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高等学校工業 化学工学/反応装置

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

化学工場のプラントでは、工程が多いので、まず、その工程を図示しなければいけない。

工程と、それにともなう物体の移動を、反応機器どうしのつながりが分かるように図示したプロセスフローダイアグラムエンジニアリングフローダイアグラムで表します。


フロー図の例。
フロー図の例。

化学工学のプロセスフローダイアグラムとは、製品の製造プロセスを示した図表のことです。製造過程中における原料の供給、反応槽、分離機、加熱・冷却装置、製品の取り出しや処理など、一連の工程の流れを示しています。

プロセスフローダイアグラムは、チームで作成され、現場での操作性、費用対効果、環境負荷などを考慮した図表になるように作られています。

プロセスフローダイアグラムには通常、均質な原料混合や反応が行われる反応槽、反応物の精製や分離が行われる分離機、さらには生産物の処理、回収といった各区画が記されています。

プロセスフローダイアグラムは、製品の品質向上や生産性の改善、コスト削減に貢献する重要な資料です。また、安全面においても、フローの可視化により作業員の安全確保にも貢献します。

化学工学のエンジニアリングフローダイアグラムは、工業用化学プラントにおけるプロセスの流れを示す図です。この図は、様々な装置や機器が織り成すプロセスをより簡単に理解するために作成されます。エンジニアリングフローダイアグラムには、原料の供給から製品の出荷までの全てのステップが描かれています。

エンジニアリングフローダイアグラムは、下記のような特徴があります。

  • シンプル:エンジニアリングフローダイアグラムは、単純なシンボルを用いることで、複雑なプロセスを簡略化することができます。
  • スケーラブル:エンジニアリングフローダイアグラムは、プロセスがより大きく複雑になるにつれて、より詳細なレベルで表現されることができます。
  • 標準化:エンジニアリングフローダイアグラムは、国際的に認められたシンボルを使用することで、理解の一貫性と品質を確保します。
  • プロセスの改善:エンジニアリングフローダイアグラムは、プロセスの問題点を容易に識別することができるため、品質向上、品質管理、コスト削減など、プロセスの改善に役立ちます。

また、このような工程のシートがあると、機械製図などのべつの図面とも、相互に検証できるので、エンジニアリングフローダイアグラムを書くことが望ましいです。

基本的に、化学プラントなどの大型の反応装置では、エンジニアリングフローダイアグラムは必ず書かれます。

また、たとえ実験室レベルの小型の反応システムでも、反応物質のフローがある場合は、設計者はエンジニアリングフローダイアグラムを作成するべきです。なぜなら、設計者以外には反応システムの想定する工程を正確には知りえないため、設計者は作業者にエンジニアリングフローダイアグラムを伝える必要があるからです。

つまり、エンジニアリングフローダイアグラムやプロセスフローダイアグラムは流体を取り扱う機器の設計者が作業者に伝えるべき必要事項です。

化学工場だけでなく、化学反応をする流体を取り扱う設備を用いているガス会社や半導体関連企業などでも、エンジニアリングフローダイアグラムは設計などで必要になることが多いです。

本科目『化学工学』では、主に化学工場を想定して解説されます。

フロー図で用いられる記号の例。