高等学校保健体育保健/保健・医療制度及び地域の保健・医療機関

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医薬品[編集]

医薬品[編集]

薬の量と血中濃度(けっちゅう のうど)

薬物のうち、病気の治療やケガの治療などの医療の目的に用いる薬品を医薬品という。 法律上の薬の取り決めについては、薬事法(やくじほう)などに規定されている。

医薬品の種類[編集]

  • 一般用医薬品

薬局で購入できる医薬品が一般用医薬品である。

  • 医療用医薬品

医師や歯科医師が、一人の患者に合わせた処方箋(しょほうせん)に基づき調剤される医薬品が医療用医薬品である。

医薬分業[編集]

薬局などで調剤をしてもらった薬をもらう際、薬の調剤を行う資格者は、原則として薬剤師(やくざいし)であり、医師ではない。

薬剤師法 第19条 「薬剤師でない者は、販売または授与の目的で調剤してはならない。」(抜粋) (※ 薬剤師法については、普通科高校の範囲外であり、普通科高校生は覚えなくて良い。なお、「薬事法」ではなく「薬剤師法」なので、間違えないように。)

医師が患者に医療用医薬品を入手させるさいも、普通は、けっして直接的に与えるのではなく、薬局で薬剤師が調剤して、そして薬局で患者は医療用医薬品を受け取るなどの手順が必要である。(そのため、病院の近くに薬局があったりする場合も多い。) そのため、医師は、患者に医療用医薬品を入手させようとするさい、薬局で薬剤師が調剤するために必要な情報をまとめた指示書として、定められた書式で処方箋(しょほうせん)を書く。(処方箋を書ける職業は医師または歯科医師のみ。看護師や薬剤師は、処方箋を書けない。)

「箋」の漢字が難しいので、一般向けの書籍などでは「処方せん」のように書く場合もある。

患者は、処方箋がないと、薬局で医療用医薬品を買えない。(なお、一般用医薬品は、処方箋がなくても買える。)

薬剤師は、処方箋にしたがって、医療用医薬品を調剤する。つまり、薬剤師は、患者にどの薬を与えるかを決めない。患者にどの薬を与えるかを決めていい仕事は、医師または歯科医師だけである。

注意すべきこと[編集]

お薬手帳
  • 組み合わせ

薬には、他の薬との危険な組合わせがある。なので、病院などで治療を受けたり、病院や薬局などで薬をもらう際、他の薬を服用している時は、事前に医師や薬剤師などに相談すること。

現代では、「お薬手帳」というのがあり、服用した薬の名前や量や時期などを記録するようになっているので、自分の薬歴を管理する際に活用し、保管をして、もし医師や薬剤師などに薬歴の情報を求められたら「お薬手帳」を見せるのがよい。

  • 中毒

大量の薬物を服用すると、有害な作用があらわれる。これを中毒(ちゅうどく)という。

薬害[編集]

医薬品によっては、製薬会社での事前の試験などでは副作用が発見しきれなかった場合もあり、そのため、患者が処方通りに医薬品を服用していても、被害を受ける場合がある。 このような副作用による被害をうけた人を保護する制度として、医薬品副作用被害救済制度がある。また、このような、処方通りに医薬品を服用していたのに、未知の副作用によってうけた被害などを薬害(やくがい)という。

日本での薬害の事例には、1960年代に発生したサリドマイド事件、1980年代に発生した薬害エイズ事件、1990年代の薬害肝炎の事件がある。 サリドマイドは、もともと睡眠薬として販売されていたが、睡眠薬としてサリドマイドを服用した妊婦の子供が手足の欠損などの奇形になるという薬害が起きた。

主作用と副作用[編集]

  • 主作用

薬の、治療目的の作用のことを主作用(しゅさよう、main effect[1])という。

  • 副作用

治療目的以外の作用を副作用(ふくさよう、side effect[2])という。(服用者に有利か不利かは問わない)。


※ さらに、普通科高校の範囲外の用語だが、「有害作用」という用語がある。
  • 有害作用

その薬の投与によって起こる、生体に有害な作用を有害作用(ゆうがい さよう)という。「副作用」という用語は、有害作用の場合も含む。

薬物の、ある作用が、主作用か副作用かは、治療目的によって変わる。たとえばモルヒネを鎮痛薬として用いる場合、服用者に生じる便秘は副作用である。いっぽう、下痢症状に対する下痢止めとして、モルヒネを用いる場合は便秘は主作用である。
このように、医学的に厳密に言うと、副作用と有害作用とは異なる概念である。

世間一般では、副作用と有害作用を、特に区別しない。そもそも「有害作用」という用語が知られていない。ので、普通科高校の高校生は、用語の区別を、あまり気にしなくてよい。


風邪薬や酔い止めの薬などを飲むと、眠くなるときがあるが、これも副作用として考えてよい。(検定教科書でも、この作用を「副作用」として扱っている。)

また、服用者の体質によっては、薬を服用したときに、アレルギー反応(アナフィラキシー)が出る場合があり、呼吸困難や血圧が低下する症状が出る場合がある。

未知の副作用が発見された場合、医療関係者は国に報告する義務があり、また国は収集された副作用の情報を「医薬品・医療機器等安全性情報」として公表されている。

中学の復習など[編集]

医薬品の使い方[編集]

  • 万が一の、中毒などの事故を防ぐためにも、添付の説明書をきちんと読むべきである。
  • 用法・用量を守る。また、薬を飲み忘れても、けっして、あとで、まとめて飲んではいけない。薬のまとめ飲みをすると、場合によっては、体内での薬の濃度が通常の服用時よりも上がり、危険な場合がある。
  • 服用時間を守る。(1日何回とか、食前に飲むのか、食後に飲むのか、など。)
    • 「食前」とは、食事前の20分前から1時間前までの程度。
    • 「食後」とは、食事の直後から30分以内ほど。
    • 「食間」とは、食事の直後から約2時間後の程度。「食間」とは、食事と食事との間という意味である。間違えて、「食間」を食事の最中と混同しないように注意。

服用時間どおりに服用することは、胃の粘膜を守ることなどに繋がる。

  • 医療用医薬品は、けっして他人に、あげてはならない。
  • 使用期限を過ぎた薬は、服用してはならない。期限を過ぎると、薬の性質が変質している場合がある。
  • 併用に注意する。患者の判断では、勝手に他の薬と併用してはいけない。複数の医療機関から薬を処方されている場合は、医師や薬剤師などに相談する。


  • 飲み薬は、指示通りの飲み方で飲む。

一般に、飲み薬は、水で、または、ぬるま湯で飲むように作られている。指示されていない他の飲料で、飲み薬を飲んではいけない。 水無しで飲む飲み方も、薬が食道にくっつく恐れがあり、問題が有る。熱いお湯で薬を飲むのも、一般には薬の変質などの恐れがあり、問題が有る。

飲み薬は、けっして茶や牛乳、清涼飲料水では飲んではいけない。薬の成分と化学反応をおこし、成分が変質する恐れがある。 よほどの緊急の場合で無い限りは、水やぬるま湯などで、飲み薬を飲むのが望ましい。


飲み薬では、アルコール飲料は、けっして用いてはいけない。なぜなら、アルコールは肝臓にアルコール分解の負担をかけ、その結果、肝臓による薬の分解が弱まり、薬の作用が強まりすぎて危険な場合がある。

医療制度[編集]

国民皆保健制度[編集]

わが日本国では、1961年に国民皆保健制度(こくみん かいほけん せいど)が実現し、現代までずっと国民皆保健制度が続いている。 このため、病気やけがの治療のために医療機関を利用するとき、患者は医療費を1割〜3割ほど負担するだけで、治療を受けられる。この保険制度による医療費の負担の割合は、年齢や所得によって変わる。

この医療保険の財源のため、国民は、あらかじめ保険料を払う必要がある。

国民健康保険などが、この国民皆保健制度の保健である。

臓器移植[編集]

1997年、臓器移植法により、臓器移植のため、脳死状態の人から臓器を提供してもらう事が可能になった。

脳死とは、脳幹も含めて能全体の機能が停止し、元には戻らない状態のことをいう。

日本では、脳死をその人の死とみなすのが一般的である。

脳死になると、もう回復しない。

臓器提供意思表示カードによって、自分が脳死したさいに臓器提供したいかどうかの意思表示を、事前に意思表示できる。


なお、脳幹の機能が残存してる場合は、脳死ではなく、一般に「植物状態」という。植物状態では、呼吸ができ、心臓も動くので、治療によって回復する場合がある。

献血[編集]

輸血や血液製剤の製造のため、血液を無償で提供することを献血(けんけつ)という。 日本では、日本赤十字社により、献血事業が行われている。

  1. ^ 『パートナー薬理学』、改訂第3版、2019年 3月31日 第3版 第2刷 発行、3ページ
  2. ^ 『パートナー薬理学』、改訂第3版、2019年 3月31日 第3版 第2刷 発行、3ページ