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高校受験ガイド/高大連携

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

高大連携

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高大連携とは

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「高大連携」といって、主に進学校の高校では、たとえば、高校生でも提携先の大学教員による特別授業をいくつか受けられたりする事が、令和では行われています。かつては「高大接続」改革などとも言いました。

主に、私立大学が、このような高大連携を主導しています。

いっぽう国公立大では、おそらく他県受験生への配慮や、平等性などの問題からでしょうか、あまり踏み入った高大連携を行わないません。


「高大連携」には高校生むけの教育のほかにも、その大学のある県内の高校教員むけの研修会などを主催している大学もありますが、当ページでは高校生むけの高大連携についてだけ話します。

この節では以下、主に、高大接続改革としての「高大連携」について解説します。


指定校推薦などとの関係

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私大との高大連携が進んだ結果などによりて、現代では(2024年に記述)、大学への指定校推薦とは別に、「高大連携」と言われる取り組みがあり、高校時代に大学の授業を聴講できたり履修できたりします。

指定校推薦とは別なので、必ずしも推薦がもらえるわけではありませんが、まあ、知っておくと有利でしょう。特に文科系の学部を志望する場合、大学受験での総合型選抜(AO入試)とか自己推薦入試などのアピール材料にもしやすいでしょうし。(ただし理系大学の場合は教育内容の特殊性もあり、あまり推薦系の入試はおすすめしません。)

堂々と、私立高校&私大のあいだの高大連携による推薦枠がある方針だということを明言している私立大学もあり、たとえば順天堂大学がそうであり、(高校の)校長推薦の枠がある方針です[1][2]

なお私立の順天高校は、順天堂大とは名前が似ているだけの、まったく別々の学園ですので、決して混同しないように。


指定校推薦どうこうの可能性は、あくまで私大の話であり、私立高校から私立大学への進学の話です。

なお、国公立大による「高大連携」というのもあるのですが、しかし国公立大の「高大連携」の特別授業は、基本的に推薦などは関係ありません(そもそも国公立大受験では、指定校推薦の制度が無いです)。国公立大の高大連携の特別授業は、建前どおり、単なる授業でしかありません。

協定校

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私立大学が高大連携などを名目に、私立高校に与える指定校推薦の枠を拡大したものを「協定校」と言います[3]

私立の「協定校」の場合、他の同じ偏差値帯の高校よりも、協定校の高校には多くの推薦枠が与えられています。


傾向として、私大は(公立高校よりも)私立高校と協定を結んでいることが多いです。

ただし大学によっては、協定校相手でも、それほど大きな推薦枠は与えない場合もあります。たとえば、3名とか5名とかの枠しかない場合もあります(ただし他校はもっと低い)。付属校のような数十名~百名以上のような大きな推薦枠は期待できない場合もあります。

2名の推薦枠が5名に拡大したとしても、たった3名の増加でも「協定校」です。実際に1ケタ台しか推薦枠が与えられていない協定校の高校もあります[4]


もし将来的に進学したい私立大学の文系学部がある場合、付属高校の合格が無理なら(偏差値が届かない、遠い、など)、提携校の私立高校を狙うという方法もあります。


このように、もう高校の志望校選択の時点で、現代では私立大学受験は始まっているのです。

私立大学受験は、多くの私立大学では、もはや推薦が5割近くになっており、残された一般入試の枠をうばいあう競争になっています(しかも競争相手には浪人生もいる)。

偏差値50以下とかの定員割れの私立大学でも、決して指定校推薦をしてないわけではなく、指定校推薦をしているうえで単に受験性が集まらないだけに過ぎません。


提携高校の傾向として、偏差値が高めで、大学の立地に比較的に近めの高校が多く選ばれています。大学から遠いと、大学教授が出張するのが大変になってしまいますので、なので出張しやすい近隣の私立名門高校とだけ提携を結んでいたりします。

なので早い話、もしアナタが東京の偏差値の高めの私大に将来的に進学したいなら、もう高校受験の時点で東京に上京できる(もしくは生まれた時から東京在住の)家庭が有利です。


あるいは、ある大学と教育理念などがとても似ている高校が提携高校に選ばれている場合もあり、典型的なのがキリスト教系の大学・高校との提携です。ほか、たとえ、いちいち高大連携の協定を結んでいなくても、キリスト教系の私立大学には、キリスト教系の私立高校からの推薦枠があります。


公立高校と私大との提携・協定について

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実は、公立高校でも、私大と協定を結んでいる場合がありますメガスタ『高大連携協定校で高校選び!』2024/05/25, 2:43 あたり。私立高校ほどの強固な提携ではないでしょうが。何とか「パイロット校」とか、何とか「提携校」とか、名乗っている場合もあります。

公立高校の場合、私大と提携を結んでいるからといって、必ずしも推薦枠が多いとは限りません。参考に。

地方だと、私大の周囲に私立高校が少なく、そのため私大周辺のいくつかの公立高校と、私大とが、提携を結んでいる場合もあります。ただし、極端に大学偏差値の高いの場合、まったく推薦枠は期待できません。単にボランティア的に、出張講義などをしてくれているだけでしょう。

また、周辺にある多数の公立高校とが提携を結んでいるので、おそらく推薦枠の増加が、その周辺高校どうしで等分され、1校あたりの推薦枠は小さいでしょう。


基本、地方の私大は、公立高校も含んで、その周囲の高校と協定を結んでいる傾向があります。このため、もし進学したい私大があるなら、その私大の近くにある高偏差値の高校を目指すのが無難でしょう。

たとえば、A私大の近くにある高校偏差値63の公立高校と、B私大の近くにある高校偏差値61.5の公立高校とで、自分がB私大に行きたいなら、少しだけ偏差値が低くてもB私大に行くのが無難かもしれない、という事です(自宅あkらの各高校への距離は同じくらいと仮定する)。もっとも、高校偏差値70くらいのC公立高校に行けるなら、そこでもいいかもしれませんが。

所得水準のつりあわない高大連携について

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やたら学費の高い私大医学部と、地元の公立高校との高大連携は、あまり指定校とかAOとかを期待しても意味ないでしょう。高校受験の段階でいちいち大学の学費まで調べる必要はありませんが、公立高校にしか行けない家庭に、学費の高い私立医学部などに行ける経済力があるとは思えません。

せいぜい、大学内の実習室を案内させられて見学させてもらえて大学教員による説明も聞けるとか、私立医大とかとの「高大連携」の内容はその程度だろうと思います。


私大付属校の他大との高大連携

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私大付属高校でも、他大と高大連携をしている高校も多くあります。たとえば順天堂大学は、ほかの大学の付属高校とも高大連携をしています[5]。順天堂大学に限らず、他大も同様です。

またこのように、決して一つの大学としか連携できないわけではありません。地方だと一つの大学しか連携できない公立高校もあるかもしれませんが、しかし首都圏の私立の高偏差値の高校の場合は、特にそういった制限はありません。

高大連携の授業についての注意点

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地域差

高大連携には、地域差があります。大学教授は、近隣の高校にしか出張できません。大学校舎が近い場合なら高校生側が大学訪問をする場合もあります。

決して、全国共通ではありません。このため、国公立の大学入試には基本、高大連携の内容は出ません。

私大はどうか知りませんが、基本的に高大連携は大学で習う内容に入るので、基本的には大学入試には、そのままでは出ません。そもそも大学の授業が、入試問題には、そのままでは出ません。


大学ごとの差

地域が近くても、連携する大学ごとに高大連携の授業や講義などの内容は異なります。学部によって異なる場合もあります。


定員がある

高大連携には定員があります。大学教授が面倒を見れる高校生の数には、限りがあるからです。なので、高校進学後に希望しても、必ずしも高大連携の授業などを自分が受けられるとは限りません。まあ、留学とかも同様で、自分がそれを認められる保証はありません。

本来、大学側で大学生の面倒を見ているのに、それに加えて、さらに高校生の面倒も見ているから、大学教員の負担は大きいのです。


教育効果は未保証

さて、大学の授業と言うのは、必ずしも、どんな若者にも教育効果が高いという保証もありません。

そもそも大学教育というのは、そういった万人(ばんにん)への教育効果の保証がないからこそ、だからこそ高校の普通科からは切り離して大学など別期間で教育を行っているのです。

また、そもそも教育効果がどんな若者にも校歌の高そうな最新の理論や知識などがあるなら、文部科学省や教科書会社などの手により高校教育に取り入れらます。文部科学省はそれに気づかないほど、愚かではありません。だからこそ、学習指導要領や検定教科書は、定期的に改定をしているのです。そのための改訂です。


だから、地方の人は、東京の高偏差値どうしの私立高校と私大との高大連携を、うらやましがる必要もありません。低い偏差値の人も、高偏差値の人を「ずるい」とか、うらやましがる必要はありません。偏差値の低い人には、高偏差の大学との高大連携の内容は、あっていません。


高偏差値どうしの高校と大学とのあいだですら、教育効果が高いか低いのか、微妙なところです。だから、大学ごとに、高大連携の内容は大学ごとにバラバラです。

高大連携の授業で得た知識を活用するには、それだけ注意深さが必要なのです。


高校入試後の先取り学習とは、意味合いが違います。もはや高大連携は、普通教育の先取りではなく、各自の進路を自力で考えるためのヒントなのです。

そして、そのようなリスクがあるからこそ、私大の人は、(公立高校ではなく)偏差値の高い私立高校と連携を深めたがります。

脚注

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  1. ^ 『茗溪学園中学校高等学校と高大連携に関する協定を締結しました』 2023.11.30 (THU) 2024年02月15日に確認.
  2. ^ 日本経済新聞 著『埼玉の春日部共栄中高と順天堂大学、出張授業などで連携』2023年12月7日 19:30 2024年02月15日に確認.
  3. ^ スタディ中学受験 著『法政大学との新たな高大連携!学びを深める連携講座と最大30名の協定校推薦 | スクール特集:三輪田学園中学校 | スタディ中学受験情報局』公開日:2023/8/4
  4. ^ 武田塾『関西学院大学商学部へ合格!「協定校推薦と指定校推薦の違い」』 2021.09.27
  5. ^ 順天堂大学『日本女子大学附属高等学校と高大連携に関する協定を締結しました』2024.03.29 (FRI) 2024年04月06日に確認.