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高等学校生物/生物IB‐生態系

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

植生

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植生

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バイオームと気候の関係

ある場所に生育してる植物の集まりを植生(しょくせい)または植物群落(しょくぶつ ぐんらく)または植物群集(しょくぶつ ぐんしゅう)という。

(※ 現在の高校生物では、「植生」表記が主に用いられており、日常的にも用いる機会が多いので、本書でも、得に断りが無い限り、「植生」を用いる。)

植物のうち、一年以内に枯れる植物を一年生植物(いちねんせい しょくぶつ)という。 一年を越えて生育する植物を多年生植物(たねんせい しょくぶつ)という。

森林の見た目を相観(そうかん)という。

ある地域が森林で覆われているとき、その森林のそれぞれの木の頂上部付近の集まりを林冠(りんかん)という。森林で被われると、その木の下の生物には日当たりが減るので、林冠は、その場所の植生に大きな影響を与える。また、森林外から人間が観察している場合、林冠の植物が目立つので、相観には林冠が大きな影響を与える。

いっぽう、森林がある場所において、草木やコケ植物、キノコなど、地表に近い部分の植物をまとめて林床(りんしょう)という。林床の草木は、日当たりが悪いため、ふつうの林床は陰生植物である。

遷移

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植物の生育により、環境が変わっていく。たとえば背丈の高い木が生えれば、その下の植物の環境では日当たりが減る。このように、植物の生育によって環境が変わっていくことを遷移(せんい、succession)という。

つまり、植生は遷移していく。

たとえば、ある陸上の地域で火山が噴火し、森林に溶岩が流れ込むなどして、森林が焼き払われたとする。そして、時間が経過し、溶岩が常温まで冷めたとする。

その地域には、まだ森林が育つような土壌が出来上がって無いので、森林は育たない。また、植物の根や種子も、溶岩で焼き払われており、存在していない。植物が育つのに必要な窒素分などの栄養分も、少ない。保水力も少ない。

その焼かれて冷めたあとの地域には、まずコケ類や地衣類などが、その地域に入り込み、遷移が始まる。このように、植物が生育していなかった場所から始まる遷移を一次遷移(いちじ せんい、primary succession)という。 また、このように初期の遷移で、その地域に入りこむ植物種を先駆種(せんくしゅ)という。あるいは、先駆種のことをパイオニアともいう。

ある遷移が、陸上で起きた遷移なら、乾性遷移(かんせい せんい、xerarch succession)という。いっぽう、湖沼などの水辺で起きる遷移を湿性遷移(しっせい せんい、hydrarch succession)という。 先ほど例にあげた、溶岩が流れたあとの遷移は、乾性遷移(かんせい せんい)である。

乾性遷移での一次遷移は、普通、コケ類・地衣類の侵入から始まり、続いて同じ場所に草木が侵入し、そのあと、同じ場所に木が侵入する。

木には、日当たりの良い場所で育ちやすい陽樹と、日当たりの悪い場所でも育ちやすい陰樹がある。一次遷移で草が生えてた場所に、始めて木が侵入していく場合、最初に侵入する木の種類は、陽樹である場合が、普通である。 しかし、その陽樹がつくる陽樹の子は、日当たりが悪いので、育ちにくい。いっぽう、陰樹は、日当たりが悪くても育つので、陰樹の子は育つ。なので、やがて森林は陰樹に変わっていく。

陽性植物と陰性植物の光合成速度
陽性植物と陰性植物の光合成速度。模式図。

日なたで成長しやすい植物を陽性植物(ようせいしょくぶつ、sun plant)という。アカマツ・クロマツソラマメススキ・カラマツ・カタクリ・トマトなどが陽性植物である。

森林内などの日かげで成長しやすい植物を陰性植物(いんせいしょくぶつ、shade plant)という。ブナ・シイ・カシ・ドクダミ・カタバミ・モミ・アオキやシダ・コケ植物などが陰性植物である。 光合成速度と光について、補償点や光飽和点は図のようになる。

陽性植物は光飽和点が高い。

一般に、光の弱い状態では、陰性植物のほうが光合成速度が大きい。このため、日かげでも陰性植物は生活できる。いっぽう、光の強い状態では、陽性植物のほうが光合成速度が大きい。


同じ一本の木の中でも、日当たりの良い場所でつく葉と、日当たりの悪い場所でつく葉で、特性が異なる場合がある。ブナ・ヤツデなどが、そのような植物である。 日当たりの良い場所につく葉を陽葉(ようよう, sun leaf)といい、陽性植物と同じような補償点や光飽和点は高いという特性を現す。いっぽう、日当たりの悪い場所につく葉を陰葉(いんよう, shade leaf)といい、陰性植物と同じように補償点や光飽和点は低いという特性を現す。

陽性植物の樹木を陽樹(ようじゅ)といい、陽樹からなる森林を陽樹林(ようじゅりん)という。アカマツなどが陽樹である。陰性植物の樹木を陰樹(いんじゅ)といい、陰樹からなる森林を陰樹林(いんじゅりん)という。モミなどが陰樹である。

樹木は、草など背丈の低い植物への日当たりをさえぎるので、地表ちかくでは陰性植物が育ちやすくなり、また、日当たりが悪いので地表ちかくでは陽性植物が育たなくなる。

森林が陽樹林の場合、新たな陽樹は芽生えなくなるが、新たな陰樹は芽生えることが出切る。このような仕組みのため、森林は、陽樹から陰樹へと移っていくことが多い。

いったん森林が陰樹林になると、災害や森林伐採などが起きない限り、普通は、もう、あまり、それからは遷移しない。

ある植生が、さまざまな遷移を経過した結果、もうほとんど変わらない状態になり、安定的な状態になる。この最終的な植物群の状態が極相(きょくそう)である。極相のことをクライマックス(climax)ともいう。日本の場合、たいていの森林では、陰樹林が極相である。 森林が極相の場合、その極相の森林を、極相林(きょくそうりん)という。

山火事や地滑りや台風などで、森林で一部の木が破壊されると、その破壊されて倒れたりした木の部分での植生の競争の安定が崩れ、その破壊された木の付近の場所は草原などに戻る。倒れた木のあった場所では、今まで覆っていた木が無くなったため、光が差し込むようになり、日当たりが増す。このような、森林内部の日当たりの良い場所をギャップという。

このようなギャップの場所では(森林内の日当たりの良い場所では)、陽生の植物が成長できるので、新たに遷移していく。これを二次遷移(にじ せんい、secondary succession)という。二次遷移では、土壌がすでに形成されているため、一時遷移と比べて遷移が速く進行する。

二次遷移が起きるのは、けっして地滑りや台風による倒木などの自然災害だけでなく、人間が森林伐採をした場合にも二次遷移は起きる。

湿性遷移

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また、湖沼でも遷移は起きる。湖沼など水場で起きる遷移を湿性遷移(しっせい せんい、hydrarch succession)という。いっぽう、陸上での遷移を乾性遷移という。

まず、水深によって、湖沼での遷移は変わる。あまりにも水深が深すぎると、日光が水底に届かないため、水草は生えにくい。

そこそこの深さの湖沼だと、水底に日光が届くため、水底には水草が生えている。

まず、クロモは、全身が水中にあっても育つので、初期の遷移ではクロモなどの全身が水中でも育てる植物が生えていく。クロモなどのように、全身が水中でも育てる植物を、沈水植物(ちんすい しょくぶつ)という。クロモやマツモが沈水植物である。

スイレンは、根が水底の地中にあるので、そこそこ浅くないとスイレンは育たない。 スイレンやヒシなどの、葉が水面にあり、根が地中にある植物のことを浮葉植物(ふよう しょくぶつ)という。

湖沼には、付近の土砂が堆積していくのが普通なので、だんだん水深が浅くなっていく。浅くなってくると、スイレンなどの浮葉植物でも、湖沼に侵入できるようになる。

さらに堆積が進行し推進が浅くなってくると、今度はヨシなどの抽水植物(ちゅうすいしょくぶつ)が侵入してくる。 ヨシは、全身の大部分は水上にあるが、根は水中にある。ヨシのような、全身の大部分は水上にあるが、根は水中にある 植物を抽水植物(ちゅうすい しょくぶつ)という。

こうして、沈水植物 → 浮葉植物 → 抽水植物 というふうに、湿性遷移が進んでいくのが普通である、

水深がさらに浅くなると湿原(しつげん)になる。

植物のバイオーム

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※ この単元の内容は、社会科の地理学とは区別しきれず、すべての生物学のみから説明するのは、無理である。

冒頭の植物のバイオームと気温、降水量のグラフを分析しよう。

まず、森林が形成されるには、あるていどの降水量が必要である。じっさいにグラフを見ると、確かに、降水量の多いほど、樹林が形成されている。

降水量が少ないと、森林が維持できなくなり、草原になっていく。さらに降水量が少ないと、砂漠などになっていく。

たとえば草原には、サバンナとステップがある。

サバンナとステップの気候は、一見するとぜんぜん違う気候だが、じつは気温が違うだけで、降水量は同じくらいなのである。

サバンナは、熱帯の中にある乾燥地域に見られ、サバンナの草の種類は、イネの仲間の植物を主体としている。

ステップは、温帯の中にある乾燥地域に見られ、ステップの草の種類も、イネの仲間の植物を主体としている。


アフリカのサバンナでは、シマウマなどの大型の草食動物が住む。また、その草食動物を捕食する、ライオンなどの肉食動物も、アフリカのサバンナには住む。サバンナというとアフリカが有名だが、オーストラリアや南アメリカなどにもサバンナはある。 サバンナには、乾季があるのが普通である。乾季のあいだ、草食動物は、水場や食料などを求めて、集団で大移動する。 アフリカに限らず、サバンナには草食動物が住みつき、その草食動物を捕食する肉食動物も住みつく。


いっぽう、気温がほぼ同じ地域を見てみると、たとえば年平均20℃〜30℃の地域は、熱帯多雨林、雨緑樹林、サバンナが、気温が同じ気候である。これらの植生を分けるのは、たんに降水量の多少なのである。


砂漠は、地域によって、温度の差が、とても広い。日本人はついつい「砂漠」と聞くと、熱い地域を想像してしまいがちなので、気をつけよう。砂漠では、サボテンのような、乾燥に適応した植物が、まばらに生育する。


なお、グラフには無いが、土壌や水質などによっても、植生は異なる。たとえば海水の多い地域では、海水の耐性のある植物が分布する。

またなお、グラフでの各植生の各領域の温度範囲や降水量範囲の広さや値は、教科書ごとに若干、異なる。なので、あまり細かな数値を覚えても無価値である。


熱帯多雨林

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熱帯・亜熱帯の気候の地域に、分布している。

高木(こうぼく)が多い。30m〜60mの高木もある。林内は暗い。

また、つる植物も多い。

東南アジアや南アメリカ大陸などで、このような熱帯多雨林が見られる。

海岸や河口付近では、海水にも耐性のあるマングローブ林などが分布し、マングローブであるヒルギ類などが分布する。

日本では、九州地方南端から沖縄地方、小笠原地方に、亜熱帯多雨林が見られる。

雨緑樹林

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熱帯・亜熱帯の地域のうち、雨季と乾季のある地域に、雨緑樹林が分布する。 乾季に落葉するチークなどが見られる。


温帯地方

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温帯地方では、硬葉樹林、照葉樹林、夏緑樹林が分布する。


硬葉樹林

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地中海沿岸の、温帯のなかでも冬に雨が多く、夏に雨が少ない地中海性気候の地域で見られる。

夏の乾燥に耐えるため、葉が小さく、クチクラ層が厚く、一年中、葉をつける、オリーブやコルクガシなどが見られる。

照葉樹林

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日本では、関東から四国、九州地方までの低地に分布する。スダジイやアラカシなどが生育する。

夏緑樹林

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温帯の中でも、比較的寒冷な地域に分布し、ブナ、ミズナラ、カエデ類などが見られる。

冬に落葉する。秋に紅葉する。

日本では、北海道南部の低地、東北地方に分布する。

針葉樹林

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シベリア、スカンジナビア半島、アラスカなどで亜寒帯の地域に見られ、常緑針葉樹のトウヒ類、モミ類などがある。東シベリアにはカラマツなども見られる。

樹種が少ない。

日本では、比較的寒冷な北海道東北部に見られる。トドマツやエゾマツが見られる。

針葉は、凍結に耐えるための仕組みである。

ツンドラ

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北極圏の寒帯などに分布する。夏の一時期を除いて、年中、土壌が凍結している凍土(とうど)のため、高木が育たない。草本は育つが、地衣類やコケ類などが混ざる。

この地域は降水量も少ないため、低温で降水量の少ない地域に、ツンドラが分布することになる。

日本のバイオーム

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日本では、どこでも降水量が多いため、森林が形成される。 よって日本では、おもに気温の地域差によって、各地の植生が違ってくる。

そして、気温の地域差は、おもに緯度と標高により、決まってくる。一般に、高度が1000m増すごとに気温が5〜6℃下がる。 なので結果的に、緯度と標高によって、植生が違ってくる。

標高に応じてバイオームの地域差を、垂直分布(すいちょく ぶんぷ)という。

いっぽう、緯度によるバイオームの地域差を水平分布という。

人工林としてスギなどを植えてた地域も日本では多く、そのため人の手が加わってない自然な植生は、日本では少ない。

垂直分布

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日本中部における植物の垂直分布

2600m以上くらいに、標高が高くなりすぎると、気温が低すぎるため、森林が形成されない。この、森林の形成できる高さの限界を森林限界(しんりん げんかい)という。 また、森林限界を越えた、標高の高い場所は、強風の場所でもある場合が多く、そのため風に強い植物が多い。

また、その森林限界より前でも、高木の形成できる限界の標高があり、これを高木限界(こうぼくげんかい)という。

高木限界より高い場所の植物は、草や花や低木である。夏には、お花畑と呼ばれる高山草原が見られることもある。

また、森林を形成するには、夏の平均気温が10℃以上は必要である。


このような現象のあるため、森林限界(2500mあたり)をさかいにして、標高により、高山帯と亜高山帯とに分かれる。森林限界より高い側が高山帯(こうざんたい)で、森林限界より低い側が、亜高山帯(あこうざんたい)である。

2500m〜あたりが高山帯であり、コケモモ、コマクサなどが見られる。


1700m〜2500mあたりが、亜高山帯であり、シラビソ、コメツガなどが見られる。

1700m〜600mあたりを山地帯といい、夏緑樹林が見られ、ブナやミズナラなどが見られる。


〜600mあたりを丘陵帯(きゅうりょうたい)という。

水平分布

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  • 亜熱帯

沖縄や鹿児島は亜熱帯である。日本でもマングローブが沖縄県など南西諸島の海岸などで見られ、ヒルギ類がマングローブとして分布している。海岸以外では、ソテツ、ヘゴ、ガジュマルなどが分布している。

  • 温帯

九州中部から関東までの、標高の低い地域で、照葉樹林の生育する気候である。


暖かさの指数

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日本では、その地域の気温によって、植生が決まる。

よって、その地域の気温の積算値をもとにした指数によって、植生が説明できる。

植物の生育がうまくできる下限の値を5℃と考え、よって月平均気温からマイナス5℃をした値を各月もとめ、さらにその各月の値を足し合わせた積算値を、暖かさの指数(warmth index, WI)という。

WIが15〜45は、トドマツなどの針葉樹が分布し、亜寒帯に相当し、北海道の北東部などである。

45〜85は、ミズナラなどの夏緑樹林が分布し、冷温帯に相当し、東北地方などである。

85〜180は、スタジイなどの照葉樹林が分布し、温暖帯に相当する。

180〜240は、沖縄県や鹿児島などで見られ、亜熱帯多雨林が分布し、亜熱帯に相当する。

用語

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(※ 未記述)

・ 優先種
・ 草本(そうほん)

生態系

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食物連鎖

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陸上と海中での食物連鎖のイメージ。

(※ この解説は、現時点では 中学校理科のWikibooks を引用したものです。そのため、高校および大学受験では、不適切な可能性があります。)


動物性プランクトンは、エサとして、植物性プランクトンを食べている。 具体的に言うと、ミジンコやゾウリムシなどの動物性プランクトンは、ケイソウやアオミドロなどの植物性プランクトンを食べる。

そして、動物性プランクトンも、メダカなどの小さな魚に食べられる。

メダカなどの小さな魚も、さらに大きな魚に、エサとして食べられる。

植物プランクトン(ケイソウなど) → 動物プランクトン(ミジンコなど) → 小型の魚(メダカなど) → 中型の魚 →大型の魚など

というふうに、より大型の生き物などに食べられていく。

生きてるあいだは食べられずに寿命を迎えて死んだ生物も、微生物などにエサとして食べられていく。

このように、生き物どうしが、「食べる・食べられる」 の関係を通じて関わり合っていることを 食物連鎖(しょくもつれんさ、food chain) という。食べる側を捕食者(ほしょくしゃ、predator)といい、食べられる側を被食者(ひしょくしゃ)という。ミジンコとメダカの関係で言えば、メダカが捕食者、ミジンコが被食者である。捕食者も、さらに上位の捕食者によって食べられて、捕食者から被食者へとなる場合も多い。このように、捕食者-被食者の関係は、立場によって変わる相対的なものである。

実際には、捕食者が1種類の生物だけを食べることはまれであり、2種類以上のさまざまな種類の生物を食べる。食べられる側も、2種類以上の捕食者によって食べられる。このため、食物連鎖は、けっして1本道のつながりではなく、網状のつながりになっており、この食物連鎖の網状のつながりを食物網(しょくもつもう、food web)という。

食物連鎖は、なにも水中の生き物だけでなく、陸上の生き物にも当てはまる考え方である。

植物など、光合成を行って有機物を豪勢する生物のことを 生産者(せいさんしゃ、producer) と言う。動物のように、別の生物を食べる生き物を 消費者(しょうひしゃ、consumer) という。消費者は、生産者の合成した有機物を、直接または間接に摂取していると見なす。 動物は、他の動物または植物を食べているので、動物はすべて消費者である。肉食動物(carnivore)も草食動物(herbivore)も、どちらとも消費者である。 消費者のうち、草食動物のように、生産者を直接に食べる生物を一次消費者(primary consumer)という。その一次消費者を食べる肉食動物を二次消費者(secondary consumer)という。二次消費者を食べる動物を三次消費者という。さらに三次消費者を食べる生物を四次消費者という。

なお、二次消費者を食べる三次消費者が一次消費者を食べるような場合もある。このように、実際には、必ずしも直接に1段階下位の生物を食べるとは限らない。

アオカビの構造。

いっぽう、菌類(きんるい)や細菌類(さいきんるい)のように、(落ち葉や 動物の死がい や 動物の糞尿(ふんにょう)などの)動植物の遺体や排泄物などの有機物を分解して無機物にする生物を分解者(ぶんかいしゃ、decomposer)と言う。

菌類とは、いわゆるカビやキノコのことである。シイタケやマツタケは菌類である。アオカビやクロカビは菌類である。

細菌類とは、たとえば、大腸菌(だいちょうきん)、乳酸菌(にゅうさんきん)、納豆菌(なっとうきん)などが菌類である。

分解によって、有機物は、二酸化炭素や水や窒素化合物などへと分解される。さまざまな分解者によって有機物は分解されていき、最終的には無機物へと変わる。

これら、菌類や細菌類は、普通は、葉緑体を持っていないので、光合成によって栄養を作ることができない。 菌類は葉緑体を持っていないため、菌類は植物には、ふくめない。細菌類も、同様に、植物にふくめない。

菌類の栄養の取り方は、カビ・キノコともに、菌糸をのばして、落ち葉や動物の死がいなどから、養分を吸収している。

  • 菌類
  • 細菌類

生態ピラミッド

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生態ピラミッド。このピラミッドは例の一つである。書籍によって、段数は変わる。この左図の場合、消費者は第一次消費者から第三次消費者までの三段階である。
生産量ピラミッドの説明図。植物は生産者となる。草食動物および肉食動物は消費者である。
このピラミッドは例の一つである。書籍によって、段数は変わる。ふつうの書籍では、生産者は植物になる。ふつうの書籍では、一般の動物は、草食動物も肉食動物も消費者となる。
この図の場合、草食動物が第一次消費者であり、肉食動物が第二次消費者である。
  • 生物量(せいぶつりょう)
ある生物の集まりを、質量で表したものを生物量(せいぶつりょう、英:biomass バイオマス) という。
  • 生物量ピラミッド

一般的に、長期的に見れば、一次消費者の個体数は、生産者よりも少ない。なぜなら、一次消費者が一時的に生産者よりも増えても、食べ物の植物が足りずに一次消費者は死んでしまうからである。同様に、二次消費者の個体数は、一次消費者よりも少ない。

なので、本ページの図のように、生産者の個体数と一次消費者・二次消費者・三次消費者・ … の個体数を積み上げていくと、三角形のピラミッド型の図になる。このような個体数を生産者・一次消費者・二次消費者・ … と積み上げた図を個体数ピラミッドという。

同様に、生物量について、積み上げた図を生物量ピラミッド という。

個体数ピラミッドや生物量ピラミッドをまとめて、生態ピラミッドという。

これらのピラミッドのように、生態系を構成する生物を、生産者を底辺として、一次消費者・二次消費者・ … と食物連鎖の段階によって段階的に分けることができ、これを栄養段階(えいよう だんかい)という。

栄養は、おおむね、

生産者 → 第一次消費者 → 第二次消費者 → 第三次消費者 → ・・・

というふうに、移動していく。そして、消費者も一生の最期には死ぬから、死んで分解されるので、栄養は分解者へと移動する。

栄養素として食べられる物質も、このように循環していく。


※ ここまで、おおむね中学の範囲.


※ 高校の範囲

物質は、生物どうしでは上記の食物連鎖のように循環をするが、しかしエネルギーは循環せず、最終的には地球外(宇宙空間)に熱エネルギーなどとして出て行く(※ 東京書籍、数研、実教、啓林などの見解)。 (※ 第一出版の教科書を紛失したので、第一は分からない。)

生物の利用するエネルギーのおおもとは、ほとんどが太陽からの光エネルギーであるので、光エネルギーが光合成などによって有機物に変えられるなどして化学エネルギーとして変換され、消費などによって熱エネルギーとして排出さて、その熱エネルギーが宇宙に放出されている、というような出来事になっている。

つまり、エネルギーは生態系の中を循環はしていない。

このようなことから、検定教科書では「エネルギーは生態系の外に放出される」とか「エネルギーは生態系外に出ていく」などのように説明している。

※ 検定教科書ではいちいち説明してないが、いわゆる上空の「宇宙空間」は、生態系外として分類される。

物質生産

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生産者の物質生産

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ある生態系の一定面積内において、一定期間において生産者が光合成した有機物の総量を総生産量(そう せいさんりょう)という。生産者である植物は、自身の生産した有機物の一部を、自身の呼吸で消費している。呼吸によって使われた有機物の量を呼吸量という。 総生産量から呼吸量を差し引いた量を、純生産量(じゅん せいさんりょう)という。

純生産量 = 総生産量 - 呼吸量

純生産量の一部は、落ち葉となって枯れ落ちたり( 枯死量、(「こしりょう」) )、あるいは一時消費者によって捕食されたりする( 被食量、(「ひしょくりょう」) )ので、生産者の成長に使える量は、純生産量よりも低くなる。

純生産量から、枯死量と被食量を差し引いた量を、成長量(せいちょうりょう)という。

成長量 = 純生産量 ー (枯死量+被食量)

植物が成長に使える有機物の総量が、成長量である。


消費者の物質生産

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消費者である動物は、食べた有機物の一部を、消化・吸収せずに排泄する。食べた有機物の総量を摂食量(せっしょくりょう)という。消化吸収せずに排出したぶんの量を、不消化排出量(ふしょうか はいしゅつりょう)という。 消費者の同化量は、摂食量から不消化排出量を差し引いた量であるので、次の式になる。

同化量 = 摂食量 ー 不消化排出量

さらに、ある動物の群れを、集団全体で見ると、その群れの一部の個体は、食物連鎖で、より上位の個体によって捕食される。なので、群れの成長に使える有機物の総量から、被食量を差し引かねば、ならない。さらに、動物には寿命があり、かならずいつかは死滅する。死滅するぶんの量が死滅量である。

これらを考慮すると、消費者の成長量は、次の式になる。

成長量 = 同化量 ー ( 呼吸量 + 被食量 + 死滅量 )


ある環境において、生産者の被食量は、一次消費者の摂食量と等しい。 同様に、一時消費者の被食量は、二次消費者の摂食量と等しい。

生物濃縮

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食物連鎖で生物間を移動する物質は栄養素だけではなく、生命には望ましくない有害物も、食物連鎖を移動していく。 たとえば、かつて農薬として使用されていたDDTは、自然界では分解されにくく、脂肪に蓄積しやすく、そのため食物連鎖を通じて高次の消費者へも取り込まれ、動物に害をおよばした。

生物内で分解・排出できない物質は、体内に蓄積しやすいという特徴がある。さらに、その生物を食べる消費者の体には、もっと多く蓄積しやすい。このため、生態ピラミッドで上位の生物ほど、高濃度で、その物質が存在しているという現象が起き、この現象を生物濃縮(せいぶつ のうしゅく、biological concentration)という。

毒性のある物質で、生物濃縮を起こす物質によって、高次の消費者を死亡させたり、高次の消費者の生命が脅かされた事例が過去に起きた。 生物濃縮を起こす、危険物質は、DDTのほか、PCB(ポリ塩化ビフェニル)や有機水銀などである。

現在、アメリカおよび日本などでは、DDTの使用は禁止されている。

生物どうしのつり合い

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【1】 生物量ピラミッドの説明図。上の段は、すぐ下の段を食べる。上の段に相当する生物ほど個体数が少ない。 →
【2】生物量ピラミッドを3段として、2段目(B)の個体数が増えた場合。 →
【3】 生物量ピラミッドで中段の2段目(B)の個体数が増えたあとは、それを食料とする上の段(C)の個体数が増える。いっぽう、2段目に食べられる下の段(A)の個体数は減る。 →
【4】 最上段(C)の生物が増えたあとは、それに食べられる下の真ん中の段(B)の生物の個体数が減る。最下段(A)は、最上段(C)には直接は食べられないので、まだ最下段(A)は減らない。
状態【4】のあと、もとの状態【1】 に戻る。(Bが減ってるので、そのため最上段Cが減り、最下段Aが増えるので。)

なんらかの理由で、生産量ピラミッド中での、ある生物の個体数の比率が変わっても、時間が経てば、もとどおりに近づいていく。

なぜならば、たとえばある草食動物が増えても、植物は増えないので、そのうち食料としての植物が不足していく。また、その草食動物を食料として食べる別の肉食動物も、そのうち増えてしまう。
そうすると、草食動物の食料としての植物不足と、草食動物を食べる肉食動物の増加により、つぎは、草食動物が食べられて減ってしまう。

そのため、しだいに、もとどおりに近づいていく。


他の場合も考えてみよう。 つりあいの状態から、なんらかの理由で、肉食動物が増えた場合も考えよう。仮に、この状態を「(肉食動物=増)」と書くとしよう。

  1. 肉食動物が増えると、草食動物は食べられるので、草食動物は減っていく。(草食動物=減) そして肉食動物は、植物を食べないので、まだ個体数は変わらない。
  2. 次に、草食動物が減ったぶん、植物が増える。(植物=増) また、草食動物が減ったぶん、肉食動物が減ってしまう。(肉食動物=もとどおり)
  3. 次に、植物が増えたぶん、草食動物が増える。(草食動物=もとどおり)
  4. 草食動物が元通りになったので、その分、食べられる植物の量が増えるので、植物の量が雄どおりになる。(植物=もとどおり)

このように、食物連鎖を通じて、個体数の比率は調節されている。


  • 食べられる生物の増減にともない、食べる側の動物の個体数は、少し遅れて増減する。
もし、食べられる生物が増えると、食べる側の動物の個体数は、少し遅れて増える。
もし、食べられる生物が減ると、食べる側の動物の個体数は、少し遅れて減る。

(※ 画像を募集中。カナダでの、オオヤマネコ(捕食者)とカンジキウサギ(被食者)の個体数のグラフなどを作成してください。)


  • 環境によるピラミッドの変化

環境破壊や森林伐採などで、ある地域で、大規模に森林が破壊されてしまうと、生産量ピラミッドの最下段の生産者が減ってしまうので、上の段の消費者の動物も、その地域では生きられなくなってしまう。

人工的な環境破壊のほかにも、火山の噴火、山くずれ、洪水などの自然災害で、生物の量が大幅に減る場合もある。

外来生物

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現在の日本に生息している ブラックバスの一種(オオクチバス) や アメリカザリガニ やブルーギル などは、もともとの生息環境は外国だが、人間の活動によって日本国内に持ち込まれ、日本に定着した生物である。このような外部から、ある生態系に持ち込まれた生物を、外来生物(がいらい せいぶつ)という。

ある生態系に、遠く離れた別の場所から持ち込まれた外来生物が入ってきてしまうと、(天敵がいない等の理由で外来生物が大繁殖しやすく、その結果、)持ち込まれた先の場所の生態系の安定が崩れる。なぜなら、その外来生物の天敵となる生物が、まだ、持ち込まれた先の場所には、いないからである。

このため、外来生物を持ち込まれた場所では、外来生物が増えてしまい、従来の生物で捕食対象などになった生物は減少していく場合が多い。 その結果、外来生物によって(捕食対象などになった)従来の生物が単に減るだけでなく、絶滅ちかくにまで従来の生物が大幅に激減する場合もある。(※ 検定教科書ではここまで書いてないが、センター試験でここまで知識を要求する。※ 2016年の生物基礎の本試験)

外来生物の例として、オオクチバス(ブラックバスの一種) や ブルーギル という肉食の魚の例があり、これら肉食の外来生物の魚が在来の魚の稚魚を食べてしまうので、在来の魚の個体数が減少してしまうという問題も起きている。 一説では、湖沼によっては、オオクチバスやブル-ギルなどの繁殖した湖沼にて従来の魚が激減しているという(※ 数研の教科書や2016年センター試験がその見解)。


社会制度としては、上述のように外来生物が従来の生物に多大な悪影響を及ぼしかねないので、日本では法律で外来生物の持込みが規制されている。生態系を乱す恐れの特に高い生物種を「特定外来生物」に指定して、飼育や栽培・輸入などを規制したり、他にも日本政府は生物多様性条約の批准を受けて日本国内で『生物多様性国家戦略』などの構想を打ち立てたりしている。

植物でも、セイタカアワダチソウ や セイヨウタンポポ などの外来生物がある。

沖縄のマングース(ジャワマングース)も外来生物であり、ハブの捕獲の目的で沖縄へと持ち込まれた。しかし、ハブ以外の生物も捕食してしまい、オキナワの固有種のアマミノクロウサギやヤンバルクイナなどを、マングースが捕食してしまうという問題が起こった。また、ハブは夜行性であり、そのためマングースとは行動時間が一致せず、ハブ捕獲の効果も低いことが分かった。

現在、環境省は、対策として、沖縄でマングースを捕獲している。

日本の外来生物には、これらのほか、アライグマ、カミツキガメ、ウシガエル、セイヨウオオマルハナバチなどが外来生物である。

レッドデータブック

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絶滅のおそれのある生物種を絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ、an endangered species [1])という。絶滅危惧種のリストをレッドリストといい、それらをまとめた本をレッドデータブックという。 世界各国の政府や環境団体などは、絶滅を防ぐための取り組みとして、レッドデータブックをまとめている。日本では、環境省によりレッドデータブックが作成されている。

動植物への乱獲などによる絶滅を防ぐため、絶滅危惧種の取引を規制する条約としてワシントン条約などがある。

生物多様性

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干潟

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干潟は、渡り鳥の生息地になっていたり、貝などの生息地になっている。現在では、干潟は自然保護の観点から、環境保護をされている。だが昔は、干潟はたんなるドロの多い場所と考えられており、そのため、干拓や埋立て工事などによって、多くの干潟が消失した。

環境問題

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環境ホルモン

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※ 理科の検定教科書では『環境ホルモン』はあまり紹介されていない。
実教出版『生物基礎』で環境ホルモンが紹介されている。
チャート式では紹介されている。
科目『政治経済』の検定教科書などで紹介されている場合がある。
wikibooks『高等学校政治経済/経済/公害と環境保全』の環境ホルモンの説明を参照せよ。

オゾンホール

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かつて冷蔵庫などの冷媒として利用されていたフロンガスという物質が原因で、オゾン層が破壊され減少していることが1980年代に分かった。 オゾン層は紫外線を吸収する性質があるので、オゾン層が破壊されると、地上にふりそそぐ紫外線が増え、生物が被害を受ける。

温室効果ガス

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大気中で二酸化炭素の濃度が上がると、地球の気温が上昇すると考えられている。大気中の二酸化炭素には、赤外線を吸収する性質があるので、その結果、熱を吸収する働きがある。なので、二酸化炭素が増えると、地上の熱が宇宙に逃れず地球の周囲に閉じ込められるので、地上の気温が上がる、と考えられている。これが、温暖化の原因と考えられている。また、大気中の二酸化炭素が、熱を閉じ込める作用のことを 温室効果(おんしつ こうか) と言う。二酸化炭素など、熱を閉じ込める温室効果のある気体のことを温室効果ガスと言う。

1940年–1980年の平均値に対する1995年から2004年の地表面の平均気温の変化
温室効果の概念図

地球温暖化(ちきゅう おんだんか) の主な原因は、石油などの化石燃料(かせき ねんりょう)の大量使用によって、排気にふくまれる二酸化炭素(にさんかたんそ)により、空気中の二酸化炭素が増加したためと考えられている。他にも、森林伐採などによって光合成によって固定される炭素の総量が低下した結果も含まれる、という考えもある。

もし、温暖化が進行して、南極の大陸上の氷や氷河の氷が溶ければ、海面上昇する。低地が水没する。海抜の低いツバル、モルディブ、キリバスの国は、海水面が上がれば、国土の多くが水没してしまう恐れがある。 なお、北極の氷が溶けても、もともと北極海に浮かんでいる氷が水に変わるだけなので、海面は上昇しない。

また、温暖化によって、熱帯で生息していた蚊の分布域が広がることが心配されている。マラリアを媒介する蚊のハマダラカの生息域が広がる恐れが有る。

酸性雨

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酸性雨の原因は、化石燃料の排気にふくまれる窒素酸化物などの物質が、雨の酸性化の原因と考えられている。酸性雨により、森林が枯れたり、湖や川の魚が死んだりする場合もある。

森林伐採

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耕作や工業用地化や住宅地化を目的にした森林伐採などで、世界的に森林面積が減少している。森林の減少により光合成量が減るので、温暖化の原因にもなっていると考えられている。また、動物の生息域が減るので、生態系の保護の観点からも、森林破壊が問題である。

なお、温暖化の化石燃料以外の他の原因として、森林伐採などによる森林の減少によって、植物の光合成による二酸化炭素の吸収量が減ったのも理由の一つでは、という説もある。

また、過度の森林伐採などにより、土壌の保水性が失われたために、その土地で植物が育たなくなる砂漠化(さばくか)も起きている。

※ 水系の環境

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補償深度

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※ 啓林、数研の専門『生物』に記載あり。

植物プランクトンによる光合成量と消費量のつりあう水深のことを補償深度(ほしょう しんど)という。

補償深度は、外洋で水深100メートルまでに存在している。

富栄養化

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※ 中学でも社会科で「富栄養化」を習ってるが、中学理科では実は習ってない。
※ 啓林、数研の専門『生物』に記載あり。

湖の水質で窒素やリンなどの濃度の高くなると、硝酸塩やリンは植物プランクトンにとっての栄養でもあるので、植物プランクトンにとっての栄養に富んだ湖になるので、そのような窒素やリンの濃度の高い湖の事を富栄養湖(ふえいよう こ)という。生活排水や農業廃水などに含まれるリンや窒素(ちっそ)化合物などの成分の流入によって、富栄養湖になっている場合もある。

また、湖や海などが、そのように窒素やリンなどの濃度の高い水質になる事を富栄養化(ふ えいようか, entrophication)という。

いっぽう、窒素やリンなどの濃度の低い湖のことは「貧栄養湖」(ひん えいようこ)という(※ 数研の教科書で紹介)。

「硝酸塩」などの化学的な表現について

検定教科書によっては「窒素」ではなく「硝酸塩」(しょうさんえん)と書いてある場合もあるが(たとえば啓林館)、これは硝酸は窒素化合物だからである。(※ 高校の『化学基礎』や『専門化学』などで硝酸を習う。)

ここでいう「塩」は、けっして塩化ナトリウムのことではない。そうではなく、「陽イオンと陰イオンとの化合物」というような意味での「塩」である。


「硝酸塩」と書く場合は、「リン」のほうも「リン酸塩」と書いたほうがバランスが取れるだろう。(実際、啓林館の教科書はそうである。)

つまり、上記の富栄養湖の記述を「硝酸塩」および「リン酸塩」を使って言い換えると、下記のような言い回しになる。

硝酸塩やリン酸塩の濃度の高い湖の事を富栄養湖(ふえいよう こ)という。

のような記述になろだろう。

さらに、これら硝酸塩やリン酸塩をまとめて、「栄養塩」または「栄養塩類」という事もある。「栄養塩」という語句を使って上記文を言い換えれば、

硝酸塩やリン酸塩などの栄養塩の濃度の高い湖の事を富栄養湖(ふえいよう こ)という。

のような記述にでも、なるだろう。


なお、「栄養塩」という用語は、けっしてプランクトン限定ではなく、一般の樹木や草などの植物の生育に必要な硝酸塩やリン酸塩などのことも「栄養塩」という(※ 数研の検定教科書『生物基礎』でも、植物の遷移の単元でそういう用語を使っている)。


さて、「栄養」と聞くと、よさそうに聞こえるが、これはプランクトンにとっての栄養という意味であるので、水中の水草や魚などにとっては、プランクトンの増大が害になっている場合もある。

なぜなら、プランクトンにより日照がさえぎられるので(植物プランクトンは光の届く水面近くにいるので)、湖の底にある水草は光合成をできなくなる。

※ 一説には、大量のプランクトンのせいで水中の酸素量の低下などを引きおこされ、酸欠状態になるとも言われている(数研の見解)。
なお、プランクトンが死亡した際、分解が起こるために酸素が大量に消費されるとも言われている(数研、啓林の見解)。
※ 「植物プランクトンが光合成するから、酸欠にならないのでは?」という疑問も持たれる読者もいるかもしれないが、現象的な事実として、魚介類の死が起こされるので、水中が酸欠になっていると考えるのが妥当だろう。検定教科書では、増えすぎたプランクトンが(何らかの理由で)大量に死に、その死の前後に酸素が消費されると記述されている(啓林、数研の『生物基礎』の教科書に記載あり)。
※ その他、プランクトン自体がエラに詰まる害も、啓林が紹介している。


自然界の河川や海水にも、栄養が溶けており、それらは水中の生物の生存にも必要な場合もあるし、プランクトンが少なすぎても、それを食べる魚介類が増えない(※ 数研の見解 )。また、微生物がそれら水中の窒素やリンを消費するなどして、ある程度の範囲内なら窒素やリンなどは自然に分解消費されていく(自然浄化

しかし栄養が過剰になりすぎると、プランクトンの大量発生などにより水系の生態系のバランスが崩れ、水草の現象や魚介類の大量死などの原因にもなる。過去には、過剰に富栄養化した湖や沿岸などで、魚介類の大量死が発見される場合もあった。(※ 数研の『生物基礎』に記述あり。)


赤潮(あかしお、red tide)という海水面の赤くなる現象の原因も、水質の富栄養化である。(※ 数研の『生物基礎』に記述あり。)

なお、淡水では、富栄養化により(赤潮ではなく)水面の青緑色になる「水の華」(みずのはな)が発生する(「アオコ」ともいう)。

なお、プランクトンとは、水中を浮遊する微生物の総称で、そのうち光合成をするものが植物プランクトンとして分類されている。水中の、光合成しない浮遊微生物は動物プランクトンに分類される。

※ 東京湾などの内湾や瀬戸内海など、海水の内海・内湾で、赤潮が発生することがあり、社会問題にもなった(数研『生物基礎』、169ページ)。


資料集や関連教材などの説明
アオコ、「水の華」について

(※ 範囲外、資料集などに記載あり) アオコの植物プランクトンは、シアノバクテリア類である。(たぶん暗記は不要。市販の受験問題集でも、ここまで問われていない(※ 旺文社の入試標準問題精講で確認)。)

なお、「シアノバクテリア」という品種名ではなく、ミクロキスティスなどの品種名であり、そのミクロキスティスがシアノバクテリア類に含まれるという事(※ 数研の資料集『生物図録』229ページにそう書いてある)。

赤潮

(赤潮のプランクトンの名称については、資料集などに記載が無い。)

赤潮で、色が赤く見える原因は、その赤潮を起こすプランクトンの色がわずかに赤いからであり、そのプランクトンが大量発生しているから赤く見えるという仕組みである。[2]

※ つまり、けっして、塩化ナトリウムの化学変化などで赤いわけではないようであるという事を、wikibooksでは言いたい。

環境省のサイトによると、赤潮のプランクトンの種類は何種類もあるので、暗記は不要だろう。
アオコの発生場所

※ 入試には出ないだろうが、河川では水が流れてしまうので、プランクトンも流れてしまうためか、アオコは発生しないのが通常である(※ 教科書では、いちいち説明されていないが、丸暗記をしないで済ませるために、こんくらい分析しよう)。

赤潮の発生場所

また、赤潮の発生しやすい場所は、沿岸部や内海である。検定教科書でも、「内海」だと明記しているものもある(数研出版など)。つまり、外洋では、赤潮は発生しづらい(※ 教科書では、いちいち説明されていない)。

おそらくだが、沿岸から遠いと、栄養塩が陸地から流れてこなかったり、または栄養塩が滞留しづらいからだろう。(※ 丸暗記せず、分析して理解するようにしよう。)

BODおよびCOD

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有機物による水質の汚染の具合を定量的に測定するための指標として、BODおよびCODというのがある。

※ 啓林『生物基礎』、P184の図表の解説文にBODの説明あり。
※ 実教『生物基礎』、P207の『実験』の解説文にCODの説明あり。

BODは、生物学的酸素要求量というものであり、その水の単位量あたりの有機物を分解するのに、水中の微生物が必要とする酸素量が、どの程度かというものである。

いっぽう、CODは、化学的酸素要求量というものであり、その水の有機物を酸化剤で酸化分解するのに必要な、化学計算に換算した際の酸素量のこと。

BODおよびCODは、数値が大きいほど、有機物による汚染がひどい事を表す。

  1. ^ 荻野治雄『データベース4500 完成英単語・熟語【5th Edition】』、桐原書店、2020年1月10日 第5版 第6刷発行、P.288
  2. ^ 赤潮の正体 プランクトン大発生 | ミクロワールド | NHK for School 2020年8月20日に閲覧して確認