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HTML/HTML Living Standard

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

HTML Living Standard

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HTML Living Standardは、従来のHTML規格であるHTML5の後継規格であり、Web技術の進化に対応するためにWHATWG (Web Hypertext Application Technology Working Group) によって策定・管理されています。この標準は単一の「リビングドキュメント」として継続的に更新され、HTML仕様に加え、さまざまなWeb APIも包含しています。

HTML Living Standardの背景

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HTML Living Standardは、HTML5が持つ固定バージョンの問題を解消し、Web技術の進化に適応するために設計されました。以下の理由から、HTML5からHTML Living Standardへの移行が行われました:

  • 継続的な更新: バージョンごとに固定された仕様ではなく、技術の進化に応じてリアルタイムに更新可能。
  • 統一性の確保: 仕様が分裂するリスクを低減し、ブラウザ間の互換性を確保。
  • Web APIの統合: HTML仕様とともに、Web APIやDOM仕様を一元化。

HTML Living Standardの主な特徴

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HTML Living Standardは、HTML5の進化版として以下の特徴を持っています:

継続的更新

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HTML Living Standardはリリースバージョンを持たず、仕様が必要に応じて逐次改訂されます。このアプローチにより、最新の技術や要件が迅速に反映されます。

統一仕様

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HTML仕様は、Webブラウザの主要ベンダー(Google、Apple、Mozilla、Microsoft)による共同作業で策定され、各ブラウザの実装間の互換性が強化されています。

Web APIの包含

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HTML Living Standardには、Webアプリケーションの開発に必要な多くのAPIが含まれています。これには、以下のようなAPIが含まれます:

  • Geolocation API: ユーザーの位置情報を取得。
  • Web Storage API: クライアントサイドでデータを保存。
  • WebSocket API: 双方向通信をサポート。
  • Fetch API: HTTPリクエストとレスポンスを管理。

DOMとの統合

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HTML Living Standardには、DOM (Document Object Model) Living Standardが密接に統合されています。DOMは、HTMLやXML文書をプログラム的に操作するためのモデルであり、HTML文書とブラウザの連携を可能にします。

HTML Living Standardの構造

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HTML Living Standardは以下のようなセクションで構成されています:

  • HTML要素: 新旧のHTML要素やその使用方法。
  • セマンティクス: 文書構造と意味付け。
  • マルチメディア: オーディオ、ビデオ、グラフィックス。
  • フォーム: 入力、検証、送信の仕組み。
  • Web API: 主要なAPIとその使用例。
  • DOM: 文書モデルとスクリプトとのインターフェース。

DOM Living Standard

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DOM Living Standardは、HTML文書やWebアプリケーションで使用される文書オブジェクトモデルの標準規格です。WHATWGが策定し、HTML Living Standardとともに運用されています。主な機能として、以下があります:

  • DOMツリーの操作(要素の追加、削除、変更)。
  • イベントリスナーの設定と発火。
  • CSSOM(CSS Object Model)との連携。

HTML5との違い

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HTML Living Standardは、HTML5に対して以下の点で異なります:

特徴 HTML5 HTML Living Standard
バージョン 固定(HTML 5.0, 5.1, 5.2) 継続的更新
制定機関 W3C WHATWG
Web APIの範囲 限定的 包括的
DOMとの統合 別規格 完全統合

HTML Living Standardの意義

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HTML Living Standardは、以下の理由でWeb開発者にとって重要な規格です:

  • 最新技術への対応: Web開発の最新技術を迅速に利用可能。
  • 統一された仕様: バージョンの分裂による混乱を防止。
  • Webアプリケーションの強化: 主要なWeb APIを包括的にサポート。

HTML Living Standardの参照

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HTML Living Standardは、以下のリンクから参照可能です:

結論

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HTML Living Standardは、Web技術の進化に伴いHTML5の後継規格として策定され、ブラウザ間の互換性と開発効率を向上させています。Web APIやDOMとの統合により、HTMLは単なるマークアップ言語を超え、包括的なWebプラットフォームとしての役割を担っています。