Lojban For Beginners 日本語訳/続・所有格
注:少し発展的な内容を含むので、初めての方は読み飛ばしたくなるかもしれません。
pe が果たす役割は「2つの sumti の間に関係がありますよ」と知らせることです。ではこの関係とはいかなるものを指すのでしょうか。先の授業に「所有」という概念を持ち出しましたが、ロジバンでは必ずしも所有関係でなくてもいいのです( pe を省略したときも、です)。どういうことかと言うと例えば、職場の話をしている最中に「ダニーの机(le gunjubme pe la danis. または le la danis. gunjubme)」と言ったとします。それはただダニーが物を置いて前に座るだけの机のことで、ダニーが自分で買って所有している机のことではありませんよね?
ロジバン話者はあまりそうしないのですが、もっと厳格に言う方法があります。もし所有関係や唯一の関係であることを内示したいのでしたら、pe でなくて「po」を使うのです。例えば「le gunjubme po la danis.」は、その机がダニーと特有に関係しているということを意味します。この机はダニーが自分で買って所有しているので売ったりあげたりできるというような関係、または仕事中の彼だけのために割り当てられたというような関係、そんなところです。そしてもし職場の経費削減なんかで、ダニーがウィルフレッドと机を共用することになったとしましょう。その場合は、le gunjubme po la danis. や le gunjubme po la .uilfred. とは言うことはできません。なぜならその机は、一人ひとりではなく、その二人一組に対して特有なのですから。ちなみにこういう場合になっても pe を使って「le gunjubme pe la .uilfred.」と言うことはいたって可能です。
- 小ネタ:先ほどのダニーとウィルフレッドの二人一組に対して特有だと言いたいならば、「le gunjubme po la danis. joi la .uilfred.」と表現することができます。ここで出て来た「joi」は11章でふたたび登場するでしょう。
例をもう少し。
- le cukta po mi
私の本
- le cipni po la meilis.
メイリの鳥
- la kokakolys. po do
君のコカコーラ
ところで、唯一の関係ではあるけれども自分が自由に出来るわけではない、ということもありますよね。例えば手や親。あげたり交換したりできないわけです(一般的には)。こういう関係を表すには、po の代わりに「po'e」を使用します。
- le rirni po'e la .iulias.
ユリアの親
- le birka po'e la klaudias.
クラウディアの腕
- 注:南太平洋諸島の言語と違って、日本語や英語などには上記の違い(譲渡可能な所有・譲渡不能な所有)についての区別がありません。そのせいで、この表現の区別はロジバンであまりされていないようです。言いたいことは大抵「pe」で事足りますし、多くのロジバン話者はそれでよしとしています。
そういえば、「誰の」という質問への答え方はやりましたが、「誰の」という質問の仕方はまだやっていませんね。しかし大体想像がつくでしょう。ma を使えばいいのです。なので「ティムのいとこ」が「le tamne pe la tim.」または「le la tim. tamne」だとすれば、以前やったように空白を埋めてもらう考え方で行って、「le tamne pe ma」「le ma tamne」とすればいいだけなのです。