高校受験ガイド/志望校決めノウハウ

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

志望校の決めかたのコツ[編集]

模試を受ける[編集]

まず、おそくとも3年の春のうちに模試を受けて、自分の偏差値を知ってください[1]

そのさい、大まかな志望校の、合格判定などの情報も、模試の結果に記載されているので、目を通してください。

模試を受けないと、現状の学力が分からないので、対策のしようがありません。

wikiでこれから述べる対策法も、模試を受けて自身の偏差値の現状を知ったことが前提です。


決める時期は早いほうがいい[編集]

志望校は、早めに決めたほうが良いでしょう。[2]

第1志望から第3希望まで、さっさと2年の終わった3月くらいのうちに決めるべきです。

志望校を決める際、自分の偏差値よりも高すぎる志望校ばかりだと、気力が尽きてしまいますし[3]、受験に失敗して不本意な進学をする可能性が高いので、志望校の多くは自分の今の偏差値よりも少し高いくらい(+5くらい[4])に留めておきましょう。


なお、志望校は3年の12月ごろに行われる三者面談で決めたら、しばらくは変えられません[5]。なぜなら、それから先生が受験シーズンで調査書などの準備で忙しくなるからです。担任の先生が面倒を見ているのは決してアナタだけでなく、1クラスの40人ちかくの生徒の面倒を見て調査書などの書類を準備しているのです。なので、予定はしばらく変更できませんので、志望校もしばらくは変更できません。ですから、それまでにきちんと高校の学校説明会などの見学をするなどして、合格の実現可能性の高い志望校を決めておきましょう。


なお、12月よりも前に7~10月あたりの夏~秋にも三者面談があるはずです。その夏の三者面談で、ある程度の進路傾向を担任は調査します。

この7~10月の面談のさい、将来の夢なども聞かれるだろうから(または面談の前にアンケート用紙などで聞かれる場合もある)、思っている夢を素直に言いましょう[6]。アンケートなら、素直に将来つきたい仕事・業界などを書きましょう。おそらく、担任からも面談で将来の夢などを聞かれると思います。

たとえば部活とかで音楽をしていて、ミュージシャンに興味あって、音楽科のある高校に興味あるなら、「ミュージシャンに興味ある」みたいに面談やアンケートで言いましょう、書きましょう[7]

事前に伝えておけば、担任はその教科の教員(この場合は音楽教科の教員)とも相談して、色々と音楽教育の充実してそうな高校を調べて、面談などの際に伝達してくれるでしょう。


いっぽう、部活などで吹奏楽や管弦楽をしておらず、ピアノも幼少期にならっていなくて音楽を普段からしてない生徒なら、それでは音楽科の高校はきびしいかと思いますが、それでも事前に夢を伝えておけば、何か参考情報を面談のさいに伝えてくれるはずでしょう。

たとえば、担任が音楽教科の先生と事前に相談したとして、面談時に担任から生徒が言われることは、たとえば「きみの実力では音楽科の高校はきびしいけど、普通科高校でも近隣にあるこの高校が音楽の部活がさかんです。この普通科高校は、音大に進学している卒業生が他校よりも多いです」とか、何か色々と情報を教えてくれるはずです。

その高校に合格するかどうか知りませんが、高校生になったときにそういう情報を知っているか知らないかで、高校3年間の過ごし方の効率が違うので、中3の面談(および事前の進路志望アンケート)では素直に将来の夢を伝えましょう。

なので、もし親に志望を反対されても、担任に将来の夢を相談しましょう。なぜなら、通っている中学の音楽教員は、音楽についての親の知らない情報をいろいろと知っています。7月ごろの三者面談は、そういうのを確認する場です。

たとえ、生徒の家庭がすでに知っているレベルの情報しか面談で出なかったとしても、それは音楽教員ですらそれ以上の情報は知らないという結果が分かるので、そういう意味では収穫のある情報なのです。


高校受験だけでなく、高校3年のときの三者面談でも同様、将来の夢を伝えましょう。(このときも、おそらく将来の夢をあるていど聞かれると思います。)

音楽教員の考えたアドバイスが当たるかどうかは知りません。最終的に決断するのは、生徒の家庭です。

高校を中退すると進路指導が受けられずに就職活動をする羽目に

もし高校を中退すると、ただでさえ就職で経歴にキズがついて損なうえに、その上、さらに、生徒の学力をよく知った教師からの進路指導を受けることができなくなり、とても不利です[8]

メディア学の格言で、「人がイヌをかんだらニュースになるが、イヌが人をかんでもニュースにならない」というのがあります。つまり、例外的な話題のほうがニュースになりやすく、なのでニュースは現実的な統計とは離れていることもあるのです。一部のスポーツ選手とかが高校を中退していてもプロに就職できて成功していますが、ああいうのは例外です。統計を見ましょう。


あと、ニュースばかりを見て社会勉強をしたつもりになるのは馬鹿げているので辞めましょう。普通の学生なら、きちんと学校の教科書や参考書などを読んで勉強しましょう。スポーツ天才児とかでもないのに教科書や参考書を読まないのは、人がイヌをかむニュースばかりを聞いて「イヌは人をかまないものだ」とか勘違いしている馬鹿と同レベルです。残念なことに大人のなかにも、それに近い発想の馬鹿がたくさんいます。


高校では、よほどの難関の進学校でないかぎりは、高校卒業直後に就職をする場合でも(あるいは専門学校への進学をする場合でも)、高校在学中に体育館などに就職志望組や専門学校進学組などの生徒だけをあつめて(※ 大学受験組は集めない)、実社会で働いている職業人や卒業生などからの講演を聞いたりできます[9]。(カッコ内の専門学校組どうこうとかの部分はwiki側で追記。出典の文献には該当情報は無し。)

このように、高校では講演により、普通のメディアには出ない信頼性の高い就職情報も集められます。これも、もし大人になってから同等のサービスを受けようとすると、かなりのカネと時間が掛かります。(なお大学だと、理系の大学だと授業が忙しすぎたりして、そういう校内に招いた職業人の公演を聞きに行く時間が取れなかったりします。たぶん何もお偉いさんやら理系の大学教授さんが考えてないか、実態が良く分かってないのだと思います。なのに日本政府はなんでこんな理系を重視するのか、理解に苦しみます。)

他にも、高校教師からの進路指導はとても貴重です。

普通科の高校ですら、いろんな専門家がいるのです。国語、英語、数学、物理、化学、生物、家庭科、日本史、世界史、地理、政治経済、倫理(※科目の内容は哲学史)、体育、情報、美術、音楽、書道、家庭科(※中身は家政学)、などで教員免許をもったレベルの専門家が多くいるのです。担任以外からも、そういった間接的な進路指導を受けられないのは不利です。


だから、どうしても健康上などの理由で休学などをせざるを得ない場合とかでも、最終的には一般人は高校を卒業をするのが良いでしょう。

高校とは、単に学力の肩書だけでなく、小中学校よりも専門性の高い教育者から進路指導を受けられるという利点があるのです。

例外として、就職先の決まったスポーツの天才選手とかでない限り、高校は卒業しましょう。



偏差値の分類と志望校ぎめ[編集]

なお、公立高校は基本的に1校しか選ぶことができません[10]

志望校ぎめでの偏差値ごとの受験校の分類として、

チャレンジ校(偏差値が自分より少し上)、
実力相応校(偏差値が自分と同じくらい)、
安全校(偏差値が自分より下)、

という3分類があります。」

すべり止めのため、第1志望校のほか、安全校のなかで行っても良いと思える高校もあらかじめ調べて決めておくと良いでしょう[11]

第一志望校には、特に事情がないかぎりは、実力相応校またはチャレンジ校のなかで、行きたい高校を選びましょう[12]

ただし、たとえば「偏差値は低いけどスポーツの強豪校」みたいに、学力以外の部分で心ひかれている高校があれば、それを第1志望校にするのも良いでしょう[13]


おそらく三者面談などでも、(「偏差値」の名前は公立中学では出さないでしょうが、)そう指導されるでしょう。

ただし、学校の教員は、模試などの偏差値は知りませんし、歴史的な事情で模試の情報を公立学校では排除しますので(1990年代の業者テスト追放運動)、あまり担任のアドバイスだけを真に受けてはいけません。

私立志望の一般入試の場合、あくまで参考基準は、定期テストではなく模試の偏差値[14]。 です。

通学時間[編集]

高校の勉強では、中学と比べ者にならない多くの課題が出ます[15]。このため、大学進学などを考える場合、学習時間が多く必要になります。

もし、通学時間が長すぎる立地の高校だと、勉強時間が減ってしまいます。

なので、よほどの名門私大の付属校などでないかぎり、家から常識的な通学時間で通える高校を志望するのが安全です。


なお、国立大付属高校には、内部進学はありません。家から遠い国立大付属高校に進学してしまうと、そのぶん受験勉強の時間を通学で圧迫してしまいますので、注意してください。


学生寮は私立でも無いのが高校では普通

なお、学生寮(がくせい りょう)があるのは、ごく一部の高校に限られます。学生寮が無いと思われる私立高校として、日東駒専(日大・東洋・駒沢・専修)やマーチ(明治・青学・立教・中央・法政)や成成明学(成城・成蹊・明治学院)の付属高校あたりだと、学生寮は基本、ありません。

なお、学生寮のある中高については、下記の外部リンクを参照してください。

リンク先を見ても、早慶マーチの付属校については、例外として高校ですが早大付属の早稲田摂陵高校(大阪府)と早稲田佐賀高校(佐賀県)を除いて、寮の情報が見当たりません[16]


いっぽう、量のある私立高校として、駒沢大付属の北海道の高校には学生寮がありますが、しかし定員があり、全校生徒数よりも大幅に少ない定員です[17]。あくまで北海道の付属の話です。

700名以上いる生徒に対して、寮の定員は150名ていどだったりします。

なので、あくまで、基本的には、なるべく近くの高校に通うのが前提です。

しかも上記は北海道の話です。


首都圏に住んでいる人は、学生寮はアテにしないほうが良いでしょう。

ネット検索で「〇〇大学付属 高校 学生寮」でマーチ大学群などを〇〇部分に入れて検索すると出てくる結果は、学生寮ではなく学生向けの一般の近隣マンションばかりです。その学園はそのマンション経営には一般に関わっていません。勝手にマンション会社が「学生向け」のターゲット層で商売しているだけです。学園とは無関係のマンション会社です。


マンガだと、よく学問モノのマンガでは寮生活がありますが、実際には学生寮のある私立の中学高校は少ないのです。マンガの寮生活は、単にストーリー上の都合に過ぎません。

国立大付属の中学高校で学生寮は、聞いたことがなく、無いと思われます[18]

私立の建学時の教育理念は、現代語とは意味がちがう[編集]

私立学校の建学時の創設者による教育理念は、たいていの場合、単にその創設当時の初代の理事長である創設者の教育理念に過ぎません。

また、時代の変化によって、理念にあった言葉の意味合いは、現代語の意味合いとは少し違っています。

たとえば、第二次世界大戦(WW2)後の学制改革で昭和なかばに創設された高校の場合などは、「自主自律」とか理念で言っても、それは戦前の軍国主義的な教育に対する「自主自律」というような意味合いもあるので、その私学の校則とか厳しい場合もありますし、科目の選択肢はそんなに多くないかもしれません。

実際には、どの高校(一条校)も指導要領にしたがいますので、学校である以上は教師の管理にしたがって授業を受ける事になります。


ほか、成蹊(せいけい)大学の付属高校のwebサイトの教育理念のページにて『勤労の実践』という建学の理念を見たのですが[19]、しかし実際の成蹊大付属高校のカリキュラムは何か工業高校や農業高校のような職業教育をするようにはなっていないし、成蹊高校は普通科高校のカリキュラムです[20]。おそらく、今でいう(高校「政治経済」みたいな科目の)「実学重視」とか中学校の技術家庭科とか(中学での職業体験の)「体験学習」くらいの意味合いだと思います。大正時代には、まだ「体験学習」みたいな言葉が無かったか、いまほど実習・実験の設備が整っていなかったのだろうと思います。

教育学では、成蹊学園などの大正時代の創設の少し前のころ、ヨーロッパで「労作」教育という、座学ばかりでなく、畑を耕したり、楽器を演奏したりとかいった(今と違って大正の当時は家電の音楽機器なんてないので、今よりもやや実学だった)、体験学習のようなものが模索されました。おそらく、こういうのの話です。

なお、さきほど楽器がどうこう言いましたが、成蹊高校はべつに音楽とか美術とかを重視するカリキュラムではなく、世間の公立高校の選択芸術科目と同様に、高校1年で音楽とか美術とかがあるだけです。


ほか、「個性」の尊重をうたう私立高校もそこそこ多いですが、しかし少なくともカリキュラムを見ても、たとえば「私はミュージシャンになりたい!」的な人に対応するような音楽IIとか音楽IIIとか用意してない高校も多数です。

なので、ともかく、決してパンフレットなどにある理念を鵜呑みにするのではなく、その学校のカリキュラムや、生徒たちの普段の行動や進路などを観察しましょう。

なので、できれば近隣にある高校に進学するほうが、生徒の実態が分かるので、得(とく)です。

参考文献[編集]

書籍[編集]

高校受験ノウハウ本
  • みおりん 著『中学生のおうち高校受験勉強法』、2023年2月25日 初版 第1刷 発行、
  • ラオ 著『中学生のためのすごい勉強法』、2023年3月25日 初版 第1刷発行、
教育学書
  • 小泉令三 編著『よくわかる生徒指導・キャリア教育』、ミネルヴァ書房、2010年4月20日 初版 第1刷 発行、

脚注[編集]

  1. ^ みおりん 著『中学生のおうち高校受験勉強法』、2023年2月25日 初版 第1刷 発行、P83
  2. ^ ラオ 著『中学生のためのすごい勉強法』、2023年3月25日 初版 第1刷発行、P32
  3. ^ ラオ 著『中学生のためのすごい勉強法』、2023年3月25日 初版 第1刷発行、P32
  4. ^ ラオ 著『中学生のためのすごい勉強法』、2023年3月25日 初版 第1刷発行、P32
  5. ^ みおりん 著『中学生のおうち高校受験勉強法』、2023年2月25日 初版 第1刷 発行、P38
  6. ^ みおりん 著『中学生のおうち高校受験勉強法』、2023年2月25日 初版 第1刷 発行、P59
  7. ^ みおりん 著『中学生のおうち高校受験勉強法』、2023年2月25日 初版 第1刷 発行、P59
  8. ^ 小泉令三 編著『よくわかる生徒指導・キャリア教育』、ミネルヴァ書房、2010年4月20日 初版 第1刷 発行、P.199
  9. ^ 小泉令三 編著『よくわかる生徒指導・キャリア教育』、ミネルヴァ書房、2010年4月20日 初版 第1刷 発行、P.202
  10. ^ みおりん 著『中学生のおうち高校受験勉強法』、2023年2月25日 初版 第1刷 発行、P39
  11. ^ みおりん 著『中学生のおうち高校受験勉強法』、2023年2月25日 初版 第1刷 発行、P39
  12. ^ みおりん 著『中学生のおうち高校受験勉強法』、2023年2月25日 初版 第1刷 発行、P39
  13. ^ みおりん 著『中学生のおうち高校受験勉強法』、2023年2月25日 初版 第1刷 発行、P39
  14. ^ みおりん 著『中学生のおうち高校受験勉強法』、2023年2月25日 初版 第1刷 発行、P41
  15. ^ みおりん 著『中学生のおうち高校受験勉強法』、2023年2月25日 初版 第1刷 発行、P50
  16. ^ 矢野耕平 著『あの"聖心"の女子寮が貫く"秘密のルール"』2017/10/31 9:00 ※ リンク先のこのページで、いくつかの、寮ある私学を紹介
  17. ^ 駒澤大学附属苫小牧高等学校『寮(敬愛寮、大心寮、龍生寮)』 2024年03月31日に確認.
  18. ^ 教えてgoo 『国公立の、寮のある高校』質問日時:2005/02/23 19:46
  19. ^ 『建学の精神・教育目標|学校紹介|成蹊中学・高等学校』 2024年03月31日に確認.
  20. ^ pdf 『高校カリキュラム表 - h_cal2022.pdf』 2024年02月17日に確認.