル
によって次のように表されます。
![{\displaystyle \mathbf {E} (\mathbf {r} )=-\nabla \phi (\mathbf {r} )}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/3529548796c6e70993b3ddd5e44dc665ae991ecb)
- また、ポアソン方程式は次のように表されます。
![{\displaystyle \nabla ^{2}\phi (\mathbf {r} )=-{\frac {\rho (\mathbf {r} )}{\epsilon _{0}}}}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/f0ede9c00d03d65f18620dc4981c5acdd2013864)
応用問題[編集]
- 問題 1: 平行平板コンデンサのキャパシタンス
- 平行な導体板の間に真空が充填されている場合、コンデンサのキャパシタンス
は次のように表されます。
![{\displaystyle C={\frac {\epsilon _{0}A}{d}}}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/b3641b8352b793f210f416e5bdaca4c73af45f3e)
- ここで、
は導体板の面積、
は導体板間の距離です。
- 問題 2: 磁場中の導体のモーター
- 磁場中で速度
で動く導体が、その幅
に対して誘導起電力
を生じます。
![{\displaystyle {\mathcal {E}}=-vBw}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/fde90a83f8ed1ff44ce77ab522803719097c0a10)
- ここで、
は磁場の強度です。この起電力は、導体を動かす際に発生する電動力です。
総合問題[編集]
- 問題 1: 電磁波の伝搬
- 自由空間を伝搬する電磁波の速度
は、電場
と磁場
の関係によって決まります。
![{\displaystyle c={\frac {1}{\sqrt {\mu _{0}\epsilon _{0}}}}}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/f2bc3b4590147cc2285044e0261f1c5502a4b620)
- この速度が光速
m/s に等しいのは、真空の透磁率
と誘電率
の値から導かれます。
- 問題 2: 電磁波のエネルギー密度
- 電場
と磁場
のエネルギー密度
と
は次のように表されます。
![{\displaystyle u_{E}={\frac {\epsilon _{0}}{2}}|\mathbf {E} |^{2}}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/ac1b197f51ebff9b47e53b74364d390e8da47ca3)
![{\displaystyle u_{B}={\frac {1}{2\mu _{0}}}|\mathbf {B} |^{2}}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/a361615f496b25fd7c02c69e7bd35d28eb624fff)
- そして、電磁波のエネルギー密度
は、
![{\displaystyle u=u_{E}+u_{B}}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/56048d0609c364e8cfdc2c8ca85b3deb25492e50)
- 問題 3: 偏波
- 線形偏波は、電場と磁場が一直線に振動する状態であり、円偏波は、電場と磁場が同心円状に回転する状態です。これらはマクスウェルの方程式を用いて次のように記述されます。
- 線形偏波:
![{\displaystyle \mathbf {E} (\mathbf {r} ,t)=\mathbf {E} _{0}\cos(\omega t-\mathbf {k} \cdot \mathbf {r} )}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/6134c804464e0a7fdda5a005799fdb978e157b83)
- 円偏波:
![{\displaystyle \mathbf {E} (\mathbf {r} ,t)=\mathbf {E} _{0}(\cos(\omega t-\mathbf {k} \cdot \mathbf {r} ){\hat {\mathbf {x} }}+\sin(\omega t-\mathbf {k} \cdot \mathbf {r} ){\hat {\mathbf {y} }})}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/39e94a9a0749e55ae0c0480fb83e60b695a6700b)
これらの解答は、マクスウェルの方程式とその応用に基づいて理論的に導かれた結果です。問題に対する理解を深めるために、自身で計算や議論を行いながら学習を進めてください。