高等学校美術 美術史
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西洋美術
[編集]建築史
[編集]中世のキリスト教建築
[編集]バジリカ様式(4世紀~)
[編集]この建物の平面図はバシリカ式プランと呼ばれます。長方形の建物で、回廊の左右に平行な列柱があります。このプランは、西洋の教会建築の基本でした。ローマ時代には、内部に広い空間があり、多くの人を収容出来るため、裁判や会議が行われる公共建築として利用されました。コンスタンティヌス帝の時代、この建物はキリスト教会になりました。コンスタンティヌス帝がキリスト教を国教とした時、この建物に祭壇を加え、新たな集会所としました。それ以来、バジリカ様式で建てられたキリスト教会は、全国に広がっていきました。
ビザンティン様式(6~13世紀)
[編集]ビザンティン建築を際立たせているのは、天井の大きなドームです。ドームを支えるために、6世紀、教会本体は長方形のバジリカ式プランから、荷重を分散出来る円形や 十字型の集中式プランに変更されました。コンスタンティノープルでは、アヤソフィア(聖ソフィア寺院)はバシリカ式と集中式プランの中間に位置する最大かつ最も重要な建築物です。暗中模索の末、ギリシア十字(正十字)プランが作られ、10世紀から15世紀にかけて、ビザンティン文化の中で最も人気のある建築様式となりました。首都コンスタンティノープル(ビザンティウム)が中心です。
ロマネスク様式(11~12世紀)
[編集]ロマネスク様式は、ラテン十字を基本的なプランとする教会建築に特徴があります。ラテン十字は、縦長の中央部分(ナヴェ)とそれに直交する短い腕(トランセプト)を持つ十字の形状をしています。このプランは、キリスト教の信仰の象徴である十字架を反映しています。
ロマネスク様式の教会建築では、このラテン十字のプランを基に、厚い壁とアーチを持つ特徴的な構造が取り入れられました。建物全体が堅固な印象を与えるため、石造りの壁や柱が使用され、内部には重厚なアーチやヴォールト(アーチ状の天井)が設けられました。
また、ロマネスク様式の教会建築では、装飾や彫刻も重要な要素とされました。入り口や窓枠、柱のキャピタル(柱頭部分)などには、宗教的なイメージや物語が彫刻され、建物全体に豪華な装飾が施されました。これらの彫刻は、聖書の物語や聖人の伝記、宗教的な教義などを表現していることがあります。
さらに、ロマネスク様式の教会建築では、天井の高さや窓の配置など、光と空間の効果も重視されました。しかし、当時の建築技術や材料の制約から、窓は比較的小さく、内部は暗く、荘厳な雰囲気が演出されました。
ロマネスク様式の教会建築物は、中世ヨーロッパにおける宗教的・社会的な中心としての役割を果たし、信仰の対象となる場所として重要な存在でした。その堂々とした姿勢と重厚さは、信仰の厳粛さや神聖さを表現しており、ロマネスク様式は中世ヨーロッパの建築史上、重要な節目となる様式として位置づけられています。
この様式は、ヨーロッパ各地で広く普及し、特にフランス、スペイン、イタリア、ドイツなどで多くのロマネスク建築物が建てられました。有名な例としては、フランスのモン・サン・ミシェル修道院やスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂が挙げられます。
ロマネスク様式は後の時代の建築様式に影響を与えましたが、12世紀から13世紀にかけてゴシック様式が台頭し、ロマネスク様式は衰退していきました。それにもかかわらず、ロマネスク様式の建築物は今日でも多くの人々に愛され、重要な文化遺産として保存されています。