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物理数学I 解析学 > 【コーヒーブレーク】2のi乗の求め方
i乗?虚数乗なんて求められるのか?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、求められます。この本では2のi乗の求め方について解説します。
2のi乗をGoogleで検索してみましょう。0.769238901 + 0.638961276iと表示されましたね。このような値はどのようにして求めるのでしょうか?
など、指数部分が整数であれば
のように、2を指数部分回掛けることで簡単に求めることができます。しかし、指数部分が虚数ではこのような定義は使えません。
そこで登場するのがオイラーの公式と呼ばれるものです。このオイラーの公式を次に示します:
次のセクションで、このオイラーの公式を使って2のi乗を求める方法について述べます。
では、オイラーの公式を使って2のi乗を求めてみましょう。オイラーの公式
を見ると、左辺の指数関数の底がeとなっています。まず
の底をeに変換することを考えます。
次のように、
が
のk倍で表されると考えましょう:
![{\displaystyle 2^{x}=ke^{x}}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/7c825efc5139e96d852d4a81e80fc604e471777c)
kについて式を整理すると
![{\displaystyle k={\frac {2^{x}}{e^{x}}}}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/10668c171dc20ac280f2842b3f7c29e771533ac6)
両辺の自然対数をとって
![{\displaystyle \log _{e}k=\log _{e}{\frac {2^{x}}{e^{x}}}}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/5ee79be466592801c19e203a2ebed5dff46a7055)
右辺を変形して
![{\displaystyle \log _{e}k=\log _{e}2^{x}-\log _{e}e^{x}=x\log _{e}2-x=x(\log _{e}2-1)}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/e638054183963a5acc7778b807ff6489d48f4a08)
kについて式を整理して
![{\displaystyle k=e^{x(\log _{e}2-1)}}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/bf6a0d843107fa2dbf8e385e9d0f55f62d0b9000)
このようにしてkが求められました。元の式にkを代入すると
![{\displaystyle 2^{x}=e^{x\log _{e}2}}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/748d404cadca33edb3c2e1a9cc7d223f231f4e6c)
以上のように、
の底をeに変換できました。求めたいのは
の値ですから、この式にx=iを代入します:
![{\displaystyle 2^{i}=e^{i\log _{e}2}}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/a919cabf0740f17a9e406978dcbea74905a6bee3)
ここでオイラーの公式を使います。オイラーの公式
で
とすると:
![{\displaystyle 2^{i}=e^{i\log _{e}2}=\cos {\log _{e}2}+i\sin {\log _{e}2}}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/c9966dd7ebed11e621ab4722164f2c3760e6dbb7)
となり、2のi乗の値が求められました!
右辺はコンピュータの電卓ソフトウェアを使うか、関数電卓等で計算してみましょう。0.769238901... + 0.638961276i...となるはずです。
この求め方は2のi乗だけでなく、任意の正の数aについて、aのi乗を求めることにも応用できます。
- オイラーの公式 東北大学情報通信工学科 [1]