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テーブルトークRPG

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

ゲームロールプレイングゲームテーブルトークRPG

概要

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テーブルトークRPG(以下TRPG)とは、参加者同士の会話などのコミュニケーションで成立する遊びです。ゲームマスター(GM)とよばれる主催者が用意したシナリオを元にして、他の参加者(プレイヤーPL)たちがその場面にいるキャラクター(PC)になりきり、「自分のキャラクターならどうする」ということを考え、あるいは他のプレイヤーと相談しながら行動します。それに応じて、GMは新たな状況になったことを説明し、またPLたちは行動を考えていきます。

ちょっと例を見てみましょう。

GM「君たちは敵の城に潜入した。これから人質にされた姫の救出作戦が始まるよ」
PL1「まず、僕の探知の魔法で偵察してみるよ」
GM「じゃあ、ダイスを振って。君の能力だと、2D6で5以上なら半分成功、10以上なら完全成功だよ」
PL1「よし、いい目出ろ! (ダイスをころがす) うーん……7か」
GM「半分成功だね。探知の魔法で姫が監禁されている場所はわかった。でも、姫を監視している敵の人数まではわからなかった」
PL2「ここは強行突破しよう! 敵を倒して姫をすぐに助けるぞ!」
PL3「いや。相手の数が分からない以上、慎重にすべきだよ。もう少し偵察してからにしよう」

こうした会話を進めて物語をみんなで作って遊ぶのがTRPGなのです。

なお、ここでは個々のTRPG(例えばD&Dなど)のルールなどは原則として解説せず、一般的なルールや用語だけを説明します。なぜなら、個々のゲームの解説をするとゲームの著作権を侵すことになるからです。そういったルールの解説が欲しい方はそれぞれのルールブックやTRPG専門雑誌などを参照してください。

遊び方(共通)

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セッションの準備をしよう(GM)

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TRPGで遊ぶことをセッションといいます。

セッションには、最低限、以下のものが必要となります。

  • ルールブック
  • ダイス(サイコロ)
  • 筆記用具
  • キャラクターシートやカードなど、ゲーム用の小道具
  • シナリオ

GMは他のプレイヤーに対しては、ホストの役割も持っています。そのため、こうした小道具の類はGMが用意しておく方がいいでしょう。ただ、後述する「キャラクターシート」だけは、プレイヤーが事前に準備したうえで各自持ってくるとしてもかまいません。

シナリオを用意しよう(GM)

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TRPGでは、コンピューターRPGと異なりシナリオがはじめから用意されているとは限りません。よって、シナリオもGMがあらかじめ用意していなければなりません。これが、TRPGの魅力であるとともに、大変な部分でもあります。

では、シナリオはどうすればよいでしょうか。幸い、ほとんどの市販のTRPGは簡単なシナリオが1・2本ついていることが多いです。慣れないうちは付属のシナリオをプレイするといいでしょう。

  • 既存のシナリオの利用
    • ルールブックなどに記載されているシナリオをプレイする
    • ネット上に公開されているものを利用する
  • 自分でシナリオを作成する

参加者を集めよう(GM)

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キャラクターを作ろう(PL)

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参加者は自分の操作するキャラクターを作る必要があります。『艦これRPG』のように既存のキャラクターを選ぶものもありますが、ほとんどのTRPGでは自分で名前・職業・能力・特技などを決める必要があります。

ここでは、シンプルでありフリーである『みんなでダンジョンRPG』のキャラクター作り(以下、キャラメイク)を基にして説明します。イメージをつかみにくい場合にはそのキャラクターシートも見ながら、以下の説明を読んでください。(※ただし『みんなでダンジョンRPG』のキャラメイクそのものではありません)

まず、キャラクターの記録を行うための用紙であるキャラシートを用意しましょう。大抵、私的利用の範囲でのコピーが認められているので、ルールブックに印刷されているキャラシートをコピーしておくといいでしょう。最近ではオンラインセッション用にオンライン版のキャラシートもありますので、そちらを使ってもかまいません。

必要事項を記入する

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大方のキャラシートに必要な事項は以下のようなものがあります。

  • キャラ名
  • 性別
  • レベル
  • 職業
  • 種族
  • 能力値
  • 性格
  • アイテム欄
  • イラスト欄

これらを記入すると、あなただけのキャラクターが完成します。

キャラ名
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キャラクター名は大抵、自由につけられます。自分で思いついた名前、歴史上の人物やいろいろな物語の登場キャラからの拝借、なんでもいいです。思いつかない場合には、ダイスを使ってみてもいいでしょう。

ただ、いくつかの点には気をつけたいところです。

  • 下品な名前・他人を不愉快にする名前をつけない
当然の配慮です。
  • 他の人にも分かる名前にする
Λεωνίδαςという名前にしてもほとんどの人が読めません。カタカナでレオニダスとしましょう。
  • 世界観にあった名前にする
例えば北欧神話世界を舞台にしたTRPGに「大石内蔵助」という名前のキャラが出たらちょっと困惑します。こういう場合は「クラ」という名前にするなどしてみましょう。和名をカタカナにするだけでも違和感が薄れる場合があります。逆に和風TRPGに「ベン・ケノービ」という人物が出たらやはり不自然ですので、「飫肥坊弁慶」などといった和名とするなどの工夫をしましょう。
  • 他のゲーム・マンガ・小説・アニメなどのキャラ名を使う場合
中にはキャラクター(名)の流用を嫌うプレイヤーやマスターもいます。ちゃんと一言確認を取っておきましょう。もし、マスターなどから流用禁止と言われた場合には、名前を少しもじるのも手です。例えば、「ダース・ベイダー」は「ダーク・ベリアル」としてはどうでしょう。
性別
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男女です。別に現実の性別と一致させる必要はありません。あなたが男性でも、キャラクターは女性というのも問題ありません。大抵の場合は性別はキャラクターの特質付なので、好きな性別で構いません。慣れないうちは現実の性別と同じの方がプレイしやすいでしょう。ただ、一部のゲームでは性別限定の職業もあります。その職業でプレイしたい場合には指定された性別でなければなりません。

なお、なるたけ性別と名前は一致させたいところです。例えば、「マリア」という名の男性キャラは混乱の源になる可能性があります。もちろん、男の娘や男装の麗人を否定はしませんが、慣れないうちはちょっと扱いにくいかもしれません。

レベル
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最初はみんな1からです。冒険でお宝を見つけたりミッションを成功させたりして、経験点を稼いでレベルをあげていきましょう。

ちなみに、TRPGはコンピュータRPGよりもレベルが上がりにくい反面、上限も低いことが多いです。例えば、昔のD&Dだとレベル10で自分の盗賊ギルドを立ち上げたり、城をつくったりすることができました。

職業
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大抵のゲームでは、職業を決める必要があります。TRPGでは、職業ごとに役割があり、それぞれの任務を分担します。クトゥルフのように現代世界を舞台にしたものだと、警察官などのように現実に存在する職業がありますが、多くのファンタジー系のTRPGでは、以下が主な職業です。

  • 戦士
  • 盗賊
  • 僧侶
  • 魔法使い
  • その他

これらの職業は、大まかに言って、敵と戦う後方から味方を支援するという二つの役割に分かれていることが多いです。ここでは、「敵と戦う」役割をアタッカー、「後方から味方を支援する」役割をサポーターと呼ぶこととします。

  • 戦士
代表的なアタッカーです。武器を振るって敵を倒していきます。また、頑丈な防具を装備できることも多いため、味方をかばうこともできたりします。体力や腕力に優れるため、戦闘以外でも力仕事を任せると成功しやすくなります。
良くも悪くも複雑なプレイはいらないので、初心者向けです。ただし、何も考えないでいると、知能派のキャラクターにこき使われてしまうことも……。
関連する職業も多いです。前線での戦いに優れる戦士、品位を重んじ卑怯な手を嫌う騎士・パラディン(聖騎士)、悪に忠誠を誓ったタークナイト/暗黒騎士、女性限定で槍や騎馬の扱いに長けるヴァルキリー(ワルキューレ/神女)、東洋出身の剣士であるサムライ、魔法の力も使える魔法剣士、拳や蹴りなど自らの肉体を武器とする格闘家などが用意されているゲームがあります。
  • 盗賊
サポーターです。そのため、基本的に戦いは得意ではありませんが、器用さに優れているため弓矢などの飛び道具やナイフの使い方が上手い場合もあり、補助的なアタッカーもできます。
しかし、盗賊の本領は探険時です。迷宮の通路に仕掛けられている罠を見抜き解除する、宝箱や扉の鍵を開ける、偵察して敵の様子を探るなど、冒険につきものの危険や困難を回避するのが得意です。そのため、盗賊は泥棒や強盗よりも斥候といった方が実態に近いでしょう。事実、『ゴブリンスレイヤーTRPG』では斥候という職業名になっています。
状況に応じた行動をとらなければならないので、ややプレイは難しいです。ただし、レベルアップに必要な経験値が少なくて済むという設定が多く、意外に早く成長します。そのため、キャラクターとしてはかなり強くなりやすいです。
先ほど述べたような特徴をもつ盗賊のほか、盗賊の技術を持つものとして、急所を狙い一撃必殺できるため戦闘でも活躍できる忍者やアサシン(暗殺者)、野外活動と弓の使用に長けたレンジャーや狩人などがある場合も。また、悪役として出ることが多いものとして、山賊・海賊、悪漢(ローグ)などがいますが、これらは盗賊のような器用さはなく、「粗暴な戦士」的な能力のことが多いですね(海賊は映画などでもカッコよく描かれるせいか必ずしも悪役となるわけではなく、むしろプレイできる職業だったりしますが)。
  • 僧侶
サポーターです。祈りの力で味方を強化したり、けがや病気を治したりします。また、幽霊やゾンビのように死者が魔物化したもの(アンデッド)や悪魔に対して特別な力を発揮できるゲームも多いので、そういう相手にはアタッカーにもなりえます。
戦い以外でも祈りを捧げたりするタイミングで登場する必要が出てくるでしょう。
祈りのタイミングはわかりやすい(怪我をした、毒に侵されたなど)上、刃物以外の武器は大抵装備できて防具もそれなりに装備できるため、そこそこ扱いやすい職業です。
関連する職業としては、より高位の祈りの力を扱える司教(ビショップ)、メイス(こん棒の一種)やハンマーを持ち鎧兜で武装した神官戦士、自然と共に暮らすドルイドがいます。また、大抵は敵役ですが邪神に使える暗黒神官もいます。
  • 魔法使い
アタッカーでもありサポーターでもあります。多種多様な魔法を使えます。火の玉(ファイヤーボール)や雷(サンダーボルト)で立ちふさがる敵を倒すことも、眠りの魔法で敵を眠らせてしまうことも、ワープや浮遊の魔法で行動範囲を広げることも。とにかく魔法でいろいろなことが出来るようになります。
しかし、そのための道のりは厳しいものです。最初は補助的な魔法を1つだけ、しかも2・3回程度しか使えないことが多く、そのくせに前線に出るとあっさり倒されるためパーティのお荷物のような存在だったりします。大魔導士とよばれるほどに色々な魔法を使えるまでには長い長い時間がかかります。
適切なタイミングで適切な魔法を使えるようになるためには慣れが必要です。そして、前述のように長い目で見なければ真価は発揮されないため、上級者向けです。
関連する職業には、より高位の魔法を使える賢者、幻影を見せることに長けた幻術師、精霊たちを使役する召喚師やシャーマンなどがあります。魔女、妖術師、ネクロマンサー(死人使い)は悪役の魔法使いとされることが多いです。
  • その他
最近は上記の4種類に属さないさまざまな職業が準備されていることが多いです。例えば、歌で味方を支援する吟遊詩人、同じく踊りでの支援を得意とする踊り子、アイテムをつくったり分解したりする錬金術師、道具の鑑定や交渉に長けた商人などが挙げられます。
職業を選ぶときの注意点
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TRPGはチームプレイです。そのため、職業が偏ると非常にプレイしにくくなります。例えば、全員戦士系だと力技には強いでしょうが、敵の魔法攻撃には弱くなりますし、罠の探知や宝箱の鍵開けも難しいでしょう。魔法使いは「魔法がなければただの人」といわれるとおり、魔法を使えなくなったら一巻の終わりです。ですから、魔法使いばかりのパーティだと、魔法を封じられたりしたときに何もできなくなります。

職業を選ぶときには、そうしたバランスも考えておきましょう。

また、自分がどういうプレイをしたいのかも重要です。前にガンガン出て戦いたい人が盗賊や僧侶をやるとすぐに倒されてしまったりしてゲームにならなくなってしまいます。逆に、自分はあまり目立ちたくないという人が戦士をプレイすると落ち着かないかもしれません。

ただ、すでにできたキャラをもちこんでいる場合や折り合いがつかずに偏った編成になってしまうこともあるかもしれません。その場合にはGMの方でシナリオや登場する魔物の種類、ギミックに配慮してください。

種族
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ファンタジー世界だと人間以外の種族(亜人(あじん))が扱えることが多いです。種族ごとに得意不得意があり、職業などに影響を与えることがあります。主な種族にはいかのようなものがあります。

  • 人間(ヒューマン)
  • エルフ
  • ドワーフ
  • ノーム
  • ホビット/ケンダー/グラスランナー/ハーフリンク
  • 獣人
  • フェアリー

では、それぞれの種族を見てみましょう。

  • 人間(ヒューマン)
私たちのことですね。他の種族よりも人口が多いという設定がよく見られます。
ゲーム中では標準的な能力を持つとされ、どんな職業もそつなくこなすとされていますが、信仰心がやや低いという設定がある場合も。
現代のファンタジーにおけるエルフのイメージ
  • エルフ
金髪長身細身で、長くとがった耳を持つというキャラクター造形が一般的です。一般的に森に住むとされ、人工的な文明を嫌います。また、非常に長命で、何百歳でも人間の10代くらいの姿だったりします。そのせいか、他の種族とは距離を置いていることが多いようです。特にドワーフとは仲が良くありません。
ゲーム中では、魔法を使うことに長け器用さもある一方で、体力や筋力に人間に劣るという能力設定が一般的です。また、弓を得意とするという設定も多いです。
エルフには、さらに亜種が設定されていることがあります。エルフの中の貴族たるハイエルフ、人間とエルフの間に生まれたハーフエルフ、肌が浅黒く一般的に闇の種族とされやすいダークエルフが該当します。
  • ドワーフ
身長は人間の成人男性よりもやや低い(作品によって違いはありますが、大抵1~1.3mほど)ため、見た目はずんぐりむっくりしていますが、筋肉質。豊かな髭を生やしていますが、女性でも髭が生えているという設定も。鉱山などの近くに住み金属加工が得意です。エルフほどではありませんが、人間よりも長命です。職人気質のためやや気難しい人が多いのですが、酒好きで陽気な人も少なくありません。エルフとはあまりそりが合わないようですが、それ以外の種族とは上手くやっていることが多いようです。
ゲーム中では、体力・筋力に優れているため、戦士向けです。また、信仰心もやや高めで、僧侶や神官戦士への適性もあるが、魔法使いへの適性は低いというのが一般的です。戦士としては斧やハンマーを主な武器とすることが多いです。
  • ノーム
元々は大地の精霊という伝承だったのですが、ゲーム内ではドワーフの亜種とされることが多いようです。身長はドワーフと同じくらい(あるいはもっと小柄)で、髭も生やしていますが、ドワーフよりも細身です。
ゲーム中では、ウィザードリィの影響から信仰心が高く設定され、僧侶向きということが多いです。
  • ホビット/ケンダー/グラスランナー/ハーフリンク
成人男性でも人間の子どもと同じ程度の身長しかなく、身軽で好奇心旺盛という造形が多いようです。基本的に陽気で子どもっぽい程度の悪戯好きなのですが、中にはずるがしこく、詐欺やスリなどをしている者もいるようです。
ゲーム中では、素早さ・器用さに優れ、運も良いため、盗賊向きとされているのが一般的です。
エルフ、ドワーフ、ノームはヨーロッパの伝承に出てくる妖精を基にしているのですが、ホビットという種族はファンタジー冒険談の古典『w:ホビットの冒険』で作者のトールキンが作りだしたものです。ゆえに著作権がからむため、ゲームごとに色々な種族名が設定されています(詳しくはw:ホビット参照)。また、ゲームごとに少し種族の性格が異なることもあります。好奇心旺盛で子どもっぽいところがあるのは共通しているのですが、安定を好みやや臆病な種族と設定されていることもあれば、旅を好み定住することができないとされることもあります。
ワーキャット(?)
  • 獣人
二足歩行する犬・猫などの姿で、身長は人間と同じくらいという造形が多いです。ただ、最近は萌えキャラの隆盛もあって、単なる(?)猫耳・犬耳キャラという造形も多々見られます。
これもゲームごとに種族名がいろいろありますね(ワーキャットやフェルパー(猫型)、ワーウルフ(人狼)、ワービーストなど)。能力値もゲームごとに違うことが多いですが、素早さと筋力に優れる設定がよく見られます。
  • フェアリー
私たちがイメージするような妖精です。しかし、前述のように、エルフ、ドワーフ、ノームもヨーロッパの伝承に出てくる妖精を基にしているため、これらとあえて区別するためにフェアリーという名前を採用していることが多いです。2~30センチほどの大きさしかなく、羽根で宙に浮いているという造形が一般的で、それがゲーム内の能力にも影響しています。
体力・筋力は最低の代わりに、魔法使いへの適性が高かったり、器用さに優れたりという設定が多いようです。また、とても小さいため専用の装備が必要・敵からの攻撃が当たりにくいなどの特性を持つこともあります。

他にもドラゴンを基にしたドラゴニュート、悪魔や魔物の子孫である魔族なども最近では見かけますね。普通は敵役となることの多いゴブリン、オーガ、コボルト、オーク、リザードマンなどがプレイできるものもあります。

なお、現在では、職業+種族となる(例:エルフの魔法使い、人間の忍者、ドワーフの騎士など)ことが多いのですが、初期のD&Dのように種族が職業のように扱われている場合もあります。

能力値
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各キャラクターの腕力や体力などの能力を数値化したものです。主に以下のようなものがあります。

  • 筋力
  • 体力
  • 知力
  • 信仰心
  • 素早さ

判定にはこの能力値が参照されるため、非常に重要な数値です(詳細は「行為判定」にて)。

  • 筋力
力強さです。英語のStrengthの略称STRと表記することも。武器を振るったときの威力や命中率だけでなく、大きな荷物を運ぶ、ものを破壊するときなどの力仕事に関わる判定にも使用されます。戦士系はこれが高くなければ役に立ちません。
  • 体力
体の頑丈さです。D&Dでは耐久力 (Constitution)とよんでいたことから、略称はCONとすることがあります。HP(ヒットポイント)に多大な影響を与え、これが低いとHPもなかなか伸びません。また、病気になったときや拷問を受けたとき、その他厳しい環境におかれたときの判定にも使用されます。一般的に魔法使いは低く、戦士系は高いです。
  • 知力
知識の豊富さや賢さです。Intelligenceの略称INTと表記することも。魔法使いは魔法の習得に一定以上の値が求められることがあるので、最重要能力です。ゲームによっては魔法使いのMP(マジックポイント)にも影響を与えます。その他にも言語の習得など、知能や知識量が必要な場合の判定にも使用されます。なお、これが低すぎると、ロールプレイで制限を受ける(例:会話ができず指さしや擬音でしかトークできないなど)こともあります。
  • 信仰心
信心の深さです。ウィザードリィなどで採用されており、略称はPietyからPIE。僧侶はこれが高くなければなりません。祈りの力に影響します。また、僧侶のMPはこれによって決定する場合があります。その他、神学の知識などもこれにふくまれることがあるので、祈るだけではなく、宗教対立をテーマとしたミッションでも必要となることがあります。
  • 素早さ
身のこなしの軽さや器用さです。D&DではDexterity(器用さ)からDEX、ウィザードリィではAgility(素早さ)からAGIを略称として採用しています。このことからも分かるかもしれませんが、器用さと素早さを別にしているゲームもあれば、一まとめにしているものもあります。罠や鍵の解除など細かい作業での判定でよく使用されます。
運のよさです。略称はLuckからLUC。これまでの能力では測れないような事態(ゲーム内のギャンブルや突発的な危機など)で使用される場合があります。また、混乱や睡眠のようなバッドステータスの回避率やこちらの一撃必殺スキルの成功率などにも影響することがあります。

これらも一例にすぎません。他には魅力や判断力(D&D)、感知や精神(アリアンロッドRPG)、外見や教育(クトゥルフ神話TRPG)などが採用されています。

能力値は一般的にダイスで決定します。例えば、クラッシックなD&Dだと、3個の6面ダイスの合計値(3D6)で決定しました。そのため、最低値は3、最高値は18、平均値(期待値)は10.5です。

このように、完全に能力値をダイスで決定する場合もありますが、種族ごとの基本値があってそれにボーナス点をダイスで決めるという場合もあります。

なお、はじめに能力値をダイスで決定してから種族や職業を決めるゲームもあります。その場合、一定以上の数値が出なければその種族や職業になれません。例えば、戦士になるには筋力と体力が3D6で11以上、魔法使いになるには知力が12以上が必要という感じです。

性格
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キャラクターの感情や意志の傾向です。ゲームによってはアライメント(属性)といわれることもあります。単なるキャラクターの個性化の場合もありますが、性格によってロールプレイを指示されることが多いです。例えば、「やさしい」という性格のキャラクターが村の焼討ちを提案したり、「わがまま」という性格なのによく人にゆずったりしたらちょっと不自然ですよね。

また、漠然と性格というと複雑なため、「みんなでダンジョン」のようにダイスで決定するものもあります。しかし、割とよく見かけるのが、D&Dの「秩序(ローフル)・中立(ニュートラル)・混沌(カオティック)」、コンピュータRPGのウィザードリィの「善(グッド)・中立(ニュートラル)・悪(イビル)」のように単純化しているものです。

さて、性格とロールプレイの例をちょっと見てみましょう。例えば、D&Dだとこのようなプレイとなります。

GM:盗賊団は君たちの奮闘であっさり降伏したよ。君たちは盗賊団の生き残りを全員捕まえたし、盗賊団が奪った宝物もゲットした。さて、ここで君たちは「犯罪者をとらえたものは領主に犯罪者の身柄と彼らの財産を引き渡す」というこの国の法律を思いだした。
ローフル:盗賊団も宝物もすぐに警備隊に引き渡しに行こうぜ。
ニュートラル:別にお金に困っていないし、僕たちが犯罪者扱いされるのも嫌だしね。賛成。
カオティック:えー。もったいないよ。盗賊団はどうでもいいけど、宝はちょっとくらいネコババしてもいいじゃん。

ローフルのキャラは法や秩序に従います。カオティックのキャラは法や秩序よりも自分たちの利益を優先します。ニュートラルのキャラはその時の状況に応じて行動します。この場合だと、ローフルは損得抜きで法にのっとった行動をとっていますね。ニュートラルは「お金に困っていないから」「犯罪者扱いされたくないから」という条件があるから賛成となります(裏を返せば「お金に困っている」「犯罪者となる恐れがない」なら宝を盗むこともありえます)。カオティックは犯罪者となるリスクを負ってでも自分の利益を求めていますね。

次にウィザードリィ的なアライメントの例も見てみましょう。なお、コンピュータRPGのウィザードリィでは「友好的(戦意のない)な敵キャラ」に対する行動でアライメントが決まります。

GM:貧しい薬草売りの娘が君たちを訪ねたよ。薬草採取の場所がゴブリンたちに占拠されてしまって困っているらしい。ゴブリンなんて君たちにとっては雑魚も同然。簡単な任務だけど、大した報酬もなさそうだね。
グッド:困っている人を見捨てたら冒険者の名がすたる。報酬なんていらないよ。ゴブリンたちを蹴散らそうぜ。
ニュートラル:別に助けてもいいけど、もうちょっと何か報酬があればなぁ。
イビル:大した報酬もないし、ほっとこうぜ。それよか、この前、王様が募集していた任務、早く解決しようよ。もしかしたらすごいお宝があるかもよ。

この場合の「善悪」は、普通の社会の「善悪」というよりも「利他的/利己的」という違いが強調されます。グッドは自分のことよりも他の人のために行動します。イビルは自分のために行動します。そのため、「アライメントが善の悪人」や逆に「アライメントが悪の善人」ということも成り立ちます。例えば、「自分の信者を救済するために異教徒の虐殺を行う狂信者」は前者に該当しますし、「自分の利殖のためにあえて慈善活動にも積極的な商人」は後者にあたるでしょう。

こうしたややこしさを避けるために『アドバンスドD&D』以降では、「秩序/中立/混沌」と「善/中立/悪」を組み合わせたアライメントが採用されています(ただし、第4版以降は再び整理されました)。「秩序かつ善」「混沌かつ善」などです。こうしたアライメントについての細かい説明はw:属性 (ダンジョンズ&ドラゴンズ)を参照してください。

行動を決めるときにはこれらのことを念頭においてください。なお、性格と異なるプレイが続いているとGMから判断されると、ペナルティを受ける(能力値を1下げられるなど)上で性格を変更させられることもあります。ただ、その場合もGMはいきなり性格変更するのではなく、警告を何度か出しておきましょう。また、GMの方がゲーム慣れしている一方、プレイヤーが初心者であれば、「君のキャラの性格はカオティックだから〇〇したほうがいいよ」とアドバイスしてもいいでしょう。

セッション

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セッションの流れ

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いよいよセッションの開始です。

大まかなセッションの流れは以下の通りです。

  1. 導入
  2. 物語の開始
  3. 戦闘
  4. エピローグ
導入
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GM:これからセッションを開始します。皆さん、よろしくお願いします。
PL全員:よろしくー。
GM:(こほん)。では、はじめますね。皆さんは、今、王都で一番の酒場で出会いました。お酒と料理を堪能した皆さんは、やがて意気投合して早速パーティを結成したよ。
PL1:メンバーがの性格が善悪混合なのに、簡単に意気投合できるんですかねぇ。
PL2:確かに。何か一悶着くらいはありそうだけどなぁ。
GM:じゃあ、状況表を使ってみようか。……

物語の始まりです。セッションの前提となることを紹介する部分です。今、プレイヤーがどこにいるのか、どんな状況なのかなどをGMは説明しなければなりません。また、プレイヤー側も分からないことがあれば質問してもかまいません。ただし、場合によっては、プレイヤー側の質問はNPCとの会話や質問という形で処理される場合もあります。

また、導入でパーティーのリーダーもしくはコーラーを決めておきましょう。

行為判定

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GMの権限

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  • ルールの裁定
  • 結果の採用と棄却

ルールの運用を間違えたら

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ルールを勘違いして、適用を間違えることもあるでしょう。自分で間違いに気付いたらすぐに間違いを申請・訂正し、正しいルールにのっとった処理を行いましょう。もちろん、プレイヤー側がGMのミスに気付くこともあるでしょう。その場合には指摘してもかまいません。

ただし、ルールの処理が終わり、結果が出たものについては時間を巻き戻して結果を変更してはなりません。理由は、それを認めてしまうと、際限がなくなり、GMのルール裁定権が有名無実化してしまうおそれがあるからです。そうなると、個々の参加者が勝手にルールを解釈し、GMの裁定に文句をつけてセッションが滅茶苦茶になってしまうことにもつながります。

オンラインセッション

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TRPGの欠点として、プレイヤーが集まらないというのがあります。その欠点を補うものとして、オンラインセッションがあります。この場合は、特定ゲームの掲示板・ウィキ・その他SNSなどでプレイヤーを募集することになります。

オンラインセッションを専門とした場所には以下のようなサイトがあります。細かい使い方やルールなどは当該ページをお読みください。

また、LINE、Skype、Discordなどの無料通話アプリのグループ機能を利用したプレイもあります。

必要なもの

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全員が持っていた方がよいもの

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  • それぞれのゲームのルールブック
  • キャラクターシート
  • 筆記用具
  • ダイス
  • キャラクターのコマ

GMが持っていればいいもの

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  • シナリオ台本
  • マップ
  • その他小道具

マナー

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TRPGは他の人とのコミュニケーションによって成立する遊びです。そのため、他の人を不快にさせるような行為を慎みましょう。しかし、難しく考える必要はありません。基本的には学校や社会でのコミュニケーションにおいて、やってはいけないようなことをしなければいいだけの話です。

ただし、TRPGに独特な注意点もないわけではありません。以下ではその点について触れていきます。

プレイヤー

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  • 独りよがりのプレイをしない。
  • GMから指示されていない場合ダイスに触れてはならない。
セッション中、ダイスは物語の展開に大きな影響を与える行為判定で使われます。そんな中で勝手にダイスに触れるのは判定を混乱させるもととなり、他の人のプレイを妨害する重大なマナー違反です。
  • コーラー以外はパーティーの決定事項をGMに伝えない。
パーティーの意思をメンバーがそれぞれ勝手に伝えたら混乱の基となります。パーティーの意思はコーラーだけが伝えてください。ただし、ルールの質問や指摘は個々のプレイヤーが行ってもかまいません。
  • なりきり・演技を強制しない。
前述の『艦これRPG』や『幻想ナラトグラフ』のように既存のキャラクターを用いるゲームの場合、そのキャラクターになりきって演技するのもゲームの醍醐味です。しかし、それを他の人に強制してはなりません。言うまでもなく、演技やなりきりに自信がない・恥ずかしいという人もいるからです。参加者は単に「この子ならこうすると思う」というのでもいいのです。
なお、他の人のなりきり・演技に文句を言ったり咎めたりする行為は論外です。例え仲の良い友人同士であっても慎みましょう。

ゲームマスター

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クリアできるようなシナリオを作る

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いささか古いのですが、『D&Dがよくわかる本』(1987年, 富士見文庫)で「レベル1・初冒険のパーティが騙されてレッドドラゴンの巣に連れていかれ、ドラゴンブレスであっさり全滅する」というエピソードが紹介されていました。いくらなんでもレベル1の相手にレッドドラゴンはあんまりです。まず、参加パーティに見合った敵を用意しなければなりません。

他にも「探知の魔法が必要なのに魔法を封じる」「フラグやヒント無しで即死トラップを起動させる」など、最初からクリアさせるよりも参加者パーティを苦しめることを目的としたシナリオは歓迎されません。

もちろん、簡単すぎても面白くないので、「生かさぬ程度に、殺さぬ程度に」のバランスを心がけましょう。

ゲームマスターは神ではない

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豆知識

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ここでは、特にファンタジー系のRPGに関する「お約束」や豆知識を紹介します。近年のTRPGではこうした「お約束」はカットされることも少なくないのですが、知っておくと何かと役に立つこともあるでしょう。

種族

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種族間の関係

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職業

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僧侶の武器

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冒険

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経験値

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コンピュータRPGとの違いの大きさは、経験値が入るタイミングにあるといえるでしょう。コンピュータRPGでは、より多く・より強い敵を倒すことでたくさんの経験値が得られます。しかし、TRPGでは多くの戦闘をこなして敵を倒してもそれほど多くの経験値は得られません。TRPGでの経験値は、「困難なミッションを解決する」「たくさんの財宝を持ち帰る」など冒険の成果に応じて多くの経験値がえられます。

そのため、TRPGでは基本的に無駄な戦闘を避け、依頼などのミッションを完遂することが推奨されます。

主なTRPG

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これらの作品はルールブックを書店などで購入して遊びます。

中にはウェブ上で無料公開されているものもあります。様子を見てみたい場合には無料のものから始めてもいいでしょう。以下にそういった作品の一例を紹介します。なお、無料公開は限定的(初期バージョンのみ、簡略板や体験版のみなど)の場合もあります。

用語集(共通)

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  • GM
→ゲームマスター
  • NPC
ノンプレイヤーキャラクター(non player character)の略称。プレイヤー以外の登場人物のこと。TRPGでは基本的にゲームマスターが担当する。
  • PC
プレイヤーキャラクター(player character)の略称。ゲームマスター以外は自分のキャラクターになりきって物語を作る。
  • PL
→プレイヤー
  • キャラクターシート
PLが操作するキャラクターの情報を記述した用紙。1キャラ1枚必要。略称はキャラシ。
  • ゲームマスター
TRPGの進行役・審判・シナリオ担当として、ゲームを取り仕切る人物のこと。通常一人。一部ゲームでは別の名称が用いられている場合もある(例:『クトゥルフの呼び声』におけるゲームマスターはキーパーKPとよばれる)。
  • 行為判定
「的に矢を命中させられるか?」「鍵のかかった宝箱をこじ開けられるか?」など、確実とは言えないことが果たして成功するかどうかを判定すること。普通はダイスを使う。
    • 目標値
行為判定時に成功の目標となる数値。難易度ともいう。
    • 達成値
行為判定時に振ったダイスの目。この出目が目標値以上ならば成功とみなされる。
      • クリティカル
大成功のこと。ダイスを振ったときに特別な出目が出たとき(例:6のゾロ目)に発生する。絶対に成功する上にボーナスが付く場合もある。作品によって名前が異なっていたり、設定されていない場合もある。
      • ファンブル
大失敗のこと。ダイスを振ったときに特別な出目が出たとき(例:1のゾロ目)に発生する。絶対に失敗する上にペナルティが付く場合もある。作品によって名前が異なっていたり、設定されていない場合もある。
  • コーラー
パーティーの意思や決定事項をGMに伝える役。基本的にコーラー以外は勝手にパーティーの意思を伝えてはならない。コーラーはパーティーのリーダーを兼任することも多い。
  • サイコロ
→ダイス
  • サプリメント
追加ルール集のこと。第N版、バージョンNなどと言われることもある。実質的なルール改訂もふくんでいるため、セッションに参加するときにはサプリメントの使用の有無も確認しておくこと。また、ゲームマスターはあらかじめサプリメントの有無も予告しなければならない。ゲームによってはゲームマスターだけがサプリメントを持っていればよいこともある。
  • ダイス
確率で判定するときや乱数を必要とするときに使う。TRPGでは一般的な六面サイコロだけでなく、正四面体・正八面体・十面体ダイスを使う場合もある。
    • ダイスコード
ゲーム中に使うべきダイスの種類と数を指定する記号。M個のN面ダイスの出目の合計を使うように指示される場合、MdNと表示される(dの大小は問わない)。よく使われるものとして「2個の面ダイスの合計」は「2d6」、「1個の面ダイスの出目」は「1d10」と表示される。
また、指定された個数のダイスで乱数を作る場合にはMdNNと表示される。例えば、「2個の面ダイスで乱数を作る」場合には「2d66」である。
  • マンチキン
自分のPCが有利になるように周囲にワガママをがなりたてる、聞き分けのない子どものようなプレイヤー。自分が主人公になりたいという気持ちはわからなくはないが、そういう気持ちを押さえないと心地よいプレイはできない。類義語に「吟遊詩人」(プレイヤーの立場や行動を無視して、NPCだけで物語をすすめてしまうタイプのゲームマスター)、「メアリー・スー」(過剰に自分の願望を投影し、美化されすぎたプレイヤーキャラクター)などがある。
  • リプレイ
プレイの様子を文字におこしたもの。あるいは動画にアップしたもの。他のプレイヤー・ゲームマスターの采配やロールを学ぶことが出来るので、なるたけ見ておきたい。優れたものは読み物としても動画としても面白い。

参考文献

[編集]
  • 大畑顕/F.E.A.R. 著『剣の街の異邦人TRPG』、KADOKAWA/富士見書房、2016年
  • 黒田幸弘著『D&Dがよくわかる本―ダンジョンズ&ドラゴンズ入門の書』、富士見書房、1987年
  • 長尾剛著『ファンタジーRPG100の常識』、富士見書房、1992年
  • 安田均/グループSNE著『キャラクター・コレクション(上)(下)』、富士見書房、1991年
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