コンテンツにスキップ

中学校社会 地理/雪と氷の多い地域での暮らし

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

イヌイットという人々

[編集]
現代のイヌイットの服装。
伝統的なイヌイットの服装。
イヌイットの家族
(1917年の雑誌"National Geographic Magazine"より)
イグルーの例
イグルー内部

イヌイット(英: Inuit )は、主にアラスカ、カナダ北部、グリーンランドなどの北極圏に住む民族である。彼らは寒帯の中でも氷雪地帯(ひょうせつ ちたい)と呼ばれる、年の大半が雪や氷に覆われる地域に適応し、長い歴史を持つ狩猟民族として知られている。 この地域は、一年の大半は雪や氷に覆われてるが、夏の間だけ、わずかな時期だが、雪や氷に覆われない時期もある。

イヌイットは昔、定住せずに獲物(えもの)のいる地域を移動しながら生活していた この地域は木が育たず、草もほとんど育たないため、食料の中心は動物の肉となる。

イヌイットの伝統的な住居は、季節によって変わる。夏の住居はアザラシの皮で作られたテントであり、冬の住居は氷と雪で作られたドーム型のイグルー(英:igloo)である。

ただし、現代ではイグルーには長期滞在はせず、狩猟のときに一時的に居住しているだけである。

伝統的なイヌイットの食料は、野生のカリブー(トナカイの北米地域個体群)の肉、アザラシの肉、クジラの肉、サケなどの魚だった。

伝統的なイヌイットは、極地方では不足がちなビタミンを補うために生肉を摂取していた。とりわけ日照が不足がちで体内での合成が期待できないビタミンDは、魚や動物の肝臓や脂肪から摂取していた。

伝統的なイヌイットは、夏はカリブーを狩り、冬はアザラシを狩っていた。食料は貯蔵庫に保管された。

トナカイやアザラシの毛皮は、衣服や靴などの材料にも利用された。きばや骨は狩り道具の材料として使用された。

1960年代ごろから、カナダ政府はイヌイットに定住化を促し、現在では都市に定住する人も増えている。イヌイットの食事も、商店などで加工食品を購入することもある。

イヌイットの昔の乗り物は犬ぞりでしたが、現在はスノーモービルが一般的だ。狩りの方法も、かつては弓矢だったが、現在ではライフル銃の使用も一般的だ。

現在では、電化製品も普及しており、都市の住居にはテレビやインターネットなどもある。


用語の覚え方

カリブーは動物である。ダジャレになるが、「カリブーを狩る」と覚えよう。カリブーはトナカイの一種。

イグルーは、日本で言う「かまくら」みたいなものである。

イヌイットは、かつて「エスキモー」と昭和のころは呼んでいたが、差別的な表現だということで、平成初期にはイヌイットと呼び変えることになった。

氷雪地帯の特徴
気温が0度以下の日が長く、一年の大半は雪と氷に覆われている。
夏に太陽が沈まない。
冬は太陽が昇らない日が何日も続く。
降水量が少ない。
植物はわずかな草とコケしか生えない。
移動はスノーモービルや犬ぞりを使っている。
狩りをし、生肉を食べている。
現在は、生活様式や食事習慣が変化している。