中学校国語/慣用句
慣用句とは
[編集]慣用句とは、二つ以上の言葉が結びつき、一まとまりで決まった意味を表すものである。身近な物事に関係のある言葉を使ったものが多く存在する。慣用句を適切に使うことで、表現を豊かにすることができる。
誤用
[編集]慣用句は、言い誤ると意味をなさなくなったり、別の意味になったりする。
例: 頭が下がる(敬服する。感心させられる。) → 頭が上がらない(相手に負い目があったり、弱みをにぎられたりして、対等にふるまえない。)
また、意味を誤り間違った使い方をすると、誤解を招くことがある。
例: 気が置けない
本来の意味 → 遠慮する必要がなく、気軽につきあうことができる。
誤った意味 → 気を許せない。油断できない。
慣用句の意味と使い方を正しく理解しよう。
慣用句の例
[編集]体や心に関する言葉を含む慣用句
[編集]腕を上げる
[編集]技量を進歩させる。上達する。
例: 俳優として腕を上げる。
肩の荷がおりる
[編集]責任や義務から解放されて楽な気分になる。
例: 仕事を終えて、ようやく肩の荷がおりた。
心に刻む
[編集]忘れないように、しっかり印象づけて覚える。
例: 先生からの忠告を心に刻む。
耳を疑う
[編集]思いがけないことを聞いて、聞き間違いではないかと思う。
例: 衝撃のニュースに耳を疑う。
胸を張る
[編集]自信のある様子をする。得意な様子を見せる。
例: 胸を張って発表する。
衣食住に関する言葉を含む慣用句
[編集]板につく
[編集]任務・職業また服装・態度がその人にしっくりあう。
例: 司会ぶりが板につく。
襟を正す
[編集]気持ちを引き締める。
例: 襟を正して話を聞く。
苦杯を喫する(くはいをきっする)
[編集]つらくて苦しい経験をする。
例: 敗戦の苦杯を喫する。
棚に上げる
[編集]不都合なことに触れないでおく。問題にせずほうっておく。
例: 自分のことを棚に上げて相手の批評ばかりする。
火の車
[編集]家計がきわめて苦しいこと。
例: 台所が火の車だ。
動植物に関する言葉を含む慣用句
[編集]馬が合う
[編集]気が合う。相性が良い。意気投合する。
例: あの二人は馬が合う。
注意: 「馬が会う」は誤り。
犬猿の仲
[編集]きわめて仲の悪いこと。
例: あの二人はいつも喧嘩する、犬猿の仲だ。
すずめの涙
[編集]ごくわずかな量。
例: すずめの涙ほどの貯金。
猫の額
[編集]面積の狭いこと。
例: 猫の額ほどの広さしかない家。
花をもたせる
[編集]人に名誉をゆずる。 相手を立てる。
例: 若者に花をもたせる。
その他
[編集]九死に一生を得る
[編集]危ういところで奇跡的に助かる。やっとのことで助かる。
例: 交通事故で九死に一生を得た。
終止符を打つ
[編集]物事を終わりにする。決まりをつける。
例: 紛争に終止符を打つ。
他にもたくさんの慣用句がある。辞書やインターネットなどで調べてみよう。 高等学校現代文/重要単語も参照。