高等学校保健体育保健/健康の保持増進と疾病の予防

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休養と睡眠[編集]

睡眠の種類[編集]

まず、起きている状態を 覚醒(かくせい) という。いっぽう、寝ていて、意識のない状態を 睡眠(すいみん) という。

この記事でいう睡眠とは、大ケガやショックなどによる失神(しっしん)や昏睡(こんすい)とは区別することにする。

健康なヒトの場合、寝ているヒトは、周囲の人間が起こそうとして、声をかけるとか、軽く体を動かすなどの刺激を加えれれば、寝ていたヒトが起きることができる。

しかし、大ケガなどによって意識が無い場合、刺激をくわえても、起きない。


動物において、睡眠(すいみん)には、二種類ある。 レム睡眠(レムすいみん) と、 ノンレム睡眠 である。 レム睡眠では、眼球が動いている。 レム(REM)とは、眼球運動(rapid eye movement)の略である。目をつぶっているので、外部の人からは、見えないが、レム睡眠では、眼球が動いている。

ノンレム睡眠では、眼球は動いていません。また、脳波(のうは)の状態も、レム睡眠とノンレム睡眠では違っている。


レム睡眠とノンレム睡眠は、周期的に繰り返す。 90分くらいが周期であり、よって、かりに睡眠時間が8時間だとすると、そのうち4回~5回くらいは、レム睡眠がある。

睡眠中に夢を見る時期は、レム睡眠の時期であると考えられる。

レム睡眠中は、深く眠っているのだが、脳波の波形が、起きているときの波形に近いので、逆説睡眠ともいう。


ヒトの大人の場合、睡眠時間の平均は、約8時間である。

ヒトの大人の場合、ほぼ24時間おきに睡眠がくる。このように、人体には、1日おきの生活周期がある。

レム睡眠では、体をやすめて回復している、と考えられている。

概日リズム[編集]

ヒトに限らず、動物にも、1日の周期がある。 動物を、つねに暗い室内において、外界の自然界の明るさの変化が分からないようにしても、24時間より少し長い周期での、生活周期をおくる。

このような、約24時間のリズムを、概日リズム(がいじつリズム)という、あるいはサーカディアン リズム(circadian rhythm)という。

この概日リズムは、明るさを受けることによって、リセットされる。明るさを受けると、メラトニン(melatonin)というホルモンの分泌が止まり、こうして概日リズムがリセットされる。

メラトニンの体内濃度は、昼間は少なく、夜中に高くなる。メラトニンが高まると睡眠になる。


生活習慣病[編集]

三大死因のがん・心臓病・脳卒中や、糖尿病や動脈硬化などは、かつては成人病(せいじんびょう)と呼ばれ成人特有の病気と考えられていたが、原因が、食事での栄養の偏りなどの食習慣や、飲酒や喫煙、そのほか運動不足などの生活習慣に原因の関連が有ることが分かり、呼び方が生活習慣病(せいかつしゅうかんびょう)に変わった。

がん、心臓病、脳卒中や糖尿病や歯周病などが、生活習慣病に含まれる。

生活習慣病の多くは、罹患に自覚がなく、そのため治療の開始が遅れやすい。なので生活習慣病の予防や治療のためにも、定期的な健康診断を受診することが望ましい。(「罹患」は「りかん」と読む。意味は、「病気に、かかっていること」。)

病気の予防[編集]

  • 一次予防

病気自体を発症しないように気をつけること。生活習慣の改善。 たとえば、バランスのとれた食事や、適度な運動。十分な睡眠をとる。また、飲酒や喫煙を控える。もし読者が未成年なら、そもそも飲酒や喫煙をしない。

  • 二次予防

定期的な健康診断などで、病気を早期に発見し、早期に治療すること。(早期発見、早期治療。)

  • 三次予防

発症した患者のリハビリテーションなどのこと。回復を目指したり、あるいは重症化を防ぐこと。

食育[編集]

メタボリック・シンドローム(内臓脂肪症候群)

健康な人の腹部の脂肪は、ほとんどの脂肪は皮下にたまる。メタボリック・シンドローム(内臓脂肪症候群)は内蔵に脂肪が多くたまる症状。メタボリック・シンドロームになると、糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病にかかる率が上昇する。

やせ

体脂肪が少ない状態を「やせ」という。極度の「やせ」は栄養不足・エネルギー不足である。成長ホルモンなどのホルモンの分泌も不足する。性ホルモンの分泌も不足し、女性では月経不順や、不妊などの生殖機能に障害をあたえるおそれもある。このような理由で、いわゆる「ダイエット」などの減量は、医師などの指導がある場合を除き、原則として未成年者には薦められない。

食育

食事に関しては、サプリメント錠剤などよりも、なるべく一般の食品を食べることが栄養バランス的にも経済的にも望ましい。すべての栄養素を含む食品は無いので、多くの食材をバランスよく摂取することが必要である。

朝食は原則的に食べる。前日の夜食から、夜明け後の朝までには多くの時間が経っているので、朝食を食べないと一日のエネルギーが不足する。

スポーツなどの運動をしていないときでも、わたしたち生き物の体は、生命を維持するためにエネルギー消費を行っている。これを基礎代謝(きそたいしゃ)という。そのため、食事をとる時刻も、スポーツや労働の有無にかかわらず、定期的に食事を行う必要がある。

BMI

肥満や「やせ」を客観的に測る指標としてBMI(body mass index)という判定法がある。このBMIの健康な人での適正値は、国によってことなるが、日本では、

体重[kg]÷(身長[m]の2乗)

が18.5未満が低体重として、25以上の場合を肥満としている。したがって、計算上の適正値は18.5~25の範囲内である。 ただし、これは、あくまでも簡易的な参考程度の指標であって、厳密に体脂肪率や栄養バランスを測るものでは無い。そのため、健康な人でもBMIが適正値外になるという例外が出る場合もある。

飲酒と喫煙の防止[編集]

たばこの害[編集]

たばこの有害成分[編集]

  • タール

タールという物質に発がん性(はつがんせい)があり、肺がん喉頭がんなどの発がんのリスクを高める。

  • ニコチン

血管を収縮させる作用がある。 また他の作用として、依存性(いぞんせい)という、やめようと思っても、やめられなくなる作用がニコチンにはある。

  • 一酸化炭素

血液による酸素の運搬能力を低下させる害が、一酸化炭素は低下させる。血液中のヘモグロビンと一酸化炭素が反応して結びつく。なお、一酸化炭素そのものは、たばこ特有の物質ではなく、不完全燃焼などの際に炭素と大気中の酸素が反応して発生する物質である。

有名なたばこの有害成分は以上の3個だが、この他にも約200種の有害成分がある。

たばこの害[編集]

喫煙後に、すぐに喫煙者に出る害としては、心肺能力の低下がある。 この他に、発がん性や依存性がある。

たばこの喫煙者が吸い込む、たばこの煙を主流煙(しゅりゅうえん)という。たばこの煙は、喫煙者本人だけでなく、周囲の人間も吸うことになる。周囲の人間が吸うことになる煙を副流煙(ふくりゅうえん)という。副流煙による、喫煙者の周囲の人の煙の吸引を受動喫煙(じゅどうきつえん)という。 たばこの害は、喫煙者本人だけではなく、周囲の人間も受動喫煙によって、害をこうむることになる。

妊婦への影響

妊婦は、たばこを吸ってはいけません。胎児の健康に悪影響があります。同様に、妊婦の近くで、たばこを吸ってはいけません。 実際に、たばこの影響による低出生体重児などの症例が有る。早産や流産の可能性も高まると言われてる。

未成年者への影響

未成年者の体は、たばこの害の影響を受けやすく、気をつけなければいけません。 そもそも法律で、未成年者の喫煙は禁止されています。


たばこのニコチンの作用は、血液中のヘモグロビンによる酸素運搬の作用を低下させ、その結果、脳への酸素供給が減り、一種の麻痺状態になる。 喫煙者の主張する「喫煙による、気分転換やイライラの解消」というのは、一種の脳機能の低下や麻痺を、勘違いして精神安定と誤解したものなので、望ましくない。そのため、喫煙を人生で嫌なことがあった時の現実逃避の精神的な依存の手段にする者が現れる。

喫煙は脳へも影響があり、その結果、未成年者の喫煙は脳の成長を妨げる。また脳機能は成長ホルモンの分泌も司っているので、未成年者の喫煙により身体の成長も阻害される。

喫煙問題への法的な対策[編集]

(国内法)
  • 未成年者喫煙禁止法

未成年(20歳未満)は、たばこの喫煙は法律で禁止されています。 たばこを未成年者に販売したものも、処罰されます。

  • 健康増進法

公共の場での禁煙や分煙が、義務づけられています。


(国際条約)
  • たばこ規制枠組条約

日本国も、この条約を批准しており、WHO(世界保健機関 : World Health Organization,)で採択された条約で、たばこ産業を規制した条約である。内容は、具体例をあげると、たばこ商品の、健康への警告表示の義務づけ。また、たばこ広告の規制など。

飲酒の害[編集]

酩酊[編集]

酒にはアルコールという成分が含まれ、このアルコールには麻酔作用があり、飲酒によって思考力や判断力が低下します。このような症状を酔いあるいは酩酊といいます。(※ 第一学習社の検定教科書で、アルコールの作用について「麻酔」という用語を使っている。)

なお、医療用の麻酔薬としては、アルコールは不便なので、用いられていない。

※ なお、麻酔は、一般的に、麻酔が強くなるほど、まず大脳を一時的に麻痺させ、しだいに脳の内側を麻痺させてゆく。麻酔が強くなりすぎて、ついに延髄まで麻痺すると、延髄は呼吸中枢をつかさどるので、延髄麻痺により呼吸停止してしまい、死んでしまう。

(※ 第一学習社の検定教科書では、)アルコールの「イッキ飲み」(いっきのみ、一気飲み)などによる急性アルコール中毒によって死亡事故が起こる原因として、延髄麻痺による呼吸停止などが考えられている。
※ 呼吸麻痺による死亡事故とは別に、はいた物がのどにつまったまま昏睡するなどして、呼吸ができずに死亡してしまうという事故もある。(※ 大修館書店の教科書で紹介されてる事例。)


なお、ヒトの場合、飲んだアルコールは、血管に吸収されたあと、肝臓に運ばれ、その肝臓で飲んだアルコールが分解され、「アセトアルデヒド」という物質になる。(※ アセトアルデヒドについては、高校理科の化学で習う。)なお、こうしてアセトアルデヒドに分解されたあと、さらに別の酵素によって、最終的に酢酸(さくさん)に分解され、排出される。

アルコールの飲み過ぎは肝臓に負担を与えるので、肝硬変(かんこうへん)や 肝がん などの原因にもなる。

なお、日本人は、西洋人(白色人種)と比べて、肝臓でアルコールを分解する能力がひくい。西洋人のほとんどが持っている(効率よくアルコール分解できる)アルコール分解酵素を、日本人の約4割は持っていないからである。(※ 大修館書店の検定教科書に書いてある「日本人の約4割は」の記述は、このこと。)

なお、この西洋人に多いこのアルコール分解酵素とは別の酵素で、アルコール分解の効率はひくいが、なんとかアルコールを分解できる酵素があり、そのアルコール分解効率のひくい酵素を日本人も西洋人も持っている。なので、日本人は西洋人よりも酔いやすいが(※ 西洋人は、アルコール分解効率の高い酵素と低い酵素を両方とも持っているので)、とりあえず日本人もアルコールを分解できる。

つまり、アルコール分解酵素には、2種類以上ある。日本人が持ってるほうのアルコール分解酵素は、アルコールの分解効率がひくいほうのアルコール分解酵素である。

肝臓のこれらのアルコール分解の酵素が、肝臓でアルコールをアセトアルデヒドに分解している。


未成年者はアルコールの飲酒が、法律で禁止されています。(未成年者飲酒禁止法)


成分に関して正確に言うと、エチルアルコールという成分が、酔いを起こす成分である。 アルコール(エチルアルコール)の摂取は、少量であれば、肝臓によって分解され、アルデヒドという化合物になる。(飲酒者の「酒くさい」臭いとは、このアルデヒドの臭気でもある。)

しかし、多量に飲酒をすると、アルコールの分解が追いつかず、未分解のアルコールが腸などの内臓から吸収されつづけ、その吸収されたアルコールは血液をめぐるので血液中のアルコール濃度が上昇し、そのため強い酩酊作用が現れる。酔いが強すぎると、麻痺や昏睡などの意識不明にもなり、大変に危険な状態になる。このような症状を急性アルコール中毒という。酔いが大変に強いと死に至る場合もある。

このように、「酔い」というのは、一種の脳機能の低下や麻痺なので、望ましくない。 このような酔いによる脳機能の麻痺や低下を、勘違いして爽快感と捉える人間が社会には多く、そのため、アルコール摂取を人生で嫌なことがあった時の現実逃避の精神的な依存の手段にする者が現れる。このようなアルコール摂取による現実逃避が慢性化した症状をアルコール依存症という。

他の作用[編集]

  • 利尿作用

アルコールの人体への作用には、尿が出やすくなる利尿作用(りにょうさよう)という作用も有る。そのため、運動後や起床後などの体内の水分が減っているときに飲酒をすると、体内や血液中の水分の不足により脱水症状による昏睡などの疾患を起こす危険もある。したがって、運動後などの水分の補給には、まずは一般の飲料水などを飲むべきである。

  • 肝硬変

アルコールの分解は、肝臓が行っている。アルコールの摂取を頻繁に続けると、肝臓の負担が重くなり、その結果、幹細胞が死滅や減少をして、肝臓に障害が現れる。これを肝硬変(かんこうへん)という。

飲酒の禁止者[編集]

妊婦への影響

妊婦は、飲酒をしてはいけません。胎児の健康に悪影響があります。同様に、妊婦に、飲酒を薦めてはいけません。 実際に、飲酒の影響による新生児への脳障害などの症例があります。

未成年者への影響

未成年者の体は、アルコールの害の影響を受けやすく、気をつけなければいけません。 そもそも法律で、未成年者の飲酒は禁止されています。


法的な対策[編集]

  • 道路交通法

道路交通法で、酩酊者の自動車などの飲酒運転は処罰されます。また、運転者に飲酒を薦めたものや、酩酊者に運転をさせた者も処罰されます。

  • 未成年者飲酒禁止法

未成年者はアルコールの飲酒が、法律で禁止されています。未成年者に飲酒を薦めた者も処罰されます。

薬物の問題[編集]

摂取が違法な薬物を摂取したり、医薬品を本来の治療目的外で摂取することを薬物乱用という。1回の使用でも乱用という。(「濫」用の字では無い。)

薬物乱用の代表的な薬物は、覚せい剤(「かくせいざい」、「覚醒剤」とも書く。)、大麻(「たいま」)、コカインなどの麻薬、シンナーやトルエンなどの有機溶剤、そのほかMDMAなどの合成ドラッグなどが代表的である。

麻薬などの、これらの薬物は、身体にも大きな悪影響を与え、また脳にも作用し、異常な興奮や抑制などの作用がある。これらの薬物は精神的な依存が強く現れる。依存性のため、乱用者の意志では使用を止めるのが困難なので、法律で使用が禁止されている。

  • 覚せい剤

興奮作用があり、そのため疲労感が低下するので、疲労感の解消の目的で乱用されることがある。しかし、疲労感を感じなくても、身体組織そのものの疲労が無くなったわけでは無く、単に脳が疲労を感じなくなるだけなので、使用を続けると衰弱する。

脳にも悪影響があるので、幻視や幻聴などの幻覚や、妄想などが生じる。


  • 大麻

大麻草からとれるカンナビノイドなどの成分が麻薬成分に指定されている。そのため、この植物の栽培には、厳しい規制や管理がされており、医療目的や繊維材料としての許可を受けた農家による栽培を除けば、原則的に大麻草の栽培は禁止である。 「マリファナ」とは、大麻のことである。

脳への抑制作用が強力である。脳に悪影響があるので、脳機能の低下などが生じる。


一部の無責任な人間の情報では、「大麻は覚醒剤とは違って、害や依存性などがない」という誤った情報がある。しかし、カンナビノイド成分の害や依存性などは医学的にも確認されているので、間違いである。 「覚醒剤とは違って」というのは、単に、覚醒剤が病的な興奮作用をもたらすものであるのに対し、大麻は病的な抑制作用をもたらすというような、作用の方向性の違いが覚醒剤と大麻との間にあるに過ぎない。

覚醒剤の脳への興奮作用にせよ、大麻の脳への抑制作用にせよ、外部の薬物から脳の正常な機能を阻害するので、脳には必ず悪影響がある。

脳以外の害としては、気管支炎などの呼吸器系への害がある。


  • シンナーなどの有機溶剤

有機溶剤とは、塗料や樹脂などの水に溶けない物質を溶かす溶剤で、それ自体は違法物質では無い。しかし、この有機溶剤を吸引することは、脳への悪影響が強い。脳も有機溶剤により溶かされるので損傷を受けるのである。

なお、仕事や工作などの作業で有機溶剤を用いるときは、十分な換気が必要である。


違法薬物の取締法[編集]

  • 麻薬及び向精神薬取締法

あへん、あへんアルカノイド、モルヒネ、合成麻薬(LSDやMDMA)、コカイン、コカ葉などのほか、ヘロイン、が取り締まりの対象。 あへんとは、ケシ科の植物の果実から得られる麻薬であり、モルヒネの原料となる。コカインとは、植物のコカノキの葉のコカ葉から精製されて発見された麻薬の一種。


  • 覚せい剤取締法

覚せい剤は「覚せい剤取締法」で取り締まられている。覚せい剤とは、アンフェタミンやメタンフェタミンなど。


  • 大麻取締法

大麻(マリファナ)と大麻製品については、「大麻取締法」で取り締まられている。 大麻草(カンナビス)に含まれるカンナビノイドを元に得られた麻薬。多幸感などによる精神依存性を生じる。


食品の「芥子」(けし)って・・・
※ 家庭科の資料集の脚注コラムで紹介あり(参考文献: 実教出版『生活学Navi 資料+成分表 2020』、178ページ)

よく、「アヘンの原料の芥子(けし)の花」とか言われる場合があります。

いっぽう、アンパンなどに、芥子(けし)の種子が、添加されている場合があります。

じつは、この食品の芥子(けし)も、アヘンやモルヒネなどの芥子も、同じケシ科の植物です。


もちろん、食品の芥子(けし)は、有害な成分の少ないモノが、専用の農場で栽培されています。


なお、一般人による芥子の栽培は、法律できびしく規制されています。

また、食品の芥子の種子は、発芽防止処置がされています。


ただし、観賞用のヒナゲシは、アヘンの成分が少ないため、例外的に一般人にも栽培が認められています。


感染症[編集]

再興感染症[編集]

結核やマラリアといった感染症が、過去に発生が流行し、現代では症例が減っているが(2013年に本文を執筆。)、近年、ふたたび増加の傾向にある。このような、近年、増加の傾向にある感染症を再興感染症(さいこうかんせんしょう)という。

結核
(※ 範囲外: )結核は空気感染をする病気で、目立つ症状は肺などの呼吸器官においての発症が目立つが、身体の他の部分にも感染し、発症する器官も全身に及ぶ。結核菌は様々な器官において細胞内寄生を行い、免疫システムはこれを宿主細胞もろともに攻撃するため、広範に組織が破壊され、放置すれば重篤な症状を起こして高い頻度で死に至る病気である。
結核の予防のワクチンに関しては、BCGワクチンが開発されているので、なるべく予防接種を受けるのが望ましい。
マラリア
(※ 範囲外: )マラリアに関してはワクチンが存在しない。(2013年に上記の本文を執筆。)治療薬でキニーネという薬品があるが、これはワクチンではない。マラリアは蚊の一種のハマダラカなどが、マラリア原虫を媒介することで感染することが知られている。
マラリアの発生地域に関しては、従来はハマダラカの生息地域の低緯度の熱帯地域に特有の病気だと思われていたが、近年は温帯地方でも、マラリアは確認されている。マラリアの発症地域の拡大の一因として、地球気候の温暖化が考えられている。

薬剤耐性菌[編集]

感染症の予防や治療には、一般には、医薬品が欠かせない。だが近年では、医薬品に対しての耐性を獲得した病原体が増加している。このような医薬品への耐性を持った病原体を薬剤耐性菌や薬剤耐性ウイルスなどという。

有名な耐性菌は、主に抗生物質に対する薬剤耐性菌が有名である。MRSAメチシリン耐性黄色ブドウ球菌)やVRSAバンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌)などが有名である。(※ 大修館書店の検定教科書の用語解説に記載あり。)

VRSAとは、MRSAの治療に使われた抗生物質のバンコマイシンに対する耐性を獲得した耐性菌の黄色ブドウ球菌である。

なおブドウ球菌は、「ブドウ」といっても、顕微鏡で見た形が果物のブドウの房に似ているというだけであって、べつに果物のブドウに病原性は無い。

(※ 範囲外: )医療への批判として、抗生物質の過剰投与が指摘されるが、だからといって、投与を少なくしても病原体が残るので、少なすぎる場合にも問題はある。このように抗生物質の投与は、是非の判断は難しい。
なので、抗生物質の投与に関しては、医師による高度な専門的な知識が必要である。だから、患者の自己判断では判断せず、医師の判断を重視するのが望ましいだろう。
もし、一人の医師の判断にのみ依存するのが不安なら、別の医師にも相談するというセカンド・オピニオンといった、法的にも認められた制度もある。なお、べつの医師の元で行われた治療法は、治療の安全のため、必ず、患者からも他の医師にも連絡を伝えることが望ましいとされる。
また、薬剤などを処方してもらっている場合は、セカンド・オピニオン先の医師にも、処方されている薬剤を伝える事が望ましい。処方されている薬剤を伝えないと、前の医師から処方された薬剤と、新しい医師から処方された薬剤との組み合わせが、危険な薬剤の組み合わせの場合に、重大な副作用が発生しかねない。


新興感染症[編集]

1970年代あたりを基準に、その1970年代以前の過去には存在が知られていなかった、あるいは注目されていなかった感染症で、近年になって発症が知られてきた感染症を新興感染症という。

世界保健機関 (WHO) の定義によると、新興感染症は「かつては知られていなかった、この20年間に新しく認識された感染症で、局地的に、あるいは国際的に公衆衛生上の問題となる感染症」とされている。


新興感染症の具体例としては、エイズやエボラ出血熱(1976年・スーダンで発見)などが有名である。

鳥インフルエンザ(1997年・中国)や新型インフルエンザ(2009年・メキシコ)やSARS(サーズ、重症急性呼吸器症候群、2002年・中国)やC型肝炎(1989年・アメリカ)や病原性大腸菌O157(1982年・アメリカ)やレジオネラ症(1976年・アメリカ)が、新興感染症である。(※ 大修館書店の検定教科書が、そういうふうに図表に書いてある。)

なお、SARSはコロナウイルスによる病気である。(よくある誤解で、「SARSはインフルエンザウイルス」(×)と誤解されることがある。)


院内感染と市中感染[編集]

※ 第一学習社の教科書本分に記述あり。大修館書店の教科書にも、用語解説ページで記載あり。


病院の外でも感染することはありますが、病院に入院していても、感染することがあります。

病院などなんらかの医療機関の中で、あらたに何らかの病気に感染することを「院内感染」(いんないかんせん)といいます。

なお、医療機関外で(つまり、病院外の一般の場所で)感染することは「市中感染」(しちゅう かんせん)といいます。


病院には、免疫機能の未発達な乳児や、免疫力の落ちた高齢者がいるので、院内感染は問題になっています。


また、もし薬剤耐性菌が院内感染すると、抗生物質が効かないので、重大な被害になると予想されています。


感染症の予防[編集]

個人ができる予防

感染症の予防として、まず、個人や一般人ができる予防は、たとえば手洗いといった日頃からの病気の予防といった基本的なことも大事である。 また、食事に関しても、食前食後に食器をキチンと洗ったりするなどして清潔にすることや、加熱調理するべき食材は加熱することも大事である。 また、健康診断を定期的に受けたり、予防摂取を必要に応じて受けることも大事である。 そのほか、食事で栄養をきちんととったり、休養をきちんととることも、抵抗力を高めることになる。

検疫

社会制度による感染症予防の対策にひとつとして、検疫(けんえき)といって、空港などの外国との出入国を行う交通機関では、外国からの感染症や病害虫の有無に対する検査が行われている。空港の他にも、外国との交通を行っている主要港湾(例えば東京港や大阪港など)でも、検疫は行われる。

予防接種

私たち人間が、病原体や毒素などの異物を非自己と認識して、その異物を排除する仕組みを免疫(めんえき、immunity)と呼ぶ。

免疫には、白血球の食作用などの先天的に生まれつき備わっている自然免疫(innate immunity)と、いっぽう、リンパ球などが抗原抗体反応によって異物の情報を記憶して排除するという後天的に獲得される獲得免疫(acquired immunity)がある。殺しておいた病原体、あるいは無毒化や弱毒化させておいた病原体などをワクチンという。このワクチンを、人間に接種すると、もとの病気に対しての抗体と免疫記憶を作らせることができるので、病気の予防になる。こうしてワクチンを接種して病気を予防することを予防接種という。


法律

日本の感染症対策についての法律として、感染症法(かんせんしょうほう)が定められている。


感染症法では、エボラ出血熱やコンゴ出血熱や天然痘(てんねんとう)やペストやマールブルグ熱やラッサ熱など、特に致死率の高い病気などを「1類感染症」に定めています。

特に、1類感染症には、発生時には強い対策が行われます。


一類感染症の患者は、原則入院です。

なお1類から3類まで、感染経路などは消毒です。


情報収集について[編集]

新興感染症は、まだ存在が知られてから歴史が浅く、情報も不足しやすいので、情報不足によるデマやパニックなどの混乱も起こりやすいといわれる。 したがって、正確な情報を確認するためにも、医学的・生物学的に信頼できる学術的な情報源から確認したり、あるいは公共機関の発表する情報などを確認したり、また、なるべく複数の情報源で確認を取ることなどが望ましい。

性感染症[編集]

エイズ[編集]

エイズの感染源のウイルスであるHIVウイルスは免疫細胞で増殖し、そのため感染者の免疫機能が破壊され、感染者は他の多くの感染症などにかかりやすく成る。 このような免疫機能が破壊される病気を、後天性免疫不全症候群(Acquired Immune Deficiency Syndrome; AIDS、「エイズ」 )という。


多くの免疫細胞が含まれる精液や膣分泌液に、感染者はウイルスが多く含まれる。 そのため、性行為時に感染することが多い。

また、血液感染をする。空気感染はしない。 エイズは遺伝はしないが、母子感染はする。出産時の出血や分泌液などの体液を通して感染する場合がある。


エイズは、感染しても、発症するまでの潜伏期間が、人にもよるが例えば10年ほどと長いので、感染の自覚をしづらい。症状が出ないと言っても、感染していないとは限らない。なので、感染が疑われる場合は、保健所などの専門の医療機関に相談を行うべきである。


治療薬は、現在では、ワクチンや抗生物質などは無く、開発されているエイズ治療薬はウイルスの増加を抑えるだけである。

よって、予防が大事である。

血液感染の予防

まず、他人の血液には触れない。 そのほか、麻薬などの薬物中毒者による注射器の使い回しなどでも、血液感染はする。そもそも、麻薬などの違法薬物には手を出さないべきである。


性行為による感染の予防

また、性行為を行う場合は、不特定多数との相手の性行為は控え、結婚相手のみを相手に性行為をするべきである。また、自分自身が、不特定多数との性行為を控えても、相手が不特定多数と性行為を行っていれば、自分も感染のリスクを負うので、そもそも、そのような相手とは性行為を避けるべきである。

しばしば、エイズ予防の行政によるキャンペーンとして、男性用の避妊具の一つである「コンドーム」という男性器にかぶせて精液の異性への接触を防ぐ避妊具の利用の呼びかけが謳われる。たしかにコンドームにより精液の相手への接触を防げば、精液による感染を防げはする。だが、そもそも、コンドームは本来は避妊具であって、妊娠を望まない相手と性行為を行うこと自体に、そもそもの問題がある。例外として、子作りを控えた夫婦間の性行為や、結婚前の婚約者間の性行為でも無い限りは、そもそも性行為そのものを控えるべきであろう。


行政の意図はともかく、論理的に考えた場合のコンドームによるエイズの予防の効果とは、単に、原則として、夫婦間の性交や婚約者との性交でもないかぎり、余計な相手とは性行為をしないというのを遵守した上で、それが遵守できずに夫婦間・婚約相手との以外の性交に及ぶ場合は、次善の策としてはコンドームを使用するべきである、ということにすぎない。

避妊と性病予防の違い

なお、避妊と性病の予防は異なる。たとえば、「ピル」という女性用の排卵の抑制剤では、性病の感染は防げない。


エイズの感染経路の歴史的変遷

エイズは血液感染によっても感染をするのであった。かつて日本では、血友病などに対する血液製剤を経由して感染が広まったことがあった。(血友病そのものはエイズとは異なる病気である。血友病は、出血した際に、血液が凝固しなくなる病気。)

現在でのエイズの新規の感染の感染経路は、おもに性行為によるものである。

過去のエイズ感染の仕組みが不明だった時期には、同性間の性行為で広まると考えられていた時期もあったが、その後の研究で、異性間の性行為でも感染の危険性があることが分かった。


抗体検査

現在、保健所では、エイズの感染の検査が行える。ただし、感染してから約3ヶ月以内の場合は、まだエイズの影響が免疫機能には出ない。 HIVの検査の場合では、免疫機能の検査である抗体検査が行われる。


性感染症[編集]

性感染症を放置してると、不妊症にもつながる。尿道や、子宮、膣、卵管など、性器の周辺の器官に炎症などを起こす可能性がある。性器の炎症のため、不妊症につながる場合がある。 とくに性感染症による危険な症例として、卵管の炎症により卵管がふさがったまま、子宮外で受精卵が着床して妊娠した場合におこる子宮外妊娠がある。子宮以外の卵管などで妊娠してしまい、そのまま胎児が成長すると、卵管などが破裂してしまうという、母体の死の危険もある、とても危険な病気である。

性感染症は、一般に、治療を受けないと、けっして完治はせずに、感染を続けたままである。 性感染症は、感染しても自覚症状がない場合がある。

性感染症の治療は、性行為のパートナーも治療を受けるべきである。なぜならパートナーと同時に治療をしないと、片方が一度治療しても、パートナーとの性交で再感染をすることになるからである。

一般に性感染症の病原体は、感染者の精液や膣分泌液や血液に含まれる。

性感染症の有名な病気としては、性器クラミジア、淋菌、ヘルペス、尖形コンジローム、梅毒、エイズなどがある。(エイズについては別の章で記述。) 近年ではクラミジアの感染が増加の傾向にある。


エイズ以外の、クラミジアや淋菌感染症、ヘルペスなどの性感染症については、治療を受ければ一般には回復する。

女性の場合、性感染症の自覚症状が出ない場合もあるが、放置をしてると不妊や子宮外妊娠になる恐れがある。なので放置は危険である。 性病の自覚症状には、性差がある。


おもな性感染症[編集]

  • 性器クラミジア
病原体 :クラミジア・トラコマティス
潜伏期間 :1周間 ~ 3週間の程度
症状 :
男の場合、尿道の痛みがあり、排尿時の痛みや尿道から膿が出る。
女の場合、自覚症状が軽いことが多いが、放置すると不妊などにつながることがある。放置は危険である。おりものに膿のようなものが出る場合がある。母子感染については、妊娠や出産の際に、母子感染をする場合もある。


  • 淋菌感染症
病原体 :淋菌
潜伏期間 :2日 ~ 8日の程度
症状 :
男の場合、尿道の痛みがあり、排尿時の痛みや尿道から膿が出る。
女の場合、自覚症状が軽いことが多いが、放置すると不妊につながることがある。


  • 性器ヘルペスウイルス感染症
病原体 :ヘルペスウイルス
潜伏期間 :2日 ~ 10日の程度
症状 :
性器や、その周辺に「かゆみ」や水ぶくれが出る。