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高校受験ガイド/高校偏差値についてのよくある誤解

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

偏差値についてのよくある誤解

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進学校かどうかは偏差値40を境にとりあえず判断

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将来的に大学進学を考える場合、高校受験での志望校はその高校の偏差値で判断しないといけません。なぜなら、普通科高校で、偏差値の低い高校は、そもそも高校側が、大学進学を方針としていない場合が多いからです。たとえば偏差値30台の高校の場合、そもそも高校側が大学進学を方針としていない場合があります(学校の公式サイトなどで方針を確認できます)。直接は「大学進学を方針としていない」とは言いませんが、「中学校卒業まで苦手だったところの学び直しをする」とか「手に職をつける」とかのような方針をうたっている場合があります。

行政用語ではチャレンジスクールとエンカレッジスクールをまとめて「普通学校」という場合もありますが、しかしこれは決して普通科高校の意味ではなく、「特別支援学校ではない」という意味での「普通学校」です。

ともかく、チャレンジスクールなどそういう障害支援の学校側の公式の方針は、そもそも大学進学ではなく、そのため進学校だと普通にあるような科目(「数学B」とか「世界史探求」とか)が、そもそもカリキュラムに存在しない普通科というのも、偏差値30台の高校にはあります。

大学進学が無理とは、けっして「底辺校の生徒がバカだから」とかそういう理由ではなく、そもそも、もうハナっから高校側が、大学受験を方針としていないカリキュラムなのです。そういう高校で生徒がいくら個人的に努力して大学受験を目指しても、地方の定員割れの私大ならともかく、難関大学に合格するのは、ほぼ無理です。推薦も、そもそも難関大の指定校推薦の対象校ではないでしょう。


偏差値が50以上で偏差値偏差値で±5くらいの差は、それほど気にする必要は無いです(このあたりの偏差値なら、偏差値よりもカリキュラムや近所での評判などの実態を調べるほうが大事です)。しかし、偏差値30台だと別です。偏差値40以上でも40~41とかそういう場合、方針がそもそも大学進学でない場合が多々あります。

偏差値30高校でも結果的に生徒が特技を身に着けた結果として、地元の私立大学に推薦などで進学できる場合もありますが、偶然の成果です。

「偏差値の低い高校から、難関大に一般入試で合格!」とか言う話は、基本的には高校受験の偏差値50前後やそれ以上の人たちの話です。


地域によっては(エンカレッジではなく)エンパワーメントスクールとかクリエイティブスクールと言います。大阪と神奈川の両方に「クリエイティブスクール」という高校がありますが、しかし意味が違います。大阪のクリエイティブスクールは、定時制の学び直し高校です。神奈川のクリエイティブスクールは全日制です。大阪のエンパワーメントスクールには総合科の高校もあります。

低偏差値の高校のあれこれ

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私立の場合

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私立の低偏差値の文系コースでは数学IIが無い
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私立高校で偏差値50前後およびそれ以下の低偏差値高校では、進学コースなのに高校2年の数学の「数学II」「数学B」が文系コースでは存在しない場合もあります[1]

いっぽう、公立高校では同偏差値帯でも、数学II B が普通科高校では高校必修になっているのが通常です。

このため、とりあえず高偏差値の公立高校となるべく同じ科目の教育を受けたい場合は、この偏差地帯およびそれ以下の人は、公立高校を目指すのも手です。

私大文系の受験では数学II・Bを使わないことも多いので、文系コースでは高校科目から数学II・B を外している私立高校もあるのです。

ネットで私立高校のカリキュラムを確認しようにも、偏差値の低い高校だと、そもそもネットではカリキュラム公開してない場合もあります。


なお、特進コースと進学コースのある高校の場合、特進コースだろうが進学コースだろうが、基本、1~2年次のカリキュラムは変わりません。これは、各学年の1年間の定期テストの成績によって、次の学年で特進コースになるか進学コースになるかが判定される私立高校が多いからです。

このため、特進コースでも文系コースだと数学IIを習わないまま卒業できてしまう高校もあります。

さて、よく高校の特進コースの宣伝で「国公立大学への合格を目指します」とありますが、「果たして数学IIを履修せずに国公立大に受かるのか? 新共通テストの対策はどうする?」と疑問に思いますが、しかしそういう高校でも公式ホームページを見てると国公立大にも少数ですが合格者を出しています。どういう手法なのかは知りません。

推薦合格が多い私立高校だと偏差値が上がる場合もある
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多くの私立高校は、合格者のうちの何人が一般受験で、何人が推薦入試なのか、公表していません。

世間の人は、ついつい一般受験を想定して分析してしまうので、このため外部から高校を見ると、なんとなく「高校受験の偏差値が高そうに見えて倍率の高そうに見える私立高校」が、「実はおよそ半分の生徒が推薦合格の人だった」というような場合もあるかもしれません。

高校の公式webサイトにある「募集人数」は、けっして閲覧時点での募集人数ではなく、すでに前年の3~4月ごろに公表した募集要項の時点での募集人数です。なので高校によっては、一般入試での募集人数と、要綱上での募集人数に、かなりの開きのある場合もあります。

その高校のことがよく分からない場合、カリキュラムなども調べましょう。進学実績だけを見ても駄目であり、それはもし高校に「特進」コースや「進学」コースなど複数のコースがある場合、コース間に学力にかなりの差がある場合もあるからです。

私立高校によっては、「進学コース」とは名ばかりの「スポーツ・アート」コースみたいな私学もあります。そういう私学もあっても良いのでしょうが、しかし高校受験生はそういう高校だと把握した上でその高校を受験するかどうか考えましょう。

公立の場合

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過去に職業高校だった普通科
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現在は「普通科」の公立高校でも、過去に商業高校だった高校もあります。そのような高校の場合、文系コースでは数学IIを履修できない可能性があります。物理基礎も、履修出来ない可能性が高いでしょう。

学校の硬式の案内を見ても分かりづらいので、wikipediaなどで志望校の歴史を調べましょう。

特殊な普通科
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低偏差値校では、進学校のカリキュラムと比べると、かなり常識外れなカリキュラムをしている場合もあります。

たとえば、文系クラスでは芸術科目が3年間必修で、芸術III(音楽IIIや美術III)などが必修だったりとかです(一例)。

高い偏差値の公立高校と同じことをしても競争に負けるので教育的配慮のため、違ったカリキュラムをしているのでしょう。

「芸術IIまで必修」というのは偏差値の高い公立進学高校でも時々あるのですが、芸術IIIまで必修というのは、思い切ったことをするものです。

もちろん、芸術IIIまでしない低偏差値高校もありますが、その場合は他の意外な科目が必修だったりします。

脚注

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  1. ^ (ツイッター)東京高校受験主義、午後8:46 · 2023年8月26日 2024年03月31日に確認.