Lojban For Beginners 日本語訳/所有格

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

名前や「le + gismu」などのsumti だけでも文を記述することはそれなりにできますが、やはりまだ不十分です。次の文を見てみましょう。

mi nelci le tamne
僕はいとこが好きだ。

これが文中にあれば文脈によって、どういう「いとこ」かは大抵わかりますが、そうではないときこれでは情報不足です。物事に簡単に情報を付け加えるには「誰の」と言うことが多いですね(そうでない場合もありますが、ここでは適しています)。そのための一番簡単な方法は、「所有される sumti (含まれ手)」の後に「pe」を付けることです。そしてその後に「所有主・関連させるもの(含み主)」が来ます。よって、

  • la porc. pe la taroum.

  太郎のポルシェ

  • le tamne pe la youk.

  洋子のいとこ

  • le nenri pe le karce

  車の中

  • le cmima pe la lojbangirz.

  Logcal Language Group のメンバー

ここまでは朝飯前ですね。
それから la taroum. を la porc. の前に入れるという順番の入れ替えもできます。そうしたいときのやり方の一つは、「pe + 某」を、冠詞と sumti の間に入れてしまうことです。ですから先ほどの例で言えば、「le pe la youk. tamne」。しかしこれはロジバンではあまり使われません。実はもっと普通に使われるのは、pe を使わず「含み主である sumti」を、冠詞と名前(gismuでも)の間に入れてしまう方法で、含み主が一語の sumti だった場合によく使われます。なので、

  • le la lojbangirz. cmima

  Logcal Language Group のメンバー

  • le la meiris. karce

  メリーの車

  • le la toi,otas. nenri

  トヨタの内部

  • le do cukta

  君の本

小ネタ:「la la meiris. porc.」のように「la」を重複させた表現はできません。なぜかというと、名称語がどこまで続くか分からないからです。例えば「la la meiris. mersedez. benz.」と言ったとしましょう。これだと「メリーのメルセデス・ベンツ」なのか「メリー・メルセデスのベンツ」なのか「メリー・メルセデス・ベンツのなんちゃら」なのか分からないわけです。同様の理由で「la pe la meiris. porc.」も不可です。

含み主が「le + gismu」のときは更に注意が必要です。含む・含まれるの関係を言うために le と brivla の間に sumti を入れて表現する際には、単純に済ませねばならないのです。なのでとりあえずは「le + gismu」型の sumti の間に入れるのは、名称語か1語の sumti 、そのどちらかだけにしましょう。結局なんだかんだで皆この形に落ち着くのです。
悪い例も見ていきましょうか。「le tamne pe le ninmu klama」、これは「女性旅行者のいとこ」ですね。これの順番を変えて、「le le ninmu klama tamne」とできるのでしょうか。これだと含み主がどこで終わり、含まれ手がどこから始まるのか分かりません。「女性の、旅行者(誰かのいとこ)」かもしれません。実はこの形の文を成立させるやり方がありまして、それは2つ後の授業で学びます。