高等学校化学 原子とイオン

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 この単元では物質の最小単位である原子を構成する粒子と、イオンの発生方法について学ぶ。

原子の構造[編集]

原子の構造と電子配置[編集]

ヘリウム原子のボーアモデルによる各粒子の説明

 すべての物質は原子からなる。そして、原子は中心にある原子核とその周りを取り巻く、いくつかの電子からなっている。さらに、原子核はいくつかの陽子中性子からなる。  電子は原子核の周りに存在する電子殻と呼ばれるいくつかの層に存在し、内側からK殻,L殻,M殻,N殻と呼ばれる。そして、電子は一般にK殻から順に入っていく。K殻には電子が2個存在することができ、L殻には8個、M殻には18個入ることができる。また、電子がどの殻にいくつ入っているか表したものを電子配置という。

価電子[編集]

周期が3までの元素の電子配置

 そして、電子配置に注目した際、最も外側の殻に入っている電子を最外殻電子といい、そのうち重要な働きをする1~7個の電子を価電子という。価電子が0である原子は、最外殻に電子が最大まで入っていることを示す。HeやNe、Arは価電子が0である気体であり、このような気体を貴ガス元素(希ガス元素)と呼ぶ。貴ガス元素の価電子が0であるとする理由は、最外殻電子の電子配置が安定しており、安定した物質である(ほかの原子と結合したり、イオンになったりしにくい)ためである。価電子は元素の性質を決める重要な働きをするので、OやSなどの価電子の数が同じ元素は、化学的性質がよく似ている。

イオン[編集]

 原子中の陽子と電子の数は等しく、原子はふつう電気的に中性である。しかし、原子が価電子を放出したり、電子を受け取ったりして電気を帯びることがある。このような粒子をイオンという。原子が価電子を放出すると、陽子の数が電子の数よりも多くなり、正の電荷をもつ陽イオンとなる。逆に原子が電子を受け取ると、電子の数が陽子の数よりも多くない、負の電荷をもつ陰イオンとなる。そして、イオンのうち、1つの原子がイオンとなったものを単原子イオン、2つ以上の原子が結合した原子団がイオンとなったものを多原子イオンという。

 イオンには独特の呼び方がある。陽イオンは単に、物質名の後に「イオン」を付けるだけである(例:H+…水素イオン)。しかし、陰イオンはそれぞれ特別な呼び方がある。例えば、

  • F-…フッ化物イオン
  • Cl-…塩化物イオン
  • O2-…酸化物イオン
  • S2-…硫化物イオン
  • OH-…水酸化物イオン
  • NO3-…硝酸イオン
  • CO32-…炭酸イオン
  • SO42-…硫酸イオン

などが挙げられる。

イオンの例
陽イオン 陰イオン
単原子イオン H+,Na+,Cu+,Mg2+,Zn2+ F-,Cl-,O2-,S2-
多原子イオン NH4+,H3O+ OH-,NO3-,CO32-,SO42-

演習[編集]

  1. ナトリウム(Na)はイオンになると、ナトリウムイオン(Na+)となるが、このイオンと電子配置が同じ原子またはイオンを表イオンの例の中からすべて答えよ。
  2. 原子がイオンとなる際、イオンの電子配置はどうなるか。表イオンの例と図周期が3までの元素の電子配置を参考にして、「価電子」・「安定」という語を用いて答えなさい。


演習の解答・解説[編集]

  1. ナトリウムイオンの電子配置は、K,L,M殻から順に、2,8,0であるから、F-,O2-,Na+,Mg2+が該当する。
  2. 例)イオンは価電子が0になる電子配置になる。これは、価電子が0となる電子配置では物質が安定するためである。