高等学校家庭総合/家族って何だろう…家族の定義と家族構成の変化…

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家族とは?[編集]

家族(アメリカ)

 普通、家族とは「一緒に暮らす人の中で、主に夫婦とその血縁関係で成り立った集団」を指します。簡単に説明すると、夫婦、親子、従兄妹など、婚姻関係血縁関係にある人達です。「共同生活」といっても、一緒に暮らしていない家族もいます。例えば、単身赴任や進学、就職などの理由がある場合や祖父母が遠くに住んでいる場合などです。また、家族は一生を通じて変化します。「生まれ育つ家族(出生家族)」と「作る家族(創設家族)」があります。

ファミリー・アイデンティティ[編集]

 ファミリー・アイデンティティとは、「あなたの家族は?」と聞かれた時に思い浮かぶ家族の集団をいいます。もしあなたがペットを家族の一員と考えるなら、それは家族です。結婚していなくても、血縁がなくても、一緒に暮らしている人があなたを「家族」と思えば、あなたは家族です。家族をどう考えるか、どんな家族になりたいかはそれぞれ異なります。

家族と世帯[編集]

 一般的に家族という言葉が使われていますが、その意味は明確ではありません。そこで、国や地方自治体の統計や調査(国勢調査など)では、世帯を調べます。世帯とは、一緒に住み、協力して生計を立てている集団を指します。

 日本の核家族世帯数は約3000万世帯で、全世帯の約54%を占めています。その理由は産業構造の変化が関係していて具体的には次の通りです。

  • 会社員など被雇用者の増加
  • 農業・漁業・自営業など代々にわたって同じ土地に住む大家族世帯の減少
  • 都市部への人口集中による住宅の狭小化、少子化

 一方、最近、単身世帯(一人暮らし世帯)の割合が急激に増えてきています。この理由は、長寿化、晩婚化、非婚化によって、単身世帯の期間が長くなっているためです。この傾向は、今後20年間続くと思われます。

 1世帯に住む人数(平均世帯人員)は年々減っていますが、世帯数は増えています。現在の日本は、小さな家族や一人暮らしの世帯が少なくありません。このような社会では、家族だけで面倒を見るのは難しく、近所付き合いも薄れてしまいます。そこで、家族や個人が孤独にならず、安心して暮らせるようにするために、社会的な支援を求めています。

資料出所:総務省統計局 令和2年国勢調査 人口等基本集計結果 結果の概要(2022年12月10日閲覧)

プラスキーワード[編集]

産業構造[編集]

 第一次産業(農林水産業など)、第二次産業(製造業、建築業、電力・ガス・水道業など)、第三次産業(情報通信業、金融業、運輸業、小売業、サービス業など)です。現在、第三次産業は約73%を占めています。

資料出所:総務省統計局 令和2年国勢調査 就業状態等基本集計結果 結果の概要(2022年12月10日閲覧)