PNG
PNGハンドブックは、Portable Network Graphics (PNG) フォーマットに関する包括的なガイドです。PNGは、画像品質を損なうことなくデータ圧縮を行う可逆圧縮フォーマットとして広く使用されています。
PNGの概要
[編集]PNGは、GIFの代替として1996年に開発されました。高品質の画像を維持しながら、効率的な圧縮を実現することを目的としています。
主な特徴
[編集]- 可逆圧縮: データ損失のない圧縮形式。
- 透明性のサポート: アルファチャネルによる完全な透過を提供。
- カラーパレット: 最大24ビットの真のカラー画像と8ビットのパレット画像をサポート。
- オープンスタンダード: 特許の制約がない。
- エラー検出機能: CRC (巡回冗長検査) を使用したエラー検出を提供。
歴史
[編集]PNGは、GIFが特許問題を抱えていたことを背景に開発されました。特にLZWアルゴリズムの特許が問題視されていたため、より自由に使える画像フォーマットが求められました。
PNGの技術詳細
[編集]圧縮手法
[編集]PNGは、データ圧縮においてDeflateアルゴリズムを使用します。このアルゴリズムは、LZ77とハフマン符号化を組み合わせたものです。
チャンク構造
[編集]PNGファイルは、複数のチャンク (データブロック) で構成されています。各チャンクには、異なる種類の情報が含まれています。
- IHDR: 画像ヘッダー情報 (幅、高さ、ビット深度など)
- PLTE: パレット情報 (パレット画像の場合のみ)
- IDAT: 実際の画像データ
- IEND: 画像データの終了マーカー
- その他: テキスト情報を含むtEXtや国際化テキストのiTXtなど
カラーモード
[編集]PNGは以下のカラーモードをサポートします。
- グレースケール
- 真のカラー (RGB)
- インデックスカラー (パレットベース)
- アルファ付きグレースケール
- アルファ付き真のカラー
アルファチャネル
[編集]PNGのアルファチャネルは、ピクセルごとに256段階の透明度を設定でき、滑らかな透過表現が可能です。
PNGの用途
[編集]ウェブ画像
[編集]PNGは、透過画像や高品質画像を必要とするウェブサイトで広く利用されています。JPEGと異なり、可逆圧縮であるため、品質を損なわずに編集が可能です。
画像編集
[編集]透過性や高い色深度が必要な画像編集用途で使用されます。PNGは、GIFと異なりアルファチャネルをサポートするため、柔軟性が高いです。
グラフや図表
[編集]PNGは、テキストや線画を含む画像で特に効果的です。可逆圧縮のため、鮮明さを保ったまま圧縮できます。
PNGの利点と欠点
[編集]利点
[編集]- 画像品質が損なわれない。
- 透過性と半透明をサポート。
- 特許問題がない。
- 幅広いプラットフォームでサポート。
欠点
[編集]- ファイルサイズが大きくなることがある (特に写真などの複雑な画像の場合)。
- アニメーションをサポートしない (ただし、APNGとして拡張可能)。
PNGの拡張機能
[編集]APNG
[編集]APNG (Animated PNG) は、PNGにアニメーション機能を追加した形式です。元のPNGとの後方互換性を持ちながら、GIFよりも高品質なアニメーションを実現します。
cICP
[編集]PNGファイル内にカラープロファイルを埋め込むことで、色の正確な再現を保証します。
サポート状況
[編集]対応ブラウザ
[編集]PNGは、主要なウェブブラウザ (Google Chrome、Firefox、Safari、Edgeなど) で完全にサポートされています。
画像編集ソフトウェア
[編集]Photoshop、GIMP、ペイントソフトなど、ほぼすべての画像編集ソフトウェアでPNGがサポートされています。
使用上の注意
[編集]- 写真のような複雑な画像には、JPEGの方が適している場合があります。
- 透明性を使用しない場合でも、ファイルサイズが大きくなる可能性があります。