高等学校理科 生物基礎/遺伝情報の分配

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植物細胞の細胞分裂
細胞周期におけるDNA量の変化

細胞周期[編集]

細胞分裂には、通常の細胞分裂である体細胞分裂(たいさいぼう ぶんれつ)と、生殖細胞をつくる減数分裂(げんすう ぶんれつ)がある。まず、体細胞分裂について説明する。

細胞分裂の周期は、間期(かんき)と分裂期(ぶんれつき、M期)からなる。(M期のMはMitosis。) DNAは間期に複製され2倍になっている。

間期[編集]

間期にDNAが複製されている。

間期はG1期、S、G2期からなる。

G1期は合成準備期。 S期は合成期。 G2期は分裂準備期。

分裂期[編集]

細胞分裂の過程は、まず最初に、核分裂がおこる。つづいて細胞質分裂がおこる。


M期は前期中期後期終期に分けられる。 前期にあらわれる染色体は、核内に分散していた染色体が凝縮したもの。

分裂期に染色体が等分されるとともに、DNAも等分される。よって、分裂後の最終的な染色体数およびDNA数は、もとの細胞と同じである。

一般に、分裂前のもとの細胞を母細胞(ぼさいぼう、ははさいぼう)という。分裂後の細胞を娘細胞(むすめさいぼう、じょうさいぼう)という。

以上のような、細胞分裂の分裂の周期のことを細胞周期という。

前期 核膜が消失し、核の中にあった染色体が現れる。
中期 染色体が細胞の中央の面にあつまる。この、染色体が集まってる細胞の中央の面を赤道面(せきどうめん)という。
後期 それぞれの染色体が2本に分離して、細胞の両極に移動する。
終期 核が現れ始め、染色体は核内に分散する。植物細胞の場合、細胞板があらわれる。動物細胞の場合、細胞質が分裂し始める。

DNA複製のしくみ[編集]

半保存的複製のイメージ図。

2本鎖DNAの塩基どうしの結合が、一部分、ほどける。そして、部分的に1本鎖になったDNAが2本ぶんできる。

1本鎖のそれぞれが鋳型となって複製が始まる。それぞれの一本鎖の塩基に対応するヌクレオチドが結合して(AとT、GとCが結合)、相補的な塩基の対が出切る。そして塩基対どうしの新しい鎖のほうのヌクレオチドは、酵素のDNAポリメラーゼなどの働きによって、となりあったヌクレオチドのリン酸と糖が結合して、次々と連結していって新しい鎖ができ、よって2本鎖のDNAになる。複製前のDNAのもう一方のほうの一本鎖も同様に複製されて2本鎖になる。こうして、複製前のDNAのそれぞれの一本鎖が2本鎖のDNAになり、複製後はDNAが2個になる。

このような複製のしくみを半保存的複製(はんほぞんてき ふくせい)といい、アメリカのメセルソンとスタールによって1958年ごろに大腸菌と窒素の同位元素(通常の14Nと、同位元素の15N)を用いた実験で証明された。


(※ 範囲外: ) DNAの4つの「塩基」という呼び方は、英語の base を和訳したものであろうと思われる。英語ではDNAの4つの base のように言う。化学の分野で、すでにアルカリ性の物質を base という専門用語があり(高校『化学基礎』科目で習う)、そのアルカリ物質を「塩基」という和訳語があるので、おそらく、その訳語を参考にしたものと思われる。
読者に気をつけてほしいこととして、けっしてDNA全体がアルカリ性であるわけではない。「『核酸』で酸なのに塩基とは、どういう事か?」と疑問にもつ人もいるかもしれない。
啓林館の教科書に書かれているが、(DNAやRNAなどの)核酸は酸性である。
ネット上では、DNAの「塩基」をアルカリ性だという言説もあるが、中性物質もしくは両性物質だという言説もある。
※ 東京書籍の検定教科書にも紹介されているが、窒素を含む有機化合物のことを「塩基」という習慣がある。
もしかしたらDNAのbaseを「塩基」と訳すのは誤訳かもしれない。もしかしたら野球の4つのベースとか、そっちのほうの意味かもしれない。