中学校国語 文法

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中学校の文法では、現代語の文法及び品詞(ひんし)などについて学ぶ。

日本語の文のかたち[編集]

日本語は一つの文をいくつも重ねて全体として意味がわかるものを文章(ぶんしょう)とよぶ。文章を組み立てているものを(ぶん)と呼び、文の切れ目には句点(。)をつける。文を発音や意味の上から区切ったものを文節(ぶんせつ)と呼ぶ。さらにこの文節を役割ごとに細かく分けたものを単語(たんご)という。たとえばこのような文章を見てみよう。

今日は国語と数学と英語のテストがありました。国語と英語は結構よくできたのですが、数学はあまりできませんでした。計算ミスが多かったのがいけなかったのだと思います。今日できなかったところは復習して今度は間違えないようにしたいと思います。

この文章は4つの文でできている。そして最初の文は「今日は/ 国語と/ 数学と/ 英語の/ テストが/ ありました」と文節分けでき、6つの文節がある。さらに「今日/ は/ 国語/ と/ 数学/ と/ 英語/ の/ テスト/ が/ あり/ まし/ た」と単語分けすることができる。

文節の役割[編集]

文節は役割から主語、述語、修飾語、接続語、独立語に分けることができる。主語(しゅご)は文の主題を提示したり、行動や様子の主を定める。述語(じゅつご)は主語を受けて行為・様子を示す。修飾語(しゅうしょくご)は主語・述語、または単語についての説明や意味をつけくわえる。特にあとで述べる用言(ようげん)を修飾するものを連用修飾語(れんようしゅうしょくご)と言い、体言(たいげん)を修飾するものを連体修飾語(れんたいしゅうしょくご)と言い、修飾される言葉は被修飾語(ひしゅうしょくご)とよばれる。接続語(せつぞくご)は他の文や文節との関係をあらわす。独立語(どくりつご)はそれだけで話し手の考えていることや感情などをあらわすものである。

また、複数の文節をまとめて、主語の役割を持つ文節を主部(しゅぶ)と言い、述語の役割を持つ文節を述部(じゅつぶ)と言い、修飾の役割を持つ文節を修飾部(しゅうしょくぶ)ということもある。

文の種類[編集]

文には単文(たんぶん)、複文(ふくぶん)、重文(じゅうぶん)の3種類がある。単文(たんぶん)は一つの主語・述語のセットで成り立っている。複文(ふくぶん)は二つ以上の主語・述語のセットでできており、ある主語・述語のセットが別の文節を修飾したり、文の主部・述部になっているものである。重文(じゅうぶん)も二つ以上の主語・述語のセットでできているが、修飾関係などはなく対等な関係にある。

例文:

  • 単文:「今日、僕は大学へ行く。」―この場合、主語は「僕は」、述語は「行く」。
  • 複文:「僕は、先週A先生が出した試験の結果を見に行く。」―全体の主語は「僕は」、述語は「行く」だが、「先週A先生が出した」という主語・述語のセットが「試験」を修飾している。このため、二つの文に分けると「僕は、試験の結果を見に行く」となることで「試験」の説明がなくなり、修飾部「先週A先生が出した」は単独では意味をつかみにくくなる。
  • 重文:「僕は追試を受けたが、Bさんは合格した。」―「僕は追試を受けた」と「Bさんは合格した」の二つに修飾・被修飾の関係はなく、「が」を取り除き、二つの文に分けて文章にしても意味は変わらない。

品詞[編集]

単語を役割ごとに分類したものを品詞(ひんし)という。日本語の品詞は動詞(どうし)、形容詞(けいようし)、形容動詞(けいようどうし)、名詞(めいし)、(代名詞(だいめいし))、副詞(ふくし)、連体詞(れんたいし)、接続詞(せつぞくし)、感動詞(かんどうし)、助動詞(じょどうし)、助詞(じょし)の10種類(代名詞を別に数えると11種類)ある。

活用[編集]

動詞、形容詞、形容動詞、助動詞は下につく言葉によって語の一部または全体が変化する。このことを活用(かつよう)という。活用形(かつようけい)は以下の順に並べられる。

活用形 性質 接続例
未然形(みぜんけい) 否定やまだ行っていないこと、これから行うことを意味する。 ない(助動詞) う
連用形(れんようけい) 用言や多くの助動詞に接続する。 ます た なる 、(読点)
終止形(しゅうしけい) 言い切りの形。ただし、推定などの助動詞や助詞が接続することもある。 。(句点) が 
連体形(れんたいけい) 体言に接続する。 とき こと
仮定形(かていけい) 物事を仮定する。
命令形(めいれいけい) 命令の意味を持たせる。終助詞が接続することがある。 !(感嘆符) よ 

また、用言の多くは変化する部分と変化しない部分がある。変化する部分を活用語尾(かつようごび)と言い、変化しない部分を語幹(ごかん)という。助動詞の中には語幹や活用が事実上ないものもある。

自立語[編集]

単独で文節を作ることができるものを自立語(じりつご)という。原則として一つの文節には一つの自立語しかないが、例外的に「松の木」「男の子」「読むこと」のように二つ以上の自立語を組み合わせた文節もある。

用言[編集]

次に述べる動詞・形容詞・形容動詞のことを用言(ようげん)という。用言は下につく言葉によって言葉の一部が変化する(活用する)。用言はそれだけで述語・修飾語・独立語になれるが、単独では主語にはなれない。主語にするには形式名詞「こと」「とき」などを接続する必要がある。

動詞[編集]

動作を表す言葉で、述語として文の最後につくことが多い。最後が「う段」(ローマ字で書いたとき「遊ぶasobu」「見るmiru」のようにuで終わること)の音で終わる。また、五段活用動詞の連用形は名詞に変わることがある。例としては、「ひかり(動詞「ひかる」より)」「読み(動詞「読む」より)」などがある。

動詞の活用(日本語)
補助動詞[編集]

特殊な動詞に補助動詞というものがある。これは「読んでみる」の「みる」、「遊んでいる」の「いる」「Aという文字」の「いう」などが挙げられる。本来これらは「見る」「居る」「言う」という意味があったのだが、その意味が薄れ、様子や状態を表す助動詞のような役割を果たすようになった。形式動詞は普通の動詞と区別するためにひらがなで書くが、文節分けは行う。

可能動詞[編集]

「行ける」「書ける」のようにそれだけで可能の意味を含む動詞を特に可能動詞という。すべて下一段活用の語である。

自動詞・他動詞[編集]

動詞は自動詞(じどうし)と他動詞(たどうし)に区別できる。自動詞は対象を必要とせず、ある動作や状態がそれ自身で行われることをいう。他動詞は必ず動作の目的や対象への働きかけを示す言葉が必要である。

例:「起きる」と「起こす」。「起きる」は動作の対象を必要としないため、「彼を起きる」という文章が作れない。一方、「起こす」は動作の対象を示すことができるので、「彼を起こす」という文章が作れる。[1][2]

形容詞[編集]

ものごとの様子を表す言葉で、修飾語や述語になることが多い。言い切りの形(終止形)が「い」で終わる。(例)きれい、美しい など。形容詞の語幹に「さ」をつけると名詞に変わる。

特殊な形容詞として「ない」「ほしい」がある。「ない」は「本がない」「水がない」というように「無」の状態を表すが、単独で用いることが少ない助動詞的な言葉である。また、「ほしい」は動詞的な言葉(英語の例だが、"want"は動詞)だが、活用は形容詞のものであり、こちらも助動詞的に使うことが多い。これらを補助形容詞と呼ぶことがある。文節分けのときは「本が/ ない」のように文節分けする。

活用形 活用語尾 接続例
未然形 かろ
連用形 かっ く (う) た なる (ございます)
終止形 。(句点)
連体形 とき
仮定形 けれ
命令形
未然「かろ」は、たとえば「たとい、なかろうと」、「もし、あつかろう(熱かろう)なら」「もし、さむかろう(寒かろう)なら」などの形容詞の語尾の「かろ」のこと。
連用「あつかった」「あつく」
終止「あつい」(「あつい。」)
連体「あつい」(あつい時(とき)、あつい事(こと)、あつい風呂、・・・など)
仮定「あつけれ」(「あつければ」)

形容動詞[編集]

ものごとの様子を表す言葉で、修飾語や述語になることが多い。言い切りの形(終止形)が「だ」または「です」で終わる。特殊な形容動詞には「あんなだ」「こんなだ」がある。

活用形 通常の活用語尾 丁寧語 接続例
未然形 だろ でしょ
連用形 だっ で に でし た ある なる
終止形 です 。(句点)
連体形 (です) こと
仮定形 なら (ですれ)
命令形

体言[編集]

自立語の中でも活用がなく、文の主題となりうるものを体言(たいげん)という。体言は「が・は・も・こそ・さえ」などの言葉を下につけることで主語になるのが最大の特徴である。原則として主語になるのは体言のみである。また、単独で独立語にすることもできる。助詞・助動詞をつければ修飾語にもなる。また、下に「だ・です」をつければ述語にもなるが、単独で述語にすることは少なく、体言のみで文を終わらせることを特に体言止め(たいげんどめ)という。

例として、「歴史、それは一つのロマンだ」いう文を見てみる。まず最初の「歴史」は文の主題を提示する独立語である。「それは」は「それ」+「は」で主語を作り、「一つの」は「一つ」+「の」で修飾語となり、「ロマンだ」は「ロマン」+「だ」で述語になったものである。

名詞[編集]

名詞(めいし)とは、ものの名前を表す言葉。その他、数字なども名詞とする。活用がない語。ほかにも用言を体言のようなものにする働きを持つ「こと」「とき」「ため」などがある。これらは本来「事(ものごと)」「時(時間)」「為(理由や対象をさす)」という意味があったが、それらの意味が薄れ、単に用言に接続して用言に体言のような働きを持たせる文節をつくる言葉になった。これらを形式名詞という。形式名詞は普通は平がなで書き、文節分けはしない。

名詞の種類 意味
普通名詞 一般的なものの名前 山 川 本
固有名詞 特定の人名や地名 東京 夏目漱石
数詞 数字やものの数 1 2 3 五本
転成名詞 用言が名詞化したもの(形式名詞を接続したものは除く) ひかり 暑さ さむけ
複合名詞 二つ以上の名詞が接続したもの 春風 男の子
形式名詞 体言に接続して名詞化させるもの こと とき ため

代名詞[編集]

「僕」、「私」などの人を指す人称代名詞(にんしょう だいめいし)と、「それ」、「あれ」などのように、物事を指す指示代名詞(しじだいめいし)がある。活用がない語である。名詞の代わりに用いる。文法のテキストの中には独立した品詞とするものと名詞に含むものの二種類がある。

副詞[編集]

活用がない語である。主に用言を修飾し、修飾語にしかならず、たいていの場合は連用修飾語になる。副詞には状態の副詞程度の副詞呼応(陳述・叙述)の副詞がある。状態の副詞は主に動詞を修飾する。程度の副詞は主に形容詞・形容動詞を修飾するが、他の副詞や名詞を修飾することもある。「全く~ない」「まるで~ようだ」のように決まった助動詞を導くのが呼応の副詞である。

副詞の種類 特徴
状態の副詞 動詞を修飾する もっと 
程度の副詞 形容詞・形容動詞・副詞・名詞を修飾する とても
呼応の副詞 決まった助動詞を導く 全く まるで

連体詞[編集]

指示語である「あの」「その」や「大きな」などがある。体言を修飾し、必ず連体修飾語になる。活用がない語。

感動詞[編集]

感動詞は感動・呼びかけ・応答・挨拶の4種類ある。「おはよう」「ああ」などがある。ある状態や個人の感情、あいさつや返事などを表す。活用がない語。単独で文にすることが多いが、文の中にあるときは独立語とする。


接続詞[編集]

「そして」「だから」「でもって(話し言葉)」などが該当する。活用がない語。文や文節を繋いで関係をはっきりさせる語で、必ず接続語になる。

役割 意味 単語
順接(じゅんせつ) 前の文の結果として後の文を導く だから、したがって
逆接(ぎゃくせつ) 前の文とは反対の内容として後の文を導く しかし、だが
並列(へいれつ)・累加(るいか) 前の文と後の文は対等で、話題を列挙・追加する そして、また、さらに
説明・例示(れいじ) 前の文を言い換えたり、例を出す つまり、たとえば
対比(たいひ)・選択 複数のものを挙げて比べたり、選んだりする 一方、または、あるいは
説明(せつめい) 事柄の理由を後で説明する。 なぜなら、それというのは
転換(てんかん) 前の話題から転じて別の話題を提供する さて、ところで

付属語[編集]

単独で文節をつくることができない単語を付属語(ふぞくご)と呼ぶ。

助動詞[編集]

文や文節に否定や断定、丁寧、推測、過去などの意味をつけくわえる語。主に用言・体言・助動詞に接続する。活用がある。国語学者の大野晋によれば[3]助動詞の語順は、人為・自然(「れる」「られる」や使役)+敬意(補助動詞)+完了・存続+推量・否定・記憶(+働きかけの終助詞)の順に並ぶとされる。助動詞の一覧および活用表はウィキペディアの助動詞の記事を参照のこと。

助詞[編集]

単語や文節同士をつなぎ、関係付けを行う語。また、文や文節のリズムを整えたり、禁止や疑問、強調の意味を添える役割もある。主に用言・体言・助動詞に接続する。活用はない。助詞がなくとも文は成立するため、話し言葉では省略されることが多いが、これがないと「だれが」「何を」「どうした」のわからなくなる。たとえば「ライオン、トラ、襲う。」では「ライオントラ襲う」のか「ライオントラ襲う」のか、はたまた「ライオントラ襲う」のかわからない。

学校文法では助詞は格助詞(かくじょし)・副助詞(ふくじょし)・接続助詞(せつぞくじょし)・終助詞(しゅうじょし)の四つに分類される。格助詞(かくじょし)は体言に接続し、体言と体言との関係、体言と用言との関係を明確なものにする。副助詞(ふくじょし)は体言や格助詞に接続し、その文節に副詞のように用言や述語・述部を修飾する役割を持たせる。接続助詞(せつぞくじょし)は重文の述語に接続して、下に来る部分との関係を明らかにするもので、接続詞に置き換えられる。終助詞(しゅうじょし)は述語に接続し、聞き手や読者などに禁止や疑問・勧誘などの働きかけを行う。

他にも「君の(もの)だ」の「の」のように体言の働きを持つものを準体助詞、「ね」「さ」「よ」などのように文節の切れ目に自由に入れて、強調したりリズムを整えたりするものを間投助詞という。

区別しにくい品詞[編集]

単語の中には品詞を区別しにくいものも多い。いくつかの例を見てみよう。

  1. 山田さんはきれいだ
  2. 山田さんは病気だ

1の「きれいだ」は形容動詞だが、2の「病気だ」は名詞「病気」+助動詞「だ」である。これをどうやったら区別すればよいだろうか。この場合は副詞「とても」を入れるとよい。副詞は主に用言を修飾するので、1は問題ないが、2だと「山田さんはとても病気だ」となり、不自然な文になる。

  1. この猫は小さい
  2. この小さな猫はかわいい。

「小さい」は形容詞だが、「小さな」は連体詞である。これは形容詞の活用の中に「な」の形がないことから判断する。

  1. 本を読まない
  2. 本がない

どちらも「ない」だが、1は打消の助動詞「ない」で、2は形容詞「ない」である。この場合は自立語は単独でも文節を作れることや打消の助動詞「ぬ」を入れて判断することができる。

敬語[編集]

相手への敬意をあらわしたり、文をやわらかくする言葉を敬語(けいご)という。動詞や助動詞が特別な形になったり、名詞に「お」「ご」をつけることで敬語にすることができる。(一覧表はw:敬語より)

尊敬語[編集]

尊敬語(そんけいご)とは、相手の動作や様子への敬意を直接表す言葉。五段活用動詞に「お~になる(なります)」をつける、全ての動詞に助動詞「れる」「られる」をつけることで尊敬語になる。名詞の場合も、日本に元々あった言葉である和語のはじめに「お」や中国から来た言葉に由来する漢語に「ご」をつけることで尊敬語になる場合がある。

通常の言葉 尊敬語
言う おっしゃる
行く いらっしゃる
おいでになる
お越しになる
いる いらっしゃる
おいでになる
(おられる)
思う 思し召す(あまり使われない)
買う お求めになる
求められる
聞く (~が)お耳に入る
着る 召す
お召しになる
来る いらっしゃる
おいでになる
見える
お見えになる
お越しになる
くれる 下さる
賜わる(主に書き言葉として使用)
死ぬ お亡くなりになる
亡くなられる
逝去する
知る ご存じだ
する なさる
あそばす(あまり使われない)
食べる
飲む
召し上がる
寝る お休みになる
休まれる
見る ご覧になる
命じる 仰せ付ける(あまり使われない)

謙譲語[編集]

謙譲語(けんじょうご)とは、自分の動作や様子を低くする(へりくだる)ことで間接的に相手への敬意を表す言葉。特殊な形のものが多い。

通常の言葉 謙譲語
会う お目に掛かる
お目もじする(あまり使われない女性語)
与える
やる
差し上げる
上げる
献上する
献呈する
献じる
進呈する
ある ございます
言う 申し上げる
申す
行く 伺う
参上する
上がる
参る
いる おる
受ける 拝受する(主に書き言葉として使用)
思う 存じる
借りる 拝借する
聞く 伺う
承る
拝聴する
来る 参る
死ぬ 亡くなる
知らせる お耳に入れる
知る 存じる
存じ上げる
承知する
する いたす
訪ねる 伺う
参上する
上がる
お邪魔する
食べる
飲む
頂く
頂戴する
見せる お目に掛ける
ご覧に入れる
見る 拝見する
もらう 頂く
頂戴する
賜わる 拝受する 拝領する[4]
読む 拝読する

丁寧語[編集]

丁寧語(ていねいご)とは、特に敬意の対象を設けず、文をやわらかい調子にする言葉。文末を「です」「ます」としたり(敬体)、動詞と同じく「お」「ご」をつけることで丁寧語になる。

この中でも特に丁寧さや上品さを表す言葉を美化語と呼ぶ場合がある。美化語には「あげる」「亡くなる」などがある。本来「あげる」は目下の者から目上の者にものを差し出すときに用いた謙譲語だが、「花に水をあげる」などのように特に花に対して敬意をあらわすわけではないが「花に水をやる(本来、こちらが正しい)」では乱暴な感じがする場合、他に適切な言葉がないことから「あげる」を用いることが多い。また、「父が死ぬ」と言わず、本来尊敬語である「亡くなる」を用いる人が多い[5]。この場合も特に敬意を表しているわけではないが、「死」という言葉を直接使うことに対する抵抗感から「亡くなる」という表現が用いられる。

通常の言葉 丁寧語
与える
やる
上げる
言う 申す
行く 参る
いる おる
買う 求める
来る 参る
死ぬ 亡くなる
する いたします
食べる
飲む
頂く
頂戴する
寝る 休む

敬語の間違い[編集]

敬語は日本語を母語とする人でも間違えやすい。間違いの多くは、尊敬・謙譲・丁寧の区別があいまいで、謙譲語を使うべきときに尊敬語を使ってしまうなどのミスと二重敬語と呼ばれる尊敬語(または謙譲語)の文節に尊敬の助動詞「れる」「られる」を用いる過剰な敬語表現である。よくあるミスを挙げてみよう。

  • 「(先生に対して)僕のお父さんは~」
「お父さん」は尊敬語。自分の家族や身内などを紹介する場合には「父」「母」などを用いる。
  • 「先生はおられますか」
「おる」は謙譲語であり、相手に使う言葉ではない。また、「おられる」は謙譲語「おる」と尊敬の助動詞「れる」が組み合わさった二重敬語になっている。正しくは「先生はいらっしゃいますか」。

また、よく議論になる敬語として、さ入れ言葉れ足す言葉、「バイト敬語[6]」などがある。さ入れ言葉とは、「読ませていただきます」を「読ませていただきます」とするように動詞の後に「さ」を入れることである。れ足す言葉は、「行けます」を「行けます」といってしまうことである。そして、「バイト敬語」とは「コーヒーのほうをお持ちしました(正しくは「コーヒーをお持ちしました」)」「こちらコーヒーになります(「こちらがコーヒーです」でよい)」など、ファミリーレストランやコンビニにてよく使われる敬語のことである。

さ入れ言葉やれ足す言葉は「正しい日本語」として認知されていないため、違和感を感じる人が多い[7]。「バイト敬語」はテレビやコンビニなどで日常的に使われ、耳にすることの多い敬語だが、年配の人を中心に違和感を感じる人も少なくない。いずれにせよ、どれも現在「正しい日本語」とされていないため、作文や面接の際には使わないようにしたい。

接頭語・接尾語[編集]

単語の一部または全体につけることで品詞そのものを変えたり、意味を付け加えたりする言葉がある。その内、単語の頭につけるものを接頭語、後ろにつけるものを接尾語という。接頭語・接尾語は一つの単語として数えず、接続したものとセットで一つの単語としてみる。

日本語の接頭語の例を挙げる。「お」「ご」は名詞や動詞について尊敬や丁寧の意味を付け加える。既に敬語のところで述べたように、「お」は和語に、「ご」は漢語に接続する。他には名詞に接続する「新」「超」「反」や特定の色の名詞に接続する「まっ」がある。

接尾語は、形容詞の語幹に接続して名詞を作る「さ」、「さん」「様」などの敬称、名詞に接続して連体修飾語な意味を持たせる「的」「性」などが挙げられる。

修辞法[編集]

文を強調するための技術を修辞法という。あくまで強調のためのものであり、使いすぎると強調点がわからなくなったり、いやみな文のように見えてしまう。また、小説や詩歌、話し言葉ではよく使われるが、説明文・論説文ではあまり使わない。

比喩[編集]

小学校では「たとえ」と習う。あるものを別のものにたとえることである。「~のようだ」という言葉を使う直喩(ちょくゆ)といい、それを使わない隠喩(いんゆ)または暗喩(あんゆ)といい、人間以外のものを人間のようにたとえる擬人法(ぎじんほう)がある。

例:直喩「民さんはまるで野菊のような人だ。」(『野菊の墓』より) 隠喩「(星をたとえて)夜空の宝石」 擬人法「(春の山をたとえて)山が笑っている。」

体言止め[編集]

日本語の文では体言のみで終わることは少なく、「だ」「である」などをつけくわえる。それをあえて破り、体言のみの文末(述語)とすることを体言止め(たいげんどめ)といい、感動や詠嘆を表すことが多い。話し言葉では断定の助動詞「だ」などを省略することが多いため、結果的に体言止めになることが少なくない。

例:「五月雨をあつめてはやし最上川」(松尾芭蕉)

倒置法[編集]

日本語の語順は主語・述語という順序が標準である。(また、修飾語と被修飾語も同様の語順である。)その語順を破ることで強調したいことを示したり、感動や詠嘆を表すことを倒置法(とうちほう)という。話し言葉や詩歌で多く使われる。

例:「きれいだなあ、この海は。」ここでは主語と述語の語順を入れ替えて述語を強調している。

対句[編集]

意味の近い言葉どうしやリズムの近い文どうしを合わせてセットにすることにより、組み合わせを強調する手法。詩歌などで情景を豊かに表す手法として用いることが多い。

例:「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり 沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらはす」(『平家物語』より)このばあい、「祇園精舎の鐘の声」と「沙羅双樹の花の色」、「諸行無常」と「盛者必衰」が対になっている。

[編集]

  1. ^ このときに注意したいのは「道を歩く」という文のような場合である。この場合、「道を」は動作の目的ではなく手段であり、「歩く」は自動詞である。このように、「を」を入れられるか否かで自動詞・他動詞を判別するのは便利ではあるが、「を」が動作の目的を指す場合にのみ判断できるということを念頭においてほしい。なお、「歩く」の他動詞は「歩かす」である。
  2. ^ なお、日本語では自動詞・他動詞の区別はそれほど重要ではないという指摘もある。例えば英語の場合、A thief runs away.(泥棒が逃げる)という自動詞を使った受け身の文にすることはできない。しかし、日本語では「泥棒が逃げる」という文を「泥棒に逃げられる」という受け身の文にすることが可能である(他動詞の場合は英語・日本語共に受け身の文にできる)
  3. ^ 『文法と語彙』(岩波書店)および『古典文法質問箱』(角川文庫)
  4. ^ これらの3語は主に書き言葉として使用する。ただし、「拝領する」はあまり使われない
  5. ^ 「Aさんのお父様が亡くなる」というのは本来の用法である尊敬語。また、祖父母については古くから自分の祖父母でも「亡くなる」を用いてきた。
  6. ^ 論者によって「コンビニ敬語」「テレビ敬語」などとネーミングは異なるが、本稿ではこの言葉で統一する。
  7. ^ 例えばNHKみんなでニホンGO!」4月8日放送分「結婚させていただきました」では、当初半分以上が「違和感を感じる」としていた(その後の説明の結果、肯定する人は83%に変わった)。