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TCP/IP入門 概要

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

TCP/IPとは

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インターネットの説明の際に必ず出てくるTCP/IPだが、これはネットワークに用いるプロトコル(通信規約。ある通信機能の方式に名前をつけたもの)を機能別に分類し、またその関連性を階層表現でまとめたものを意味する。プロトコルであるTCP、IPと混同してしまいがちだが、この2つのプロトコルが中心的な役割を果たすということで名前をとっているだけであり、実際にはTCPとIPだけでなく、他の多くのプロトコルも含めてTCP/IPと呼ぶ。

本来、ネットワークのプロトコル仕様は、OSI参照モデルという階層表現に準拠して構築されている。しかし、このOSI参照モデルは、あらゆるネットワークや状況に対応できるよう万能なモデルとして考案されたためか、マニアックなプロトコルなども視野に入れられ、またそれらのために全体として複雑な手順を踏むことになってしまう現実があった。まず手順として7階層という多くの手順を順番に踏んでいかなければならないため、処理に時間がかかり、分かりにくさも相まって効率が悪かった。そこで、実用的な機能を厳選し、階層を減らして効率アップを目指したのが、TCP/IPである。OSI参照モデルでの「ネットワーク層」が、TCP/IPでは「インターネット層」と表現されているところから、当初からインターネットへの利用を睨んで考案されたのではないかと思われる。1982年、UNIXの4.2BSDというOSに採用され、その後爆発的な普及をし、現在でもほとんどのネットワークで使用されている。

以下に、OSI参照モデルとTCP/IPとの関係を簡単に示す。

OSI参照モデルでの層名 主なプロトコル 使用機器 TCP/IPでの階層名
アプリケーション層 HTTP FTP POP SMTP Telnet DNS SNMP ゲートウェイ アプリケーション層
プレゼンテーション層 mp3 avi  lzh zip
セッション層 NetBIOS PAP
トランスポート層 TCP UDP   トランスポート層
ネットワーク層 IP  ICMP  ARP  RARP ルータ インターネット層
データリンク層 Ethernet スイッチ ブリッジ リンク層
物理層 ケーブルの規格、形状など 各種ケーブル コネクタ

TCP/IPを学ぶ意義

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TCP/IPを学ぶことは、個人レベルでのネットワーク構築だけでなく、通信やネットワークに関連した様々な業界への足がかりとなる。特に現在はインターネットの爆発的な普及により、通信回線所有世帯や、LANを構築する企業がかなりの増加傾向にある。サーバーなどはホスティングサービスを活用して外注することができても、社内のネットワークについては自社で見ることの場合がほとんどで、日々の業務でも関係が深い情報システム部員にもTCP/IPの知識は持っておきたいものである。

以下に、具体的な関連職、関連資格などを示す。

関連職・業務

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  • ネットワークエンジニア(NE)

ルータなどの機器を使用・監視し、ネットワークを永続的に稼働できるよう保守・運用などを行うエンジニア。広義には、サーバの構築や運用保守を行うエンジニアもここに分類される。どちらにしろ、TCP/IPに直接触れることになる職業であり、最も関連性の高い職業の1つであるといえる。ネットワークの爆発的な普及に伴い、人手不足の状況にある。

  • サーバ関係

サーバの構築や保守・運用にも、通信が大いに関わるためTCP/IPの知識は不可欠である。プロトコルで言うと、WebサーバはHTTPやFTPなどを利用しており、DNSサーバでは名前そのままにDNSを基にしており、メールサーバではPOPやSMTPなどのプロトコルが用いられている、といった具合である。サーバは個人レベルならWindowsで利用している人も多いが、専門とする企業ではSolarisなどのUNIX系OSを利用するところがほとんどである。

  • システムエンジニア(SE)

ネットワークの普及に伴い、ソフトウェアや基幹システムもネットワークを視野に入れて開発する場面が多くなってきた。そのため、そういったものの開発を担うSEにも、TCP/IPを視野に入れて開発する必要性が出てきた。

関連資格

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世界的に信頼性の高い、Cisco社の機器の利用に関する知識を問う資格。ネットワークエンジニアの登竜門的な資格でもある。ルータやスイッチ、ブリッジなどのネットワークデバイスを扱うため、TCP/IPの知識は必ず問われることとなる。上位資格であるCCNPなどもまたしかり、である。

  • その他、IT系資格全般

システムアドミニストレータ、基本情報技術者、.com Masterなど、ほとんどのIT系資格で少なからず問われることとなる。特にIP関連については、エンドユーザーレベルの資格(P検など)でも、IPアドレスの部分を中心に出題されることは多い。

個人レベル

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  • 自宅サーバ構築

最近はWindowsでもサーバ構築が大いに可能となっているので、TCP/IPを理解していれば、自宅で自分のPCをサーバとして利用することもたやすい。サーバ関係ではUNIX系のOSが主流だが、ほとんどが無料で手に入るうえにWindowsと同居させられるものも多いので、普段はWindowsを用い、サーバ利用には別のOSを使う、という方法を取ることもできる。