高校受験参考書/社会 公民/家族

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家族に関する法律には、民法などに定めがある。また戸籍法では、出生や婚姻や死亡などの際の、戸籍の届け出についての定めがある。

婚姻における両性の平等[編集]

婚姻(こんいん、英:Marriage )では、本人および相手の両方の合意が必要。つまり両性の合意が必要。婚姻では男女が平等である。

なお、未成年の婚姻では、保護者の許可が必要。

相続の順位[編集]

財産の相続(そうぞく、英:Inheritance)において、男女は平等。

現行の民法では、特に遺言(ゆいごん、いごん、英: testament)が無いかぎり、もし死者に配偶者(はいぐうしゃ、 spouse)がいれば、まず、配偶者がその半分を相続する。子供がいれば、残りの半分を子供どうしで均等に分け合う。子供がおらず配偶者だけなら、配偶者が全て相続する。配偶者が既に死亡しており、子供だけが残っていれば、全財産を子供どうしで均等に受け継ぐ。

父母と子の間の財産相続は、平等では無い。子供の財産は、親の財産の半分を子供どうしが均分に相続する。


たとえば、ある家庭の父親(Aとする)が死んだとして、父親Aの財産の半分つまり 2分の1 をAの配偶者である妻が受け継ぐ。 ある家庭で父が死んだ場合の財産を「母」が受け継ぐ場合、その「母」とはA本人の生みの親の母親ではなく、Aの妻のことである。Aの子供から見た場合の「母」のことである。

そのあと、残りの半分を、Aの子供が分け合う。 もし子供が3人なら、 1/2 × 1/3 = 1/6 だから、子供は1人あたり 父親の 1/6 の財産を受け継ぐ。(均分相続)

  • 明治時代の相続

明治時代〜第二次大戦終戦までの民法などでは、財産は父親が管理することが定められていて、長男が受け継ぐ。男女平等では無いし、男同士でも次男以下や次男や三男は財産を受け継がない。

当時は、家は長男が受け継ぐものと考えられていた。

発展的内容:相続での親の借金[編集]

(※ 中学校・高校普通科では、一般には習いません。)

もし親が死んだら、子は財産(inherited property)を相続しますが、このとき、もし親に借金(a debt)が多いと、子供は借金も相続することになります。民法で、そう定められています。日本の相続制度は、このような単純承認(たんじゅん しょうにん、英:unqualified acceptance)という制度になっています。


貯金よりも借金が多い場合に相続を断るには、税務署に死亡後から三ヶ月以内までに家庭裁判所に申請しなければなりません。限定承認(げんてい しょうにん、英:qualified acceptance)や相続放棄(そうぞく ほうき)などを家庭裁判所に申請します。(ふつうは限定承認のほうが得なので、限定承認を選ぶ。)

限定承認か相続放棄をしないと、貯金よりも借金が多くても相続しないと、いけなくなります。

親が会社経営をしている場合などで、会社の業績が悪い場合に、多額の借金を抱えてる場合がありうるので、注意が必要です。


相続の際の税金の仕組みなどを知らないのが普通なので、ついつい申請をためらってしまいがちですが、早めに申請しないと大変なことになる場合があります。

単純承認を原則にした民法自体に欠陥がある気もしますが、現実として日本の民法の相続の制度は、親の財産が借金の場合でも単純に相続する単純承認を原則とした制度になってるのが実情です。


相続については、相続税の細かいことよりも、まずは借金の相続を放棄できる限定承認・相続放棄の期間が死亡後3ヶ月と限られているということを知っておいてください。

親族(しんぞく)と親等(しんとう)[編集]

日本法での親族・親等

本人を基準に、血のつながった父と母、子供や、兄、姉、弟、妹や祖父母、おじ、おば、おい、めい、いとこ、などを血族(けつぞく、blood relatives)と言う。

本人を基準に、血の繋がっていない、結婚相手である配偶者(はいぐうしゃ)や、けっこない手の父親(義父)、母親(義母)、義兄(ぎけい)、義弟(ぎてい)、義妹(ぎまい)、義姉(ぎし)などを、姻族(いんぞく、a relative by affinity)という。

法律で、親族の範囲を定める場合には、「親等」(degree of kinship)という、血縁関係や婚姻関係などに基づき決められる階級が用いられる。

親等では、血族と姻族を区別しない。


・ 1親等(いっしんとう)
本人および配偶者(夫や妻のこと)を基準とし、本人の子どもと本人および配偶者の父親・母親を1親等とする。 兄弟姉妹は2親等であり、1親等では無いので、間違えないように。

要は、「父」、「母」と呼ばれる相手は、血がつながってようが、義理で血がつながっていまいが、基本的に1親等になるはずである。

そして、本人の子供は1親等である。


・ 2親等(にしんとう)
具体的に言うと、兄弟姉妹や祖父母や孫などが2親等である。また配偶者の兄弟・姉妹も本人の兄弟姉妹と区別しないので、配偶者の兄弟・姉妹も2親等である。つまり、兄弟姉妹は2親等である。 本人および配偶者を除く、1親等である人間の子供や父母を2親等とする。 本人の兄の配偶者の義姉や、姉の配偶者の義兄も、実の兄や姉と同じく2親等である。

配偶者の兄弟姉妹は2親等である。本人と配偶者を区別しないので、つまり本人および配偶者の兄弟姉妹および2親等とする。

要は、「兄弟姉妹」や「祖父母」と呼ばれる相手は、血がつながってようが、義理で血がつながっていまいが、基本的に2親等になるはずである。

・3親等(さんしんとう)
3親等とは、血がつながってようが、義理で血がつながっていまいが、「おじ」とか「おば」とか「おい」とか「めい」とかが3親等である。

おじ、おばの子供のことを「いとこ」と言うが、いとこは4親等である。

日本の民法では、「親族」とは、6親等内の血族と、配偶者と、3親等内の姻族を「親族」として定める(民法第725条)。

親族の範囲では、血族と姻族は平等では無いので、間違えないように。


夫婦の姓[編集]

いわゆる苗字(みょうじ)の、「山田」とか「田中」とか「鈴木」とか「斉藤」とか、このような家族が名乗る名称を姓(せい)という。 ある家庭での夫婦の姓(せい)は、法律では夫婦は同じ姓を、戸籍などに登録することになっている。

戸籍に登録される姓が、夫婦どちらかの姓なので、証明書などで名乗る姓も、夫婦どちらかの姓になるのが通常である。また、公共機関に登録する姓は、夫婦どちらかの姓になるのが通常である。夫婦の仕事が公務員の場合は、仕事上の名前は、夫婦どちらかの姓になるのが通常である。

したがって、結婚の際には、夫婦のどちらかが姓を変更することになる。

夫婦別姓制度などの議論で、夫婦の同一の姓の強制には反対論や反対する市民運動などが存在しているが、まだ日本の現行法では、夫婦の別姓は認められていないので、間違えないように。