中学校家庭/地域での協働を目指して

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本節では、地元の人と一緒に暮らし、助け合う大切さを学んでいきましょう。

また、中学生として、地元住民と仲良くなる方法を考え、協働する方法を考えましょう。

これからの私達と地域との関わり[編集]

中学生の私達は、地域や家族のために大きな役割を果たせると期待されています。私達は、家族とどれだけ親しいかによって、仲間を作ります。例えば、友人・先生・近所の人・異世代・障害者・多国籍・異人種・異言語・異文化の人などが当てはまります。共生とは、このような人達と共に生きようとする姿勢を指します。

これからは、家族だけでなく、地域の人々も一緒になって、支える側として、地域内の交流を深めていきましょう。

「助けられる人」から「助ける人」ヘ 地域の人と関わり、ともに生きる
釜石市立釜石東中学校では、東日本大震災以前から小学校・地元住民とボランティア活動・防災訓練を行っています。被災時に何が出来るかを考え、炊き出し訓練・防災マップの作成・防災チラシの配布などをしています。東日本大震災の発生時、中学生は安否確認の札を一人暮らしの高齢者世帯などに配っていました。

東日本大震災の時は、小学生や地元住民とともに、子供達が中心となって避難場所の高台に逃げ込み、津波から逃げる訓練を行いました。崖が崩れると、地元の祖母は当時不思議に思っていて、 「あの崖が崩れるのは生まれて初めて」 と言いました。それを聞いて、私は急いで高い場所に逃げ、たくさんの人を助けました。昔からの地元住民が言う言葉は、その地域の暮らし方に大きく関わっています。

釜石東中学校は震災後も多くの活動を続けながら、地元住民との付き合いを大切にしています。東日本大震災から学んだ経験・先輩や地元住民の知恵・地域の伝統を伝えれば、いつかまた一人の命を救えるようになるかもしれません。

標語「津波てんでんこ」が三陸地方にあります。「てんでんこ」の意味は、「津波が来たら、例え家族が分かれていても、とにかく逃げて命を守りなさい。」です。自分の家族が自分と同じようにいつも安全な場所に逃げていると思えば、すぐに逃げられます。

地域のお祭りを開催する
長野市の更北地区では、中学生が地元住民と協力してお祭りを行っています。高齢者・小学生・幼児・その家族が集まり、計画・準備・司会・催し物が行われ、楽しいひと時を過ごします。


地域との関わりをよりよくする工夫[編集]

よりよいコミュニケーションを目指そう
コミュニケーションは、話す人と聞く人の間で行われます。しかし、自分の気持ちについて言いたくても中々言えません。特に、何かを尋ねたり、争ったり、断ったり、謝ったりする時は、コミュニケーションが進まず、勇気を必要とするかもしれません。お互いが幸せな気持ちになるような関係をつくるには、相手を思いやりながら話すようにしましょう。コミュニケーションでは、言葉だけでなく、どのように伝えられるかも大切です。言葉と言葉以外の表現を上手く取り入れましょう。

少子高齢社会では、家族だけで子育てや介護を行えなくなっています。そのため、地域の安全を守り、犯罪を防ぎ、災害から身を守るためには、地域の人々と互いに協力して助け合う共生社会が求められます。私達も地域のルールやマナーを守り、地元住民と協働するようにしましょう。

自分らしく生きる 多様な生き方
私達は様々な種類の家族や生活習慣を抱えています。家庭・文化・職業も違います。普通だと思っていても、環境が変わると普通ではなくなります。

祖父母と一緒に暮らす人もいれば、両親・兄弟姉妹・家族と一緒に暮らす人もいます。集団生活をする人もいれば、一人暮らしをする人もいます。結婚している人もいれば、結婚していない人もいます。学校に行く人もいれば、行かない人もいます。自宅で仕事をする人もいれば、会社で仕事をする人もいます。また、家事をする人などもいます。

そして、世代・国籍・心や体の男女差に関係なく、好きな物・人の好みはみんな違います。好きな食べ物、好きな衣服の色・素材、形は、人によって違うでしょう。

このように、周囲の環境や様々な状況から判断すると、自分で判断出来なくなるかもしれません。それでも、自分の生き方はたくさんあり、新しい生き方を見つけられます。いろいろな生き方を考えてみてはいかがでしょうか。選んだり決めたりしていくのは大変です。勇気がいるし、大きな責任を負う場合も頻繁にあります。しかし、そのような機会があるのは素晴らしいと思います。例え、一度決めても何度でもやり直せます。家庭分野の学習は、その選択に必要な知識と技能を身につけ、毎日どのように計画を立てるかを考えてきました。家庭分野の学習を学んだら、自分に合った人生や生き方を見つけてください。

そこで、どうすれば地域住民と繋がりを深められるか考えてみましょう。地域には年齢・立場・生活習慣・考え方をする人々もいて、中々理解されない場合もあります。家族と違い、自分の気持ちや考えを上手く地元住民に伝えられない場合があります。そのため、日頃から地元住民に笑顔で挨拶するように心がけましょう。また、気づいた内容を言葉で伝えたり、簡単な会話をしたりするなど、お互いに話す機会を見つけましょう。そうすると、地元住民から自分を理解されるようになります。それが共生を成立させます。

私らしい生き方 又野亜希子さん
「自分らしく生きる」とはどういう意味でしょうか。

私から見れば、「自信を持って生きる」「自分を愛して生きる」の2つだと思います。

かつて保育士をしていましたが、通勤途中の交通事故で頚髄を痛め、立ち上がれなくなり、歩けなくなりました。右手の握力を失い、左手の握力も2kgまで落ちました。

最初は車椅子生活に慣れにくく、苦労しました。当時、もう生きたくなかったので、自殺しようと考えていました。それでも、今は中学生の娘を持つ母親です。子育てをしながら、子育て支援や講演などの活動をしています。 たくさんの人の励ましと支えから、何でもやっていくうちに、段々自分に自信がついてきました。自分の経験から「人は一人では生きられない」と言えます。人はそれぞれ違っていても、お互いに助け合っています。

今は明るい自分が好きです。誰もが自分は人より優れていないと感じています。車椅子に乗っている自分も同じでした。しかし、自分を見つめると、自分には自分の能力があり、誰にも真似出来ない能力がありました。そして、自分を大切にするようになり、自分と同じように他の人も大切にするようになりました。

皆さん、自分と周りの人を大切にしてください。一人一人の命が自分らしく輝き続けるように願っています。

アサーティブ・コミュニケーションでは、自分の考えを話し、相手を大事にします。アサーティブの意味は自己主張ですが、自分の意見を押しつけたり、自分の意見を曲げたりせず、陰口を言わない話し方でもあります。