高等学校理科 生物基礎/神経による体内環境の調節

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神経のうち、意思とは無関係に働く神経のことを自律神経系(じりつしんけいけい、autonomic nervous system)という。 いっぽう、意思で動く神経のことを体性神経系といい、体性神経系には主に感覚神経(sensory nerve)と運動神経(motor neuron)がある。

自律神経系には、交感神経(こうかんしんけい、sympathetic nerve)と副交感神経(ふくこうかんしんけい、parasympathetic nerve)がある。交感神経と副交感神経は対抗的に働くことが多い。()

  • 神経系の分類 まとめ
        (中央) 
神経系━┳━中枢神経系━┳━脳
    ┃       ┗━脊髄
    ┃ 
    ┗━抹しょう神経系━┳━体性神経系━┳━運動神経
              ┃       ┗━感覚神経
              ┃
              ┗━自律神経系━┳━交感神経
                      ┗━副交感神経

ヒトの脳神経は12対であり、脊髄神経は31対である。


心臓の拍動の調節[編集]

心臓の拍動は延髄と自律神経によって調節されている。

運動などによって酸素が消費され、二酸化炭素濃度が高くなると、 延髄は交感神経を働かせ、 交感神経の末端からノルアドレナリン(noradrenaline)が放出され、 心臓の拍動数が増加する。

逆に安静時に酸素の消費量が減り、二酸化炭素濃度が低くなると、 延髄は副交感神経を働かせ、 副交感神経の末端からアセチルコリン(acetylcholine)が放出され、 心臓の拍動数が減少する。

心臓の拍動の調節の実験には、 オットー・レーヴィのカエルの心臓を用いた実験がある。 レーヴィは2つのカエルの心臓を取り出してつなぎ、リンガー液を循環させる装置を作った。 片方の心臓からのびる迷走神経(副交感神経)を刺激すると、その心臓の拍動数が減少し、 しばらくして、もう片方の心臓の拍動数も減少した。 これにより、迷走神経のシナプスから化学物質が分泌され、 心臓の拍動数を制御していることが明らかとなった。 その化学物質は、今日ではアセチルコリンであることが分かっている。