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JPEG

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』


JPEGハンドブックは、JPEG (Joint Photographic Experts Group) の標準規格に関する包括的なガイドです。JPEGは静止画像の圧縮技術として広く採用されており、デジタルカメラやウェブ、印刷の分野で利用されています。

JPEGの概要

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JPEG (Joint Photographic Experts Group) は、ISO/IECおよびITU-Tが共同で策定した静止画像圧縮のための標準規格です。1986年に開発が始まり、1992年に最初の国際標準規格として制定されました。

主な特徴

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  • 高効率圧縮: 静止画像を高い圧縮率で保存。
  • 柔軟性: 圧縮率を調整して品質とファイルサイズのバランスを最適化可能。
  • 広範な互換性: ほぼすべての画像処理アプリケーションやデバイスでサポート。

歴史

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JPEG規格は、デジタル静止画像を効率的に保存するためのニーズから開発されました。初期のJPEG規格は標準JPEGとして知られ、その後、JPEG 2000やJPEG XLなどの派生規格が登場しました。

JPEGの圧縮技術

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JPEGは、以下の圧縮手法を組み合わせて画像データを効率的に圧縮します。

1. カラースペース変換

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RGBカラースペースからYCbCrカラースペースに変換し、人間の視覚特性を利用して色情報を効率化します。

2. ブロック分割

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画像を8x8ピクセルのブロックに分割し、それぞれを独立して処理します。

3. 離散コサイン変換 (DCT)

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各ブロックに対してDCTを適用し、空間領域のデータを周波数領域に変換します。

4. 量子化

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周波数成分を量子化し、不要な高周波成分を削除します。量子化の強度を調整することで、品質とファイルサイズを制御可能です。

5. ハフマン符号化

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量子化されたデータをハフマン符号化で圧縮します。

JPEGの用途

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JPEGは、次のような多様な用途で利用されています。

デジタル写真

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デジタルカメラやスマートフォンで撮影された写真の保存形式として最も一般的です。

ウェブ

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ウェブページ上の画像フォーマットとして広く使用されており、高速な読み込みと高品質を両立します。

印刷

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印刷用の画像データとしても使用されますが、高画質が求められる場合には無圧縮形式が選ばれることもあります。

JPEGの派生規格

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JPEG 2000

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JPEG 2000は、2000年に登場した次世代の画像圧縮規格です。

特徴
  • Wavelet変換を採用。
  • 可逆圧縮と非可逆圧縮の両方に対応。
  • 高品質画像を低ビットレートで提供。

JPEG XL

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JPEG XLは、2021年に策定された最新の画像圧縮規格です。

特徴
  • 高圧縮率と高品質を実現。
  • 可逆圧縮と非可逆圧縮に対応。
  • 従来のJPEG形式との互換性を重視。

技術詳細

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可逆圧縮と非可逆圧縮

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JPEGは通常、非可逆圧縮を使用しますが、品質の低下を防ぐために可逆圧縮も選択可能です。JPEG 2000やJPEG XLでは、この両方を柔軟に切り替えることができます。

圧縮率と画質のバランス

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JPEGの圧縮率は調整可能で、使用目的に応じて最適なバランスを選択できます。

注意事項

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  • 高圧縮率の場合、ブロックノイズが発生することがあります。
  • JPEG形式は、連続した保存と再保存で品質が劣化する「世代劣化」の影響を受けます。
  • 圧縮率を上げると、細部や色の正確性が失われる可能性があります。