中学受験算数/速さ

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速さ[編集]

速さについて[編集]

ある決まった時間にどのくらいの距離を進んだのかをあらわしたものを速さといいます。具体的には、1時間に進む距離を時速1分間に進む距離を分速1秒間に進む距離を秒速といいます。

たとえば、1時間で40キロメートル進む自動車の速さは時速40キロメートルです。1分間で50メートル歩く場合には分速50メートルです。1秒間で20センチメートル進む場合には秒速20センチメートルです。

では、3時間で210キロメートル進む列車の速さはいくらでしょうか。速さは時速(分速・秒速)とは「1時間(または分や秒)あたりで進む距離」でした。そのため、割合の考え方を使って、「1時間あたりで進む距離」を求めてみましょう。つまり、距離を時間で割ります。すると、210 ÷ 3 = 70となり、答えは時速70キロメートルとなります。

速さの公式
  • 速さ = 距離 ÷ 時間

応用問題[編集]

旅人算[編集]

通過算[編集]

流水算[編集]

時計算[編集]

  • 基本事項
    時計の長針は、1時間に1周します。ですから、1分当たり、より、6度進みます。
    時計の短針は、12時間に1周します。ですから、1分当たり、より、度進みます。
  • 例題 (1)7時20分、(2)7時50分のとき、長針と短針が作る、小さいほうの角を求めなさい。
    7時のとき、長針と短針が作る、小さいほうの角は150度です。

進行グラフ[編集]

ダイヤグラムとも言います。グラフにすることで図形的な要素が生まれその性質を生かして解くことができます。進行グラフの利点は何が起きているかを視覚的に捉えることができることです。

鉄道ダイヤグラムの例[編集]

ダイヤグラムは鉄道の運行に用いられてきました。鉄道の運行状態を視覚的に表せます。鉄道で、運行状況や計画を「ダイヤ」といい「台風による一部運休でダイヤが乱れた」などとしばしば言い表します。
以下にあげるのが、単純な鉄道ダイヤの例です。この鉄道路線は、駅Aと駅Bの間および駅Bと駅Cの間は単線で、すれ違いや追い越しができない、また、駅Bはすれ違い・追い越しのための待機の線路を持っているとします。
図1
図1が表しているのは、
  1. 駅Aから、10:00に駅Bに向け出発。
  2. 60分間走行し、駅Bに11:00に到着。
  3. 駅Bに10分間停車し、11:10に駅Cに向け出発。
  4. 40分間走行し、駅Cに11:50に到着。
  5. 駅Cに20分間停車し、方向を変えて、駅Bに向け12:10に出発。
  6. 40分間走行し、駅Bに12:50に到着。
  7. 駅Bに10分間停車し、13:00に駅Aに向け出発。
  8. 60分間走行し、駅Bに14:00に到着。
という事象です。


図2、すれ違いのダイアグラムの模式図
複数の列車の運行を表してみます。まず、列車がすれ違う例を示します。
図2が表しているのは、
  1. 列車①(青の線で示す)が駅Aから、10:00に駅Bに向け出発。
  2. 列車①は、60分間走行し、駅Bに11:00に到着。すれ違いのために停車。
  3. 列車②(オレンジの線で示す)が駅Cから、10:30に駅Bに向け出発。
  4. 列車②は、40分間走行し、駅Bに11:10に到着。すれ違いのために停車。
  5. 列車①は、駅Bに20分間停車し、11:20に駅Cに向け出発。
  6. 列車①は、40分間走行し、駅Cに12:00に到着。
  7. 列車②は、駅Bに20分間停車し、11:30に駅Aに向け出発。
  8. 列車②は、60分間走行し、駅Aに12:30に到着。
という事象です。


図3、追い抜きのダイアグラムの模式図
次に、列車が追い抜く例を示します。ここでは、普通列車①(青の線で示す)は、駅A・駅B・駅Cに止まりますが、急行列車②(オレンジの線で示す)は、駅Bには止まりません。
図3が表しているのは、
  1. 普通列車①(青の線で示す)が駅Aから、10:00に駅Bに向け出発。
  2. 急行列車②(オレンジの線で示す)が駅Aから、10:30に駅Cに向け出発。
  3. 普通列車①は、60分間走行し、駅Bに11:00に到着。追い抜きのために停車。
  4. 急行列車②が、駅Bで停車中の普通列車①を追い越す。
  5. 普通列車①は、駅Bに20分間停車し、11:20に駅Cに向け出発。
  6. 急行列車②は、60分間走行し、駅Cに11:30に到着。
  7. 普通列車①は、40分間走行し、駅Cに12:00に到着。
という事象です。


以上から理解できるのは、以下のことです。
  1. 動いている時は斜線で表され、停車している時は、横線で表される。
  2. 移動の斜線が緩やかであればスピードはゆっくりで、急であればスピードが速い。
  3. 単線のように、対象となるものが1個しか存在してはならない場合、ダイヤグラムが交差することはない。
    • この点が、ダイヤグラムが便利である理由のひとつです。
      列車の運行計画を立てるときに、同じ線路で線が交差すると、それは、衝突していることを意味するので、そうならないように作成します。往復の複線であったり、追い抜きが別の線路ならば、同じダイヤグラム上に書く必要はありません。