高等学校世界史B/人類の出現と進化
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序・人類とは何か
[編集]今、ここにいる私たちは生物学的な分類では、哺乳綱サル目(霊長目)ヒト科ヒト属ホモ・サピエンスと呼ばれる。かつては、ホモサピエンスは猿人→原人→旧人→新人のように、段階的な進化をしてきたと考えられてきた。
しかし、現代の生物学は現在のホモサピエンスが単純で一直線的な進化をしたのではなく、他の生物と同様、複雑な進化と分化と絶滅や置換を経てきたことを解明した。そして、多様な人類がいたこと、そしてそれらがホモサピエンスを除いて全て絶滅したことも分かっている。私たちが現在、地球上の「王者」であるかのような存在でいられるのも、地球上の様々な環境に適応できるように「たまたま」進化したからに過ぎない。
では、私たち現生人類はどうして地球上の様々な環境に適応できるようになったのだろうか。それには、いくつかの要因を指摘できる。
- 脳の発達と巨大化。
- 二足歩行により、手が自由に使えるようになったこと。
- 言語の発達。ヒト属以外の動物も言語を用いることができるが、現生人類は複雑な言語を使えることによって複雑な社会を作り上げた。
これらは、単純な道具から複雑な道具の使用へ、さらに技術、神・宗教などの精神文化などを生み出す要因ともなった。
先史時代
[編集]人類が地球上に出現してから文字が発生し、記録が残されるまでには長い時間がかかった。 このあいだの時代を先史時代(せんしじだい)と呼ぶ。
猿人
[編集]最初の人類である猿人(えんじん)は、約700万年前のアフリカに出現した。直立二足歩行を行い、簡単な打製石器(だせいせっき)を用いるものもいた。脳の容積は600ccほどである。代表的なものにはアウストラロピテクスやホモ・ハビリスがある。最古の猿人はトゥーマイ猿人(サヘラントロプス)とされている。
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初期の石器
原人
[編集]ついで約240万年前に登場した原人(げんじん)は、ジャワ原人・北京原人[1]が代表であり、ハンドアックスや火、言語を用いて狩猟や採集での生活を営んでいた。脳容積は1000cc程度。
旧人
[編集]約20万年前には旧人(きゅうじん)が出現。代表としてヨーロッパに分布していたネアンデルタール人がいる。剥片石器を新たに用いた。 旧人は、現生人類と変わらぬ脳を持ち、死者の埋葬を始めるなど精神文化において優れていたとされている。脳の容積は1500cc以上で骨格が太かった。
ホモ・サピエンス
[編集]現生人類であるホモサピエンスは約20万年前にアフリカで誕生したと言われている。現在生き残っている唯一のヒト科ヒト属である。
新人
[編集]約4万年前には現生人類に属する新人(しんじん)が出現する。彼らは旧人が生み出した剥片石器を発達させ新たに骨角器(こっかくき)も作り上げた。フランスのラスコー、スペインのアルタミラなどに見られる洞穴絵画も新人の残したものである。(ラスコー洞窟、アルタミラ洞窟)
南フランスをはじめヨーロッパ・アフリカ各地で発見されたクロマニョン人、中国大陸で発見された周口店上洞人(しゅうこうてん じょうどうじん)、イタリアの地中海沿岸から発見されたグリマルディ人が代表的な新人である。
脳容積は1500ccで集団を形成し、文化的生活を営んだ。
人類の拡散
[編集]旧石器時代
[編集]ここまで人類が打製石器を用いて、狩猟・採集を繰り広げていた時代を旧石器時代(きゅうせっきじだい)と呼ぶ。
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ラスコー洞窟(仏)の壁画